3月のパリ海外研修・3日目

 今日はアニエス・キュニーによる、ジャックマール・アンドレ美術館でスタートです。今回のテーマ、18世紀の家具工芸品と室内装飾に欠かせないのが、この邸宅美術館。最終日のニシム・ド・カモンド美術館もそうですが、第二帝政期の銀行家はいったいどれだけ金持ちだったんだ、と驚くばかりの家具調度品が展示されています。
 
 
 

 常設展示をアニエスが解説している横から、喋りたくて堪らないガードマンが入ってきては、一言二言補足説明をしてくれるという、日本ではあり得ない光景もフランスならでは。
 

 現在開催中のメアリー・カサット展も一緒に見学しました。やはり印象派の展覧会は本家本元フランスでも大人気で、この展示会場はごった返していました。
 

 今日のランチは、美術館に併設されているカフェでのサラダ、キッシュ、タルト、どれも日本の2〜2.5倍の大きさです。ティエポロのフレスコ画を見ながらの優雅なひととき。普通フランスではランチは日本時間よりも1時間ほど遅く、13時くらいからなのですが、このカフェはオープンの11時45分には列ができるほどの人気スポットです。原則予約は受け付けないのですが、実は1日1組だけはこっそり受け付けてくれるのを知っており、今回は私たちのグループがその恩恵に預かりました。
 

 午後はいよいよアニエス・キュニーの私邸を訪れます。スクエア・ドルレアンという場所は、かつてフレデリック・ショパンやジョルジュ・サンドが住んでいて、アレクサンドル・デュマなどがしょっちゅう訪れた、19世紀後半の文化知識人たちの香りムンムンな地区、ここの一角にアニエスの自宅があります。
 
 
 
 
 
 
 

 すべての様式・時代の家具や調度品で彩られている彼女の自宅の家具を、実際に触ってひっくり返して、木を触って学ばせてもらうという、プレステージな授業です。
 
 
 
 
 
 
 

 そして夕方〜夜のオプションは、前日の講義室をお借りしたセバスチャン・ムニエのギャラリーのヴェルニサージュ、そしてギュスターヴ・モロー美術館での室内楽コンサート。
 
 
 
 

 フランスの美術館では、室内楽を中心としたこじんまりしたコンサートが時折開かれており、音楽と美術のマリアージュがなんとも言えない雰囲気を醸し出してくれます。日本のように、小煩い(!)アナウンスや、本日は〜、の解説も何もなく、時間になったらミュージシャンが出てきて演奏して、お客さんは粛々と神聖な音楽を聴いて、拍手して、おしまい。そんな素朴な文化つくりの魅力はなかなか真似のできないものですね。
 


3月のパリ海外研修・2日目

 今日は丸1日、ドルーオー界隈での研修です。午前中は、セバスチャン・ムニエのタピストリーギャラリーを講義室にお借りし、まずはヴィエノワズリーでウェルカム・コーヒー。そしてアンヌ・コリヴァノフによる、ルイ14世からアール・デコまでの室内装飾の変遷について、学びます。通訳の小栁先生は、元々フランスの装飾芸術に造形の深い先生ですが、近年フランス教育功労賞を受勲された方だけあって、的確な翻訳がありがたい限り。
 

 
 
 

 近くの大衆ビストロ、シャルティエ(アール・ヌーヴォーの内装で有名です)でランチの後は、いよいよオークションハウス・ドルーオーにて、実際のオークションの様子を見学したり、翌日のオークションのためのプレヴュー会場を見学したり、フランスのオークションのしくみについて、どっぷりハマります。こんなカンタンに誰でも参加できて、落札できたらその場で支払いをして持って帰れるシステムに、みなさんアドレナリンが全開?
 
 
 
 
 
 
 

 その後はドルーオーのすぐ近くにある、18世紀家具のエキスパート、パトリシア・ルモニエのギャラリーを訪問し、ミュージアムピース級の家具についての説明をしていただきました。
 
 
 
 
 

 本日最後はパサージュ散策ですが、午後の3時、4時でも季節外れに寒い0度前後のパリ、風邪を引きかけた研修生もチラホラいましたので、散策はさらっと小半時間ほどして、2日目が終わりました。
 


3月のパリ海外研修・初日

 3月18日より、公式海外研修がスタートしています。
 

 今回のテーマは家具と室内装飾。18世紀の宮廷から現代までの家具工芸品に焦点を当て、家具の歴史、様式、木材をはじめとする家具素材の流行や変遷、室内装飾のスタイル、マーケットでの市場価格と動向・・・と、アンティーク家具に関する一通りのことを5日間で一気に学ぶプログラムです。
 

 通常の研修では、月曜スタートでまずは歴史などの講義からスタートし、徐々に実際にそれらの作品が収蔵されている場所など関連箇所を見学し、そして最後にアートマーケットの世界を学び、週末にはマーケット巡りなどもどうぞ、という流れなのですが、今回は例外的にマーケットからスタートしました。
 

 理由はというと、年に2回パリ郊外で開かれる「シャトゥのアンティーク市」の最終日が3/18であり、折角3月に研修を行うのであれば、 この歴史ある市・シャトゥに行かない手はない、と思ったからです。
 

 ところが前日3/17からパリは異例の寒波が襲い、雪が舞って来ました。シャトゥの市はイル・デ・ザンプレッショニスト(印象派の島)と呼ばれている、中洲の島にあり、風も吹き付けます。3/18の天気予報も雪、気温も0度を超えるかどうかという寒さです。こんな過酷な気候の中、屋外の市に連れ出して研修生の方達が体を壊しても大変、急遽プログラムを変更することも考えていましたが、「それなら1人ででもシャトゥに行きたい」という参加者もいらして、予定通り決行することにしました。この日を逃すと、確かにマーケット巡りの日がありません。マーケットを見て学ぶ、というのはとても大事な「目利きへの道」なのです。
 

 シャトゥ在住40年近くになる日本人の方が、カイロを持って私たちを待ってくださり、みなさん「寒い・寒い」と言いながらも、最集合の時点では両手にあれこれ抱えて帰ってきました。
 

 

 その後はヨーロッパ最大の蚤の市、サントゥワン(日本の通称名では「クリニャンクール」)へ。午後になっても気温は下がらず、寒いままです。いくつかのマーケットで、それぞれの店主によるスタンドを解説していただいた後は自由解散、屋根のあるマーケットもありますが、それにしても真冬並みです。雪はいよいよ本降りとなり、主催者は知り合いの暖房の効いたスタンドの中で避難させてもらいながら、ご近所ディーラーさんたちとマーケット情報交換をしていました。
 

 その間にみなさんしっかり買い物をされていたようで、「家具を買って、日本への配送手続きをしちゃいました」なんてアッパレな方も!今回の研修生は、どうやら思った以上に勇敢でタフです。
 

 寒〜いながらも、楽しいマーケット散策の初日が終了しました。
 


パリジェンヌってなんだ!?

 3月のAEAOサロン倶楽部は、ちょうど世田谷美術館で開催中の展覧会「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」に合わせ、ファッションにおけるロココから20世紀初頭までのパリの世界での立ち位置、パリジェンヌの装飾品について学びました。
 

 当サロンはワンスポット形式で行なっており、基礎知識も特に必要なく、誰でもいつでも参加できる開かれたサロンなのですが、今日は1つ、参加者のみなさんへ課せられたデューティがありました。それは、「自分にとってパリジェンヌ(パリジャン)をイメージするものを、何か1つ身につけてくること」。何も新調する必要はなく、お化粧でもファッションでもベレー帽1つ、スカーフ1枚でも何でもよいので、ちょっとパリジェンヌ(パリジャン)を再現してみましょう、という企画です。
 

 この課題に「三日三晩悩みました」という方、「自分が思い描いたパリジェンヌのあの服を着ようとしたら、太ってしまって入りませんでした」などのコメントと共に、まずはお一人ずつ自己流パリジェンヌ(パリジャン)を披露しながらのスタート。普段のサロンでは、会場内に余計な音楽などが流れていたら音を消してもらうのですが、今回は、昨年亡くなったフランス映画界のミューズ、ジャンヌ・モローのシャンソンをBGMに。
 

 
 そして、中山久美子先生(共立女子大講師、当協会認定アンティーク・スペシャリスト)による「パリジェンヌ展」の講義を、展覧会の章立てに沿って、フランスの政治や社会、風俗の歴史とともに、ルイ14世時代からジャズ・エイジまでを一気に徹底解説していただきました。
 

 
 18世紀の頃のお話は、宮廷文化ゆえ自分たちに遠い存在であるパリジェンヌ感も、19世紀後半労働者の女性や娼婦までもがパリジェンヌになり得る時代になると、社会風俗も身近に感じられて、質問も積極的に飛び出し、活気あるサロンとなりました。
 

 今回のサロンは、参加者のご好意によりご自宅のあるマンションの共有施設を利用させていただいたのですが、終了後はみなさんで高層マンションの屋上に出て、パリではなく東京の初春の空気を吸って、楽しく終えました。
 

 さて、来週からは本物のパリジャン・パリジェンヌたちの中での海外研修が始まります。
 
 


アンティーク検定講習2級・後半の部

 この週末は、アンティーク検定講習2級・後半の部が行われました。アンティーク検定講習でも2級は、一発試験で合格する代わりに、4日間24単位すべての講座を出席し、最後にチェックテストが行われます。時間も体力もお金もモチベーションも覚悟も必要な、それなりにハードルの高いものだと思いますが、誰1人脱落することなく、最後までやる気満々な講習生たちでした。
 

 後半初日は、テーブルアートの歴史と宝飾芸術についての講座。よくアンティーク市場のテーブルウェアでも「これは、何に使うもの?」と疑問に思うカトラリーなどがありますが、「XXに使うものです」とただ用途を知るだけでなく、なぜそういうものが登場しているのか、テーブルアートの歴史と背景はどうだったのか等を奥深く学びます。宝飾芸術も同じ、宝飾・ジュエリーというものの役割が変化してくる歴史や背景を知ることによって、なぜこの時代にこういうものが出て来たのか、がわかるようになります。
 
 

 

 午後は移動して、ロイヤルパークホテル・ザ汐留のバーラウンジで、陶磁器の授業。早めに行って席のセッティングをしていたところ、なんとTVスクリーンがあり、男子フィギュアのフリーが放映されているではありませんか!しかも、羽生選手、宇野選手の登場・・・結果はもうご存知の通り、日本勢が金銀を独占!すっかり気分も高揚したところで、高級3大食器と言われるマイセン、セーヴル、ヘレンドの磁器に関する講座を、ちょうど当ホテルでのストロベリーフェアのケーキ&お茶とともに行いました。
 

 その後は目の前のパナソニック汐留ミュージアムに移動して、ヘレンド展を見学し、初日は終了。
 

 2日目は、家具(椅子)の歴史でスタート。画像を見て、これはどの時代のどういう椅子か、を鑑定します。脚の形で推定できるもの、木材の種類で推定できるもの、使用されている材質で推定できるもの、そんな鑑定の材料について、学びます。
 

 外国語の授業では、オークションカタログに記されている用語(英語)は何を意味するのか、一般にはこの英語はこういう意味だけど、美術用語ではこういう意味にしか使わない、そんな業界に特化した英語を学びました。たとえば立体の作品のサイズを表記する場合、幅、高さ、奥行き、これらをどんな順番で表記するか、知っていますか?
 
 
 

 みなさんでイタリアンのランチをはさんで、午後は20世紀の西洋美術史、そしてアール・ヌーヴォーとアール・デコという2つの装飾様式について、輪廻の視点からのお話で紐解いていきます。単にアール・ヌーヴォーは曲線です、アール・デコは直線です、といった様式の特徴を頭に入れるのではなく(そんなことは受講生たちはとっくに学んでいますから)、美術とは、装飾とは、といった深い概念を洞窟絵画の時代から遡って考えるという、哲学のような講座でした。
 

 

 晴れて24単位すべて終了した後は、カクテル&授与式。受講生のみなさま、先生方、本当にお疲れ様でした。

 

 次回のアンティーク検定講習は、2018年9〜10月を予定しています。
 
 


シシィに愛された窯・ヘレンド

 AEAOサロン倶楽部・2月の会は、ちょうどパナソニック汐留ミュージアムで開催中のヘレンド展に合わせ、ヘレンドを取り上げました。会場は、12月のサロン(「華やかなりし、セーヴル磁器」)でお世話になった、銀座ミタスカフェの個室。ここのケーキはボリュームたっぷりで美味しい上、個室も素敵なアンティーク調度品で囲まれた空間なのですが、キャパに対して申込者が殺到し、2回ならぬ、まさかの3回開催となりました!ご参加いただいたみなさま、有難うございます。
 
 
 

 複製、コピー、パクり、真似・・・あまりよい言葉とはされていませんが、ヘレンドという窯がマイセンやセーヴルと肩を並べるほどの高級磁器の地位を築き上げたのは、まさにヘレンドが、古磁器を完璧に模倣することができたからなのです。マイセンのディナーセットの補充を請け負って、マイセンそっくりの品を作ることができた、この精緻な技術がヘレンドの発展に大きく寄与したのです。
 

 なんだ、マイセンのコピーか・・・と思うなかれ、そもそも陶磁器だけでなく、西洋の美術は模倣を手本としてきました。古くはルネサンス、古代ギリシア・ローマの美術を模倣して復活させることでした。陶磁器先進国であった中国からの青花を手本に、デルフトはブルー&ホワイトを生み出し、有田の柿右衛門はマイセン、シャンティイ、多くの窯にそのモチーフが転用されました。
 

 もちろん真似だけで大きく成長したわけではありません。ヴィクトリア女王に愛された「ヴィクトリア」シリーズ(注文されたからこそ、この名前がついたわけですが)、ウージェニー皇后に愛された「インドの華」、そしてエリザベート皇后に愛された「ゲデレ」など、時のファッション・リーダーたちから次々と愛されていったヘレンドの製品、実物を見れば、その理由もおわかりですよね。
 

 「何かヘレンドをお持ちの方はお持ちください、みなさんで一緒に鑑賞しましょう」と呼びかけたところ、1回目は講師だけが持参したのですが、2回目は何名かの方がそれぞれのキャビネットケースからお持ちくださり、さらに3回目は、もうクロスに乗り切らないほどみなさんあれこれお持ちいただきました。やはりコレクターも多いですね。
 


 

 先日開かれていたテーブルウェア・フェスティヴァルでもヘレンドのテーブルコーディネートのブースがあり、新作「ヴァイオレット」が展示されていました。皇妃エリザベートが愛したすみれの花のモチーフで、とても上品なシリーズです。4月より、販売開始となるそうです。
 


 
 


アンティーク検定講習2級・前半の部

 1/27-1/28の2日間にわたって、アンティーク検定講習2級が行われました。2級は、12単位24時間の集中講習が4日間で行われ、すべての講座を出席することで、修了証が授与されます。初回の講習にもかかわらず、福岡や大阪から泊まりで参加の受講生もあり、大変画期のある講習会となりました。
 

 2級の講習会に参加するには、アンティーク検定の3級をすでに取得していることが必須条件です。したがって、全くの入門者ではなく、一通りの基礎知識があることが前提となります。
 

 初日・午前は、まず装飾美術の独特な用語をおさらいしました。3級ではバロックやロココ、ネオクラシックといった大雑把な様式を知って入ればよいのですが、2級では、ブール、ビザール、ロカイユ、カルトゥーシュ、フェストーン、アンピール、エクレクティシズム・・・知らない人なら舌を噛みそうな用語がたくさん出てきます。
 

 そして、「紙モノ」と言われる、版画や写真に関しても、知識を深めます。紙の修復家の講師の解説で、写真と写真製版の違い、ヴィンテージプリントを見るときのチェックポイント、版画の種類や歴史を早足で学びます。
 
 

 

 午後は、ケーキ&お茶と共にガラスと香水瓶に関するレクチャーを行なった後、松濤美術館にて開催中の「ラリックの香水瓶」展を見学。会期の最終日に近づいているだけあって、多くの見学者で賑わっていました。
 

 2日目は、朝から夕方まで、ぶっ通しでの講座です。銀器に関するレクチャーの後は、装飾美術や美術品のマーケットの動向について、現実にアートマーケットで仕事をしている講師より、楽しい業界話や裏話をご披露いただきました。
 
 
 
 みなさんでのランチ時には、赤ワインで気分をほぐしていた受講生も!?
 

 午後は、西洋美術史の通史を初期ルネサンスから19世紀末まで、実に400年分の西洋美術を一気に解説いただき、講師も受講生もヘロヘロになりながらも何とか終えることができました。美術史の流れを知ることは、西洋装飾美術・アンティークを学ぶ上で不可欠ですが、なかなか通史を一度に学ぶ機会はないものです。世に書物はあふれているものの、噛み砕いてわかりやすく解説してくれる人がいるといないとでは、理解度も大違い、そんな世界を4時間たっぷり堪能しました。
 
 
 
 遠方からの参加者を含む受講生のみなさま、講師の先生方、お疲れ様でした。後半は3週間後の週末に行われます。
 
 


ラリックの香水瓶の世界へようこそ!

 AEAOサロン倶楽部・1月の会は、ラリックの香水瓶をテーマに集まりました。ちょうど松濤美術館で開催されている「ルネ・ラリックの香水瓶ーアール・デコ、香りと装いの美ー」展の見学も兼ねて、ラリックの香水瓶の世界を深く知ろう!という主旨です。

 
 
 見学前のミニ・レクチャー会場は、カフェ・タカギクラヴィア。お隣にはコンサート・ホール「松濤サロン」があり、スタインウェイのピアノのある素敵なカフェです。こちらで、特製サンドイッチ(美味しい!)とコーヒーをいただきながら、フランスと香水の切っても切れない関係、香水の歴史、香水瓶のデザインの変遷、などを学びます。
 
 

 

 そして、松濤美術館へ。この日は同美術館学芸員の方が、私たちのサロン参加者のために、特別に作品解説をしてくださるというVIP待遇を受けました。やはり事前に章ごとの解説を頭にインプットしておくと、時代やテーマが頭に入りやすいですね。
 


 
 ミニ・レクチャーで少しお話しましたが、日本のマーケットではフレグランスの化粧品業界全体に占める割合がダントツに低く、むしろ「香水公害」という言葉もあるほどで、香水があまりウェルカムな社会ではありません。一方、ルネ・ラリックを生んだフランスはといえば、歴史的にも18世紀にはほぼ全員がなんらかの香水をつけていたと言われる香水大国です。
 

 その香水ですが、かつてはお客さんはお店で調合してもらって量り売りで買い、自宅で自前の容器に入れ替えていました。その習慣を20世紀初頭に塗り替えたのが、まさにルネ・ラリックの香水瓶だったのです。
 

 アール・ヌーヴォー期にジュエリー・デザイナーとしてすでに大成功を収めていたルネ・ラリック、外見のデザインの工夫で、如何に中身(コンテンツ)が素晴らしいものであるのかを表すことを知っている、元ジュエリー・デザイナーの知恵だったと言えるのでしょう。彼の香水瓶は、量産品であるにも関わらず、ただの容器の域を超えて、やがて美術工芸品としての価値にまで高められていきます。
 

 本展覧会は、1/28(日)まで開催されています。お見逃しなく!
 
  
 


第1回アンティーク検定講習・3級

 日本全国でセンター試験が行われていたこの週末、当協会では第1回アンティーク検定講習が行われました。3級は連続2日間、集中して12単位の講習を受け、最後にチェックテストを経て、試験コースと同等の級が取得できるシステムで、2018年よりスタートしました。(従来の試験コースも並行して行っています。)
 

 たった2日間で、アンティーク・西洋装飾美術の全般を網羅するのですから、かなりハードな詰め込みの講習なのですが、参加者のみなさんの集中力とモチベーションはとても高く、次々と飛び出る質問も的を得た興味深いものだらけ、講師陣の方がヘトヘトになるほど、充実した時間でした。
 

 初日は、アンティークの定義とは何?という基本のキからスタートし、西洋美術史の通史をルネサンスから20世紀初頭まで一気に駆け抜け、ランチをはさんで、午後は宝飾美術(モード・ジュエリー)、西洋陶磁、そしてガラスについて学びました。
 

 

 

 2日目は、一時帰国中のフランス国家資格者エベニストによるヨーロピアン家具の歴史や、修復のノウハウ、そして銀器について学び、午後はモノを実際にマーケットで見て知識を身につける、という実践講座で、ちょうど開催されていた「骨董ジャンボリー」最終日へ。何箇所かのブースを解説付きで回った後は、フリータイムで各自お買い物やらディーラーさんとの会話を楽しみ、最後に「アンティーク検定3級」の試験問題をすべてクリアし、無事全員が修了証を手にしました。
 

 

 参加者の中には、すでにアンティーク・ディーラーとして活躍されている方、老舗画廊の2代目、など、とても入門級とは思えないプロとしての知識を持った方までいらして、参加者全員のテンションもとても高かったのですが、これもやはりみなさんが「この世界が、好き」という気持ちから来るものでしょうか。
 

 骨董ジャンンボリーの出展者の方々にもインタビューをしましたが、やはり誰もが口を揃えて言うのは、「好きなものを買って、覚えて、それが一番の勉強」だということ。確かにこの分野は、生活必需品目ではありません、でも、好きな人にはたまらない世界で、ハマる世界なのです・・・よね。
 

 講習参加者のみなさま、2日間の集中講座、お疲れ様でした。
 

 引き続き、2週間後にはアンティーク検定2級の講習が開催されます。
 
 


小平新文化住宅へお邪魔しました

 本年も残すところあと1週間となりましたね。本協会も1年を振り返りますと、多くのみなさまに支えられながら数々の活動をしてきました。2回の海外研修、第6回アンティーク検定試験、そして毎月1回行われているAEAOサロン倶楽部、それぞれ多くの方達にご協力・ご参加いただきました。
 
 AEAOサロン倶楽部・8月の会でゲスト講師を務められた、淺井カヨ先生のご自宅が東京都小平市にあり、この度お邪魔させていただきました。最近ではマスコミへのご出演も多い先生ですので、ご存知の方も多いでしょうか。日本モダンガール協會の代表であり、古きよきものを愛するライフ・スタイルを実践していらっしゃいます。音楽史研究家のご主人・郡修彦さんとお二人で設計を行ったそのご自宅にて、「蓄音器鑑賞会&建物紹介」が随時開催されています。
 

 文化住宅というのは、日本で1920年代から30年代にかけて流行した和洋折衷様式の住宅で、この小平新文化住宅は、見事に当時の様式を再現した建物です。
 
 1920年〜30年代といえばヨーロッパはアール・デコの時代、当時の宮様であった朝香宮様は、パリにしばらく生活し、パリで出会ったアール・デコ・スタイルをそのまま日本で再現し、朝香宮邸(現東京都庭園美術館)を造りましたが、日本の一般の中流階級では、文化住宅と呼ばれる、三角屋根のある応接間を備えた住宅を建てていたようです。玄関を入ってすぐに応接間と呼ばれる洋室があるのが特徴、その応接間にて、ゼンマイ式蓄音機による音楽鑑賞会が催されました。
 

 蓄音機で聴く音楽鑑賞会、いまではとても貴重な時間です。昭和初期の音楽、当時の宝塚の少女たちの歌声・・・しばし時が止まります。
 

 

 そして、待望の建物紹介。どこもかしこも細部にわたっての、お二人の古き良きものを愛するこだわりが垣間見られる空間、アルミサッシではない木枠の窓枠は触ってもひんやりせず、エアコンなんてなくても火鉢のぬくもりで十分に暖かいお部屋です。
 


 

 とてもシンプルで機能的なお台所。
 


 

 これが噂の「氷冷蔵庫」です。電気を使わなくても物は冷やせていたのですね。
 


 

 2階の書斎も、アンティークなアイテムが和洋たくさん。
 


 

 そしてなんと、クリスマス・ケーキというサプライズが待っていたのでした。クリスマス、やはり大正から昭和の方たちも、楽しんでいたようですよ!
 


 
 AEAOサロン倶楽部、2018年もまた淺井カヨ先生との楽しい会を企画したいと思っています。前回ご都合のつかなかったみなさまも、乞うご期待くださいね。