モードとインテリアの20世紀展

 9/17より11/23までの会期で「モードとインテリアの20世紀展」が汐留・パナソニック・ミュージアムにて開催されています。
 

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 作品はすべて、島根県立石見美術館のコレクション。ここは、日本人で初めてパリ・オート・クチュール協会に名を連ねた、森英恵さんの出身地でもあります。
 

 この展覧会では、ただファッションを時代別に眺めるだけでなく、各時代のインテリアとともに追うことができます。19世紀初めのアンピール(帝政様式)のリバイバル、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、ミッドセンチュリーといった装飾様式を一緒に学ぶことができます。
 

 詳しくは、下記公式HPにて
 

 『モードとインテリアの20世紀展』
 

 ファッション展は珍しくないですが、インテリア(室内装飾)と絡めた展示により、装飾美術の流れを知ることのできる、大変有意義な展覧会です。お見逃しなく!
 

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アンティークと、修復

 昨日が最終日でしたが、東京・上野桜木の旧平櫛田中邸アトリエにて、「修復のお仕事展’16』が開催されていました。
 
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 絵画や工芸品の保存修復を手がける修復家たちが、その仕事ぶりを紹介する珍しい展覧会、秋晴れのよいお天気の中、大変賑わっていました。
 

 古いものをよい状態で保存していくためには、修復は欠かせない技術です。何世紀を経ても状態が変わらず、ベストコンディションで保てるものは、そうは多くありませんし、経年変化と共に劣化した状態で保存するより、修復して保存した方が、後世に残せることが多いです。
 

 アンティークの工芸品に関して言えば、18世紀以前のもので、修復されていなくて、よいコンディションのもの、というのは、まず見つけるのが大変です。たとえば、陶器。錫白釉陶器は、磁器がヨーロッパで焼かれるまでの間、ヨーロッパの陶磁器世界の中心でしたが、いかんせん陶器です。釉薬が剥がれてしまった箇所には、生地が露出しています。絵付けの顔料が剥がれているものもあります。
 

 それでは、こういったものは、修復されていると価値が落ちるのか?あるいは修復されていないオリジナルで状態の悪いものは、どういう価値なのか?といった問題も上がってきます。
 

 工芸品に関しては、たとえばオークションなどでセールに出る場合、修復歴は分かっていれば必ず記載されています。「修復の痕あり」といった表現で、オリジナルのままではないことを表しています。これは、オリジナルで手を加えていない状態よりは、後世において修復の手が入っているということですから、全く同じ状態のものが2つあれば、当然修復されていないオリジナルのものの方が価値が高いのは、言うまでもありません。家具などは、修復されたパーツの部品が、その時代のものではなく、現代のもので代用されているケースが多いです。
 

 オークション会社が、自ら修復を勝手に行うことはないのですが、落札した業者さんが、顧客に紹介する前に、しかるべき修復を施してから販売する、といったことはよくあります。むしろ、修復をしていないと、売れないものがあるからです。アンティーク・ドールで足が一本取れている状態で、あるいは椅子の布貼りが取れたままの状態で、購入する人はなかなかいないでしょう。
 

 修復にも、上手な修復と下手な修復があり、下手な修復の場合は、もともとの工芸品の価値をさらに下げることにもなってしまいます。ですから、修復品を購入する場合は、そのあたりの見極めも大切になってきます。
 

 日本の修復技術である「金継ぎ」、この言葉はそのまま海外でも Kintsugi として広まっています。海外で活躍する日本人修復家は数多く、日本人の手先の器用さと、丁寧な仕事が、芸術的感性に合っているのかもしれませんね。
 
 


アンティーク検定・1級の準備

 アンティーク検定1級は、2級をすでに合格されている方が対象となります。そのため、受験者は限られますが、この1級を合格すると、あとはスペシャリストの認定が待っています!アンティーク・スペシャリストになるには、1級合格後に所定の講座を受講すれば、自動的に認定されますので、実質試験を受けるのは、この1級が最上級ということになります。
 

 英検1級、漢検1級、一級建築士・・・世の中の検定試験で「1級」と名のつくものは、はっきり言ってそう簡単に誰もが受かるものではありません。だからこそ、権威があるのです。時間をかけて努力をすれば、いつかは受かるものもあるでしょうが、世の中それほど甘くはありません。そもそも誰でも受ければ受かる試験であれば、価値も尊厳もありませんから、権威付けの意味でも、世の試験の1級は、難関になっています。
 

 さて、これらの検定試験、最近の合格率を見てみますと、
 

日本英語能力検定 (2014年 第3回) 1級 10.4%
日本漢字能力検定(2015年 第1回) 1級 10.2%
日商簿記 (2016年6月)1級 10.9%
美術検定 (2014年度)1級 15.3%
一級建築士 (2015年)12.4%
 

 と、だいたい1級は10%台です。これは10人受けて1人受かる、という見方もできますし、10回受ければそのうち受かる(?)、という見方も、努力次第ではあるでしょう。
 

 さて、わがアンティーク検定1級の合格率は、と言いますと、まだ実施してから年月が浅いため、他の検定のように統計を算出するのに十分な受験者数を輩出しておらず、一般公表はしていません。現在のところ、1級合格者数は、2名のみです。ある一定水準で合格、としていますが、すべて記述式の試験ですので、基本的には2級の内容のレベルを、自分の言葉で正しく表現できる、というのが合否の判定基準になっています。2級では、たとえばこのような文様は何時代の特徴でしょう、と問われて、四択で答えればよいクイズ形式のようなものですが、1級ですと、それを自分の言葉で、理由と共に説明する必要があります。
 

 1級合格者の方たちは、元々西洋美術・西洋文化史の基礎がしっかり身についており、かつ西洋装飾美術工芸のための特別な知識を得るべく、各種講座などに積極的に参加されて、知識を身につけていった方々と思われます。
 

 それでは、2級を合格した後、どうやって1級に向けての準備をしたらよいのか、について、お話しましょう。
 

西洋美術史:
 過去の問題を見ても分かる通り、問題となる作品は、近年日本にやってきた絵画の名作が出題されています。マスメディアで必ずや話題になった展覧会で、その展覧会の代表的な作品(カタログの表紙であったり、ポスターに使われる作品であったり)ですので、それらの作品が、どのようなものなのか、説明できる必要があります。設問の複数の作品の中から、一作品だけを選んで説明すればよいので、得意な分野の作品について、美術的背景などを表現できるようにしておきましょう。
 

西洋装飾美術工芸史:
 こちらも、語句を選んで説明する問題です。装飾様式、著名な工芸作家、ガラスや陶磁器などの特別な工芸用語などから出題されますが、どれも2級合格者なら、聞いたことのある語句ばかりでしょう。2級受験の際の「要点集」をもう一度開いて、そこに記されている語句を、周辺の知識を交えて説明する練習をしながら、もし足りない知識があれば補うようにしてみましょう。
 

外国語:
 英語であれフランス語であれ、単語が外国語で書かれているだけですから、西洋装飾美術工芸史の出題と基本は変わりません。正しい知識を周辺事情を交えながら、一般の人へ易しく説明できる表現能力が問われます。
 

現代時事アンティーク:
 これは、もしかしたら2級よりも1級の方が易しいかもしれません。2つのテーマのうち、1つを選んで、自分自身の見解を述べる、小論文形式です。現状を正しく理解した上で、個人の見解が述べられているかどうかが判断基準になります。テーマは難しいものではないので、その場で考え始めても十分に対応はできますが、普段からアート業界、古美術業界などに関する自分自身の考えをまとめる練習をしておくと、スムーズに回答できるでしょう。
 

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 第1回アンティーク検定から、すでに2級を合格されている人は何人にも上ります。ぜひ第5回アンティーク検定で、またあらたな1級合格者が輩出されることを祈っています!