投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 5

今日はベルナルド財団の見学と、フリータイム。オプションで、一昨日訪れて休館だったリモージュ市美術館をリベンジする組と、ゆっくりチェックアウト組に分かれました。リベンジ組は旧市街を散策しながら開館時間9時半に美術館に到着。ツアー本体のバスにピックアップしてもらう10時15分まで45分しかないのですが、リモージュのもう一つの伝統工芸、エマイユ(エナメル・七宝)を見ないでは帰れないでしょうということで、エマイユ展示階へ直行。

地方美術館の一部門ですから、2~3部屋がその展示に充てられているのかと思いきや、ワンフロアそのものがエマイユ三昧、それもものすごい数の所蔵品がクロノロジックに展示されています。

至宝の芸術鑑賞を制限時間内で、というアドレナリンを抑えるのに苦労するジレンマと戦った45分はあっという間に。

添乗員との連携プレーでバスにピッタリにピックアップしていただき、本丸のベルナルド財団へ。日本でも路面店のあるリモージュの老舗メーカー・ベルナルドの本拠地にして、ミュージアム、アトリエ、そしてアウトレット・ショップを併設している財団で学芸員によるガイド付きの見学を行います。

ベルナルド社は1863年の創立以来同族企業で経営を続け現在は5代目が社長、そして息子さんの6代目も既にスタンバっているという老舗のメーカーです。

アドリアン・デュブーシェ博物館、カソー窯を見学しているので、ここでの説明ももはやみなさんにとって、復習。「磁器をつくる原料は何かわかりますか?」「はーい、カオリンと長石と石英でーす」と模範解答ができてしまう、さすが私たち!

ここではどのようにしてそれらの原料からベルナルドの製品が出来上がるかを工程ごとに実践、またビデオを見ながら回ります。

通常1時間~1時間半の見学ツアーですが、逐次通訳をしているためどうしても時間が足りなくなり、最後は駆け足となってしまいましたがそれでもお楽しみのアウトレット・ショップでのショッピングも終え、ホテルまで戻り、残されたのはほんの少しのフリータイム。ランチのサンドイッチをほおばる方、最後のリモージュのお土産買いに走る方、みなさんそれぞれ最後のリモージュの街での滞在を楽しみ、さて、また在来線に乗ってパリへ戻ります。

帰りの列車はコンパートメントではなく普通のオープン・カーで荷物置き場もありました。それでも我らがスーパー添乗員のAsamiさんが途中駅に停車するたびに荷物の盗難防止を兼ねてチェックしてくださって、安心倍増です。頭が下がります。

3時間半かけてパリへ到着、かつての渋谷駅の工事現場のようなオーステルリッツ駅からセーヌを渡ってリヨン駅に隣接したホテルへバスで移動し、さていよいよディプロマ授与式ディナーはこのリヨン駅構内にある『ル・トラン・ブルー』へ。

1901年創業のこの老舗ブラスリー、「装飾が素敵なレストラン」特集などでは必ず登場する、それはそれは豪華絢爛な内装で知られていますが、駅構内のブラスリーであり、ミシュラン星付きのグルメ・レストランという訳ではありません。味はまあそれなり、でもとにかく美しい空間だから、という気持ちで選んだのですがお料理がなんと美味しくなっていて、Anne先生も「ん?こんなに美味しかったっけ?ここ、シェフは誰?」と料理そのものに興味を持ち始めています。

私たちのコースメニューは「PLMコース」、これはParis-Lyon-Méditerranée(パリ・リヨン・地中海)の頭文字で、かつてのブルートレインの経路ですね。

ここの名物と言われているBaba Bouchon(コルク型のババオラム)、こんなサイズで来ましたよ!

しっかりディナーを頂いたところで、お一人ずつにディプロマ授与です。そして記念写真。

出口でも。

Anne先生とはここでお別れです。
残すところあと1日ですが、明日は蚤の市・ブロカント散策の愉しみが待っています。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 4

今日はオービュッソンへの1日エクスカーションです。リモージュからオービュッソンまで約1時間半のバスの旅が8時半よりスタート。リモージュは地方都市ですが、いよいよフランスの奥深い田舎へと入ります。

10時過ぎにオービュッソン国際タピスリーセンターへ到着。モダンなこの建物、2009年にユネスコの無形文化遺産登録を受け、2016年にオープンした新しいセンターです。このセンターではタピスリーの展示、タピスリー職人の育成、そしてセンター自らがタピスリーの新作を制作するという3つの活動を行っています。

ルイ14世時代、コルベールの政策の元に王立製作所となったオービュッソンのタピスリー、15世紀の「お城の壁紙代わりに、断熱材として」使用した時代のタピスリーから社会的地位を象徴する調度品として、近代のタピスリー職人であるジャン・リュルサの世界、そして現代アーティストとのコラボレーションまで、そのモチーフの変化と共に一気に500年の歴史を回ります。

「千花模様の一角獣」はオービュッソン最古のタピスリー。

伝統的な形式として、神話や聖書などのストーリーをシリーズで描いていく「tenture」がありますが、その伝統を踏襲して現在シリーズ制作をしているのが、我らが宮崎駿の作品群で、現在4作品が完成しセンターに展示、残りは制作中です。

センター見学後は、この宮崎プロジェクトにも関わっている日本人のタピスリー職人、許斐愛子さんのアトリエを訪ねます。

大型バスの通行制限でなかなかアトリエまでたどり着けず、自ら近くまで出てきていただいて私たちをお迎えしてくださった許斐さん、現在では個人でアトリエをもって制作をしていらっしゃいます。

このアトリエで実際の織り方や織機の構造、台紙に描かれた下絵をどのようにして織機で織っていくのか、道具の種類やその使い方、ゴブランのタピスリーとオービュッソンのそれの違いをbasse-lisse / haute-lisseといった専門用語をわかりやすく教えていただき、実践していただきました。

私たちがタピスリーを織ることはないでしょうが、完成したタピスリーを見て、どこの工房で織った誰の作品なのか、付いているナンバーは何を意味するのか、そんな見方も教わったところでお腹も空き、許斐さんも交えてのランチへ。

このレストランもほぼ廃墟だった建物が、タピスリーセンターが出来たことで観光客も増え、リノベーションを経て現在のホテル&レストランになったのだとか。予め聞いておいた通りとても美味しいお味で雰囲気もあるレストランでした。

人口3000人のこのオービュッソンに日本人が、それもタピスリー職人が住んでいるというだけでも驚きですが、なんと他にも日本人が2人いて、ガラス職人さんと尺八のミュージシャンだと聞きこれもびっくり!同胞が世界のさまざまな地で芸術活動をしているというのは、本当に誇らしいですね。

ランチ後は、メゾン・デュ・タピシエの見学予約が入っていますが、レストランのすぐ隣がなんとタピスリーのアンティーク・カルトン(下絵)のお店、ちょっと入り口を覗いてみたら店主のマダムが「入りなさい、入りなさい」と1回3人までと書かれている小さなお店に全員入れて、タピスリーのカルトンに関する説明を始めてくださいます!

お話をずっと聞いていたいところですが、次の予約が迫っており、残念ながら短時間で切り上げてメゾン・デュ・タピシエへ。午前のセンターと許斐さんのアトリエで基礎知識が頭に入っていたので、ここでの説明はそれらを補完するものとして、すぅ~っと頭に入ってきました。

メゾン・デュ・タピシエの後は、しばし散策。地元のお菓子屋さん、雑貨屋さんなどでお買い物をしてさあバスに戻りましょうというところで、なんとアンティーク・ショップを発見!全員の眼が一気にハンターに転じ、ここを通り過ぎるのはこの人たちには無理、と判断した添乗員がドライバーさんへ若干の時間延長交渉をしてくださり、無事10分確保、その間にみなさんこれまでに培った目利きの力を最大限発揮し、お買い物。アンティークは場数を踏んでいないと即決できない、いい実習です!プロさながらのみなさん、「あ、これSarregueminesだわ、4€、安い!状態良し、買っちゃお」と秒で決断。

もっともっとこの地に留まりたいところですが、バスに乗ってリモージュへ戻り、ホテルで少し休んだのち、最後のリモージュのディナーへ。リモージュの中では恐らく一押しの伝統レストラン、『Bouillon Limousin』へ。

アール・ヌーヴォーの装飾ムンムンのこのレストラン、地元の人でも大人気なのでしょう、既に満席状態です。それもそのはず、なんとディナーは木金土の3日しか営業しておらず、しかも19時~20時半という、フランスとは思えない営業形態です。7日前までにメニューを決めておいてねと言われていた理由もこんなところにあるのでしょうか。

名物の伝統料理リム―ザン牛を選んだ人も多かったです。

そして今日は参加者のお一人のバースデー。予めお店の方へデザート時にキャンドルサービスとシャンパンを頼んでおき、みなさんで無事お祝いすることができました。Akikoさん、お誕生日おめでとう!!

ほろ酔い加減でホテルへと戻り、リモージュの最後の夜を楽しみました。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 3

予定ではアドリアン・デュブーシェ磁器博物館を10時見学でスタートですが、9時にバスでホテルへ迎えに来ていただき、ドライバーさんの好意で少しリモージュの街の主だったところを回って土地勘を掴むこととし、市庁舎とその近くのサンテティエンヌ大聖堂の外観を見学しました。市庁舎はドライバーさん曰く、「パリ市庁舎のミニチュア」、たしかにファサードの建築などそっくりです。市庁舎前の噴水にはリモージュ磁器が使われているのですね。

市庁舎は各種手続きなど用事のある市民が入る役所ですが、我々は内部装飾を一目見ようとちゃっかり中へ。さすがに階段を上ろうとすると「そこから先はダメだよ」と咎められましたが。

そして威風堂々とそびえたつ13世紀に建築が開始されたゴシックのこの大聖堂、北の入口のポータイユの彫刻の美しさに見とれてしまいます。

にわか観光の後、アドリアン・デュブーシェ国立磁器博物館へ到着、ようやくリモージュ磁器の研修に入ります。ところで「アドリアン・デュブーシェ」って聞きなれない名前かもしれません。この人物は19世紀のリモージュの実業家にして美術評論家兼コレクター、リモージュの県立美術館の館長に就任してから個人の陶磁器コレクションを美術館に寄贈したことで彼の名を冠することになったのです。フランスでは二大国立陶磁器博物館の1つがセーヴル、そしてもう1つがこのリモージュのアドリアン・デュブーシェなのです。

建物は1900年の建築のままですが、隣にあった装飾美術学校の跡地が新たに展示スペースとなり、拡張工事の末2012年にリニューアル・オープンしています。創建当時のアール・ヌーヴォーのモザイクなど建築としても価値のある建物。美術館入口には現代セラミックアートのモニュメントも設置されていました。

館内に入り、Anne Kolivanoffによる解説を聴きながら博物館を一通り回ります。新たなスペースとなったメザニン部分では陶磁器に関するテクニックの展示、そして古代から18世紀までの世界の陶磁器の歴史をたどります。

この館で最も値段の高い焼き物とされているのがこの中国の白磁だ、と耳打ちされると、一層輝いて見えますね。

セーヴルの国立陶磁博物館の前にはベルナール・パリシーの像がありますが、こちらではアドリアン・デュブーシェの像が。

そしてこの地ならではのリモージュ磁器の展示部分に。事前にリモージュの講座をアカデメイアで学んでいるので、みなさん復習を兼ねての見学ですから知識に余裕はありますが、現物を目の前にするとどれも写真を撮りたくなってしまい、追われるように歩き回ります。19世紀前半のアリュオーから後半の万博を通した黄金時代・プイヤの作品まで。よくカタログに登場するリモージュ磁器の「グラン・ド・リ」のテーブルウェアもこちらにありました。当時ロシア皇帝が注文したことでも有名になった名作中の名作ですね。

アール・ヌーヴォー、アール・デコ時代のリモージュ、そして時間がなくざっとしか回れなかったコンテンポラリーのアーティストとのコラボレーション作品らのゾーンを垣間見て最後のミュージアム・ショップタイム。陶磁器好きなら丸1日かけてゆっくり鑑賞したいところです。

後ろ髪を引かれる思いで博物館を後にし、徒歩で近くのビストロ『Bistrot de LEON』にてランチです。オシャレなレストランで、カフェ・グルマンなどもう芸術的ですね。

ランチ後はバスにてカソー窯へ。現ロワイヤル・リモージュとなっている当時のアリュオー社の9つあった窯の唯一残っている1つです。

ここで学芸員より解説をしてもらいながら窯を見学します。窯は上下に分かれており、上部で900℃の素焼き、そして下部で1400℃の本焼成を行います。火の回り方の経路や、当時の職人らがどういう方法で焼成温度を計測していたのか、窯に生地入れる前段階で使用した鉢(gazette)とその積み方、燃料が薪から石炭に変わって火の男(homme du feu)、火の女(femme du feu)たちの働き方はどう変わったか…

1時間ほどの解説の後は、隣接されているロワイヤル・リモージュのアウトレット・ショップでのショッピング。

午後の見学はここまで。後はディナーまで自由時間ですが希望者はバスでホテルへ戻る途中で下ろしていただき、エナメル作品の展示で有名な市立美術館を見学…のはずが、なんと水曜日は休館!?フランスの美術館は月曜日または火曜日が休館日と決まっているので、よもや水曜日の休館は想定外、残念ですがここは金曜日に来ることにして、朝外観だけ見た大聖堂の内部に入り、そして近くのリモージュ磁器セレクトショップを回ったりしながら、各自ホテルへ。

この日のディナーは、ヴェトナム料理。フランス料理は美味しいのですが、旅の途中で1度アジア系の料理を入れると、ちょっと胃にもホッとするひと時、選んだレストラン『Tan Saigon』は大人気のようで、ひっきりなしにテイクアウト客やUberの配達員も訪れ、店内も満席でテラスでコートを羽織って外で食べている人も。こういうカジュアルなレストランでは予約を受け付けてくれないのですが、無理を言って席を確保してもらって大正解でした。人気のフォー、ボブン、生春巻き、ネムなどを青島ビールやライチジュースなどと共に楽しみました。

ホテルへ戻る途中、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼への道標を発見!ヴェズレーが出発地の「リモージュの道」の巡礼路でしたね。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 2

2日目、さっそく午前から研修がスタート。チェックアウトをして荷物をホテルに預けた後、徒歩で近くのタピスリー専門ギャラリーに向かいます。当協会の海外研修の講師を務めるアンヌ・コリヴァノフがウェルカム・コーヒーと共に私たちをお迎えしてくださいました。

会場となるギャラリーのオーナーはセバスチャン・ムニエ―氏、オークショニア国家資格を持ちながら、フランスの20世紀タピスリーのディーラーとしてドル―オー界隈で長年に渡ってギャラリーを経営、現代タピスリーのディーラーとしてはおそらくフランスで唯一の人物です。このギャラリーでセバスチャンよりタピスリーの役割、中世から現代にいたるまでの経緯、栄光と没落、そして再び脚光を浴びるまでのストーリーをレクチャーしていただき、実際に織物を触り、織り方の基本を知り、そして市場価格なども教えていただきました。

1時間ほどのギャラリー滞在の後、すぐお隣のオテル・ドルーオーへ。ちょうど11時のオープンですが既に午後のオークションの出品物の最終確認にやってくる人、翌日以降のオークションの下見会を念入りにチェックする人などで普段通りにぎわっています。170年に渡ってこの地で美術工芸品の売買が行われている館です。

オークションハウスの下見会は入札するかもしれない品をチェックする目的で開かれているので、基本的には触ってもひっくり返しても良いわけですが、稀に別格のオークションが開催されることがあり、その下見会での展示物には触らないよう注意書きがあったりします。今回最初に見たルームでの作品はまさにこのカテゴリーの下見会で、ミュージアム・ピースと呼ばれるにふさわしい出品物ばかりでした。次に入った地下のルームは、見て触ってひっくり返して、が可能な下見会でしたので大勢の業者や一般のコレクターたちがそれぞれ目当ての作品を吟味していました。

もっとゆっくり見たいところですが、リモージュ行きの電車の時間があるため、12時で切り上げて近くのレストランでライト・ランチ。ライト、といってもフランス料理のメイン一品でもしっかり量がありますね。このレストランのお客さんもほとんどがアート市場業界にかかわる人たちで、知り合い同士だらけの様子です。

メイン+コーヒーでランチを済ませた後はホテルに戻り荷物をピックアップして、専用バスでオーステルリッツ駅へ。このオーステルリッツ界隈は今パリでは駅舎を含め一帯が工事中で、バスを停めるのもホームに辿り着くのも大変なことに。余裕をもって出てきたのでよかったです。

リモージュ行きの列車はフランスが誇る新幹線TGV…ではなく、在来線。そのため距離としてはリヨンとほぼ変わらないのに3時間半と2倍近くを要します。また列車も旧型でなんと私たちの席は1等車でしたがコンパートメント。6人乗りのコンパートメントは全員が知り合いなら遠足気分ですが、そうでないと他の乗客と同じコンパートメントで一緒ということにもなります。幸い乗り合わせた方々が親切で、日本からの重いスーツケースを網棚に上げるのを手伝ってくださって、専用荷物置き場のない不便な在来線でしたが何とかリモージュまで到着しました。

リモージュ・ベネディクタン駅はフランスで最も美しい駅の一つとされていますが、内装のステンドグラスがやはり美しく、またパリの混雑した駅の喧騒とは違ってゆったりと田舎の美しさを感じることができました。

専用バスで近くの旧市街のホテルへ行きチェックイン後、みなさんで歩いてディナーのレストラン『Le Versailles』へ。初めての場所でGoogle Mapを頼りに10分ちょっとで辿り着いたレストラン(実は後から全然近かったことが判明!)で夕食を。この地方は高級な牛肉リム―ザン牛をはじめ、フランスの伝統料理を食する街ですが、みなさんワインからデザートまでしっかり頂いて、元気そのものです。

ホテルも旧市街の一等地にあり、周りにはギャラリー・ラファイエット、モノプリなどお店が何でもある広場に面していて、とても便利。

明日はいよいよリモージュ磁器の研修に入ります。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 1

2024年の公式海外研修がスタートしました。今年はフランスの工芸の代表であるリモージュ磁器とオービュッソンのタピスリーという二大工芸地を訪れる装飾美術・アンティークの研修旅行です。フランスはパリだけでなく田舎が素晴らしいし美味しい、というのを実地で感じることのできる内容、企画者も初めて訪れる地もあってワクワクです。

前回に引き続き、今回も日本発着のツアーを株式会社ユーラシア旅行社さんにお願いしました。おかげでエール・フランスの直行便を早いうちから押さえることができました。

朝6時に羽田空港に集合。前泊組、当日組などみなさん遅れることなく定時に集合。早速出国しますが、出国の列がすでに「最後尾はこちら」の札が出るほどのすごい出国者数にびっくり!!昨年5月の海外研修時も同じこの羽田空港第3ターミナルを出発していますが、当時は10時の集合でも出国ゲートは1つしか開いていなかった事を思えば、コロナが5類に移行後の海外旅行がインバウンドも含めて凄いことになっているのを実感します。

もはや2年も続くウクライナ戦争のおかげでパリまでの直行便の飛行時間、行きは14時間50分、大人しくじっとしているのもなかなかキツイですが幸い行きの飛行機、エコノミーは満席ではなく若干空き席があった様子、ビジネスとプレミアムエコノミーはしっかり埋まっているという現象にも経済の上向き(と格差)を感じました。

ロング・フライトの末にパリに到着、空港で1時間はかかるかと想像していた入国審査とバゲージ・ピックアップが到着のタイミングが良かったのか奇跡的にあっという間に済み、ここから専用バスでホテルへ向かいます。こちらも順調で1時間ほどでオペラ界隈のプチホテルへ到着。ドイツから現地参加の方がロビーで迎えてくださって、みなさんで初の顔合わせとなりました。

このプチホテル、立地は最高に街中なのですが、現在朝食ルームがリニューアル中で朝食はルームサービス(4星なので銀の盆に載ってくるかと思ったらUberスタイル!でも美味しかったです)、そしてプチだけあってエレベーターも最高にプチ、定員2名とありますがスーツケースと一緒に乗ると定員1名、これにはびっくりしました。こういうのも古い建築ならではですね。

初日の夜は自由行動、もう明日にはリモージュへ発ってしまうので1泊だけのホテルですが、お水を買ったり夕食を取ったり、とみなさんそれぞれパリの夜の街へ出かけていきました。

ここはホテルのすぐ近くのビストロ・「Au Petit Riche」、創業1854年ですぐ近くのオークションハウス・オテル・ドルーオーの開館とほぼ同じ年代、19世紀中ごろからアート関係者、オークション関係者らの食堂としてずっとこの界隈のアートの変遷を見守ってきた老舗です。内装もベル・エポック調で、ああパリに来たんだなあ、と実感できるレストラン。 さて、時差もあるし今日は早めに休むことにしましょう。