連日の猛暑続き、これだけ暑いとさすがにうんざりですね。
ヴァカンスたけなわの8月、本場ヨーロッパでは、オークションハウスも夏休み、アンティークマーケットや蚤の市も出店者が極端に少なくなるのですが、避暑地と呼ばれる、水のある地域(例えばカンヌやビアリッツなど)では、避暑客向けなのか、オークションが夏に開かれますし、ヴァカンス地では、ヴァカンス客向けの蚤の市なども開かれたりしています。
さて、東京では明日から3日間、年に2度の大イベント・骨董ジャンボリーが東京ビックサイトにて開催されます。初日はアーリー・バイヤーズ・デー、一般の人でも特別のチケットを購入すれば、この日に入場することができます。1点ものの骨董・アンティーク品ですから、誰よりも早く入場してお気に入りを見つけたいのが、コレクターの性。
骨董ジャンボリー公式サイト
ここは冷房完備の屋内フェアですから、熱中症の心配、ご無用です。よいものに巡り会えますように!
「アンティークフェア・アンティークサロン」カテゴリーアーカイブ
国内のアンティーク・フェアは、モノを見る目を養う、よい機会
5月も最後の週となりました。
さて、普段アンティークのモノにあまり触れる機会がない、という方にとっては、チャンスの週です。というのも、なかなかアンティーク・ショップや骨董店には入りにくい、あれこれ聞くのは恥ずかしい、手ぶらで帰ってもいいのだろうか・・・と、お客さまは神様の国であっても、二の足を踏む人は意外と多いもの。その点、こういうアンティーク・フェアは何百というお店が平場に同時に並ぶわけですから、いろいろなお店を見比べたり、催事期間中の特別な掘り出し物に出会えたりもします。
5/26(火)27(水)の2日間、さいたまスーパーアリーナにて「骨董アンティークフェア」が、5/29(金)〜31(日)の3日間は、新宿・第一生命ビルにて「アンティークフェアin新宿」が開催されます。どちらのフェアも年2回のみ、しかもインドアですから、このところ初夏を思わせる東京の日差しも避けられます。
どちらも「初日が勝負」とも、「最終日の終了時刻間際が値切りのチャンス」とも言われていますが、アンティーク品は1点限りのものばかり。出会いと、インスピレーションを大切に、気に入ったものがあれば、お財布と相談の上、手に入れる絶好のチャンスかもしれませんね。
アンティーク、古物、骨董に興味がない人
アンティーク好きな人がいるように、「古いもの」に全く興味のない人もいます。むしろ、興味のない人の方が大半かもしれません。そもそも日本人は「お古」があまり好きではなく、真新しいもの、誰も使っていない新品が好きなのです。
格式ある「骨董店」を構えている店主はこんな経験はしなくても済むのでしょうが、日本でアンティークや骨董を扱っている人たちは、その性質上アンティーク・フェア、骨董市、蚤の市といった催事に出店することが多く、そこには実に色々なお客さんが散歩を兼ねてやってきます。
そしてそこでは、とんでもない会話が繰り広げられることがあります。
「これって人が使ったもの?なんだか気持ち悪いわね」(ホテルやレストランの食器やカトラリーも人が使ったものですが。)
「1つしかないの?」(量産品とハンドメードの1点ものの区別が付かない。)
「あら、ここ、なんだか疵がついてるじゃない」(それは銀器の刻印です。)
「このグラス、形がゆがんでない?どうしてこんなに高いの?」(18世紀の宙吹きガラスです。)
「アンティークはねえ、割れるから嫌よねえ」(現行品の食器だって、割れます。)
「今日は何時まで?売れ残ったら、安くしてくれる?」(生鮮食料品ではないので。)
「(1万円と表示してあるものに)これ千円だったら買うんだけど。だいたい10分の1で値切れって言うわよ」(ここはアラブ市場文化ではないのです。)
「リサイクル市にしては、高くない?」(ちょっと違うのですが。)
また逆に、「アンティ−ク」という言葉に過剰な期待を持つ人もいます。
「この紋章はどこの貴族のものか調べられないの?」(それ、ただのイニシャルです。)
「何年に作られたものか、正確にわからない?」(500円の雑貨にそこまで求めますか?)
「こういうものは、今買っておくと将来何百万円にもなる?」(ならないでしょう、20世紀初頭の量産品です。)
「これ、絶対ホンモノよね?ニセモノじゃないわよね?」(3千円のもののニセモノを作る意味があるのでしょうか。)
あまり知識がないからか相場がわからず、1つの値段をセットの値段だと勘違いする人、「あら、今日はガラクタ屋さんがやっているわ」と、古物=ガラクタと決めつける人、「これと同じもの、たくさん家にあるわ、持って来たらこの値段で買い取ってくれない?」と売り込む人、本当にいろいろなお客さんがいます。
アンティーク屋さんも客商売、無知なお客さんを相手にしても仕方がないので、そこは大人の態度で笑ってスルー(心の中では「おとといおいで」と思っていても)、逆に、古物を愛する人や、ものの価値がわかりそうな人には、お客さんと一緒になって骨董談義に花が咲き、結果とてもよい関係になって、ものによっては割り引いたりしてくれます。
アンティーク・コレクターに知識は必要か?と言われれば、これは絶対必要です。自分の中の感性のみで絶対的なプライシング能力を持っている一部の人は別として、ものの値段には必ず理由がありますから。なぜ同じ窯のものでAよりもBの方が綺麗で状態もよさそうなのに、安いのか、そこには品物を見ただけでは分からない、色々な理由が潜んでいます。そんな謎解きをするのもアンティーク・コレクターにとっては醍醐味のひとつ。
ただ、やはりこの世界は非常に特殊でニッチな世界、政治や教育ではないので、日本中の人を納得させる理由も要らないし、それほどの使命もないのかもしれません。興味がある人より、興味のない人の方が圧倒的に多いのが事実ですから。
アートフェアに行こう!
アンティーク検定、今年からスタートするビギナーズ級の3級の科目にはありませんが、2級・1級には「現代時事アンティーク」という科目があります。これは英語でいうArt Marketのこと、つまりアートやアンティークの市場に関してのお話です。
欧米では、美術史の研究者がアート・コレクターとしての第一人者であったり、またアンティーク・ディーラーが大学で教えていたり、と、マーケットと学問の世界はシンクロナイズしているのですが、日本ではなかなか2つの世界が交わることはありません。学問として追求している人は、取引されている値段には無頓着だったり(絶対に身銭を切って買ったりしなかったり)、ディーラーとして品物を回している人は、実はあまり周辺の美術史に造詣が深くなかったり…。お医者さんの世界で言う「研究」と「臨床」はなかなか両方一度にはできないよ、ということでしょうか。
2014年にアンティーク検定2級を受けて合格した人の中にも「現代時事アンティーク」は難しかった、という方が大半でした。各科目の平均点でも、この現代時事アンティークはやはりみなさんの弱点だったようです。「だって教科書がないし、何をどう勉強していいのかわからない」と。
この分野は、グローバルな視点を養う意図もあり、問題の半分は海外の関係者から出題されています。残りの半分は、日本のアートマーケット専門家の方などから出題されていますが、問題に関してはすべて日本語のメディア(新聞、TV,、雑誌)で話題となったものがほとんどですので、普段からちょっとだけアートの世界にアンテナを張っていれば、キャッチできるものなのです。
とはいえ忙しい現代社会、メディアにはあらゆる情報が氾濫していて、何から何まで追えないよ、というのもむべなるかな。そういう場合は、アートフェアに行きましょう!
残念ながら先週末の3日間で終了してしまいましたが、東京国際フォーラム・展示ホールで開催されていたアートフェア東京などは、日本最大の見本市として、やはり規模の点でも勉強になりますし、こういったフェアでは無料の冊子なども沢山設置されていて、手にしてパラパラとめくるだけでも、現代のマーケットの傾向が掴めます。
例えばこのアートフェア東京で、「東京アートアンティーク」(2015 4/16〜18)というフリー冊子が設置されていました。めくってみるとChristie’sの広告が掲載されています。2015年上半期の東洋美術のオークション日程が書いてあるのですが(香港、ニューヨーク、ロンドン)、日本の浮世絵や新版画のオークションはオンラインで行われるのだな(東京では開催されないのだな)、といったことがわかり、そこからサイトにアクセスして・・・と、知的好奇心が広がります。
もしかしたら出題者も同じようなことをしているのかもしれませんよ!?
TEFAF、世界最大のアート&アンティークフェアがいよいよスタート!
日本ではあまり馴染みのないフェアですが、マーストリヒトで世界最大規模のアート&アンティークフェア、TEFAF(The European Fine Art Fair)が本日より開催されます。
実は当協会の公式海外研修でも訪れる予定だったのですが、2015年1月のパリ連続テロにより、パリを含むイル・ド・フランス州においてテロ警戒レベルが最高レベルである「攻撃の警戒(alerte attenta)」に引き上がっていることを受け、次年度に延期することを決定いたしました。残念ですが、TEFAFは毎年行われるサロンですから、是非次回は安全な中で実現したいと思います。
今日はこのTEFAFの様子を、ビジュアルでお楽しみください。
(写真はTEFAFのFacebook Pageより)