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2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 8

予定では朝の7時前に羽田空港へ到着予定でしたが3時間ほど遅延、早朝だとそこまで混み合わない空港も、インバウンドが押し寄せてごった返していました。ユーラシア旅行社の方がお迎えに来て下さり、こちらで解散となりました。

今回の海外研修時、ついにユーロは165円の高値を付けました。現地での物価高騰も勢いを増し日本以上に何もかもが高い中、決して安くはない研修費用だったと思いますが、9人もの方がご参加いただき、楽しく充実した1週間を過ごすことができました。

また旅行会社さんへは早くから直行便を押さえていただき、座席の指定も本来は出来ないところを希望を組み取って対応していただけました。

旅行は天気と食べ物が良ければ印象がよい、と言われますが、最後のパリの1日を除いては毎日お天気に恵まれ3月とは思えない暖かい日が続き、また現地のスタッフと共に厳選したレストランもすべて当たりで、一度もツーリストメニューのようなお仕着せがなかったことも満足していただけたようでした。

ご参加のみなさま、ユーラシア旅行社のみなさま、どうも有難うございました。

次回の海外研修、現段階では日程も目的地も未定ですが、是非またこのような充実した楽しいアンティークの研修旅行を企画して参りたいと思います。どうぞお楽しみに!


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 7

名残惜しいですが、ドイツからのご参加者さんを残して日本帰国組、集合時間は朝5時45分、朝食なしでバスで空港へ向かいます。この時間ですのでさすがに空いていましたが、パリ市内からロワシー空港までの高速は1本しかなく、稀にここが事故で通行止めなどになっていると大変なのです。今回は問題なく6時半に、つまり出発の3時間前に空港へ到着できました。

搭乗手続きは今やセルフ行うのが常識となってしまったロワシー空港。搭乗者自らが機械でチェックイン、バゲージタグも自分で貼るシステムですが、アシスタントさんが同行して手伝ってくださったおかげでこちらも難なくテキパキと。

出国、荷物検査と進み、定時出発と書かれた出発ゲートでいよいよ搭乗が開始され…なかったんですね。搭乗開始の案内があり、もう人が並んでいたタイミングで「機材に不具合があり、しばらくかかります、搭乗ゲートは追ってお知らせします」となり、じっと待機。いったんは新しいゲートが知らされたものの二転三転し、そのうち「不具合が整備できないため、機体がをチェンジします、したがってサテライトも変更になります」とのアナウンスに、一旦サテライトを出て、新たなサテライトへモノレールで移動、ここでまた再度荷物検査を受けねばならず、さきほど機内用に購入したお水などの液体も没収。ここでお酒や香水を買っていた人は涙ものですよね。幸い私たちのグループにはいなかったようですが。

二度も厳格な荷物検査を受けてヘトヘトになった後、2時間遅れでようやく機内へ入れたかと思いきや「エール・フランスの乗務規定により、乗務員の勤務時間が超過の限度を超えてしまうため、ここで一旦全員乗務員が降機し、あらたな乗務員が搭乗します、それまで45分ほどお待ちを~」とのアナウンス。お客を放ったらかしにしてでもクルーの残業規定を優先させるのも、安全運航のためですから仕方ないですね。乗客は機内の中では沈黙する仔羊なのです。

というわけでようやく離陸したのが3時間遅れくらいでしょうか。最初の食事がサーブされた時間が15時半だったのは時計を見ていたので覚えていますが、朝6時半に着いてこの時間でしたから、さすがにぐったり。でも1週間の飽食でしたから、ほどよいダイエットになったかもしれません。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 6

今日はパリ最後の日、明日は早朝出発ですので、やり残し、食べ残し、買い残しがないよう泣いても笑ってもあと1日!

あいにくこの日だけお天気が曇り&雨と残念ですが、それでも蚤の市は開催されていますので、朝から元気よく出発!メトロ&バス共通1日券でバスに乗ってリヨン駅からバスティーユ駅へ。バスを降りてほどなくすると今日のブロカント市がもう見えてきました。ヴォージュ広場から近辺までにびっしりとスタンドが立ち並んでいます。

お昼前の待ち合わせ時間と場所を確認した後それぞれ自由行動とし、各自自由にスタンドを回ってお買い物を楽しみます。こういう雨の日は客足も晴れの日より少なく、また出店者側もモノを持ち帰りたくないという法則が働くのか、初日午前でも値切りに成功している様子、みなさん頑張ってお目当てのアンティーク品をゲットです。

そしてこの界隈を歩いている途中で、なんとバッタリと会ったのが小栁由紀子先生!当協会のオンライン海外研修ではAnne先生とのデュアル講師を務めた、家具装飾の専門家の先生です。2014年の第1回海外研修にもご参加いただき、その後の海外研修でよく通訳としてお世話になりました。やはり何か縁があるのですよね。

さて、今回のツアーの最後の午餐はこちらも1864年創業、老舗のブラスリー『Bofinger』、この内装も一見の価値あり、です。12時のオープンには昨夜のル・トラン・ブルー同様回転ドアに予約者が大勢殺到、やはり変わらず人気のレストランなのですね。人が入らないうちに、と写真を撮りましたがほどなくして席も埋まりほぼ満席状態。

旅も終盤になると和食が~、胃に優しいものが~、となりがちですが、今回の参加者さんたちは胃腸の丈夫な好奇心に満ち溢れた方々だらけで、前菜にエスカルゴ、メインにシュークルート、デザートにイル・フロッタントとこれまたブラスリー王道のメニューをチョイスした人も。みなさん、胃が元気過ぎませんか!?

アルザスの遅摘みのブドウでつくられた極甘口ワインをアペリティフ代わりにいただき、フルコースをしっかり食べ、2時間超えのランチが終了しました。

ここからは明日の朝までフリータイムです。もうみなさん、訪れるところをチェック済のようで、予定がびっしり。近くのヴィクトル・ユーゴー記念館やサマリテーヌ、有名な高級ショコラティエなど色々と回ったようです。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 5

今日はベルナルド財団の見学と、フリータイム。オプションで、一昨日訪れて休館だったリモージュ市美術館をリベンジする組と、ゆっくりチェックアウト組に分かれました。リベンジ組は旧市街を散策しながら開館時間9時半に美術館に到着。ツアー本体のバスにピックアップしてもらう10時15分まで45分しかないのですが、リモージュのもう一つの伝統工芸、エマイユ(エナメル・七宝)を見ないでは帰れないでしょうということで、エマイユ展示階へ直行。

地方美術館の一部門ですから、2~3部屋がその展示に充てられているのかと思いきや、ワンフロアそのものがエマイユ三昧、それもものすごい数の所蔵品がクロノロジックに展示されています。

至宝の芸術鑑賞を制限時間内で、というアドレナリンを抑えるのに苦労するジレンマと戦った45分はあっという間に。

添乗員との連携プレーでバスにピッタリにピックアップしていただき、本丸のベルナルド財団へ。日本でも路面店のあるリモージュの老舗メーカー・ベルナルドの本拠地にして、ミュージアム、アトリエ、そしてアウトレット・ショップを併設している財団で学芸員によるガイド付きの見学を行います。

ベルナルド社は1863年の創立以来同族企業で経営を続け現在は5代目が社長、そして息子さんの6代目も既にスタンバっているという老舗のメーカーです。

アドリアン・デュブーシェ博物館、カソー窯を見学しているので、ここでの説明ももはやみなさんにとって、復習。「磁器をつくる原料は何かわかりますか?」「はーい、カオリンと長石と石英でーす」と模範解答ができてしまう、さすが私たち!

ここではどのようにしてそれらの原料からベルナルドの製品が出来上がるかを工程ごとに実践、またビデオを見ながら回ります。

通常1時間~1時間半の見学ツアーですが、逐次通訳をしているためどうしても時間が足りなくなり、最後は駆け足となってしまいましたがそれでもお楽しみのアウトレット・ショップでのショッピングも終え、ホテルまで戻り、残されたのはほんの少しのフリータイム。ランチのサンドイッチをほおばる方、最後のリモージュのお土産買いに走る方、みなさんそれぞれ最後のリモージュの街での滞在を楽しみ、さて、また在来線に乗ってパリへ戻ります。

帰りの列車はコンパートメントではなく普通のオープン・カーで荷物置き場もありました。それでも我らがスーパー添乗員のAsamiさんが途中駅に停車するたびに荷物の盗難防止を兼ねてチェックしてくださって、安心倍増です。頭が下がります。

3時間半かけてパリへ到着、かつての渋谷駅の工事現場のようなオーステルリッツ駅からセーヌを渡ってリヨン駅に隣接したホテルへバスで移動し、さていよいよディプロマ授与式ディナーはこのリヨン駅構内にある『ル・トラン・ブルー』へ。

1901年創業のこの老舗ブラスリー、「装飾が素敵なレストラン」特集などでは必ず登場する、それはそれは豪華絢爛な内装で知られていますが、駅構内のブラスリーであり、ミシュラン星付きのグルメ・レストランという訳ではありません。味はまあそれなり、でもとにかく美しい空間だから、という気持ちで選んだのですがお料理がなんと美味しくなっていて、Anne先生も「ん?こんなに美味しかったっけ?ここ、シェフは誰?」と料理そのものに興味を持ち始めています。

私たちのコースメニューは「PLMコース」、これはParis-Lyon-Méditerranée(パリ・リヨン・地中海)の頭文字で、かつてのブルートレインの経路ですね。

ここの名物と言われているBaba Bouchon(コルク型のババオラム)、こんなサイズで来ましたよ!

しっかりディナーを頂いたところで、お一人ずつにディプロマ授与です。そして記念写真。

出口でも。

Anne先生とはここでお別れです。
残すところあと1日ですが、明日は蚤の市・ブロカント散策の愉しみが待っています。


2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 4

今日はオービュッソンへの1日エクスカーションです。リモージュからオービュッソンまで約1時間半のバスの旅が8時半よりスタート。リモージュは地方都市ですが、いよいよフランスの奥深い田舎へと入ります。

10時過ぎにオービュッソン国際タピスリーセンターへ到着。モダンなこの建物、2009年にユネスコの無形文化遺産登録を受け、2016年にオープンした新しいセンターです。このセンターではタピスリーの展示、タピスリー職人の育成、そしてセンター自らがタピスリーの新作を制作するという3つの活動を行っています。

ルイ14世時代、コルベールの政策の元に王立製作所となったオービュッソンのタピスリー、15世紀の「お城の壁紙代わりに、断熱材として」使用した時代のタピスリーから社会的地位を象徴する調度品として、近代のタピスリー職人であるジャン・リュルサの世界、そして現代アーティストとのコラボレーションまで、そのモチーフの変化と共に一気に500年の歴史を回ります。

「千花模様の一角獣」はオービュッソン最古のタピスリー。

伝統的な形式として、神話や聖書などのストーリーをシリーズで描いていく「tenture」がありますが、その伝統を踏襲して現在シリーズ制作をしているのが、我らが宮崎駿の作品群で、現在4作品が完成しセンターに展示、残りは制作中です。

センター見学後は、この宮崎プロジェクトにも関わっている日本人のタピスリー職人、許斐愛子さんのアトリエを訪ねます。

大型バスの通行制限でなかなかアトリエまでたどり着けず、自ら近くまで出てきていただいて私たちをお迎えしてくださった許斐さん、現在では個人でアトリエをもって制作をしていらっしゃいます。

このアトリエで実際の織り方や織機の構造、台紙に描かれた下絵をどのようにして織機で織っていくのか、道具の種類やその使い方、ゴブランのタピスリーとオービュッソンのそれの違いをbasse-lisse / haute-lisseといった専門用語をわかりやすく教えていただき、実践していただきました。

私たちがタピスリーを織ることはないでしょうが、完成したタピスリーを見て、どこの工房で織った誰の作品なのか、付いているナンバーは何を意味するのか、そんな見方も教わったところでお腹も空き、許斐さんも交えてのランチへ。

このレストランもほぼ廃墟だった建物が、タピスリーセンターが出来たことで観光客も増え、リノベーションを経て現在のホテル&レストランになったのだとか。予め聞いておいた通りとても美味しいお味で雰囲気もあるレストランでした。

人口3000人のこのオービュッソンに日本人が、それもタピスリー職人が住んでいるというだけでも驚きですが、なんと他にも日本人が2人いて、ガラス職人さんと尺八のミュージシャンだと聞きこれもびっくり!同胞が世界のさまざまな地で芸術活動をしているというのは、本当に誇らしいですね。

ランチ後は、メゾン・デュ・タピシエの見学予約が入っていますが、レストランのすぐ隣がなんとタピスリーのアンティーク・カルトン(下絵)のお店、ちょっと入り口を覗いてみたら店主のマダムが「入りなさい、入りなさい」と1回3人までと書かれている小さなお店に全員入れて、タピスリーのカルトンに関する説明を始めてくださいます!

お話をずっと聞いていたいところですが、次の予約が迫っており、残念ながら短時間で切り上げてメゾン・デュ・タピシエへ。午前のセンターと許斐さんのアトリエで基礎知識が頭に入っていたので、ここでの説明はそれらを補完するものとして、すぅ~っと頭に入ってきました。

メゾン・デュ・タピシエの後は、しばし散策。地元のお菓子屋さん、雑貨屋さんなどでお買い物をしてさあバスに戻りましょうというところで、なんとアンティーク・ショップを発見!全員の眼が一気にハンターに転じ、ここを通り過ぎるのはこの人たちには無理、と判断した添乗員がドライバーさんへ若干の時間延長交渉をしてくださり、無事10分確保、その間にみなさんこれまでに培った目利きの力を最大限発揮し、お買い物。アンティークは場数を踏んでいないと即決できない、いい実習です!プロさながらのみなさん、「あ、これSarregueminesだわ、4€、安い!状態良し、買っちゃお」と秒で決断。

もっともっとこの地に留まりたいところですが、バスに乗ってリモージュへ戻り、ホテルで少し休んだのち、最後のリモージュのディナーへ。リモージュの中では恐らく一押しの伝統レストラン、『Bouillon Limousin』へ。

アール・ヌーヴォーの装飾ムンムンのこのレストラン、地元の人でも大人気なのでしょう、既に満席状態です。それもそのはず、なんとディナーは木金土の3日しか営業しておらず、しかも19時~20時半という、フランスとは思えない営業形態です。7日前までにメニューを決めておいてねと言われていた理由もこんなところにあるのでしょうか。

名物の伝統料理リム―ザン牛を選んだ人も多かったです。

そして今日は参加者のお一人のバースデー。予めお店の方へデザート時にキャンドルサービスとシャンパンを頼んでおき、みなさんで無事お祝いすることができました。Akikoさん、お誕生日おめでとう!!

ほろ酔い加減でホテルへと戻り、リモージュの最後の夜を楽しみました。