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アンティーク検定講習・2級 <後半の部>

夏が続いていた11月初旬から急激に冬がやってきた11/11-12の週末、アンティーク検定講習・2級の後半の部が開催されました。3日目となる日は、1日目と同じく東京芸術劇場にての座学です。

午前中はジュエリーの歴史と、実際のジュエリーの鑑定の仕方について。当協会スペシャリストでもあり、G.I.A.G.G.の目黒佐枝先生よるジュエリー史、今回は先日先生が訪問されていたドイツでの肖像画や書籍もご紹介いただきながら、古代のインタリオやスカラベからアール・デコのジュエリーにいたるまでの歴史を俯瞰いただきました。そして2コマ目は実際の鑑定、ダイヤの原石を見たり、カットの違い、屈折、アンティークジュエリーの金の刻印、これらを「目黒流チェックポイント」としてまとめていただき、普段なかなか見ることのできないダイヤモンドのトライゴンなども見せていただきました。

ルーペを使う姿勢についても目黒先生の厳しいご指導あり、「片目を瞑らない!脇をきちんと締めて!ルーペの使い方一つで一流の業者はあなたが素人かプロフェッショナルかすぐに見抜きます。素人だとわかれば、できるかもしれない値段の交渉もできませんよ」と、これまたすでにプロのアンティーク・ディーラーとしてお仕事されている受講者さんもタジタジ。

かっこいい目黒先生の鑑定スタイル。

お昼は、「ワインとスパイス」のお店でカレーをいただきました。ナン組もビリヤニ組も量が多く、食べても食べても終わらないループでしたが、お腹を満たしたところで午後の授業へ。

3コマ目は中山久美子先生によるモード史の授業。モード史はいきなり単体で入ると分かりにくいのですが、すでに終えている西洋美術史、そしてジュエリー史とともに横から入ればちゃんと繋がるのですね。そして4コマ目の複製芸術の授業。複製芸術である写真や版画は装飾美術に入ります。版画と一言で言ってもリトグラフ、ポショワール、色々な種類があります。これらを理解した上で、3コマ目のモードと4コマ目の複製芸術を併せ持ったファッションプレートを何枚かお持ちいただき、みなさんで鑑定してみました。

最後の5コマ目は銀器の鑑定。すでにシルバーを扱うプロの方々もいらっしゃる中、銀器刻印を詳細に知ることのできる書籍やサイトを紹介いただき、現物をいくつか鑑定。今回の鑑定品プレゼントはフランスのシルバープレートのカトラリーセットでしたが、この数字は何を意味するのか、このマークは実はどこのマークが何年に買収したものなのか、なぜナイフだけは柄と歯の部分で素材が違うのか、そんなお話でした。

2日目の最終日、東京は一段と気温が下がり、霧雨がパラついています。

午前中は zoomによるアール・ヌーヴォー&アール・デコの特徴や歴史、再評価されたきっかけを一通り学び、午後の見学は東京都・庭園美術館を訪れました。監修者の岡部昌幸先生による解説で、まずはこの白金という土地の歴史から朝香宮邸が現在の東京都の美術館へ生まれ変わっていく変遷について、庭や茶室、高台などを散策しながら語っていただき、現在開催中の「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」展を解説つきで鑑賞。

いよいよ研修の最後はTEIEN CAFEにて、ディプロマ授与。受講者全員が2級の修了認定証ディプロマを授与しました。この後1級に挑戦される方もそうでない方も、ずっと勉強を続けていきたい、というモチベーション高い方々ばかり。

今回ご受講いただいたみなさまの中にははるばる遠方から宿泊を伴ってのご参加者もあり、この世界への探究心や意欲を感じることのできる、本当によい仲間たちでの講習会でした。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。


アカデメイア ジュエリーシリーズ「フランス初代大統領夫人のシャトレーヌウォッチ、ブレゲの時計」

いよいよ「宝飾品 ~肖像画の中にみるジュエリー~」講座最終回となりました。時代ごとに肖像画を鑑賞しながら、その肖像画に描かれているジュエリーについて深めていく講座、G.I.A.G.G.の資格を持つ目黒先生ならではの、宝石そのものの理解にもフォーカスしています。

ただし今回の宝石は「鉱物」「石」ではありません。シャトレーヌウォッチです。シャトレーヌって?

聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。シャトレーヌという言葉が初めて登場したのは1828年のイギリスのファッション雑誌の掲載によるものですが、この言葉の意味するジュエリーは18世紀からありました。

V&A 所蔵 シャトレーヌ 1850年ごろ

シャトー(城)が起源のシャトレーヌ(女城主)に由来し、鍵をはじめとしてアクセサリーを吊るす形態なのですが、これもさらに深掘りしていくと、古代ギリシア・ローマ時代の衣服に腰紐の飾りという文化があり、ルーツはそこまで遡れるのではないか、というのが目黒先生の発見。本当に歴史って面白いですね。何かが創作される際、ゼロから生まれるものはほとんどなく、必ず潜在的に過去の文化の影響を受けている、と考えると、アンティークの存在は現代の創作にも結びついていくわけです。

今回の「シャトレーヌウォッチ」とは、シャトレーヌにぶら下げた時計で、時計もジュエリーの一種なのですね。(ちなみに置き時計、掛け時計は装飾美術の分野としては家具の扱いになります。)ジュエリーを制作するジュエラーにとって、このシャトレーヌは腕の見せ所でもあったようで、従来の金銀細工師としてのプライドを満足させるアイテムだったようです。

今回の肖像画はエリーズ・ティエール。この名前を聞いて「ああ、あの人」とわかる人はほとんどいないでしょう。フランス第三共和政の初代大統領夫人です。そもそも初代大統領ですら歴史上の有名人とは言い難いのですが…。

この何気に地味な大統領夫人ですが、夫(つまり初代大統領)は研究者でもあり、その夫の功績が現在パリ9区Saint-Georges広場に19世紀フランス歴史専門の図書館(「ドヌズ・ティエール財団」)として現在も残っています。そしてこの図書館の建物こそが、大統領夫人エリーズ・ティエールの結婚時の持参金だったという、フランスの典型的な「持参金付妻と裸一貫の夫の玉の輿婚」だったようですね。そして妻による経済支援を得ているにもかかわらず、これまたよくありがちな、夫の方は婚外女性関係をあちこちで築いていくのですが、政治の妨げにはならなかったのでしょうか。フランスならではのエピソードがこの人にも!

さて、大統領夫人エリーズ・ティエールはお金持ちだったので(その割に普段の生活は「ケチ」だったというエピソードも)、ジュエリーも熱心にコレクションし、特に天然真珠は一粒ずつ集めていたよう。スペイン女王イザベラ2世から送られたとされるパールのネックレスは、1924年のオークションでも話題になりました。

ちなみに夫人の死後、多くのジュエリーが夫人の妹によってルーヴル美術館へ寄贈されています。現在ルーヴルの収蔵品目録よると1257点あり、ジュエリー以外にも陶磁器や東洋の工芸品なども含まれているようです。

そして夫人が所有していたシャトレーヌ・ウォッチ、現在はショーメの所蔵品となっていますが、ここからブレゲの時計の話、ブレゲといえばマリー・アントワネットが注文主であった幻のN.160の話、ジュエリーメゾンのショーメがブレゲの復活を手がけたという話、とどんどん深い話になっていきます。

見逃した方、オンデマンドでぜひお楽しみください。

またアーカイブ講座としても第1回よりご視聴いただけますので、これを機にジュエリーについて学びたい方も後追い大歓迎です。

さて、一旦ジュエリー講座は今回これで終了となります。目黒佐枝先生、5ヶ月に渡っての充実した講座を本当に有難うございました。


アンティークとコレクターの世界を巡る旅へ!【オンラインLIVE説明会】

5月に予定されている海外研修旅行「アンティークとコレクターの世界を巡る旅へ!」のオンラインLIVE説明会をYouTubeのLIVE配信にて行いました。

「アンティーク」ってそもそも何ですか、という超ド入門級のご質問から、実際に研修で訪れる予定の施設のご説明、「コレクターの館」に関するお話、そして今回のツアーならではの特色など、内容面・ロジスティック面でさまざまなお話をさせていただき、その魅力を必死にお伝えしようとしたところ、予定時間を10分ほど延長してしまいました。

ご参加いただいたみなさま、夜のお疲れの中、ご拝聴いただき、本当に有難うござました。