5月のAEAOサロン倶楽部は、KO-MINKA国彩館で!

 AEAOサロン倶楽部、2月〜4月までは、6月の海外研修で見学する訪問地に焦点を当てたテーマにて行いましたが、いよいよ第4回アンティーク検定に向けての勉強会を開催致します。
 

 5月のサロンの会場が、ちょっと面白いスペースですので、ご紹介。
 

 最近「古民家再生」が巷で流行っていますが、その名も『CO-MINKA 国彩館』、東京都文京区にあります。ヨーロッパでいうところの、「中世の街並みにあるような、入りくんだ路地を抜けて」いくと、ポツリと古い建物が。でも不思議と周りと調和していて、近くには小さな教会も。
 

 おそらく昭和初期の建物だったのでしょうか、古民家なのですが、お客様を迎えるスペースだったと思われる応接間の「洋室」があります。天井が高く、メンテナンスは行き届いていますが、当時の雰囲気を上手に再現した内装で、なんだか落ち着きます。
 

 こちらの『CO-MINKA 国彩館』では、アナログ・レコードのコンサートやライブ、ワークショップなど様々な文化的・国際的な交流が行われているようです。
 

 わたくしどものAEAOサロン倶楽部での使用にも、アンティークの世界の普及ということで、相通じるものがあったのでしょうか、心よく応じてくださいました。
 

 アンティークも古民家も、「古いものを捨ててしまわずに、大切に、そして魅力を最大限引き出して活かしていこう」のスタンスですから!!
 

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第3回アンティーク検定・お役立ちブログ2

(前回の続きです。)
 

・これは、何でしょう?
 

 この1本だけですと、はて何だろう?ワインのカラフ?水のボトル?それともふた付の花器?
 
 いろいろな想像が浮かび上がりますね。
 もちろん、今これを手に入れて、どう使おうと、それは自由です。ただ飾っておいても、素敵な置物です。
 

 でも、当時は何の目的で作られたのでしょうか?そろそろ謎解きをしましょう。
 

 19世紀後半のヨーロッパでは、産業革命のおかげで、鉄道網が発達し、人はレジャーで旅行ができるようになりました。それまでは、人は生まれた地から半径何キロまでの間でのみ生活をし、その場所を動く事なく、一生を終えたのです。
 

 旅行するようになると、必要なものは・・・旅行セットです。
 今の日本では、手ぶらでも、ホテルのアメニティが至れり尽くせりですが、今でもヨーロッパでは、高級ホテルでも歯ブラシはないところがほとんど。
 その旅行セットも、ブルジョアのセットですし、まだプラスチックは大量生産されていなかったのですから、こんなに豪華だったりしていました。
 
 
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 さて、このふた付きボトルですが、これは化粧瓶です。
 香水瓶と表記されていることもありますが、香水、化粧水、そういったものを入れていたのでしょう。
 

・これは、どこのメーカーのものでしょう?

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 比較的よく見るものですので、知っている方もいるかもしれません。
 

 知らない場合、こういったものは、どこかにサインが入っていないのかな?と、よく裏返したりしてサインを探しますが・・・これは、入っていません。
 

 答えは、バカラ社の化粧瓶です。
 

 ちょうど昨年(2014年)、バカラ社は創業250周年を迎え、日本でも全国で展覧会が開催されていましたので、記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
 

 サインが入っていないのに、バカラって分かるの?
 

 はい、分かります。
 バカラ社に、このように文献が残っており、1890年代からこのシリーズの生産が始まっていたということが分かっています。
 

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 ちなみに、バカラ社でエッチングのサインが入るのは1936年から。それ以前は、紙のシールによるサインは入っていたのですが、当時の紙のシールが残っていることはほとんどなく、従ってサインなしのものを「オールドバカラ」と呼んでいます。
 

 100年を経たガラスですから、揃っているものはあまりなく、1つ割れ、1つ壊れ・・・今ではバラけて単体で、ヨーロッパの蚤の市やアンティークマーケットでよく見かけます。もちろん揃っていれば、それだけ価値もありますので、お値段も、します。
 

 バラバラになったこういうのを1つ1つ集めていって、また揃えてみる、というのも、現代の醍醐味かもしれませんね。
 
 


パクりとコピペと、名画と工芸品

 東京オリンピックのエンブレムの盗作疑惑に続いて、トートバッグのデザインで著作権法侵害の疑いが持たれている、我が国のデザイナー。アシスタントが実際にトレースしたと白状して、販売を取り下げているものが何点かあり、日夜ネット上で炎上しています。
 

 著作権という概念が生まれたのは、それほど古いことではありません。かつて、芸術家は過去の「他人のもの」を模倣しながら、作品を生み出していたのです。
 

 美術史上で有名なものを挙げてみましょう。
 

 ・ジョルジオーネ作「眠れるヴィーナス」1510〜11
 

Giorgione
 

 ・ティツィアーノ作「ウルビーノのヴィーナス」1538
 

Tizian
 

 ・モネ作「オランピア」1863
 

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 これは、パクリ?それとも、「影響を受けた」に過ぎないのでしょうか?
 

 また、これはどうでしょう。
 

 ・ゴヤ作「プリンシペ、ビオの丘での銃殺」1814
 

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 ・マネ作「皇帝マクシミリアンの処刑」1867
 

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 ・ピカソ「朝鮮の虐殺」1951
 

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 絵画だけではありません。工芸品の世界にも、山ほど例があります。
 

 フランスのシャンティ窯では、柿右衛門そっくりの軟質磁器が作られています。いわゆる「柿右衛門スタイル」と呼ばれるものですね。
 

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 さて、今の時代だったら、これらもすべて「炎上」しているでしょうか!?
 
 


夏は、やはりミステリー!? 〜アンティークにまつわる、ミステリーご紹介〜

 美術品、骨董品を巡るおはなしは、古今東西ミステリーの題材としても打って付けではないでしょうか?
 

 今日は、3冊をご紹介。
 

 その1:「死体あります アンティーク・フェア殺人事件」by リア・ウェイト
 

文集文庫「死体あります アンティーク・フェア殺人事件」

文集文庫「死体あります アンティーク・フェア殺人事件」

 骨董市を舞台に、4人の古美術商が殺され、やはて5人目の殺人が・・・
 

 その2:「アンティーク鑑定士は疑う」by エミール・ジェンキンス
 

RHブックスプラス「アンティーク鑑定士は疑う」

RHブックスプラス「アンティーク鑑定士は疑う」

 鑑定士が盗難品の査定に、博物館へ赴くと、贋物が混じっており・・・
 

 その3:「アンティーク鑑定士は見やぶる」by エミール・ジェンキンス
 

ランダムハウス講談社「アンティーク鑑定士は見やぶる」

ランダムハウス講談社「アンティーク鑑定士は見やぶる」

 ニューヨーク・オークションハウスの裏話もたくさん登場、鑑定方法の解説もバッチリ・・・
 
 ミステリーですから、これ以上は語らないようにしましょう。
  
 是非お試しあれ。


第2回アンティーク検定・対策ブログ=その2=

 前回に引き続き、第2回アンティーク検定の対策blogです。
 
【3級】
 
・アンティークというと、ヨーロッパばかりに目がいきがちですが、アメリカのものもあります。『ファイヤーキング』とか『ベークライト』って、なんだか知っていますか?
 
fireking
 

・日本の骨董で使う言葉と、西洋アンティークで使う言葉、言葉は違っても意味や技法は同じ、ということがあります。『染付』、『切子』って、なんだかわかりますか?
 
【2級】
 
(現在時事アンティーク)
 
・北欧の家具作家の代表的な椅子を憶えておきましょう。ウェグナー、ヤコブセン、フィン・ユールなど、日本でもリプロダクション品はよく見かけますね。
 
・リニューアルされた、国立西洋美術館。ここの所蔵品の由来を知っていますか?
 
(外国語・英語)
 
・Japonisme と Japanning の違い、わかりますか? 
 


美術商のおはなし 〜ハウス・オブ・ヤマナカ〜

 古美術やアンティーク好きの人にとって、大変に面白い本をご紹介しましょう。
 

 『東洋の至宝を世界に売った美術商 ーハウス・オブ・ヤマナカー』
  朽木ゆり子著
 
 

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 19世紀末、ヨーロッパでもアメリカでもジャポニスムが流行り、数多くの日本の美術工芸品が輸出された時代に、山中商会という日本の美術商が活躍し、世界中に顧客をもつまでになりました。ところが今やその名を知るものはほとんどいなくなってしまった、それは何故?という近代美術史最大の謎を解く一冊です。
 
 松方コレクションとのかかわり、ロックフェラー家との手紙でのやりとりなど、美術品市場を学ぶにあたっても、面白いエピソードが満載です。
 
 タイトルを見ると、なんだか日本の逸品を海外に売ったワルモノのようにも見受けられますが、そもそも日本の美術品・工芸品を高く評価したのは欧米人であり、日本美術を海外へ紹介した、という点で、山中商会をはじめ、美術商の果たした意義というのは大きいのです。
 
 美術品、工芸品が、何億、何十億という値段になり、資産となっていく背景には、美術ディーラーとオークション、この2つが近代以降、大きな役割を果たしています。作家や工芸家が自らの作品を、最初から高額で売った訳ではありません。
 
 生産者と最終消費者の間の流通過程をなるべく省くのが、一般の製品流通におけるコスト減につながりますが、美術品・工芸品には、この流通という過程で目利きがいないと、どうにもなりません。それが美術ディーラーであり、また公開オークションという場なのです。
 
 まあ、まずは読んでみてください。


アンティークの動向とアートマーケットのニュース

 アンティーク検定の2級は今月末に行われますが、その中に現代時事アンティークという科目があります。これはなあに?と思われる方が多いのですが、アート(装飾美術工芸品を含む)が市場でどのように取引をされているのか、何が人気があって何が今は底値なのか、そういった事情を知っておくのも、コレクターにとって大切なこと。自分が好きでコレクションしている分野のものが、それほど高くない時代と、高い時代、というのは明らかにあります。
 

 例えば銀器。アンティークを扱うお店では常に存在するアイテムですが、スターリングシルバーと呼ばれる純銀製のお値段は、30年前よりも現在の方が30%ほど相場が下がっています。
 

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 これは恐らくこれまで持っていた人が、もう手入れも大変だし、家族でほしがる人もいないし、多くの人を呼ばなくなったし、といって市場に売り(供給)、一方で購入する方は、こんな12人分のセットは要らない、純銀は重くて大変だし、シルバープレートでも十分(さらには、ステンレス製の方が食洗機にも入れられて便利)、牡蠣は家では食べないから牡蠣のフォークなんて要らない、凝った料理はあまりしないから、肉を切り分けるこんなナイフは要らない、と、ほしがる人は減り(需要)、需要と供給で値段の決まるこの世界のこと、美しくて素晴らしいもので価値があるものでも、値段は変動していきます。
 

 日本でもバブル時代に高値のついた印象派、ガレやドームのガラス器、今はどうなっているのでしょう。
 


 

 と思っていたら、11月5日のNYクリスティーズにてエドゥアール・マネの晩年の作品「春」がオークションに出品され、予想落札価格3500万ドルを遥かに上回る6510万ドルで落札されました。マネの最高価格の更新で、まだまだ印象派は世界的に人気がありますね。
 


アンティーク鑑定士をめぐる映画

 アンティーク鑑定士って普段どのように仕事をしているのか、馴染みのない方にはなかなか想像し難い職業かなと思いきや、このところ立て続けにアンティーク鑑定士が登場する映画が製作されましたね。
 
 今年のお正月映画『鑑定士と顔のない依頼人』を見た方も多いでしょうか。一流の鑑定眼を持つオークショニアで、自らもコレクターである主人公が事件に巻き込まれて行くゴージャスなミステリー、登場人物には美術品修復家、元画家でオークショニアの談合の相棒、顔を見せない資産家令嬢の依頼人、と華麗な世界が繰り広げられるストーリーです。大道具、舞台もゴージャスならペテンも壮大なスケール…見ていない方の為に、これ以上バラすのは止めておきましょう。
 
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 邦画では『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』が話題になりました。
ルーブル美術館で撮影許可が下りたのは、あの『ダヴィンチ・コード』以来だという話。(2015年から無休を目指すこの美術館で映画のロケができる機会も、今後はそうそうないことでしょう。)
 
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 たった一夜でフランス語が話せるようになる等、かなりストーリーに無理はあるものの、鑑定士Qが真贋を見分ける能力を日々培って行くプロセスはなかなか面白いものがありました。
 
 まだ見ていない方、まずはこの2作品、秋の夜長に如何ですか?
 
 


オークションでハンマーを叩くには?

 今週は公式海外研修でパリに来ています。
 

 今年のパリ研修では、多くの講義をオークショニアの国家資格を有する講師にお願いしています。
 

オークショニアを講師に迎えての鑑定講義

オークショニアを講師に迎えての鑑定講義

 
 オークション全体を仕切り、象牙のハンマーを叩くオークショニア、いったいどういう資格でどうやってなれるのでしょう。
フランスではオークショニアの人をcommissaire-priseur (コミサープリザー)と呼びます。数字を吊り上げてハンマーを叩くだけなんて、一見誰でもできそうな仕事に見えますが、実はれっきとした国家資格、この資格を得るのはフランスでは大変難しいのです。
 

 2000年に競売吏の資格に関する改革が行われ、現時点でこの資格を得るには、まず大学で美術史と法律の2学科でLicenceと呼ばれる、大卒資格が最低資格です(更にほとんどの受験者はどちらかでマスターの資格を有しているケースが多いです)。日本の大学と違い、分野が違えば大学1年から単位を取らなくてはならないのですから、この最低の受験資格を満たすだけでも6年はかかります。それゆえ、受験資格は26歳以上となっています。試験科目は美術史4時間、法律4時間で、形式はdissertationと呼ばれる、フランスの伝統的な論文形式。合格率は15%ほどと言われています。そして一生で受験回数は3回までしかできません。
 

 ただし、この試験はあくまでも「オークショニアになるための研修を受ける資格」試験に過ぎず、この「研修を受ける資格」にパスした後、2年間、オークション会社などで研修を受けます(この間は大抵最低賃金で雇われるケースが多い)。2年間の研修期間中、最低半年は裁判によるオークショニアの元で研修しなくてはなりません。無事2年間の研修修了後に、オークショニアとしての国家資格を与えられる最終試験を受け、パスすれば晴れてハンマーを叩く権利が与えられるというわけです。
  
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 現在フランスにはこの国家資格を有する競売吏は約500人、パリには110人ほどおり、女性はその1/10ほどです。
 

 オークショニアの資格がなぜこれほど難しいのか・・・それは、第一にオークションが公式なものであり、第二にオークショニアはオークションに関する責任を負う義務があるからです。カタログに記載されている事実が違うと判明すれば、その責任追及はオークショニアに向けられます。2000年の改革で、この責任期間は10年に縮められましたが、それ以前は30年の責任を負う義務があったのです。
 

 例えば「エミール・ガレ自身のサイン入り」と記載されていたもののサインが偽物だと後に判明した場合、そのオークションが10年以内に行われていれば、ハンマーを叩いたオークショニアが責任を取らなくてはなりません。莫大な美術史の知識が必要であり、ステータスとしては法務省の管轄化にあるため、この資格は非常に難易度の高いものとなっています。
 

 しかしながらオークショニアは法的には「専門」というものがありません。医者で言えば、オークショニアは「一般医」「総合医」であって、「心臓外科医」や「眼科医」ではないのです。従って、彼らは西洋近代絵画も扱えば中国陶磁器も扱う、果てはオセアニア原始美術からアンティーク・ジュエリーまで、といったオークションを行うわけですが、そこで彼らオークショニアと一緒に仕事をするのが、expert(エクスペール)と呼ばれる、鑑定家です。

 
 鑑定家のお話は、また次回。
 


アンティークや美術品におけるホンモノとニセモノとは?(追記)

 前回のブログで、ルーベンス工房で制作された、弟子だけで描いた作品はホンモノか?というような例を出しましたが、今週の『開運!なんでも鑑定団』で、まさに同じようなエピソードが出ていました。
 

 お宝は、フランス・スナイデルス(1579-1657)の油彩画。ブリューゲル(子)の弟子だった画家です。ヴァン=ダイクともお友達だったようで、ヴァン=ダイクが描いた『スナイデルス夫妻』という肖像画によると、結構ヤサ男。
 

ヴァン=ダイク作『スナイデルス夫妻』

ヴァン=ダイク作『スナイデルス夫妻』

 

 さて、このスナイデルスの油彩画を持っていた依頼人、本人評価額の1000万円に対して、鑑定士の評価は1500万円、但し、この作品はスナイデルスの作品ではなく、スナイデルスが主宰している工房で制作された作品、ということでした。
 

 この時期は絵画制作は工房で複数の弟子たちの元で行われており、ルーベンス工房、レンブラント工房、ヴァン=ダイク工房、など、アトリエ作というのが普通でした。そもそも1人の画家が構想、デッサン、作画とすべて手がけていたのではない時代において、こういう作品はニセモノとは言いませんが、でもスナイデルスのホンモノの作品かというと・・・。
 

スナイデルス『野猪狩り』

スナイデルス『野猪狩り』


 

 こういう工房作品の画家の場合、大きく3つに分けられます。
 
1 画家自らが絵筆を握って描いた作品
2 画家本人がその一部(主に人物の顔と手の部分)を自ら描いた作品
3 画家がスーパーバイザーとして、作品を弟子達に描かせた作品
 
 もちろんこの順番でお値段も下がります。
 
 今回の依頼者のお宝は、3ということで、1500万円。これが1だったら、いくらの値がつくのでしょうね。