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オークションハウスはネット化へ進み、小売りはダイレクト販売へ逆戻り?

 当協会の秋の海外研修は、オークションハウスにフォーカスを当て、実際に美術品・工芸品のオークションがどのように行われているか、その舞台裏を垣間見ます。
 

オークション・ハウス DROUOT

オークション・ハウス DROUOT


 

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 さて、世界最古のオークション会社はどこでしょう?というのはアンティーク検定・2級の問題にも過去に出ていますが、これはサザビーズ。1744年、サミュエル・ベーカーが、蔵書を売却するためにロンドンにて設立されました。インターネットによる入札システムを取り入れたのも、サザビーズが最初ですが、このサザビーズが、eBayと提携をしてネット・オークションをスタートさせたのが今年。eBay内の専用プラットフォームでオークションの様子を配信し、決済などでもeBayのシステムを利用することになります。
 

 他のオークション会社も、インターネット入札システムは既に行われており、今後どんどんネットによる入札が増える、と言われています。紳士淑女の社交の場としての存在でもあったオークションハウスも、だんだんと様変わりしていくのでしょうか。
 

 ところが、日本のヤフオクなどのインターネットサイトにおけるアンティーク品・骨董品・美術品の落札率は、実はかつてほど良くはありません。ディーラーさんたちの間でも、「(格安品を除いて)ネットでは売れない」と言っています。これは、実際にモノを見て触って確かめてからでないと、というのと、やはり出品者と落札者の信用だけで行われるシステムであり、上記の、オークショニアがいて鑑定士が鑑定した作品とは、根本的に違うからでしょう。
 

 そして、クレーマーが多いのもネットの特徴。ネットの世界は、裾野が広がる分、マーケットも開きます。街の骨董店・アンティークショップなどに足を踏み入れたことのないような人も、お客さんとなります。アンティーク品という理解のない人が、「どこそこに疵があった」「剥げていた」などと言いがかりを付けるので、かつてはネットで販売していた人も、直接のコミュニケーションを求めての販売へ、と戻ってきているようです。
 
 信用が確定しているものはネットで買える(サザビーズでセールとなる美術品、メーカー品のミネラルウォーター・・・)が、よくわからないものは、手に取って触って、納得した上で直接買う、というのがこれから消費スタイルになるのでしょうか?
  

 参考サイト:ウェブ化する世界最古のオークション・ハウス:サザビーズ、eBayと提携