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セラミックス・ジャパン

 本日はAEAOサロン倶楽部、1月の回でした。
 渋谷区立松濤美術館で開催中の「セラミックス・ジャパン」展の見学をメインに、日本の陶磁器の世界を、江戸末期から第二次世界大戦中まで、西洋との関わりを含め、世界市場での状況などを一緒に紐解いていきました。
 
CERAMICSJAPAN
 

 事前レクチャーは、松濤美術館のすぐ近くにある、落ち着いた素敵なカフェ、Takagi Klavierにて。ここの松濤チーズケーキは絶品です!
 

 セラミックスとは陶磁器、陶器と磁器の両方を言いますが、日本の磁器のスタートは1616年。これは、昨年2016年が「日本磁器の誕生400年」として、ざまざまな展覧会やイベントが行われていたので、記憶に残っている方も多いでしょう。ヨーロッパの硬質磁器のスタートはマイセンの1709年ですから、約1世紀前には、日本ですでに磁器が作られていたのですよ、とよく話していますが、ヨーロッパのように、硬質磁器の製法解明に伴って従来の陶器が下火になるかと言えば、日本ではそんなことはありませんでした。
 

 幕末から明治の初期にかけての万博に参加したことにより、西洋にはジャポニスム・ブームがやってきますが、やがてそのブームも衰退します。そんな中、日本の陶磁器業界では、どのようにして乗り切っていったのか、日本にはアール・ヌーヴォーはあったのか、民藝とどのような接点があったのか、日本の最初のディナーセットはどのようにして作られたのか、戦時中はどんなものを作っていたのか、デザインの変遷は・・・こんなすべての問いに、「セラミックス・ジャパン」展は答えてくれました。
 

 会期中、前期と後期で作品の一部が入れ替わっていたため、すべての作品は展示されていませんでしたが、それでも十分に堪能できる展覧会。
 

 作品の多くが「個人蔵」で、滅多に市場ではお目にかからないものも。精磁会社や京都陶器会社といった、今は亡き窯のこういった作品は、本当に貴重な資料ですね。