ナビ派にみる、装飾美術

 三菱一号館美術館にて、「オルセーのナビ派展」が開催されています。
 

 この展覧会は、オルセー美術館の総裁であり、ナビ派研究の第一人者でもあるギ・コジュヴァル氏が渾身の力を発揮された展覧会とされており、オルセー美術館からナビ派の主要作品のほとんどが、現在東京に集結しています。
 

 ナビ派というと、印象派などと比べて影が薄い存在かもしれません。またマーケット市場でも、先月ロンドン・サザビーズで開催された近代絵画オークションでは、ナビ派の作品が2点出品されていましたが、1点は落札されず、もう1点も、評価額の下値での落札。何億円と話題になる印象派絵画と比べると、ずいぶんとお買い得感のあるお値段です。
 

 ところが、アンティーク好きにとって、ナビ派は実はとても身近な存在です。ナビ派の作家たちは、絵を描く画家としてだけではなく、装飾美術の世界でも活躍していたからです。
 

 舞台芸術、ステンドグラス、挿絵、ポスターなどのグラフィック・アートから、陶磁器の絵付けまで、実に幅広く装飾美術工芸の世界でも、作品を残しています。
 

シャンゼリゼ劇場の天井画は、モーリス・ドニ。
 

 

(マケットはオルセー美術館にあります。)
 

このピアノの楽譜、かわいいですよね、この表紙はボナールです。
 

 

このお皿の絵付けは、ヴュイヤール。
 

 
 絵画とは装飾である、と言い切ったモーリス・ドニ。絵画=純粋美術、装飾工芸品=応用美術、の垣根を取り払ったナビ派たちの展覧会、ぜひお見逃しなく!
 
 三菱一号館美術館「オルセーのナビ派展」