西洋骨董鑑定の教科書、ついに発売!

 この度、パイインターナショナル社より、「西洋骨董鑑定の教科書」がついに発売になりました。
 
 

 美術史を学ぶための書籍は巷に溢れているのに、装飾美術を体系的に学ぶための本はなかなか見つかりません。とはいえある分野に特化したものーたとえば「ウェッジウッド物語」(日経BP社)、「リモージュボックス」(平凡社)、「ウィリアム・モリス」(河出書房新社)、「魅惑のアンティーク照明」(西村書店)ーといった本ーはありますし、洋食器のブランドやお店紹介のような本もそれなりにあります。そもそも装飾美術とは、使って愉しむためのもの、堅苦しい理論めいた本などなくても、興味を持ってコレクションしていくうちに、自然と覚える・・・当協会の設立者もそのように思っており、いわゆる「教科書」「検定本」を作ることには、あまり積極的ではありませんでした。
 

 日本人は真面目なので、教本があれば、教本を読んでガリ勉してしまいます。英検受かっても、喋れないじゃないか・・・というのも、英検攻略本で効率よく勉強すれば、検定試験は受かる、でもそれって英語のコミュニケーションを身につけたことになる?というのと同じで、モノを見ないで触らないで、買いもせずに、ただ本で覚えた知識で「アンティーク鑑定ができる」なんて人を作りたくはなかったのです。
 

 しかし、それはやはり傲慢な考えだったのかもしれないと思うようになりました。自然と身につける、なんてことは、よほどの情熱や時間をかけないと難しいのです。ここは日本、西洋ではありません。代々伝わる、おばあちゃんが使っていたチューリーンや、銀のシュガーシフタースプーンや、アンティークドールは、日本の家庭にはないのです。
 

 それに美術史も同じ、ただ絵を見ていても絵がわかるようにはなりません。絵画はそもそも誰もが簡単に理解できるものではありません。そう、美術は教養なのです。ちゃんと絵がわかるようになるためには、専門的な知識(たとえばアトリビュートなど)を学ぶ必要があります。解説書を読んだり評論を読んだり・・・1つの美術展が開催されるたびに、山ほど関連図書が刊行されているのも、そういう書物の助けなしには、理解できないからなのです。
 

 そうは言っても本を出版するというのは並大抵のことではない、今や書店は年々減り続け、本を読む人口も減り続け・・・やがて紙の本は消滅するのでは、とささやかれているご時世。出版助成もなかなか「公共性」がないゆえに応募基準を満たせず、という状態でした。
 

 そんな折、美術書や豪華本の出版で定評のある、パイインターナショナルさんより、イギリスのアンティーク専門家の本を翻訳刊行するにあたって、監修をお願いできないだろうかというご依頼が、当協会を通じてありました。これは神の思し召しか!?と、当協会を挙げて全面協力させていただくことに。
 

 このような経緯でもって関わらせていただいた本書ですが、ものすごい情報量がぎっしり詰まっており、また分野によっては日本語がまだ確立していない語句も多くあり、連日連夜、原書出版社、編集者、翻訳者を交えての研究、議論が続きました。
 

 椅子の脚一つとっても、日本語では「椅子の脚」、しかし原書ではどの部分を指すかによって語彙がいくつもあります。背の部分も同じ。「家具職人はこういう言い方をする」「いや、でも一般的にその言葉は誤解を招く」といったようなことが、多くありました。語彙が少ないということは、そのものの歴史が浅い、ということでもあります。そう、日本に西洋の家具や照明器具が入ってきたのは歴史的にも新しいので、燭台の枝の数によって呼び方が違うなんて文化はなかったのでした。
 

 本書が出版されたことによって、西洋装飾美術の世界を理解する手助けの一つとなれば、こんなに喜ばしいことはありません。
 

 画像だけでも3万点を超す豪華な教本ですので、ぜひ手に取って見てくださいね。
 

 本書は当協会でも販売しています。
 
  
 


アンティーク検定講習2級・後半の部

 この週末は、アンティーク検定講習2級・後半の部が行われました。アンティーク検定講習でも2級は、一発試験で合格する代わりに、4日間24単位すべての講座を出席し、最後にチェックテストが行われます。時間も体力もお金もモチベーションも覚悟も必要な、それなりにハードルの高いものだと思いますが、誰1人脱落することなく、最後までやる気満々な講習生たちでした。
 

 後半初日は、テーブルアートの歴史と宝飾芸術についての講座。よくアンティーク市場のテーブルウェアでも「これは、何に使うもの?」と疑問に思うカトラリーなどがありますが、「XXに使うものです」とただ用途を知るだけでなく、なぜそういうものが登場しているのか、テーブルアートの歴史と背景はどうだったのか等を奥深く学びます。宝飾芸術も同じ、宝飾・ジュエリーというものの役割が変化してくる歴史や背景を知ることによって、なぜこの時代にこういうものが出て来たのか、がわかるようになります。
 
 

 

 午後は移動して、ロイヤルパークホテル・ザ汐留のバーラウンジで、陶磁器の授業。早めに行って席のセッティングをしていたところ、なんとTVスクリーンがあり、男子フィギュアのフリーが放映されているではありませんか!しかも、羽生選手、宇野選手の登場・・・結果はもうご存知の通り、日本勢が金銀を独占!すっかり気分も高揚したところで、高級3大食器と言われるマイセン、セーヴル、ヘレンドの磁器に関する講座を、ちょうど当ホテルでのストロベリーフェアのケーキ&お茶とともに行いました。
 

 その後は目の前のパナソニック汐留ミュージアムに移動して、ヘレンド展を見学し、初日は終了。
 

 2日目は、家具(椅子)の歴史でスタート。画像を見て、これはどの時代のどういう椅子か、を鑑定します。脚の形で推定できるもの、木材の種類で推定できるもの、使用されている材質で推定できるもの、そんな鑑定の材料について、学びます。
 

 外国語の授業では、オークションカタログに記されている用語(英語)は何を意味するのか、一般にはこの英語はこういう意味だけど、美術用語ではこういう意味にしか使わない、そんな業界に特化した英語を学びました。たとえば立体の作品のサイズを表記する場合、幅、高さ、奥行き、これらをどんな順番で表記するか、知っていますか?
 
 
 

 みなさんでイタリアンのランチをはさんで、午後は20世紀の西洋美術史、そしてアール・ヌーヴォーとアール・デコという2つの装飾様式について、輪廻の視点からのお話で紐解いていきます。単にアール・ヌーヴォーは曲線です、アール・デコは直線です、といった様式の特徴を頭に入れるのではなく(そんなことは受講生たちはとっくに学んでいますから)、美術とは、装飾とは、といった深い概念を洞窟絵画の時代から遡って考えるという、哲学のような講座でした。
 

 

 晴れて24単位すべて終了した後は、カクテル&授与式。受講生のみなさま、先生方、本当にお疲れ様でした。

 

 次回のアンティーク検定講習は、2018年9〜10月を予定しています。
 
 


アンティーク検定講習2級・前半の部

 1/27-1/28の2日間にわたって、アンティーク検定講習2級が行われました。2級は、12単位24時間の集中講習が4日間で行われ、すべての講座を出席することで、修了証が授与されます。初回の講習にもかかわらず、福岡や大阪から泊まりで参加の受講生もあり、大変画期のある講習会となりました。
 

 2級の講習会に参加するには、アンティーク検定の3級をすでに取得していることが必須条件です。したがって、全くの入門者ではなく、一通りの基礎知識があることが前提となります。
 

 初日・午前は、まず装飾美術の独特な用語をおさらいしました。3級ではバロックやロココ、ネオクラシックといった大雑把な様式を知って入ればよいのですが、2級では、ブール、ビザール、ロカイユ、カルトゥーシュ、フェストーン、アンピール、エクレクティシズム・・・知らない人なら舌を噛みそうな用語がたくさん出てきます。
 

 そして、「紙モノ」と言われる、版画や写真に関しても、知識を深めます。紙の修復家の講師の解説で、写真と写真製版の違い、ヴィンテージプリントを見るときのチェックポイント、版画の種類や歴史を早足で学びます。
 
 

 

 午後は、ケーキ&お茶と共にガラスと香水瓶に関するレクチャーを行なった後、松濤美術館にて開催中の「ラリックの香水瓶」展を見学。会期の最終日に近づいているだけあって、多くの見学者で賑わっていました。
 

 2日目は、朝から夕方まで、ぶっ通しでの講座です。銀器に関するレクチャーの後は、装飾美術や美術品のマーケットの動向について、現実にアートマーケットで仕事をしている講師より、楽しい業界話や裏話をご披露いただきました。
 
 
 
 みなさんでのランチ時には、赤ワインで気分をほぐしていた受講生も!?
 

 午後は、西洋美術史の通史を初期ルネサンスから19世紀末まで、実に400年分の西洋美術を一気に解説いただき、講師も受講生もヘロヘロになりながらも何とか終えることができました。美術史の流れを知ることは、西洋装飾美術・アンティークを学ぶ上で不可欠ですが、なかなか通史を一度に学ぶ機会はないものです。世に書物はあふれているものの、噛み砕いてわかりやすく解説してくれる人がいるといないとでは、理解度も大違い、そんな世界を4時間たっぷり堪能しました。
 
 
 
 遠方からの参加者を含む受講生のみなさま、講師の先生方、お疲れ様でした。後半は3週間後の週末に行われます。
 
 


第1回アンティーク検定講習・3級

 日本全国でセンター試験が行われていたこの週末、当協会では第1回アンティーク検定講習が行われました。3級は連続2日間、集中して12単位の講習を受け、最後にチェックテストを経て、試験コースと同等の級が取得できるシステムで、2018年よりスタートしました。(従来の試験コースも並行して行っています。)
 

 たった2日間で、アンティーク・西洋装飾美術の全般を網羅するのですから、かなりハードな詰め込みの講習なのですが、参加者のみなさんの集中力とモチベーションはとても高く、次々と飛び出る質問も的を得た興味深いものだらけ、講師陣の方がヘトヘトになるほど、充実した時間でした。
 

 初日は、アンティークの定義とは何?という基本のキからスタートし、西洋美術史の通史をルネサンスから20世紀初頭まで一気に駆け抜け、ランチをはさんで、午後は宝飾美術(モード・ジュエリー)、西洋陶磁、そしてガラスについて学びました。
 

 

 

 2日目は、一時帰国中のフランス国家資格者エベニストによるヨーロピアン家具の歴史や、修復のノウハウ、そして銀器について学び、午後はモノを実際にマーケットで見て知識を身につける、という実践講座で、ちょうど開催されていた「骨董ジャンボリー」最終日へ。何箇所かのブースを解説付きで回った後は、フリータイムで各自お買い物やらディーラーさんとの会話を楽しみ、最後に「アンティーク検定3級」の試験問題をすべてクリアし、無事全員が修了証を手にしました。
 

 

 参加者の中には、すでにアンティーク・ディーラーとして活躍されている方、老舗画廊の2代目、など、とても入門級とは思えないプロとしての知識を持った方までいらして、参加者全員のテンションもとても高かったのですが、これもやはりみなさんが「この世界が、好き」という気持ちから来るものでしょうか。
 

 骨董ジャンンボリーの出展者の方々にもインタビューをしましたが、やはり誰もが口を揃えて言うのは、「好きなものを買って、覚えて、それが一番の勉強」だということ。確かにこの分野は、生活必需品目ではありません、でも、好きな人にはたまらない世界で、ハマる世界なのです・・・よね。
 

 講習参加者のみなさま、2日間の集中講座、お疲れ様でした。
 

 引き続き、2週間後にはアンティーク検定2級の講習が開催されます。
 
 


第6回アンティーク検定を終えて

 6月18日(日)、第6回アンティーク検定が実施されました。
 

 前日には、本検定の監修者による直前対策勉強会が開かれ、参加者の方々は翌日の問題のヒントが隠されているであろう監修者・岡部昌幸先生のお話を真剣に聞く姿が。何名かの方は、遠方から泊まりで上京されていて、その真剣ぶりが伺えます。
 

 今回は、多くの若い大学生も受験していました。
 骨董やアンティークというと、一昔前までは、中高年の趣味・楽しみであり、若い人は新製品のトレンドを追う、というのが定番だったのですが、このところ、少し様相が変わってきている気がします。
 

 アンティーク雑貨店を構える店主の方にお聞きすると、「若い人は、古着や古物をおしゃれだ、と思う人が最近増えてますよ。最近はどこにいってもチェーン店しかない、高級ブランド品は手が届かないし、バブル期のように、それらに対する憧れもない。そんな中で自分らしさを表現できるものの一つが、まさにアンティークなんです」と。そして「最初は感性だけで、わぁかわいい、素敵、と入ってくる。できればそのものの歴史は背景も身につけると、もっと楽しめると思うんですけどね。」
 

 自分が身につけているものの知識を深めていくのは、楽しいものです。たとえばアンティークのガラスボタン、チェコで作られたものがあります。なぜチェコでガラスが?ボヘミア・ガラスって、いつ、どうして作られたのか、ヴェネツィア・ガラスとはどう違うのか、今のヨーロッパのガラス産業は、どういう展開になっているのか・・・そんな背景を知りながら、チェコで作られた可愛いガラスボタンをアクセサリーに応用してみる、なかなか楽しい趣味だと思います。
 

 アンティーク検定は、そんな方々を応援する検定試験です。
 


第5回アンティーク検定・終了

 12/4(日)、上智大学にて第5回アンティーク検定が行われました。前日の直前対策勉強会でも多くの受験者が参加し、翌日の試験に備えて、熱心にノートを取っている姿が垣間見られました。
 

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 西洋アンティークの世界は、知識として固定されているものもあれば、新しい発見もある分野です。これまで見向きもされなかったものが、突然流行りだして、その製法や由来、歴史的背景が語られるもの、なんていうのもあります。たとえば、今は高値のついているウランガラス、もはやウランを用いて製造することは、人体への影響も語られる現代では不可能に近いので、ウランガラスというだけで、状態が悪くてもそれなりのお値段がついています。
 

 アンティーク検定に、時事問題を入れているのは、アンティークとして固定されたものと、現代の美術工芸品事情にはつながりがある、ということを知ってもらいたいからなのですが、当初は「現代アートなんて、興味がない」などと思っていたアンティーク・ファンの方が、そのつながりを知ることで、「なぜいきなりこういうデザインに変わっていったのか、その変遷がわかって面白かった、いきなりではなく理由があったのだ」と新しい発見をしてくれることでしょうか。
 

 回を重ねるごとに、同時代の美術工芸品への興味も同時に湧いてくるようになった、という方が多くなっています。そしてそれらが、いつの日には「アンティーク」となっていくのですから・・・。
 

 受験者のみなさん、お疲れ様でした。
 
 


アンティーク検定2級 おさらい 〜西洋装飾美術工芸史〜

 アンティーク検定3級の「アンティーク入門史」が、2級になるとこんな名前になりますが、同じことです。でも少しだけ、深く突っ込んだ内容にはなります。
 

 こんなところを、調べてみてください。
 

・ガレやドームが活躍したロレーヌ地方、度々用いられたモチーフで、ロレーヌの花があります。この花は「自立の象徴」。さて、なんでしょう?
 

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・アンティークの世界はヨーロッパばかりとは限りません。アール・デコ博が開催されたのはパリですが、その影響は世界中に。アメリカでもアール・デコで有名なビルって、ありますね。
 

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・同じく、アメリカにあるガラスメーカー「スチューベン」は、クリスタルオーナメントでも有名です。
 

・IMARIといえば、日本の磁器のこと。江戸時代の一時期、日本の磁器の輸出は伊万里港を出港したことから、この名前がつきましたが、その磁器の生産地はどこだったのでしょう?
 

・「ウィーン分離派」、誰が、いつ、どこで結成したのでしょう? 代表的な建物、知っていますか?
 
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・イギリスで装飾美術品を鑑賞しようと思ったら必ず行く、世界最大の装飾工芸デザインの美術館。当初は「装飾美術館」というシンプルな名前でしたが、現在は創設者の名前がついています。
 

・ベークライトって、いつごろ生まれたものなのでしょう?
 

・オリンピックの金メダルって、純金ではなく、実は銀に金がコーティングされています。こういう仕立てのことをなんと呼ぶのでしょう?
 

・ヴェネツィアといえば、ガラス。でもヴェネツィア本島ではなく、ある島が有名です。今はお土産屋さんも多いこの島、かつてガラス製方の国外流出を防ぐ目的で、この島にガラス工房が移転されたのです。
 

・「イコン」って、なんだか知っていますか?
 

わからないことがあったら、調べてみましょう。検索機能って、便利ですね!
 
 


アンティーク検定3級 おさらい 〜陶磁器編〜

 いよいよ第5回アンティーク検定まで1ヶ月となりました。でも、慌てることはありません。1ヶ月もあれば、まだまだ十分におさらいする時間があります。
 

 本blogでは、少しずつ、おさらいするポイントを整理していきます。ネタバレご注意!?
 

 知っておくべきこと:
 

・カオリンとはなあに?
 

・ボーン・チャイナとはなあに?
 

・陶器と磁器はどう違う?焼成温度はどちらが高い?
 

・ヨーロッパで最初の磁器に成功した窯は?
 

・オランダでかつて有名だった陶器は?
 

・ノリタケの美術館って、どこにある?
 

noritake
 
 
・ムーミン・マグで有名な陶器メーカーは、どこの国?
 

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・ロイヤルドルトン、ロイヤルウースター、ロイヤルアルバート・・・これらは、どこの国の窯?
 

 基本中の基本ですから、もうわかりますよね?わからなかったら、調べてみましょう。
 
 


アンティーク検定・1級の準備

 アンティーク検定1級は、2級をすでに合格されている方が対象となります。そのため、受験者は限られますが、この1級を合格すると、あとはスペシャリストの認定が待っています!アンティーク・スペシャリストになるには、1級合格後に所定の講座を受講すれば、自動的に認定されますので、実質試験を受けるのは、この1級が最上級ということになります。
 

 英検1級、漢検1級、一級建築士・・・世の中の検定試験で「1級」と名のつくものは、はっきり言ってそう簡単に誰もが受かるものではありません。だからこそ、権威があるのです。時間をかけて努力をすれば、いつかは受かるものもあるでしょうが、世の中それほど甘くはありません。そもそも誰でも受ければ受かる試験であれば、価値も尊厳もありませんから、権威付けの意味でも、世の試験の1級は、難関になっています。
 

 さて、これらの検定試験、最近の合格率を見てみますと、
 

日本英語能力検定 (2014年 第3回) 1級 10.4%
日本漢字能力検定(2015年 第1回) 1級 10.2%
日商簿記 (2016年6月)1級 10.9%
美術検定 (2014年度)1級 15.3%
一級建築士 (2015年)12.4%
 

 と、だいたい1級は10%台です。これは10人受けて1人受かる、という見方もできますし、10回受ければそのうち受かる(?)、という見方も、努力次第ではあるでしょう。
 

 さて、わがアンティーク検定1級の合格率は、と言いますと、まだ実施してから年月が浅いため、他の検定のように統計を算出するのに十分な受験者数を輩出しておらず、一般公表はしていません。現在のところ、1級合格者数は、2名のみです。ある一定水準で合格、としていますが、すべて記述式の試験ですので、基本的には2級の内容のレベルを、自分の言葉で正しく表現できる、というのが合否の判定基準になっています。2級では、たとえばこのような文様は何時代の特徴でしょう、と問われて、四択で答えればよいクイズ形式のようなものですが、1級ですと、それを自分の言葉で、理由と共に説明する必要があります。
 

 1級合格者の方たちは、元々西洋美術・西洋文化史の基礎がしっかり身についており、かつ西洋装飾美術工芸のための特別な知識を得るべく、各種講座などに積極的に参加されて、知識を身につけていった方々と思われます。
 

 それでは、2級を合格した後、どうやって1級に向けての準備をしたらよいのか、について、お話しましょう。
 

西洋美術史:
 過去の問題を見ても分かる通り、問題となる作品は、近年日本にやってきた絵画の名作が出題されています。マスメディアで必ずや話題になった展覧会で、その展覧会の代表的な作品(カタログの表紙であったり、ポスターに使われる作品であったり)ですので、それらの作品が、どのようなものなのか、説明できる必要があります。設問の複数の作品の中から、一作品だけを選んで説明すればよいので、得意な分野の作品について、美術的背景などを表現できるようにしておきましょう。
 

西洋装飾美術工芸史:
 こちらも、語句を選んで説明する問題です。装飾様式、著名な工芸作家、ガラスや陶磁器などの特別な工芸用語などから出題されますが、どれも2級合格者なら、聞いたことのある語句ばかりでしょう。2級受験の際の「要点集」をもう一度開いて、そこに記されている語句を、周辺の知識を交えて説明する練習をしながら、もし足りない知識があれば補うようにしてみましょう。
 

外国語:
 英語であれフランス語であれ、単語が外国語で書かれているだけですから、西洋装飾美術工芸史の出題と基本は変わりません。正しい知識を周辺事情を交えながら、一般の人へ易しく説明できる表現能力が問われます。
 

現代時事アンティーク:
 これは、もしかしたら2級よりも1級の方が易しいかもしれません。2つのテーマのうち、1つを選んで、自分自身の見解を述べる、小論文形式です。現状を正しく理解した上で、個人の見解が述べられているかどうかが判断基準になります。テーマは難しいものではないので、その場で考え始めても十分に対応はできますが、普段からアート業界、古美術業界などに関する自分自身の考えをまとめる練習をしておくと、スムーズに回答できるでしょう。
 

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 第1回アンティーク検定から、すでに2級を合格されている人は何人にも上ります。ぜひ第5回アンティーク検定で、またあらたな1級合格者が輩出されることを祈っています!
 


アンティーク検定・2級の準備

 アンティーク検定3級をすでに合格された方、または、どうせならがんばって2級からトライしてみよう、と思っている方、12月の検定試験まで、3ヶ月もあります!ゆっくりマイペースで準備をしていきましょう。
 

 2級の目標は、「ヨーロッパの人々が一般に知っている装飾工芸美術の流れやスタイルを理解し、主な工芸品について、知る」。さて、ヨーロッパの人々が一般に知っている装飾工芸美術の流れって何でしょう。
 

 われわれは日本人ですから、「これは利休の時代の器ですね」とか、「これは明治初期の工芸品ですよ」なんて言われれば、だいたいどんな時代でどんな様子なのか、詳しくはわからなくても、想像がつきます。でも、ヨーロッパの歴史は常に意識しているわけではありませんから、フランスの新古典様式、と突然言われて、それがいつの時代の、どういう特徴で・・・と、すらすら頭に思い浮かべるのには、ちょっとこの世界に入り込む必要があります。
 

 2級は、いきなり4科目も出てきます。
 

 まずは、西洋美術史。西洋の装飾工芸品を理解するのに、西洋美術史の知識がなくてはお話にならないので、これはがんばって流れを理解しましょう。でも、美術史に関しては、巷にたくさんの書物があります。もちろんピカソだけで1冊書かれた本もありますが、通史のようなものを1冊選んで、それをさらっと通読すれば、80%は正答できる問題を出題しています。しかも時代でいくと、ほとんどが17〜19世紀の問題なので、範囲はそれほど広くありません。
 

 本を読んでも頭に入らないなあ、という方は、たとえば美術検定の2級で、西洋美術史のところを解いてみるのもよい方法です。Q&Aだと、自然と頭に入るという説もありますね。(美術検定で、同級をすでに所持している場合は、免除合格になります。)
 

 西洋装飾美術工芸史。ここは、アンティーク検定の中でも要の部分と言えます。西洋美術史のように、1冊ですべてまとまっている本というのは、日本語書籍では残念ながらあまり見当たらないのが現実です。それで、2級の受験を申し込まれた方には、「要点集」をPDF版でお送りしています。要点や語句が箇条書きになっているものですが、知らない言葉があれば、ネットで検索したり、関連する記事を読んだりしているうちに、頭に入ってきます。
 

 陶磁器、銀器、ガラス、宝飾品、家具などがメインですので、興味のある分野の専門書など、手元においてみると、より理解しやすいでしょう。
 

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 外国語(英語またはフランス語)。これで「もう自分は無理!」と諦めてしまう方も多いのですが、語学の試験では全くありませんので、安心しましょう。アンティークは外国語なんてできなくても、もちろんコレクションできますし、理解もできます。でも、海外に行って、たとえば何か工芸品の展覧会を見て、そこに書かれてる技法などの用語が何を意味するのかわからないと、せっかくの鑑賞も半減してしまいます。出題される問題は、実は日本語でもそのままカタカナだったりして、でもそれってどういう意味?というものも。
 

 過去に出題された問題の一例です。
 

「日本でもリバティプリントなどで知られる、室内装飾を手がけたデザイナー、William Morrisは、どの時代の人でしたか?」
 
A ( )Tudor
B ( )Victorian
C ( )Georgian
D ( )Edwardian
 
 William Morris = ウィリアム・モリス、Tudor = チューダー朝、Victorian = ヴィクトリア朝、Georgian = ジョージア朝、Edwardian = エドワード朝、ですから、語学の試験というよりは、やはり西洋装飾美術工芸史を、ちょっと英単語を使って問いているわけです。
 

 要点集には、辞書のように語句が羅列してありますが、ビビらなくても大丈夫。この全部の意味が正確にわかれば、もう立派なアンティーク鑑定士ですから。
 

 最後に、現代時事アンティーク。
 アンティークが好きなんだから、現代時事なんてどうでもいい?いえいえ、たとえばアンティークの市場というのは、その時代によって変化しています。今はミュージアムピースとされるアール・ヌーヴォーのお高い作品も、ある時期には「粗大ゴミ」扱いされていたって、ご存知でしたか?今の日本で、どんな骨董市が開催されているか、知っていますか?今年、装飾美術工芸の分野で、どんな展覧会がどこで開催されたのか、何か見ていますか?世界的なアートフェアやアンティークフェア、知っていますか?
 

 やはり同時代としてのアンテナを張っているのは大切です。いくら18世紀が大好きでも、いまは21世紀。現代のアート展は興味ないなあ、と言っても、いま私たちが古典とかアンティークと呼んでいるものは、その時代には最先端の現代アートだったわけで・・・。
 

 もっともアートに興味があれば、駅のポスターなどを見て、「へえ、いまXX展がやっているんだ」程度の好奇心は入ってきますよね。そんな程度で大丈夫です。
 

 2級というのは、たとえば英検でいえば、まあ英語でちょっとした会話ができるレベル、簿記なら企業会計を担うレベス、漢字検定では常用漢字がすべて読み書き活用できるレベルです。アンティーク検定2級は、ヨーロッパの装飾工芸品についての有識者、ということになります。アンティークの専門家・鑑定家第一歩となるこの検定、ぜひ挑戦してみてください。