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2019年春・海外研修最終日

研修5日目、最終日です。今日はシャトゥ蚤の市の散策でスタート。昨年は雪が降ったこの市ですが、今年はやや曇りがかってはいるものの、十分外歩きが楽しめる気候です。

1週間前のパリは荒れに荒れたジレ・ジョンヌの過激デモ、収束しないこの運動で今日は厳戒態勢が敷かれ、シャンゼリゼなどは軍隊が出ていて通行禁止、私たちのリムジンカーはオペラ界隈からうまく通行止め道路を迂回してパリを脱出、予定通り30分後にシャトゥ骨董市へ到着しました。

なぜここに年に2回骨董市が開かれるようになったのか?実は中世からの歴史があったのです。そんなレクチャーを簡単にした後は、自由散策。みなさんそれぞれのお買い物を楽しんだ後は、すぐ向かい側の中州へ移動します。

19世紀後半に粋な遊び場所として流行したシャトゥの中洲は印象派の画家たちがしょっちゅう遊びに来て写生をしていたことから「印象派の島」と名付けられていますが、20世紀前半には一旦クローズし、やがて廃墟化したこのレストランをシャトゥ市が買い取り改修をしてあらたに過去の様相を取り戻したのは1990年代のこと。

ランチを兼ねてのディプロマ授与と講評を、この由緒あるメゾン・フルネーズで行った後、せっかくなので併設されている美術館も見学して、無事デモも通り過ぎたパリへリムジンで戻ることができて、ラッキーでした。

最後の夜は有志の研修生のみなさんと打ち上げを楽しみ、楽しい研修が終了しました。
その後は日本へ帰国する方、少し残る方、他の地域へ旅する方、それぞれの旅が続くようです。
 

 


2019年春の海外研修・4日目

研修4日目。 お天気に恵まれ、グランドホテルのあるスタニスラス広場も朝から青空で輝いています。
 


  
今日は基本「自由日」です。2日間終日みなさんで電車やバスで一緒に動き、やや疲れが溜まっているであろう4日目は、ドーム・ブティックの見学とお昼のエクセルシオールでのランチ以外は敢えて自由に過ごしてください、というスタンスにしました。ナンシーはそれなりの規模の街ですから、十分に個人で楽しむことができます。
  
朝10時からオープンのナンシー市立美術館でドームコレクションを見たり、ショッピングに出かけたり、お散歩をしたり、自由に過ごした後はすぐお隣のドーム・ブティックにてプライベート見学&ミニレクチャー。ドーム誕生の歴史から現在のパート・ド・クリスタルが生まれるまでのドームの変遷を聞いた後、国家遺産にも指定されているアール・ヌーヴォー内装で有名なエクセルシオールにてランチ。
 

 
その後はナンシー派美術館見学組、ドーム工場に設置されているアウトレットでのショッピング組、街中をゆっくり散策組に分かれて、それぞれのナンシーの午後を楽しみました。


 
コーデイネーターのダニエルよりナンシー名物ベルガモットのキャンディをお土産にいただいてナンシー駅で別れた後、TGVにてパリへ。1時間40分であっという間にパリ東駅に到着しました。
 
ここでお一人最終日を待たずに帰国される研修生と別れを告げて、それぞれパリのホテルへと向かいました。
 
 


2019年春の海外研修・3日目

研修3日目。今日は欲張り日です。いいホテルに滞在したときは、できるだけチェックアウトギリギリまで優雅な気分を味わっていたいもの。せっかくのシャトーホテルですが、その後のスケジュールのために朝9時半には出発、まずはサン=ルイ=レ=ビッチュにあるクリスタル美術館 La Grande Place を見学します。


 
ビッチュという地名が先にあり、16世紀から存在していたこのガラス工房がルイ15世より聖王ルイ9世にちなんだSaint-Louisの名前をいただいたことで、サン=ルイ王立ガラス製造所となったのが18世紀後半のこと。革命後は株式会社になり、現在ではエルメスの傘下に入っているものの、ずっと現在まで続いているこのサン=ルイこそが、バカラに先駆けてフランスで初めてクリスタルの開発に成功した老舗メゾン。
 
美術館は非常にオリジナルなセノグラフィー、表参道ヒルズのように回廊を上がってテーマ毎の作品を見ていきます。もともとの工房をそのまま美術館にしているので、ちょっと寒いです。最初にガラスとクリスタルの違いを重さ、音、屈折率などで実験させるコーナーがあり、サン=ルイがフランス初のクリスタル製造所だという事実が誇りだとわかります。


 
隣接されている製造所は普段は実際に見学が可能なのですが、今回は残念なことに4月中旬まで工事のためクローズ、それでも「ここから先進入禁止」の場所から覗き込むと、職人さんたちがガラス種を吹いている様子が竿とともに遠くから見えたりして、覗き見成功!
 
ブティックでは直販売のためか、一般よりは安い価格でのサン=ルイのガラス、ミュージアムグッズが販売されており、ここでお買い物をしたのち、途中の街サルブールでランチ。
 
ちょっとしたハプニングがあり、このレストランの住所がバスのGPSにもコーディネーターの車のGPSにも反映されません。それほど大きくもないサルブールの街に入っても全く探せずレストランに電話をして現在地を言うと、Ibisのホテルの近くだ、と。15分ほど迷った挙句にたどり着くと、そこはIbisホテルそのもの!なぜIbisのホテルの名前を出さないかというと、そこはやはりイメージの問題で(Ibisは昔からフランス全土にあるいわゆる安ホテルチェーン、しかし最近では変わってきていて、赤Ibis、緑Ibisなど格付けもされており、さらにIbis Styleというシックなところも出てきてはいる)、それなりのガストロノミックなレストランとしては、やはり出したくないよう。
 
後からシェフが挨拶に来て、自分の同僚は今東京ステーションホテル内のレストランのシェフをやっているのだ、と日本に好意を持ってくれたのか、ディジェスティフ(食後酒)をあれこれサービスで出してくれました。
 
たっぷりフルコースを味わった後は、バカラ村へ。現地のバカラ美術館を見学するのに、コーディネーターは当初とても躊躇していましたが(パリのバカラ美術館の華麗さに比べてあまりの質素さにがっかりするのではないか、と)、不安は杞憂に。というのもここも数年前にリニューアルされて、とても明るく綺麗な展示に様変わりしただけでなく、なかなか見られないバカラ製品の家具も展示されていたのです。


 
またバカラ村の教会は、バカラのクリスタル・ステンドグラスで装飾されており、クリスタルのステンドグラスというのは世界中でここにしかないのです。ちょっと急ぎ足でしたが教会、ブティックと駆け回り、ナンシーのGrand Hôtel de la Reineへ到着しました。


 


2019年春の海外研修・2日目

研修2日目、今日から2泊3日のアルザス&ロレーヌへの旅がスタートしました。
 
パリからTGVでストラスブールヘ行き、乗り換えてローカル電車でウィンゲン=シュール=モデールへ。滞在するシャトーホテルから迎えの車でシャトー・オッホベルグに半日かけて辿り着きました。


 

 

 
1室1室違うシックなシャトーホテルは2015年にオープンしたばかりで、ラリックの匂いぷんぷんの内装に、ガストロノミックなレストランが売りの4星シャトー。ここでランチを頂きながらホテルの方に伺ったところ、シャトーは長い間子供達のコロニーバカンスに使われるくらいで放置されていたのを、ラリック美術館の開館(2011年)以降、活性化しようとシャトーホテルに様変わりしたようです。そしてさらに近くにVilla Laliqueというスイートルームが数室あるだけの超高級5星ホテルがあり、ここは近くにあった3星レストランのシェフが、レストランを閉めてあらたにガストロノミーの食事を提供するスイートルーム専用ヴィラとしてオープンしたということでした。
 
コーディネーターの車で見学に行こうとしたら、門が閉まっており「火水休業」。値段表を見ると、1泊1000ユーロなんて部屋まで!
 
軽くランチを取った後は、目の前のラリック美術館を見学、オープンしたばかりのこの場所は、ラリックがガラス工房をパリ郊外から移したまさにその場所なのです。テーマ別に展示されている数々の作品、ラリックのジュエリー時代からラリック死後のラリック・フランス社に至るまでの100年の歴史が一堂に会しています。


 
ガラス製造の過程がモールドと共に展示され、またその製造工程のビデオも興味深く、最後のブティックにたどり着いたのが閉館10分前、そろそろレジを閉めるそぶりを見せられたのを無視して、リングを購入してしまうアンヌ。
 
夜はまたシャトーホテルでフルコースをたっぷり食べて飲んで、夜が更けていきます。
 
 


2019年春の海外研修・1日目

2019年春の海外研修がスタートしました!
 
今回のテーマは「フランスの華麗なるクリタルの世界」
参加者のみなさんは、アンティークスペシャリストから海外研修のリピーターまで、みなさんそれなりに装飾美術の世界を日頃研究されていらっしゃる方ばかりで、参加の熱意がプンプン漂ってきます。
 

  

 
午前は17世紀から20世紀までのガラスの歴史についての講義、完璧な通訳をされる小栁由紀子先生のおけがで、ヴェネチアのガラス、ボヘミアのガラス、そしてイギリスのクリスタルガラスの発明を経てフランスのガラスが隆盛を誇る19世紀、とガラスの理解が深まりました。
 
集中講義の後はメゾン・バカラへ移動し、お昼はレストラン『クリスタル・ルーム』内のプライベートルームにてランチ・レクチャー。すでに午前の講義で出てきた『アルクール』シリーズのグラスがセッティングされています。プライベートルームに飾られている石膏の型は、まさにバカラの歴代のグラスをはじめとするガラスウェアのフォルムでした。
 

 
たっぷり食事をいただいた後は、そのままバカラ美術館を見学。バカラの歴代の有名人注文主(ジョゼフィン・ベーカー、ダリ、コクトーetc)のそれぞれのグラスウェアから始まり、万博出品作品から現代アーティストとのコラボレーション、ジュエリーにいたるまでそれほど広くはない空間ですが雰囲気と共にゆったり見学をします。
 

 
バカラ美術館もブティックも、来るたびに展示品が入れ替わっており、毎回新しい発見がありますね。