3月のAEAOサロン倶楽部は、東急Bubkamuraで開催中の展覧会「写真家ドアノー / 音楽 / パリ」に合わせて、写真の世界と写真で見るパリ、そしてフランスの音楽についてオンラインにて集まり、語り合いました。
写真に必要なカメラ、この原理となるものは古代からあったようですが、カメラ・オブスクラを使ってフェルメールは絵を描いたのだろうか?レンブラントは?ダ・ヴィンチもちゃっかり使っていた?なんてミステリーに想いを馳せた後は、19世紀の写真の発明と発展について。ニエプス、ダゲール、タルボット…と写真史で必ず出てくる人たち、画家と写真家の葛藤と融和、ナダール写真館の様子など、19世紀になってようやく動き始める世界なのですね。
パリは観光客が普通に撮っても絵になるフォトジェニックな街ですが、その街が出来上がったのが、ナポレオン3世時代、言わずと知れたパリ大改造計画です。その大改造の前、大改造中のパリを撮った写真家マルヴィルの作品を見ると、ああバルザックのパリはこれだったんだな、と思い、改造後のパリを撮った写真家アジェの作品を見ると、ああプルーストのパリはこれだったんだな、と想像し・・・「古き佳きパリ」はどんな時代にもノスタルジックな想いが詰まっているように見えます。
そして、フランスの国民から最も愛されたと言われる写真家ロベール・ドアノー。今回のBunkamuraでの展覧会は音楽をテーマにした写真が展示されていますが、ドアノーは庶民目線で、何気ないワンシーンを実に愛らしくファインダーに収めていますね。郊外に生まれ、郊外に住み続けたドアノー、キラキラしたパリだけでなく、流しのミュージシャンやロマの人たちの生活に優しい目を向け続けた彼は、性格がとてもシャイだったそうで真正面から被写体を見ることができず、二眼カメラを愛用していた(上から覗き込むので、直接真正面から見なくてもよい)という逸話も含めて、どれもこれもほっこりする作品です。
Bubkamuraでの展覧会は3月31日までです。