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ウィリアム・モリスの手仕事ー美の追求

 8月のAEAOサロン倶楽部は、ウィリアム・モリスを取り上げてみました。みんながその名を知っている「ウィリアム・モリス」といえば、花柄などの壁紙の人、でも彼の残した功績はもちろんそれだけではありません。
 

 ウィリアム・モリスに惹かれて、モリスを訪ねての旅を何度も実行された小山ひろ子先生は、長年日本ヴォーグ社の編集をされていて、現在では出版部長を務めていらっしゃるベテランです。小山先生が実際に訪れた、一般には公開されていない場所などの写真を見せていただきながら、モリスがどんな人で、どんな時代に生まれ、なぜモリスに惹かれてモリスを訪ねての旅に至ったか、そんな個人の思いと共に、モリスについて熱く語っていただきました。
 


 

 当サロンは、堅苦しいお勉強ではなく、お茶でも飲みながら楽しく語り合いましょう、がモットーなのですが、今回はご用意いただいた資料だけでなんと26枚!年表からモリスの交友関係表から地図から、はたまた当時の社会状況を知るための、ヴィクトリア朝時代のポンドの価値に関する資料から、と研究者並みの資料一式となり、どれもがモリスを知るために大変貴重なものでした。
 

 モリスが成功した理由、小山先生は8点挙げて本サロンを締めてくださいましたが、やはり凡人には「うらやましいなあ」と思う項目があります。それはズバリ、育ちと環境がよく、また生活の糧を稼ぐ必要がなかった、という点でしょうか。ヴィクトリア朝時代、金持ちはこの上なく豊かで、貧しい人は悲惨な生活をしていた、そんな時代にアッパーに生まれアッパーを享受できた、そんな人だったのですね。
 

 現在、「ウィリアム・モリスと英国の型紙展」が現在群馬県立近代美術館で開催中ですが、本展はその後大阪、久留米、名古屋、横浜と巡回いたします。また次回は、壁紙の装飾と芸術と社会、というようなテーマで取り上げてみたいと思っています。