アンティーク検定1級は、2級をすでに合格されている方が対象となります。そのため、受験者は限られますが、この1級を合格すると、あとはスペシャリストの認定が待っています!アンティーク・スペシャリストになるには、1級合格後に所定の講座を受講すれば、自動的に認定されますので、実質試験を受けるのは、この1級が最上級ということになります。
英検1級、漢検1級、一級建築士・・・世の中の検定試験で「1級」と名のつくものは、はっきり言ってそう簡単に誰もが受かるものではありません。だからこそ、権威があるのです。時間をかけて努力をすれば、いつかは受かるものもあるでしょうが、世の中それほど甘くはありません。そもそも誰でも受ければ受かる試験であれば、価値も尊厳もありませんから、権威付けの意味でも、世の試験の1級は、難関になっています。
さて、これらの検定試験、最近の合格率を見てみますと、
日本英語能力検定 (2014年 第3回) 1級 10.4%
日本漢字能力検定(2015年 第1回) 1級 10.2%
日商簿記 (2016年6月)1級 10.9%
美術検定 (2014年度)1級 15.3%
一級建築士 (2015年)12.4%
と、だいたい1級は10%台です。これは10人受けて1人受かる、という見方もできますし、10回受ければそのうち受かる(?)、という見方も、努力次第ではあるでしょう。
さて、わがアンティーク検定1級の合格率は、と言いますと、まだ実施してから年月が浅いため、他の検定のように統計を算出するのに十分な受験者数を輩出しておらず、一般公表はしていません。現在のところ、1級合格者数は、2名のみです。ある一定水準で合格、としていますが、すべて記述式の試験ですので、基本的には2級の内容のレベルを、自分の言葉で正しく表現できる、というのが合否の判定基準になっています。2級では、たとえばこのような文様は何時代の特徴でしょう、と問われて、四択で答えればよいクイズ形式のようなものですが、1級ですと、それを自分の言葉で、理由と共に説明する必要があります。
1級合格者の方たちは、元々西洋美術・西洋文化史の基礎がしっかり身についており、かつ西洋装飾美術工芸のための特別な知識を得るべく、各種講座などに積極的に参加されて、知識を身につけていった方々と思われます。
それでは、2級を合格した後、どうやって1級に向けての準備をしたらよいのか、について、お話しましょう。
西洋美術史:
過去の問題を見ても分かる通り、問題となる作品は、近年日本にやってきた絵画の名作が出題されています。マスメディアで必ずや話題になった展覧会で、その展覧会の代表的な作品(カタログの表紙であったり、ポスターに使われる作品であったり)ですので、それらの作品が、どのようなものなのか、説明できる必要があります。設問の複数の作品の中から、一作品だけを選んで説明すればよいので、得意な分野の作品について、美術的背景などを表現できるようにしておきましょう。
西洋装飾美術工芸史:
こちらも、語句を選んで説明する問題です。装飾様式、著名な工芸作家、ガラスや陶磁器などの特別な工芸用語などから出題されますが、どれも2級合格者なら、聞いたことのある語句ばかりでしょう。2級受験の際の「要点集」をもう一度開いて、そこに記されている語句を、周辺の知識を交えて説明する練習をしながら、もし足りない知識があれば補うようにしてみましょう。
外国語:
英語であれフランス語であれ、単語が外国語で書かれているだけですから、西洋装飾美術工芸史の出題と基本は変わりません。正しい知識を周辺事情を交えながら、一般の人へ易しく説明できる表現能力が問われます。
現代時事アンティーク:
これは、もしかしたら2級よりも1級の方が易しいかもしれません。2つのテーマのうち、1つを選んで、自分自身の見解を述べる、小論文形式です。現状を正しく理解した上で、個人の見解が述べられているかどうかが判断基準になります。テーマは難しいものではないので、その場で考え始めても十分に対応はできますが、普段からアート業界、古美術業界などに関する自分自身の考えをまとめる練習をしておくと、スムーズに回答できるでしょう。
第1回アンティーク検定から、すでに2級を合格されている人は何人にも上ります。ぜひ第5回アンティーク検定で、またあらたな1級合格者が輩出されることを祈っています!