「ファッションとアート 麗しき東西交流」展

 横浜美術館にて4/15よりスタートしたこの展覧会は、西洋アンティークを学ぶわたしたちにとって、見どころ満載の作品が多く展示されています。
 


 
 この展覧会では、服飾品、工芸品、絵画、写真を通して、19世紀後半から20世紀前半の、西洋と日本のファッションと美術の変遷を辿ることができるようになっています。
 

 今ではよく「里帰り品」と呼んで珍重されている、日本が明治期に輸出したティーセットなどの洋食器、そしてアクセサリーとしての薩摩焼のボタンやブローチ、絹製品であるハンカチやシャツ、そんな展示品を通して、装飾美術のルーツとなる当時の日本や西洋の社会風俗を学ぶことができます。
  
 「シャトレーヌ」というアイテムをご存知でしょうか。フランス語で城の女主人を表す言葉ですが、19世紀にリバイバルしたジュエリーです。チェーン製の腰飾りの形態をしており、時計や針道具、文具などが吊るされていて、まだ女性がバッグを持たない時代において、バッグの役割を果たすものでした。そんな「シャトレーヌ」も展示されています。
 
 シャトレーヌ(展示品とは異なります)
 


 
 ルネ・ラリックのポーチやハンドバッグは、本当にうっとりする見事な金細工で、見とれてしまいます。(箱根ラリック美術館所蔵品)
 
 ロイヤル・ウースター社は、伊万里のモチーフでのティーカップを作っていましたが、実に見事なティーセットが展示されています。(三菱一号館美術館所蔵品)
 

  
 アール・デコを代表するジャン・デュナンの漆のコンパクトはどれも繊細でデザイン製に富んでおり、これも素晴らしいアイテム。(京都服飾文化研究財団所蔵品)
 

 日本が開国して以来、国際港湾都市となった横浜にあるこの美術館でこういった展覧会を開催するのは、本当に意義深いものですね。展覧会は6/25までです。
 
 横浜美術館 『ファッションとアート 麗しき東西交流』展
 
 


ナビ派にみる、装飾美術

 三菱一号館美術館にて、「オルセーのナビ派展」が開催されています。
 

 この展覧会は、オルセー美術館の総裁であり、ナビ派研究の第一人者でもあるギ・コジュヴァル氏が渾身の力を発揮された展覧会とされており、オルセー美術館からナビ派の主要作品のほとんどが、現在東京に集結しています。
 

 ナビ派というと、印象派などと比べて影が薄い存在かもしれません。またマーケット市場でも、先月ロンドン・サザビーズで開催された近代絵画オークションでは、ナビ派の作品が2点出品されていましたが、1点は落札されず、もう1点も、評価額の下値での落札。何億円と話題になる印象派絵画と比べると、ずいぶんとお買い得感のあるお値段です。
 

 ところが、アンティーク好きにとって、ナビ派は実はとても身近な存在です。ナビ派の作家たちは、絵を描く画家としてだけではなく、装飾美術の世界でも活躍していたからです。
 

 舞台芸術、ステンドグラス、挿絵、ポスターなどのグラフィック・アートから、陶磁器の絵付けまで、実に幅広く装飾美術工芸の世界でも、作品を残しています。
 

シャンゼリゼ劇場の天井画は、モーリス・ドニ。
 

 

(マケットはオルセー美術館にあります。)
 

このピアノの楽譜、かわいいですよね、この表紙はボナールです。
 

 

このお皿の絵付けは、ヴュイヤール。
 

 
 絵画とは装飾である、と言い切ったモーリス・ドニ。絵画=純粋美術、装飾工芸品=応用美術、の垣根を取り払ったナビ派たちの展覧会、ぜひお見逃しなく!
 
 三菱一号館美術館「オルセーのナビ派展」
 
 


写真の世界を解き明かす!ロバート・メイプルソープ写真展@シャネル・ネクサス・ホール

 AEAOサロン倶楽部4月の会は、写真をテーマに取り上げてみました。
 

 古いセピア色の写真、ちょっと形がいびつになったアンティークの写真が、蚤の市でもよく売られています。モノクロだけれど、一色だけ赤やピンクのカラーが入っているものも、ときどき見かけます。そもそも写真は、いつから、どのようにして発展してきたのか、市場価値はどういうところがポイントなのか、写真の「オリジナル」って果たしてあるのか・・・そんな写真に関する疑問を解き明かそう、ということで、写真の修復家でもある白岩修復工房の白岩洋子氏をお迎えしてのレクチャーを、銀座のカフェにて行いました。
 

 まずは写真の誕生の歴史から。ダゲール、タルボット、ウェッジウッド、ニエプスといった、19世紀の写真史に欠かせない人物名が登場します。
 

 写真の構造を理解し、「写真」、「写真製版」、「印刷」、それぞれの見分け方を学びます。シルバーゼラチンプリントとプラチナプリントの違いは、現物を見て触って、ルーペで細かいところを見ながらのお勉強。今回レクチャーの後で見学するメイプルソープ展では、この2つのプリントが展示されていますので、まずはしっかり違いを学びました。
 

 現代ではデジタル画像が主流ですので、もう紙の写真は要らない、という人もいるでしょうが、要注意!デジタル画像の寿命は決して永遠ではなく、CDやDVDでの保存は有限です。それに対してアナログ写真、いわゆる紙の写真は、紙が燃えない限り、残ります。(アナログ写真には、紙だけでなく、ガラス、金属、プラスチックもあります。)
 

 写真の構造を理解した後は、カフェからシャネル・ネクサス・ホールへ移動し、いよいよロバート・メイプルソープ展の見学です。
 
 
 

 光と影のコントラストを巧妙に表現した数々の作品、その主題もさまざまですが、特に最晩年の作品のテーマである花には、作家自らが死を予感していたと思われる要素を読み取ることができます。
 

 フォーマットとしては珍しい正方形の写真、それでも安定感と居心地の良さを感じるのは、メイプルソープならではの洗練された構図によるものだからでしょうか。
 

 白岩先生のプレレクチャーのおかげで、十二分に堪能できた展覧会見学でした。
 
 ロバート・メイプルソープ財団のHP
 


パリ&ナンシー海外研修、最終日

 ずっと例外的に良すぎたお天気ですが、今日はちょっと曇り空。シャトゥのアンティーク市は、やはり晴れた青空の下を歩くのが楽しいので、ちょっと残念です。それでも雨が降らないだけ、マシですね。
 

 一行はミニバスにてシャトゥへ。この地が、19世紀後半の印象派画家たちに愛された理由、年に2回開催される、この有名な市が、フランス農産物の見本市を併設するアンティーク市であった理由、などをアンヌより解説いただき、そして中へ入ります。
 

 まず向かったのは、アンヌも教鞭をとっているドルーオーのプロコースを修了したばかりの元生徒さんが出店しているスタンドへ。60年代・70年代のコスチューム・ジュエリー、絵画、工芸品など手広く扱っているかと思ったら、3人でシェアして出店しているようでした。そこでアール・デコの家具などの解説を受けた後は、自由解散、いよいよchiner(掘り出し物を探す)の時間です。
 

 14時の集合時には、みなさん手にそれぞれゲットした「お宝」が!お昼を食べる時間も惜しんで見歩いたというツワモノたちは、サンドイッチを頬張っています。
 

 シャトゥのアンティーク市を楽しんだ後は、ブーローニュの「30年代美術館」へ。この美術館には、アール・デコからモダン・スタイルまでの美術工芸品が揃っています。たっぷり1時間半かけて、解説付きで鑑賞したら、もう夕方。

 
 
 

 そして、夜はカクテル・パーティ。
 初日の講義を行った場所へ戻り、みなさんで飲みながら、わいわいがやがや・・・。全員が5日間の日程を滞りなく終え、無事「ディプロマ」をいただきました。
 


 

 余興に、アンヌの娘さんの歌とダンスが繰り広げられ、夜は更けていきます・・・。楽しかったパリ&ナンシー海外研修、ご参加のみなさま、お疲れ様でした。
 

 
 


ナンシーに行かずして、アール・ヌーヴォーを語るなかれ!

 研修3日目と4日目、ナンシーを訪れて、アール・ヌーヴォーの「ナンシー派」に迫ります。
 

 すっかり綺麗にリニューアルされたパリ東駅(いっときは本当に寂れていましたね)から、TGVで1時間半あまり、あっという間にロレーヌの都、ナンシーへ。
 

 現地コーディネーターであり、元鑑定士のダニエルが駅で迎えてくれ、一向はレストラン・エクセルシオールへ。ここは文化遺産に指定されているレストランで、美術館のような内装です。グリュベールの手がけたステンドガラス、マジョレルの家具・・・内装だけでなく、お料理も絶品です。
 

 

 お腹いっぱいになった後は、街の中心にして、これまたユネスコ文化遺産に指定されている美しきスタニスラス広場まで歩き、この広場にある最高級ホテル、グランド・ホテル・ド・ラ・レーヌにチェックイン。3月とは思えない太陽の眩しさと空の青さに、みなさんテンション上がっています!
 
 
 そして同じくスタニスラス広場にあるナンシー美術館で、ドーム・コレクションを、専属ガイドと共に見学、ドームのすべてをこのアーカイブ展示室を通して学びました。ガレは工房をたたんでしまうけれど、ドームはなぜ生き残ったのか、他の分野のアーティストとのコラボレーションにはどんな作品があるのか、ここに来なければわからない謎が全て秘められています。
 
 
 

 翌日は朝からアール・ヌーヴォーの邸宅が並んでいるソリュプト地区、そしてフェリックス・フォール街の建築を散策して、いよいよナンシー派美術館へ。アール・ヌーヴォーの巨匠、ガレの素晴らしき逸品をはじめ、ナンシー派の豪華作家たちの作品を、これも美術館専属ガイドの説明で回ります。
 
 
 
 
 
 

 日本ではサントリー美術館、北澤美術館に収蔵されているガレの「ひとよ茸ランプ」も、この美術館ではあまりにさりげなく展示されているので、思わず見過ごしてしまうほど。「夜明けと黄昏」のベッド、豪奢なダイニングテーブルの部屋・・・もう説明を聞いて写真を撮っていたら追いつけないほどの傑作揃いです。
 

 ハイライトであるナンシー派美術館見学の後は、出発まで自由なのですが、みなさんでマルシェ・クーヴェールにて軽いランチ。ここは室内の常設マルシェ内にあるレストランで、使われている食材はすべて新鮮なものばかり、お魚もムールもアスパラガスのタリアテーレも、シンプルながらとても美味しかったです。
 

 お土産のナンシー名産マカロン、ミラベルのコンフィチュールなどを買い込んで、慌しくパリへ戻りました。とても充実したナンシー一泊旅行でした。
 
 
 
 


パリ16区は、アール・ヌーヴォー&アール・デコの建築の宝庫

 パリ&ナンシー海外研修2日目、今日はちょっと残念な曇り空でしたが、朝9時半からたっぷり歩く研修、1万歩はゆうに歩いたのではないでしょうか。

 パリ16区、パリの西部の高級住宅街ですが、ここにはアール・ヌーヴォーとアール・デコの建築が点在していて、20世紀を代表する二大装飾様式を建築で存分に堪能できます。
 

 ガレやドーム、ラリックのガラス作品から、ミュシャやカッサンドルのポスターまで、日本にいてもそのものを見ることはできますが、唯一不可能なのが、建築を見ること。こればかりは現地に赴かないとどうしようもない、ということで、今回は建築探索の場をパリで2回入れ、またナンシーでも行います。
 

 特に興味深かったのは、カステル・ベランジェ、ここは一般住宅なので通常は中には入れません。しかしちょうど建物から出てきた紳士が、「2分間だけなら特別にいいよ」と中に入ることを許してくださったのです。なんともラッキー!
 

 

 

 
  

 ギマールの館、オテル・メッザーラなど、この界隈に点在するアール・ヌーヴォー建築は、一般の建物と建物の間にひっそりと佇んでいます。不思議なことに調和しているというか、街に溶け込んでいるのです。
 

 建物内部の装飾は昨日の講義で学んでいますので、今日は建物外側を見て、これで頭の中で1つにつなげて当時の様子を想像する、というパズルのようなステップ。
 

 マレ・ステヴァンスの建物群まで到達して、「上がり」はメゾン・ラ・ロッシュ、コルビュジエの実験的建築物を、中庭から建物内部、そして屋上まで上がって見学しました。
 

 

 午前中に十分運動をした後は、アール・ヌーヴォー内装で有名なレストラン、Mollardで食事をして、午後はマキシム美術館のピエール・カルダンコレクション見学組と、パッサージュ見学組に分かれての研修でした。
 
 


パリ&ナンシー海外研修がスタート!

 本日より、パリ&ナンシー海外研修がスタートしました。初日の今日は、アール・ヌーヴォー&アール・デコの専門鑑定家コム・レミー氏による概論の講義、そしてプティ・パレでの実地研修です。

 

  
 1900年前後はアール・ヌーヴォー、なんでもかんでもクネクネのヌードル様式、左右非対称、女性と自然のモチーフかと思いきや、それは一つの現象に過ぎず、やはり公式な装飾様式はクラシック・スタイル、ネオクラシシスムやロココを取り入れた折衷主義と呼ばれるものも存在していて、一部でブームとなっていたアール・ヌーヴォーと対立していたのです。
 

 たとえば1900年の万博のために建てられたグラン・パレにプティ・パレ、この建築とギマールの建築に相容れる要素はありません。
 

 アール・ヌーヴォーのルーツは何だったのか、なぜ突然に沸き起こってあっという間に廃れたのか、1910年代にはアール・デコの兆しが現れているが、アール・ヌーヴォーをどのように否定して対立していたのか、そんなお話で濃厚な講義でした。
 

 

 

 アール・ヌーヴォー内装のビストロ、CHARTIERでランチの後は、プティ・パレへ。
 お天気にも思いっきり恵まれ、中庭の桜は満開です。
 

 ガレのガラス作品、家具、バカラの万博入賞作品、ギマールの家具、ルソーのブラックモン・シリーズ・・・実際に作品を目の当たりにすることで、午前中の講義を消化することができました。
 
 


 


ミュシャ展、いよいよ開幕

 数多く開催される展覧会の中でも、2017年の代表的なものの一つとも言える「ミュシャ展」が国立新美術館にていよいよ開幕しました。
 

 

 会場に入ってすぐに迫ってくるのは、610 cm x 810 cm の超大作、「原故郷のスラヴ民族」。本展覧会では、「スラヴ叙事詩」が全20作公開されています。どれも巨大な作品なので、かなり離れて鑑賞したいのですが、いつ行くと空いているのでしょうね、内覧会では人、人、人、黒山の人だかりでした。
 
 

 全20作を揃って鑑賞できるのは、チェコ国外では世界初ということですが、必ずしも制作年の時系列的に展示されているわけではありません。1点1点ゆっくり解説と共に見ていくと、あっという間に時間も経ってしまいますが、そもそもミュシャが晩年の約16年間を捧げた大作たち、思う存分時間をかけて鑑賞したいものです。
 

 そしてスラヴ叙事詩で魂を吸い取られたかのような気分になった後は、アール・ヌーヴォーと世紀末、よく知られたミュシャのお馴染みのポスターが待っています。デビュー作とも言えるジスモンダ、メディア、ロレンザッチオ、ハムレット・・・ミュシャのもう一つの顔です。
 

 本展覧会の会期中、5月のAEAOサロン倶楽部では、『ミュシャとムハ、椿姫とスラヴの調べ 〜美術と音楽で紐解く、ベル・エポックの寵児〜』と出したイベントを、素晴らしい空間で行います。自由が丘にある一誠堂美術館、そして併設のカフェ・エミールを貸し切り、そこでミュシャとムハをそれぞれ紐解いていきます。カフェ・エミールには、壁が、ミュシャのポスターで埋め尽くされています。
 

 ガレやドームの逸品を集めた一誠堂美術庵を見学した後のレクチャーは、アール・ヌーヴォーの専門家でもあり、著書「アール・ヌーヴォーの美術」もある岡部昌幸先生。そしてティータイムをはさんで後半は、ミュシャとムハを、ヴィオラ奏者の独奏を聴きながら、音楽で感じていくという企画、是非多くの方にいらしていただければと思います。
 

 


18世紀ファイアンスの魅力

 AEAOサロン倶楽部3月の会は、『18世紀ファイアンスの魅力〜サントリー美術館「コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展鑑賞および見どころトーク参加』を、六本木・東京ミッドタウン内にて行いました。場所の魅力か、3月で気候もよいせいか、おかげさまでこの会は満員御礼となりました。
 

 展覧会は、コレクターのお二人が、それぞれサントリー美術館に寄贈したコレクション、「ヨーロッパ陶磁」(野依利之氏)と「世界のガラス」(辻清明氏)から成り立っています。
 

 物があふれ、物の処分に困っている現代、蔵書を近所の図書館に寄贈しようとしても断られる時代です。しかし、「コレクターの眼」をもって蒐集した、歴史的芸術的価値のあるものは、こうして一流の美術館・博物館に収められ、多くの人の眼を愉しませてくれることになるのだという、まさにその見本のような展覧会でした。
 

 プレ・レクチャーは、サントリー美術館のある、東京ミッドタウン・ガレリアの2階にあるukafeにて。オーガニック・カフェなので、オーガニック・コーヒーや和紅茶など、カラダが喜ぶ飲み物です。
 

 参加者のみなさまと、ukafeでお茶とともに、陶磁器のおさらい。陶器と磁器の違いは?鉛釉陶器、錫釉陶器、ボーン・チャイナ、硬質磁器、炻器・・・まずは焼き物の種類を学び、そしてそれぞれ何と呼ばれていたのか、「マヨリカ」「デルフト」「ファイアンス」・・・時間のない中、さらっと復習して、東京ミッドタウン・ガレリア3階に上がります。
 

 まずは学芸員による見どころトークに参加、そして待望のコレクションを鑑賞しました。コレクションのノウハウを知った後では、やはりみなさんの見どころ、チェックポイントが断然違ってくるようで、デルフトの染付や、マヨルカのアルバレロなど、熱心に鑑賞しています。
 

 ヨーロッパでは割合と残っているデルフトやマヨルカ、日本ではなかなか見る機会が少ないので、貴重な展覧会であると言えるでしょう。
 

 今回の展覧会は、写真撮影可とあり、貴重な素晴らしい工芸品をカメラに収めることもできました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


かっこよすぎるカッサンドル!

 AEAOサロン倶楽部、2月の会は、現在埼玉県立近代美術館で開催されている「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」の見学と、特別講演会の参加でした。もちろんプレ・レクチャーも、お茶&お菓子付きで!
 

 カッサンドルといえば、あの有名な「ノルマンディ号」がすぐに思い浮かんできます。イヴ・サン・ローランの「YSL」のロゴも、カッサンドルの作品です。
 
 
 
 
 

 よく言われていることですが、アール・ヌーヴォーもアール・デコも、一時期「粗大ごみ」扱いされていた時代がありました。どちらもブームが去ってしまって、完全に過去の遺物、おばあちゃんの時代の、もう物置に捨てられているもの・・・そんな50年代に、カッサンドルのポスターをコレクションしていた、先見の明のある人が我が国にいたのです。
 

 BA-TSUの創業者である松本瑠樹氏(1946-2012)、彼が生涯をかけて蒐集したポスターの一部が、今回の展覧会にて展示されています。そしてこのコレクションは、世界最高峰のレベルであり、こんな素晴らしいものが我が国で見られることに、同じ日本人として感謝しなくては。
 

 今日の岡部昌幸氏の講演会でも言われていましたが、「不動産に掘り出し物はない、でも芸術品には、掘り出し物はある。良いものは、安い(時期が必ずある)」!!
 

 では、なぜカッサンドルの作品はかっこ良いのか?
 岡部氏は、この秘密を黄金分割の概念から紐解いていきます。美の原理を探求、秘密を発見することから生まれた黄金分割、一般に黄金律と呼ばれる1:1.618こそが自然の美のバランスであり、それをカッサンドルは商業芸術であるポスターに取り入れることに成功したのでした。
 

 またカッサンドルのタイポグラフィーの芸術性の高さにも驚かされます。今、わたしたちが使う、パソコンでのフォントのベースとなるような書体のデザイン、カッサンドルはすでに1920年代に作っていたのですから。
 

ビフュール(Bifur、1929年)
 

 

アシエ(Acier、1935年)
 


 
ペニョ(Peignot、1937年)
 

 

 今回の展覧会では、リトグラフのポスター以外にも、いくつかの原画が同時に展示されています。また、カッサンドルがデザインしたLPジャケット、缶ケース、ボナルのガラス瓶まで・・・今でもパリの蚤の市に眠っているかもしれない、お宝カッサンドルが満載です。
 

「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」

2017/2/11〜3/26
埼玉県立近代美術館