アート・ディーラー(画商)とアーティスト

アーティストの名前は知られていても、彼らを世に出したアート・ディーラーの名前まではなかなか後世に伝えられないのかもしれません。メディチ家がルネサンス期の芸術家たちを擁護するパトロンとしての力を持っていたのは知られていますが、近現代においては君主の擁護がなくなった代わりに、アート・ディーラーがその役目を担った、と言ってもよいでしょう。

現在、パリのリュクサンブール美術館で開催されている展覧会、
 

expo_Ruel

             『Paul Durand-Ruel
          Le pari de l’impressionnisme
             Manet, Monet, Renoir』
           『ポール・デュラン=リュエル
                印象派の賭
            マネ、モネ、ルノアール』
 

などは、まさに印象派のアート・ディーラーとしてのポール・デュラン=リュエルの扱った作品を展示しています。パリの後、今年はロンドンのナショナルギャラリー、アメリカのフィラデルフィア美術館を巡回します。
 

アート好きなパリっ子でも、実はデュラン=リュエルの名前を知らない人は沢山います。「そんな画家の名前、聞いた事ない」って、やはりアーティスト名と勘違いしてしまうのですね。
 

ルノワールによるデュラン=リュエルの肖像画

ルノワールによるデュラン=リュエルの肖像画

現在では「ギャラリスト」と言う呼び名もあり、彼らは自らギャラリーオーナーとなって、芸術家を一緒に育て、プロモートしていく仕事ですから、ただ作品を転売するアート・ブローカーとは違う、という自負を持っている人も多いようです。19世紀〜20世紀にかけてのフランスでは、このデュラン=リュエルをはじめ、ヴォラール、カーンワイラー、ギヨームなど、多くのディーラーたちが芸術家を支え、世に送り出したという経緯がありますから、彼らの功績をもっと評価してもよいのでしょうね。