AEAOサロン倶楽部、8月「椅子の歴史」終了

 月1回のAEAOサロン倶楽部、8月は「椅子の歴史」をテーマに行いました。
 
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 この日は、このところ連続して発生している台風の影響なのでしょうか、小雨がパラつくお天気でしたが、北は北海道から南は四国まで、遠路はるばるいらした参加者の方も交えて、温かい集いの場・CO-MINKA国彩館にて楽しいひと時を過ごしました。
 

 参加者の中には、椅子がマイブームで、今まさに椅子探しをしている、という方もいて、アンティークの椅子の見分け方、様式の違い、材質の歴史などを一緒に学びました。
 

 日本は椅子の歴史が浅いせいか、椅子もテーブルやチェストと同じように、ただの家具のひとつ、と考えられがちですが、実はとても大切なアイテム。1日のうち、1/3の時間を占めるベッドと同じくらい、1/3の時間は椅子に座る、という人も多いのではないかと思いますが、座り心地の良さ、デザインや室内インテリアとの調和、とても大切な要素が含まれています。
 

 このような本が、ありました。
 
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 椅子だけでなく、家具全般の歴史は、イギリス、そしてフランスが19世紀までは牽引していましたが、20世紀に入ると、バウハウスの影響を引き継いだ北欧勢に軍配が上がります。
 

 冬が長く、夜の時間が長い国々の人達が発案した椅子は、一見奇抜に見えるものでも、しっかりと人体工学に基づいた設計がされています。それもそのはず、これらの国での椅子デザイナーは、ただの家具職人ではなく、建築家でもあるからです。
 

 ハンス・ウェグナー
 アルネ・ヤコブセン
 ボーエ・モーエンセン
 フィン・ユール
 コーア・クリント
 etc…
 

 デザイナーの名前はともかく、彼らの椅子に一度や二度は座った経験があるでしょう。その時代のオリジナルのものはお値段もしますが、それらのヴィンテージ、そしてリプロダクションになると、洋服1枚よりはるかに安い価格で手に入るものも、あります。
 

 このところ座ると体調が悪くて、とか、腰痛が、といった現象に悩まされている方、一度普段座っている椅子を見直してみるのも、一案ですね。
 
 


アンティーク検定・3級の準備

 前回の続きです。
 

 アンティーク検定の試験に受かるための勉強は、何をしたらよいのか?
 

 まず、3級の目標は、「西洋アンティークに関する入門的な知識を持ち、コレクションを楽しめる」ところにあります。受験科目は、「西洋アンティーク入門史(ごく基本的な西洋美術史を含む)」です。
 

 美術史なんて忘れちゃったよ、あるいは、勉強したことないよ、という方も多いかもしれませんが、西洋アンティークを学ぶのに、西洋美術史を理解するのは、とても有意義なことです。おや、このティーカップ、これはロココスタイルですね、と言われたとき、ロココとはいつの時代の何なの?という理解を避けて、ロココスタイルを論じることはできませんから。
 

 とはいえ、3級の西洋美術史は、まあクイズみたいなものです。
 年号や細かい詰め込み知識は必要ありません。重箱の隅をつつくような問題も出題されません。
 

 美術史を勉強したことがない、という人は、何でもよいです、1冊で完結する、簡単な西洋美術史の本を1冊手に入れましょう。「はじめての」とか「入門」とか名のつくもので十分です。マンガ西洋美術史、なんてのもあります。基礎知識がある程度ある方は多少掘り下げた内容の本でもよいかもしれません(これは2級にも役立ちます)。本の選び方は、自分の知識と文体に合ったものを選ぶことが大切です。楽しく読めない本は、やめましょう。図版の少ない本は、ちょっとしんどいかもしれませんね。
 
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 アンティーク検定に出題される範囲は、中でもルネサンスから、20世紀中頃まで、です。
 基本は17〜19世紀、と思っていただいて大丈夫です。
 

 大切なのは、名前や年号を詰め込むことではなく、内容を理解すること。「モネ、イコール、印象派」、という覚え方ではなく、印象派ってどういう作風なのか、どうしてこう呼ばれるのか、そんな風に考えながら、読み進めてみましょう。1冊読み終わると、なんとなく西洋美術史の流れが、おぼろげながら頭に入っているはずです。
 

 次に、アンティークの入門的な勉強をしてみましょう。
 

 陶磁器、ガラス、銀器、家具、ジュエリー、その他いろいろなアイテムがありますが、アンティークショップやアンティークマーケットなどに足を運べば、よく出てくる「表現」に出会います。たとえば、「スターリング・シルバー925」と書いてあれば、それは何を意味するのか、「クリスタル」とあれば、クリスタルはガラスとどう違うのか・・・。
 

 アンティーク検定を目指すくらいですから、家にアンティークの何かをお持ちではないですか?
 カップボードに仕舞ってある、アンティークのカップ。裏返してみたら、なにやらマークが入っています。このマークはどこの窯のものなのだろう、いつぐらいのものなのかしら、と知りたくなってきます。
 

 アンティーク全般に関して、1冊読めば全部網羅されています、という教科書は、残念ながら存在しません。陶磁器一つをとってみても、一つの窯につき本が出ているくらい、ある意味ニッチな世界です。本屋さんで、美術、あるいは工芸、といったジャンルの売り場にいけば、「エミール・ガレの作品と生涯」とか「ウィリアム・モリス」とか「ヨーロッパの陶磁」といった本は見つかります。自分の興味のある分野の書物は、1冊くらい手に入れてもよいと思います。
 
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 西洋美術史のようにお手軽な1冊こっきりの参考書はないのですが、全く何も持っていないし、何を読んだらよいかわからない、という方は、当協会の3級公式ハンドブックをお求めください。薄いハンドブックで、押さえるべきポイントが完結に記されています。このハンドブックは、3級用ではありますが、さらなる上位級にも対応できるように作成されています。ダウンロード版公式ハンドブックもありますが、紙で所有していた方が後々便利でしょう。出願時に、同時に申し込むことができます。
 

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 繰り返しますが、3級は入門級です。
 勉強しなくても誰でも名前さえ書けば受かる、とは言いませんが、興味を持って、ハンドブックを手に入れて1ヶ月ほど、空いた時間を費やして理解していけば、大抵は合格します。
 

 独学だとサボっちゃうし頭に入らなくて・・・と思ったら、検定のための対策講座を是非受講してみてください。10月より、各スクールで新しいシリーズがスタートします。また月1回のAEAOサロン倶楽部でも、楽しくアンティークを紐解くサロンを開催しています。検定試験の前日は、直前対策勉強会がありますので、一夜漬けの得意な方は、有利ですよ!?
 

 (つづく)


第5回アンティーク検定、要項発表!

 まだまだうだるような暑さが続く日本列島ですが、夏が終わったら、「勉強の秋」の季節。あらたに何か始めよう、という気になっている方も多いのではないでしょうか。ヨーロッパでは、新学年が秋からスタートすることもあって、新しく習い事を始めるのも、この季節ですね。
 

 さて、次回第5回アンティーク検定の要項が発表になりました。試験日は、12/4(日)。4ヶ月後には、この暑さから、暖房を入れている季節になっているんですね・・・。
 
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 要項パンフレットは9月初旬より、各関係機関へ配布の予定です。また当サイトでも要項を発表しています。(第5回アンティーク検定のお知らせ
 

 ときどきお問い合わせがあるのですが、「何を読んで勉強したら受かりますか?」という質問、これはなかなか主催者泣かせの質問です。
 

 巷によくある検定試験と名のつくものは、教科書があって、そこから7割は出題されます、という形式でしょうか。日本人は小さいころから、英検をはじめ、こういう教科書ありきの検定試験の形式に慣れているので、何かないと不安だ、という気持ちはとてもよくわかります。最難関とも言われる司法試験でさえ、六法全書という、(すべてを暗記し、詰め込むにはものすごい労力を必要としますが)教科書が存在します。
 

 しかし、当検定試験は、記憶力や、知識を詰め込むことに重きを置いていません。
 

 ある人が日仏両国で運転免許を取得し、日本の運転免許の学科試験は「知識」であり、フランスの運転免許の学科試験は「理解」だ、と言った人がいます。
 わたしたち日本人は、運転免許を取得したら、外に出て運転をします。何十年も安全運転で、交通法規を守っているドライバーはたくさんいますが、そういう人たちから、「今、もう一回学科受けても受かる自信がない、あれは前日に丸暗記して覚えるものだから」という声が聞こえてきます。
 

 こういう知識詰め込みの試験をする意味は果たしてあるのか・・・運転免許や司法試験は国家資格ですから、ある程度仕方のないことかもしれません。でもアンティーク検定は、民間資格であり、趣味をより楽しめるという目的で存在しています。
 

 もちろん最低限の知識は、何事にも必要です。本を読むには漢字や熟語の意味を知らなくてはいけないように、大河ドラマを見るのに、江戸時代とはいつのどういう時代だったのかを知らなくてはいけないように。18世紀中頃のアンティーク工芸品を理解する場合、18世紀の中頃とはどういう時代だったのか、世の中のトレンドはなんだったのか(どんな様式が流行っていたのか)、それは後世、どんな名称で呼ばれるものなのか・・・そんな基礎知識を避けて、アンティーク工芸品を理解することは、ちょっと残念です。
 

 さて、それではアンティーク検定の準備はどうしたらよいのでしょう。
 

 次回からのブログで、各級別にお話していきましょう。
 
 


モードとアンティーク

 7月のAEAOサロン倶楽部では、「モードとアンティーク」をテーマに行いました。モード(=ファッション)、最近やたらとモードの展覧会が行われています。
 

 2016年に入ってからでも、
 

・PARISオートクチュール 世界に一つだけの服(三菱一号館美術館)
・MIYAKE ISSEY展(国立新美術館)
・MODERN BEAUTY フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代(ポーラ美術館)
・ポール・スミス展(上野の森美術館)
・こどもとファッション展(東京都庭園美術館)
 

と、数多くの展覧会が開かれていますが、そもそもモードをテーマにした展覧会は、かつてこんなにあったのでしょうか。
 

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 モードは装飾美術を語る上で、家具や工芸品を語る以上に、重要なファクターです。家具や工芸品と同様に、もともとは貴族の趣味を反映していたものが、時代とともに社会を反映するものに変わり、スタイルもその時代のニーズに合わせて変化していく・・・その歴史を紐解いていくことは、同時に社会風俗史をあらためて知ることでもありますね。
 

 そしてモードといえば、今は女性が主体ですが、かつては逆で、男性のモードこそが注目されていました。女性は男性に比べてうんと地味だったのです。男性が今のように、黒っぽい色の衣装で、装飾が控えめで地味なスタイルになったのは、ダンディズムが起こった、たかだか19世紀以降のこと。それまでは、男性はリボンとレースで飾り立て、ハイヒールを履いていたのです!
 

 ズボンについても同じ、現在では半ズボンは子供のものか、カジュアル着であって、まともな大人の男性は、きちんとした場所で半ズボンなんて履きません。一流レストランなど、ジーンズ&半ズボンお断り、なんて言われるところもあります。でも、かつては半ズボン=キュロットこそがまともな紳士のズボンであり、男性はみな脚線美を競っていたと言います。フランス革命時に、キュロットを履く貴族に対抗して、サン・キュロット(長ズボン)を履いて、貴族社会に真っ向から戦いを挑んだ市民たち・・・当時、サン・キュロット(長ズボン)はおそらく洗練の真逆、今でいう超ダサい格好だったのです。
 

 歴史は繰り返す、流行も繰り返す、と言われているように、現在の「洗練」の基準は、またどこでどう変わるのか、追っていくのは楽しみでもあります。たかだか四半世紀前のバブル時のファッションですら、今では恥ずかしいスタイルになっていますから、今の流行が四半世紀後、どのように懐古されているのか、これを見届けるのも楽しみの一つですね。