サヴィニャックを見尽くす会 〜AEAOサロン倶楽部・4月の会〜

 レイモン・サヴィニャックというポスター画家を知っていますか?
 

 ミュシャ、ロートレックなどのアール・ヌーヴォーのポスター画家、またアール・デコ時代のカッサンドルなどに比べて知名度は低いかもしれませんが、「あぁ、牛乳石鹸のあのポスター!」「ペリエの、あれね!」とフランス人なら誰もが知っている、ユーモア満載のポスター画家、その展覧会「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」が練馬区立美術館にて開催しています。
 

 AEAOサロン倶楽部・4月の会は、サヴィニャックLOVEの中山久美子先生のプレ・レクチャーと、本展の見学会で行われました。
 

 レクチャー会場は、近隣カフェでお茶&タルトをいただきながら。サヴィニャックとは、どんな作家だったのか、彼がポスターに秘める思いとはなんだったのか、どんなメッセージをどんな方法で描いているのか、そんなお話を、図録を見ながら解説していただきます。
 
 

 

 

 サヴィニャックがアシスタントを務め、崇拝していたカッサンドルが最後には自殺してしまうのと対照的に、94歳まで生きたサヴィニャックの作品は、パリという20世紀の都会のウィット、ユーモアをふんだんに表しており、どれも愛らしいモチーフ、そこには強い政治的プロパガンダやイロニーといったものは見られません。実家が大衆食堂を営んでいた家庭であり、芸術家目線ではなく、一般人目線でものごとを捉えていたがゆえに、街中の広告というものの意図や効果をより理解していたとも言えるのでしょう。
 

 美術館会場は土曜日とあって、また会期の終わりに近づいていることもあり、多くの人で賑わっていました。なんと200点を越す作品数で、同館のほぼ全会場が本サヴィニャック展に当てられていました。
 
 

 現在のポスターデザイナーは、みなさんデジタル制作でしょうが、本展ではポスターの原画が数多く出品されています。グワッシュなどで描かれた原画は、それだけでファイン・アートと言える作品のレベルです。
 

 

 本展は練馬区立美術館での展覧会は4/15までですが、その後宇都宮美術館、三重県立美術館、兵庫県立美術館、広島県立美術館を巡回いたします。
 
 


パリジェンヌってなんだ!?

 3月のAEAOサロン倶楽部は、ちょうど世田谷美術館で開催中の展覧会「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」に合わせ、ファッションにおけるロココから20世紀初頭までのパリの世界での立ち位置、パリジェンヌの装飾品について学びました。
 

 当サロンはワンスポット形式で行なっており、基礎知識も特に必要なく、誰でもいつでも参加できる開かれたサロンなのですが、今日は1つ、参加者のみなさんへ課せられたデューティがありました。それは、「自分にとってパリジェンヌ(パリジャン)をイメージするものを、何か1つ身につけてくること」。何も新調する必要はなく、お化粧でもファッションでもベレー帽1つ、スカーフ1枚でも何でもよいので、ちょっとパリジェンヌ(パリジャン)を再現してみましょう、という企画です。
 

 この課題に「三日三晩悩みました」という方、「自分が思い描いたパリジェンヌのあの服を着ようとしたら、太ってしまって入りませんでした」などのコメントと共に、まずはお一人ずつ自己流パリジェンヌ(パリジャン)を披露しながらのスタート。普段のサロンでは、会場内に余計な音楽などが流れていたら音を消してもらうのですが、今回は、昨年亡くなったフランス映画界のミューズ、ジャンヌ・モローのシャンソンをBGMに。
 

 
 そして、中山久美子先生(共立女子大講師、当協会認定アンティーク・スペシャリスト)による「パリジェンヌ展」の講義を、展覧会の章立てに沿って、フランスの政治や社会、風俗の歴史とともに、ルイ14世時代からジャズ・エイジまでを一気に徹底解説していただきました。
 

 
 18世紀の頃のお話は、宮廷文化ゆえ自分たちに遠い存在であるパリジェンヌ感も、19世紀後半労働者の女性や娼婦までもがパリジェンヌになり得る時代になると、社会風俗も身近に感じられて、質問も積極的に飛び出し、活気あるサロンとなりました。
 

 今回のサロンは、参加者のご好意によりご自宅のあるマンションの共有施設を利用させていただいたのですが、終了後はみなさんで高層マンションの屋上に出て、パリではなく東京の初春の空気を吸って、楽しく終えました。
 

 さて、来週からは本物のパリジャン・パリジェンヌたちの中での海外研修が始まります。
 
 


シシィに愛された窯・ヘレンド

 AEAOサロン倶楽部・2月の会は、ちょうどパナソニック汐留ミュージアムで開催中のヘレンド展に合わせ、ヘレンドを取り上げました。会場は、12月のサロン(「華やかなりし、セーヴル磁器」)でお世話になった、銀座ミタスカフェの個室。ここのケーキはボリュームたっぷりで美味しい上、個室も素敵なアンティーク調度品で囲まれた空間なのですが、キャパに対して申込者が殺到し、2回ならぬ、まさかの3回開催となりました!ご参加いただいたみなさま、有難うございます。
 
 
 

 複製、コピー、パクり、真似・・・あまりよい言葉とはされていませんが、ヘレンドという窯がマイセンやセーヴルと肩を並べるほどの高級磁器の地位を築き上げたのは、まさにヘレンドが、古磁器を完璧に模倣することができたからなのです。マイセンのディナーセットの補充を請け負って、マイセンそっくりの品を作ることができた、この精緻な技術がヘレンドの発展に大きく寄与したのです。
 

 なんだ、マイセンのコピーか・・・と思うなかれ、そもそも陶磁器だけでなく、西洋の美術は模倣を手本としてきました。古くはルネサンス、古代ギリシア・ローマの美術を模倣して復活させることでした。陶磁器先進国であった中国からの青花を手本に、デルフトはブルー&ホワイトを生み出し、有田の柿右衛門はマイセン、シャンティイ、多くの窯にそのモチーフが転用されました。
 

 もちろん真似だけで大きく成長したわけではありません。ヴィクトリア女王に愛された「ヴィクトリア」シリーズ(注文されたからこそ、この名前がついたわけですが)、ウージェニー皇后に愛された「インドの華」、そしてエリザベート皇后に愛された「ゲデレ」など、時のファッション・リーダーたちから次々と愛されていったヘレンドの製品、実物を見れば、その理由もおわかりですよね。
 

 「何かヘレンドをお持ちの方はお持ちください、みなさんで一緒に鑑賞しましょう」と呼びかけたところ、1回目は講師だけが持参したのですが、2回目は何名かの方がそれぞれのキャビネットケースからお持ちくださり、さらに3回目は、もうクロスに乗り切らないほどみなさんあれこれお持ちいただきました。やはりコレクターも多いですね。
 


 

 先日開かれていたテーブルウェア・フェスティヴァルでもヘレンドのテーブルコーディネートのブースがあり、新作「ヴァイオレット」が展示されていました。皇妃エリザベートが愛したすみれの花のモチーフで、とても上品なシリーズです。4月より、販売開始となるそうです。
 


 
 


ラリックの香水瓶の世界へようこそ!

 AEAOサロン倶楽部・1月の会は、ラリックの香水瓶をテーマに集まりました。ちょうど松濤美術館で開催されている「ルネ・ラリックの香水瓶ーアール・デコ、香りと装いの美ー」展の見学も兼ねて、ラリックの香水瓶の世界を深く知ろう!という主旨です。

 
 
 見学前のミニ・レクチャー会場は、カフェ・タカギクラヴィア。お隣にはコンサート・ホール「松濤サロン」があり、スタインウェイのピアノのある素敵なカフェです。こちらで、特製サンドイッチ(美味しい!)とコーヒーをいただきながら、フランスと香水の切っても切れない関係、香水の歴史、香水瓶のデザインの変遷、などを学びます。
 
 

 

 そして、松濤美術館へ。この日は同美術館学芸員の方が、私たちのサロン参加者のために、特別に作品解説をしてくださるというVIP待遇を受けました。やはり事前に章ごとの解説を頭にインプットしておくと、時代やテーマが頭に入りやすいですね。
 


 
 ミニ・レクチャーで少しお話しましたが、日本のマーケットではフレグランスの化粧品業界全体に占める割合がダントツに低く、むしろ「香水公害」という言葉もあるほどで、香水があまりウェルカムな社会ではありません。一方、ルネ・ラリックを生んだフランスはといえば、歴史的にも18世紀にはほぼ全員がなんらかの香水をつけていたと言われる香水大国です。
 

 その香水ですが、かつてはお客さんはお店で調合してもらって量り売りで買い、自宅で自前の容器に入れ替えていました。その習慣を20世紀初頭に塗り替えたのが、まさにルネ・ラリックの香水瓶だったのです。
 

 アール・ヌーヴォー期にジュエリー・デザイナーとしてすでに大成功を収めていたルネ・ラリック、外見のデザインの工夫で、如何に中身(コンテンツ)が素晴らしいものであるのかを表すことを知っている、元ジュエリー・デザイナーの知恵だったと言えるのでしょう。彼の香水瓶は、量産品であるにも関わらず、ただの容器の域を超えて、やがて美術工芸品としての価値にまで高められていきます。
 

 本展覧会は、1/28(日)まで開催されています。お見逃しなく!
 
  
 


小平新文化住宅へお邪魔しました

 本年も残すところあと1週間となりましたね。本協会も1年を振り返りますと、多くのみなさまに支えられながら数々の活動をしてきました。2回の海外研修、第6回アンティーク検定試験、そして毎月1回行われているAEAOサロン倶楽部、それぞれ多くの方達にご協力・ご参加いただきました。
 
 AEAOサロン倶楽部・8月の会でゲスト講師を務められた、淺井カヨ先生のご自宅が東京都小平市にあり、この度お邪魔させていただきました。最近ではマスコミへのご出演も多い先生ですので、ご存知の方も多いでしょうか。日本モダンガール協會の代表であり、古きよきものを愛するライフ・スタイルを実践していらっしゃいます。音楽史研究家のご主人・郡修彦さんとお二人で設計を行ったそのご自宅にて、「蓄音器鑑賞会&建物紹介」が随時開催されています。
 

 文化住宅というのは、日本で1920年代から30年代にかけて流行した和洋折衷様式の住宅で、この小平新文化住宅は、見事に当時の様式を再現した建物です。
 
 1920年〜30年代といえばヨーロッパはアール・デコの時代、当時の宮様であった朝香宮様は、パリにしばらく生活し、パリで出会ったアール・デコ・スタイルをそのまま日本で再現し、朝香宮邸(現東京都庭園美術館)を造りましたが、日本の一般の中流階級では、文化住宅と呼ばれる、三角屋根のある応接間を備えた住宅を建てていたようです。玄関を入ってすぐに応接間と呼ばれる洋室があるのが特徴、その応接間にて、ゼンマイ式蓄音機による音楽鑑賞会が催されました。
 

 蓄音機で聴く音楽鑑賞会、いまではとても貴重な時間です。昭和初期の音楽、当時の宝塚の少女たちの歌声・・・しばし時が止まります。
 

 

 そして、待望の建物紹介。どこもかしこも細部にわたっての、お二人の古き良きものを愛するこだわりが垣間見られる空間、アルミサッシではない木枠の窓枠は触ってもひんやりせず、エアコンなんてなくても火鉢のぬくもりで十分に暖かいお部屋です。
 


 

 とてもシンプルで機能的なお台所。
 


 

 これが噂の「氷冷蔵庫」です。電気を使わなくても物は冷やせていたのですね。
 


 

 2階の書斎も、アンティークなアイテムが和洋たくさん。
 


 

 そしてなんと、クリスマス・ケーキというサプライズが待っていたのでした。クリスマス、やはり大正から昭和の方たちも、楽しんでいたようですよ!
 


 
 AEAOサロン倶楽部、2018年もまた淺井カヨ先生との楽しい会を企画したいと思っています。前回ご都合のつかなかったみなさまも、乞うご期待くださいね。
 

 
 


華やかなりし、セーヴル磁器

 今日は今年最後のAEAOサロン倶楽部。師走の土曜日といえば、みなさんお忙しいでしょう、と思いきや、本サロンは早い段階で満席となり、キャンセル待ちが出てしまいました。それで急遽二部制とし、午前の回・午後の回と2回に分けて行うことに。
 

 セーヴルというのは、食器のオートクチュールのようなもの、さすがにそうそう出回っているものではありません。今回、ちょうどサントリー美術館にて開催されている「六本木開館10周年記念・フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」展を機会に、セーヴル磁器をちゃんと学んでみましょう、ということで、AEAOサロンでは初のテーマとしてセーヴルを取り上げてみました。
 
 

 主催者の色が思いっきり入り込んだ、身勝手な解釈を押し付けてしまったかもしれませんが、セーヴルの魅力はなんといっても18世紀の、軟質磁器時代にあると思っています。18世紀の装飾品・工芸品はエレガンスの頂点を極め、19世紀以降のコレクターの中にも、多くの18世紀贔屓な人たちがいて、お金持ちはこぞって18世紀の美術工芸品を買い集めていました。やはり社会の格差が大きく、富が集中していたからこそ華開いたエレガンスなのかもしれません。
 

 展覧会は、「マリー・アントワネットから草間彌生まで」と、18世紀から現代までを俯瞰する構成になっていますが、本展覧会の醍醐味はなんといっても18世紀の作品ではないか、ということで、ほぼ18世紀にフォーカスしたお話となりました。
 
 
 
 18世紀の貴族の生活、18世紀のテーブルアートの歴史などを知っていないとなかなか入り込めないアイテムもあります。そんなお話をしながら、また軟質磁器時代でしか作れない色、金彩の盛りについて、硬質磁器と軟質磁器が並行していた時代の絵付け顔料の違い、セーヴルが独自に開発した、ビスキュイと呼ばれる無釉白磁がセーヴルの花形商品であった経緯、リトロン、トランブルーズ、硬質磁器と軟質磁器はどうやって見分けられるのか、刻印はどう違う・・・と、18世紀だけでもどんどん話が尽きず、あっという間に時間は過ぎ去ってしまいます。
 

 会場は、銀座の、とあるカフェの個室、このお部屋はアンティーク調度品でセンスよく飾られた空間、本サロンにぴったりの雰囲気を醸し出しています。軽食の野菜のシフォンケーキやフレンチトーストもボリューム満点で、今回もとても楽しく充実したサロンでした。
 

 次回、来年早々のサロンは「ラリックの香水瓶」を取り上げます。
 (現在「満席」と表示しておりますが、会場のカフェは貸切にしましたので、お問い合わせください。)
 
 


ウィンザーチェア、シンプルな機能美に満ちた、この愛らしい椅子

 AEAOサロン倶楽部10月の会は、秋晴れで日差しの眩しいお天気の中、開催されました。
 

 今回は日本民藝館で開催中のウィンザーチェア展の見学を含め、ウィンザーチェアについて学びましょう、というテーマ。通常まずは見学前の勉強会を行うのですが、ミュージアムカフェを含め、適当なカフェが近場にありません。パンがなければケーキを・・・ではないですが、カフェがなければレストランで、というわけで、東大キャンパス内にある、フレンチレストランでランチをいただきながらの勉強会という、ちょっとゴージャスなサロンになりました。
 

 守衛さんの厳しいチェックのある大学もありますが、われらが(!?)東京大学駒場キャンパスは、公開試験会場などにもなっているせいか、フリー。もっともこの広大な敷地内に、学食ではなく一般のレストランがあるのですから、まあ当然ですね。
 

 11時の開店と同時にレストランへ入り、ランチをいただきながらのミニ・レクチャー。ウィンザーチェアの由来は?いつからある、どんな椅子?イギリスとアメリカでウィンザーチェアは違うの?なぜ日本でこんなに有名なの?ウィンザーチェアの影響を受けた家具デザイナーって?といったことを学びます。
 

 ランチお勉強会の後は、東大キャンパス内をお散歩しながら、日本民藝館へ。この辺りは高級住宅街でもあるので、みんなで「あの家、素敵〜!」「停まっている車、何気にすべて外車ですねえ」なんて街を散策しながら、到着。趣のある、立派な建物が青空に映えています。民藝運動の中心人物であった柳宗悦が初代館長を務めた、歴史ある博物館です。
 

 

 靴を脱いでスリッパに履き替え、目指す大展示室「ウィンザーチェア ー日本人が愛した英国の椅子」にて、現物のウィンザーチェアを鑑賞、これだけのさまざまな種類のウィンザーチェアが一堂に会すと、圧巻です。コムバック・チェア、ボウバック・チェア、ロウバック・チェア・・・。
 

 イギリスの古陶スリップウェアなどの展示も愉しみ、西洋アンティークの世界は、決して王朝文化だけからのものではない、ということを再認識できた、よい展覧会でした。
 

 

 日本民藝館でのウィンザーチェア展は、11月23日まで開催されています。
 

 
 
 


ブティを知っていますか?

 「ブティ」という言葉、聞いたことのある人はどれだけいるでしょうか。フランス語ですが、実はフランス人でも、知らない人が結構います。知っている人でも、なんとなくイメージは頭に浮かぶのですが、じゃあピケとの違いは?なんて聞かれると、しどろもどろに。
 

 AEAOサロン倶楽部9月の会では、布の彫刻とも呼ばれるブティに焦点を当て、ブティついての歴史を学び、実際のブティの作品に手を触れ、そしてまた一方で、現行品のブティはどうやって作られていてどんなものが商品化されているのか、そんなことをみなさんで学びました。
 

 第1部は、ブティに関する歴史の講義。ゲスト講師は、アンティーク・スペシャリストでもあり、日本ヴォーグ社出版部長の小山ひろ子先生による、テンポの良い解説、ご自身が自ら取材に行かれたカルヴィソンのメドン・ド・ブティの写真などもプロジェクターで見せていただきました。小山先生は、日本ヴォーグ社より出版されているブティの本の編集担当をも務めた、この世界の大ベテランです。
 
 
 

 ブティ、ピキュール・ド・マルセイユ、ヴェルミキュレ、ピケ・ド・マルセイユ(マトラッセ)、と舌をかみそうなカタカナがたくさん出てきますが、みなさん興味がある方々ばかりだけあって、知識のある方もたくさん。いろんな質問も出て、活発な講義でした。
 

 場所を1ブロック移動しての第2部は、フランス雑貨&アンティーク・ブロカントショップ、M’amour (マムール)にて、ブティの現行品を実際に見て、アンティーク・テーブルウェアとのコーディネートのノウハウなどを、ショップ・オーナーの名津井麻真さんより、学びました。名津井さんは長年フランスのインテリア業界で輸入のお仕事に携わっていて、現地の業者さんとの親交も大変深いオーナーです。
 
 
 
 どうしてブティを日本に仕入れることになったのか、どんな業者さんとおつきあいがあるのか、そんな裏話をもいろいろと語ってくださる名津井さん。
 

 ブティを実際に作ったことのある人なら誰でもわかるのですが、1日でどれだけの量が出来上がるのか・・・それはそれは気の遠くなる針仕事、現代ではそんなハンドメードのものを商品化したら、とてつもない価格に跳ね上がってしまいます。さすがに現行品では、機械による製作なのですが、中には型が機械で作られていて、ガッシャン、と型押しするようなものも存在する中、マムールさんでお取引している商品は、ミシン縫いだけれども、1点1点人の手で作っている商品。それゆえ、同じ品番のものでも、1つ1つサイズや形が微妙に違うのだそうです。日本はとにかく検品がうるさい国ですが、そもそも人の手が加わっていれば、微妙に異なるのは当たり前のことですね。
 

 ベッドカバーのブティなどはあまり使う人も多くないのか、やはり売れ筋は小さなテーブルマットのようなサイズのもの。そのテーブルマットも、ヨーロッパではディナープレートにカトラリーにグラスが収まるサイズゆえに、日本のテーブルでそれを全員が使用すると、大きすぎる!ということにも。そんな場合は、そのマットをテーブルセンター代わりにしたり、クローゼットの上に敷いたり、フラワーベース敷きにしたり・・・はたまた、この分厚さがちょうどいいわ、と車の座席用クッションにしてしまう方など、使い方は様々なんだそうです。
 

 3連休初日、もう台風が上陸!という日でしたが、幸い午前中はまだ影響もなく、雨もほとんど降っておらず、なんとか無事終えることができました。
 

 小山先生が講義の最後に仰られたこと、「要は、どこの国でも女性は針仕事をして暮らしていたんですね」ではないですが、今回のAEAOサロン倶楽部の参加者は、全員が女性!華やかな、楽しい会でした。
 
 


大正ロマンとモダンガール

 西洋アンティークは好きなんだけど、和骨董はよくわからない、という人、あるいはその逆で、「洋物はカタカナよく覚えられないんだよね」という骨董大好きコレクター、いろいろな方がいらっしゃいます。でも、ヨーロッパと日本の文化は互いに影響しあい、時には融合されたオリジナルな文化が生まれました。シノワズリーやジャポニスムが西洋で起こったように、日本にも西洋文化が独特の形で入り込んできた時期がありました。
 

 それが、「大正ロマン」とか「大正モダン」と呼ばれていた時期で、必ずしも大正15年間に限ったわけではなく、広く明治末期から昭和初期にかけての、いわゆるハイカラな時代を総称しています。さしずめ日本版ベル・エポックでしょうか。
 

 この時代は、社会的に安定していたわけでも問題がなかったわけでもないのですが(第一次世界大戦、米騒動、関東大震災・・・)、それでも自由を謳歌する文化が花開き、西洋文化の影響を受け、モダンガール(モガ)と呼ばれる人たちが登場しました。
 

 8月のAEAOサロン倶楽部は、まさにそのモダンガールを平成の現在でも実践していらっしゃる、日本モダンガール協會代表の、淺井カヨ先生をゲスト講師にお招きし、『大正ロマンの西洋アンティーク』と題し、前月同様古民家カフェ・藤香想にて行われました。
 
 
 
 
 淺井先生は、お召し物からすでに大正ロマン、お化粧や髪型も当時のモガを彷彿させるのですが、それ以外にもたくさんのお品をお持ちいただきました。今から80年ほど前の、蚊取り線香やうちわ、多分日本にこれ1枚しかないのではないかと思われる水着、化粧袋、手動マッサージ機・・・サロン参加者のみなさんは、普段それなりにアンティークを愛でて、生活に取り入れているにもかかわらず、淺井先生のこれらの品にはどれもこれも「おぉぉ!」と狂喜乱舞!
 
 
 
 

 そして、昨年完成したという、小平に建てられた文化住宅についてのお話も、写真を用いてレクチャーしていただきました。電気冷蔵庫ではなく氷冷蔵庫を使用、携帯電話はお持ちでなく黒電話、テレビの代わりに蓄音機で音楽を聴く生活、冬は火鉢で暖を取ります。アルミサッシやプラスチックを使用しないで木枠で作られた窓や、タイルを使ったお風呂、竹で作られた物干し竿・・・これはもう興味津々です。
 
 
 
 

 ティータイムの懇親会では、もういろいろな質問が出るわ出るわ、わたしたちは100年前の日本のことを、こんなにも知らなかったのだ、とあらためて思いました。
 

 本日は、大正百五年八月二十六日、本当に楽しい会でした。
 
 


たくさんのバルボティーヌに囲まれて in 藤香想

 AEAOサロン倶楽部・7月の会は、「バルボティーヌ陶器を知る!」というテーマにて行いました。
 

 会場は、本サロンで初となる、古民家カフェ『藤香想』。池袋からメトロで1つ先の駅、要町の住宅街に、いきなり緑が生い茂るお庭に囲まれたレトロな空間があります。そこが知る人ぞ知る『藤香想』、昭和28年に建てられた民家を改造して、2014年にオープンした、ほんわり温かい雰囲気のカフェです。ここは単なるカフェではなく、ギャラリーでもあり、コンサートホールでもあり、ヨガやら哲学カフェやら、いろいろな文化イベントを通して、人々が集う空間として存在しています。
 

 集う家 カフェ『藤香想』(とうかそう)の物語
 

  
 チェーン店のカフェばかりのこの時代、非常に貴重なカフェですね。
 

 この要町界隈は、昭和初期には大勢の芸術家たちが暮らしていたらしく、「池袋モンパルナス」と呼ばれている(いた?)とか。池袋モンパルナスについては、Wikiにも記事が出ています。
 

 池袋モンパルナス(Wikiの記事)
 

 この藤香想には、2階に和室の個室スペースがあり、今回のAEAOサロン会場で使用させていただきました。西洋アンティークを畳の部屋で!?というミスマッチは承知の上、しかしなかなかまったりしてしまうのが和室の魅力でもあります。
 

 さて、本題のサロン、バルボティーヌですが、今回はゲスト講師として、古美術ランジュドメゾンの店主・森岡美香さんによるレクチャーで行われました。たくさんのバルボティーヌ陶器をお持ちいただき、実際に触ってひっくり返して、窯の刻印や釉薬のかかり方を見ながら、歴史、形成方法、なぜ19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行ったのか、なぜ今は作られていないのか、アンティークのバルボティーヌと現代のものとの違い、どんな窯があるのか、人気のモチーフは・・・とありとあらゆるお話をいただきました。
 
 
 
 
 

 藤香想特製の「棒茶」とコーヒーゼリー&アイスクリームのティータイム中も、みなさんでアンティーク談義に花が咲き、楽しい日曜日の午後のひとときでした。
 

 次回8月のAEAOサロンも、引き続き藤香想にて行います。次は「大正ロマンの西洋アンティーク」、和と西洋アンティークのテーマにふさわしい会場です!