月別アーカイブ: 2016年6月

2016パリ・アンティーク海外研修=5日目=

 長いようであっという間のパリ研修も、最終日になってしまいました。
雨が降りそうで降らずに、なんとかお天気には恵まれている1週間。
 

 今日土曜日は、日本では通称「クリニャンクールの蚤の市」と呼ばれている、サントゥアン蚤の市へ向かいます。この蚤の市は土日月のみの開催です。
 

 ところでなぜ「クリニャンクール」と呼ばれているかというと、メトロの最寄駅がクリニャンクールという名前(Porte de Clignancourt)なのですが、この界隈はといえば、ちょっと危ない地域、駅を降りると怪しげな物売りたちがわんさかいて、フランス人でも「あまり近づくな」と言います。そこで、パリ市内から蚤の市までは、ミニバスを手配、とても快適にマーケットの中まで入ります。
 

 まずはアンヌより、サントゥアン蚤の市の誕生の歴史や構造などをざっと説明、その後、ヴェルネゾン、ドフィーヌ、アンティカ、ビロン、ポール・ベール&セルペット、ロントルポを一緒に回ります。サントゥワン蚤の市は、こうしたいくつものマーケットから成り立っています。
 

 ポール・ベールの中には、以前当協会のAEAOサロン倶楽部でゲストとして来ていただいたステファニーのお店、RIKYUもスタンドを出しており、フランスにおける和骨董を紹介しています。
 

 さて、お腹が空いたところでランチは、蚤の市の雰囲気ムンムンのLa Chopeにて。ここはジャズのライブが売りで、雰囲気抜群なのですが、わたしたちのために用意された席はあまりにミュージシャンに近く、おしゃべりも聞こえないため、残念ながら奥のホールへと移動。いわゆるビストロ料理とも言える、B級グルメっぽい料理とカラフのワインで、みんなで盛り上がり。
 

 午後は自由時間です。1時間半くらいしかありませんので、みなさん午前中に一緒に回ったマーケットの中から、めぼしいマーケットへと直行、日本では売られていなかったエルメスの限定トートのヴィンテージものを見つけたり、ガラス製品やランプなど、いろいろ漁っています。
 

 パリへの戻りは、また快適なミニバスでパリへ。次に向かうのは、フラゴナール香水博物館です。
 

 香水や香水瓶の歴史は、以前にもAEAOサロン倶楽部で話したこともあって、そのとき受講していた研修生からは「ああ、やっとつながった、わかった!」と。やはり事前に少しでも知識を入れておくと、理解しやすいですね。
 

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 今回は特別に日本語による解説をお願いしていたので、日本人ガイドさんがテキパキと説明してくださいます。最後には試飲ならぬ、試嗅?でも人間の嗅覚には限界があるので、一度にたくさんの香水は嗅げません。仕事にする方でも、1日1〜2時間しかもたないそうです。
 

 カクテルパーティまでの自由時間は、有志の方たちで近隣のパサージュ巡り、サミュエル・ビング氏がアール・ヌーヴォーというブティックを開いた跡地を見に行ったり、初日に行ったお菓子屋さんでアイスクリームを食べたりして、これもあっという間。
 
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 いよいよ研修最後のパーティです。
 前回の研修に参加して、そのままパリに残って勉強を続けているSさん、フランス国家資格を持ち、絵画の修復工房を運営しているMさん、家具の専門学校を卒業し、家具の修復を手がけるAさんなどが駆けつけてくださり、日本からの研修生との、またとないよい交流の場になりました。
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 ワインやシャンパンの調達、それぞれのワインに合うおつまみのフォアグラやサーモンをサービスしてくれたのは、アンヌ自らと、アンヌの娘さんのリラちゃん。9歳にして、立派なマドモアゼル、社交をこうして子供のころから身につけるフランスですから、みなさんにおつまみを勧める役を丈夫にこなします。
 

 おしゃべりで夜が更けていきますが、まだ外は明るく・・・そう、夏至に近いこの季節、22時でも外は明るいのですが、そろそろ楽しかった宴もおしまいです。
 

 ちょっとしたハプニングと言えば、この日からエール・フランスがパイロットによるストライキを始め、みなさんの帰国便に少しずつ影響を与えはじめたこと・・・。グループ旅行ではないため、それぞれバラバラなスケジュールなのに加え、いつの便が欠航するかは前日までわからないという、何ともひどい状況。しかし1週間のフランスで、みなさん「なるようになる!」とどこかで腹を括っているのか、不安がっても仕方ない、今を十分に楽しみましょう、とポジティブ&エピキュリアンなっている様子・・・!?
 

 研修生のみなさま、1週間どうもお疲れ様でした。楽しかったですね!
 


2016パリ・アンティーク海外研修=4日目=

 研修4日目のスタートは、銀食器ギャラリーの見学です。
 サンタンヌ通りにある、オルフェヴルリーIsabelle Turquinのお店には、18世紀、19世紀からアール・デコに至るまでの、あらゆる銀製品が珠玉揃い!
 テーブルアートの歴史を初日に学んでいるわたしたちは、あ、これはあれに使うものだ!と想像がつくものもありますが、果たして何の道具なのだろう?と思うものも・・・。クイズ形式で、いろいろな謎を解き明かしていきます。
 
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 そしていよいよランチは、あの殿堂・ミシュラン2星レストラン『グラン・ヴェフール』へ参ります。art de vivreの研修だから、一度くらいはきちんとしたレストランでの食事を入れたいと思っていましたが、お味ももちろんのこと、レストランの内装や歴史を考えると、『グラン・ヴェフール』は最適なところです。金曜のランチというのは最も予約が取りにくいだけあって、数ヶ月も前からテーブルを押さえていたのですが、その極上の料理に舌鼓を打つ時がやってきました!
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 ギィ・マルタン氏が自ら満面の笑みで迎えてくださったのにすっかり気を良くし、まずはシャンパンでアミューズ・グールをいただきます。前菜、メインと進みにつれ、お腹ははちきれそうに。そこにあのチーズプレートが登場、でも一流レストランでチーズを食べないのは片目のない美女ですから、一切れずつでもみなさんでいただきます。そしてデザート・・・と思いきや、デザートの前のデザートですでに豪華なプチフールやパンナコッタムース、パート・ド・フリュイなどが出てきます。正真正銘のデザートが出てきた段階では、次の装飾美術館の見学予約時間を30分オーバー。こういうレストランでは余裕をもって2時間半見ていましたが、それでも全然足りませんでした。
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 食後のカフェをパスし、慌てて・・・それでもパレ・ロワイヤル回廊を楽しみながパリ・装飾美術館へ。これまで習ってきたことを、中世から19世紀までおさらいしながら、テーブルウェアを中心にアンヌの解説で閉館時間まで、じっくり鑑賞します。
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 6月の日没時間は22時ごろですから、閉館時の18時というのはまだ昼間のようなお天気。その後はルーヴル美術館の夜間営業に行く人、ブーローニュに新しくできたルイ・ヴィトン財団の建物を見に行く人、買い物に行く人・・・みなさんパリの夏至に近い夜の時間を十分に愉しんでいます。
 

 (翌日に続きます)


2016パリ・アンティーク海外研修=3日目=

 3日目の午前中は、ワイン博物館を訪れます。
 パリ16区はパッシー地区にある博物館なのですが、住所と番地さえあれば基本どこにでも辿り着くことのできるパリでも、ここだけはフランス人でさえも迷うというほどわかりにくい場所、したがって待ち合わせはメトロの駅です。
 

 元々Colline(丘)だったパッシー地区。ここは高低差が激しい地でも有名で、こっちの建物の5階があっちの建物の1階というほどで、このワイン博物館も低地に建てられているため、入ったその階がすでに地下室のようになっています。

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 この博物館は、元は修道院で作られたワインを保管する倉庫だったのですが、やがて革命で取り壊された後、エッフェル塔のレストランのオーナーが使用、1984年からは、フランス王位執事協会による運営となり、ワイン博物館として生まれ変わりました。
 

 ワインに関するあらゆる道具、そしてワインをめぐる有名人の展示室なども設けられています。地下室独得の黴くさい空間も、5分も経てば鼻が慣れてしまうのか、1時間にわたる見学はあっという間に終わってしまいました。
 

 ここではランチ時のみレストランがオープンしていますが、ランチを前に、高低差あふれるパッシー地区を一回りして運動(?)した後は一旦解散。一部の研修生たちは、この日は一星レストランのランチの予約をしていました。

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 午後は、アンヌの提案で、マキシム美術館を訪れる前に、付近のart de vivreに関する一流店を訪問します。訪れたのは、クリストフル本店と、ラリック本店。通常一流ブティックというのは、なかなか「買わずに見るだけ」で入るのは、勇気が要る店構えですが、アンヌの案内のもとに、お店の方ともいろいろなお話を楽しみました。
 

 そしていよいよ、マキシム美術館。

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 そう、あのレストラン・マキシムの中には、アール・ヌーヴォーの美術館があるのです。
 今回は、わたしたち日本人研修生のために、特別に時間を設けてプライベート見学をさせていただきました。元々、高級娼婦たちの社交の場であったマキシム、現オーナーのピエール・カルダン氏が20代のころからコレクションし始めたという、アール・ヌーヴォーの逸品が所狭しと並びます。
 
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 案内役を勤めてくれたマダムは、実は歌手&女優、彼女のCDを目ざとく発見した研修生もさすがで、さっそくCDサイン会に!マダムもご満悦で、ポスターやカタログをプレゼントしてくれました。
 
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 木曜日はフランスのショッピング・デーと呼ばれるノクチューヌの日。日本のように普段遅くまで買い物ができないこのパリでも、木曜日だけはデパートや美容院など、夜間営業をしています。マキシムの隣のカフェ、ミニマムで乾いた喉をうるおした後は、みなさんショッピング・タイムでしょうか?
 

 (翌日に続きます)