投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

東京ジャーミー、東洋一美しいモスクに身を置いて

AEAOサロン倶楽部「イスラム美術と東洋一美しいモスク」にて、代々木上原にある東京ジャーミーの見学ツアーに参加しました。ジャーミー(Camii)とは、人の集まる場所を意味するアラビア語が起源の「大規模なモスク」を意味するトルコ語だそうです。

イスラム美術は現在私たちが学んでいる西洋アンティークのルーツともなっている多くの要素を含んでいます。ヴェネチアのガラスもイスラムから入ってきましたし、カリグラフィー、幾何学模様、植物模様…多くの装飾の共通項目があります。今や渡航制限もあり、イマーム・モスクやピンクモスクを見になかなか行けないご時世ですが、東京には実は東洋一美しいとされるモスクがあるのです!

日曜日のお昼、まずは懇親会と称してイタリアンのランチをいただきます。ここ代々木上原はグルメなお店の激戦区、民家のようなところにも知る人ぞ知る名店が隠れていてお店選びも迷ったのですが、今日はランチ後そのまま通り沿いに歩いて東京ジャーミーに辿り着ける立地にあるお店、La Stella Polareを選んでみました。北極星という意味のイタリア語ですね。5階のフロアからすでにミナレット(尖塔)が見えています。

冷製スープ、前菜、パスタにフォカッチャ、ドルチェとフルコースながらも上品な量でどれも美味しくいただいた後、東京ジャーミーへと向かいます。

14時半からのガイドツアーをめがけて早めにやって来たのですが、時間になるとどんどん人が膨れ上がってきました。

この地にモスクが建てられたのははるか昔、ロシア革命時にまで遡ります。当時ロシアに住んでいたトルコ系イスラム教徒がシベリアを経て日本へ移住、この辺りに住み着いて礼拝堂を建設したのが1938年、その初代礼拝堂が老朽化のため1986年に解体されます。その同じ場所に再建されたのが現在のこのモスク、躯体は鹿島建設ですが、大理石やセラミックの資材はトルコから輸入、工芸職人、技術者もトルコから来日して2000年に完成したのが、この東洋一美しいとされるオスマン様式のモスクだということでした。

その装飾の特徴(チューリップやカーネーションの由来、コーランの一節であるカリグラフィー)や、扉の向いている方角(メッカ)、1日5回のお祈りは何を意味するのか、コーランの役目は何か…そんなイスラム教の初歩的な解説を1時間たっぷりかけてユーモアを交えて語っていただいた後、いよいよ礼拝堂へ上がります。外観をより近づいて見られる位置から、「鳥の宮殿」と呼ばれる人口の巣箱の彫刻なども鑑賞できました。お隣のトルコ文化センターの建築についてのレクチャーなども受けたところで、いよいよ聖堂内へ、靴を脱いでスカーフをかぶって入ります。もう入った瞬間に美しいステンドグラスとドームの幾何学模様が目に飛び込んできます。どこを見ても美しい、鮮やかな、それでいて静謐な装飾。

ちょうどお祈りの時間が始まりました。なぜ横に一列に並ぶのか、女性と男性で場所が違う理由、今はどんな内容なのか、なぜここで一部の人たちは帰るのか…ただモスク内に入っても絶対にわからないであろう細かなしぐさの意味などもガイドの方が解説してくださいます。そして、女性だけが上がれる女性専用の礼拝場所へも急こう配な螺旋階段を上って行ってみました。女性専用のこの場所のほうがより天井のドームやステンドグラスに近く、シャンデリアも至近距離で見ることができます。

充実した見学ツアーでしたが、ちょうど早稲田大学の調査研究グループの学生さんが一緒で、私たちの仲間の一人・中山久美子先生がインタビューされることに!彼女も早稲田大学大学院の卒業生なので、偶然とはいえ最適解な人物を選んでいるところもアラーの神の力!?

そして最後に館内にあるハラールマーケットへ!トルコのバザールでよく目にしたようなお土産から、バクラヴァなどのアラブ菓子、チーズケーキ、くるみケーキ、その他乾物でなかなか普通に売っていないような食品や香辛料などあって大盛況、もちろん私たちもあれこれ買いましたとも!

また近くに来たらぜひ訪れてみたい場所が1つ増えました。ご参加いただいたみなさまもお疲れ様でした。

Day3ハウステンボスと長崎で知るヨーロッパ建築 ~ 2026年春の国内研修旅行

ホテル・ヨーロッパの朝食は3つのレストランから選べるのですが、どこも美味しそうすぎて迷いに迷い、結局はみなさんでホテルの一番人気という、運河を臨む開放的な『アンカーズラウンジ』でのビュッフェに。混み合うということでしたが、平日ゆえか朝8時でも待つことなくグループで席を用意していただき、たっぷり1時間かけて、長崎名物の和華蘭朝食をあれもこれもいただきました。朝からスパークリンワインにしゃぶしゃぶに、と、こんな朝食も旅ならではの醍醐味ですね。

オフィシャルホテル滞在の特権で1時間早くハウステンボス内に入れるのですが、パッキングをして荷物を預けて、とやっていると早くも10時に。早速昨日下見をしたハウステンボス美術館内にて「レンブラントとオランダ絵画を巡る旅」展を鑑賞します。アミューズメントパーク内にあるミュージアム、とちょっと高を括っていましたが、いやはや素晴らしい!レンブラントの銅版画の名作も時間があったらもっともっとゆっくり鑑賞したい作品だらけ。オルゴールギャラリーも圧巻でしたし、オランダ民族衣装の展示も宝飾品などめったに見られないものが展示されていて、建物や庭園だけでなく内部も実に見ごたえがありました。

ここで、この巨大な敷地内を効率よく回りたいという若者チームは1時間1000円のレンタルサイクルにて、こんなところで転んでは、と慎重なお年頃チームは歩いて次に向かったのはギヤマンミュージアム。ここもガラス博物館として、箱根ガラスの森美術館や小樽の北一ヴェネツィア美術館に引けを取らないレベルです。レーマーガラス、レースガラス、ファソン・ド・ヴニーズ、クリスタルのシャンデリア…ガラス工芸の歴史が垣間見られる展示空間でした。

さきほどの美術館もこのギヤマンミュージアムもそうですが、芸術展示施設として非常に高いレベルなのに、アトラクション施設と混じり合っているせいか、ターゲットがなかなか絞り切れていないのが残念な気がします。ただ通り過ぎるだけの修学旅行生、彼らにとっての興味は…やはりエヴァンゲリオンですかね。

あまり時間もないので、あとはショコラ伯爵の館に入ったり、お土産屋さんで買い物をしたり、ちょっと喉も渇いたし小腹が空いたねということで軽食カフェに入ったりしているうちにあっという間に集合目安の14時に。1本早い空港バスで帰る人や離脱してJRハウステンボス駅から次なる地へ向かう仲間と別れを告げ、我々本体組も空港バスに乗車…する間際に、羽田空港の滑走路の1本が閉鎖されているという嫌なニュースが!?

無事空港に到着、少し前の時間帯の便には影響が出ていたようですが、幸い我々の便に遅延情報は出ておらず、空港内ショップ内では長崎の変にゃーが、に遭遇!写真撮影に応じてくれましたよ。

長崎空港は非常にコンパクトで、手荷物検査場を超えたらもう搭乗口という近さなので、ギリギリまでラウンジにてドリンク&休憩&充電タイム。やがて幸い定刻通りに出発、羽田に無事到着して解散となりました。

ご参加いただきましたみなさま、とても楽しく充実した研修旅行でした。ありがとうございました。また秋も国内研修を企画しております、次は何処に行きましょうか。

Day2ハウステンボスと長崎で知るヨーロッパ建築 ~ 2026年春の国内研修旅行

昨夜の恨めしい雨もどうやら上がり、今日は屋外でも過ごしやすそうです。まずは美しい光が差し込むステンドグラスの旧聖堂レストランにて朝食でスタート。メインの和のお重またはアメリカンプレートに、ビュッフェでフレッシュジュースやヨーグルト、サラダにチーズ、フルーツ、アペタイザーを好きにいただくスタイル。器もカトラリーも何もかもが洗練されています。プチ・ラグジュアリーホテルならではで、騒がしい子どもやガヤガヤした団体はおらず(我々が唯一のグループかな?でも上品に振舞っていましたよ!)、上流な「気」が溢れかえっていました。

こんなホテルになら何泊でも軟禁されたい!という気分ですが、荷物を預けてすぐ近くのグラバー園へ。キリンビールの誕生に関わったトーマス・グラバーさんの旧グラバー住宅が国指定重要文化財で世界遺産となっていますが、日本で最古の木造洋風建築と言われている建物です。他にも旧ウォーカー住宅、旧リンガー住宅など洋風建築が点在し、ベランダコロニアル様式を愉しみました。

次いですぐお隣の、世界文化遺産にして国宝の大浦天主堂へ、江戸末期の1864年に建立、ネオゴシック様式でしょうか。スタンドグラスの一部はフランス製で日本最古とも言われているようです。大浦天主堂キリシタン博物館も同時に見学できるのですが、かつてのキリシタンの迫害の歴史でもあり、色々考えさせられますね。

みなさんが昨日からチェックしていたガラスショップ『グラスロード1571』にて集合、長崎はびいどろ、ギヤマン、ステンドグラスとガラス工芸の歴史の街でもあり、オリジナルなガラスアクセサリーもあってあれこれ選んでいるうちにあっという間に時間が過ぎてしまいました。

ホテルに戻って荷物をピックアップし、タクシーに分乗して長崎駅へ。駅のコインロッカーに荷物を預けて、駅構内の『みのりカフェ』にてランチをしたのは13時過ぎ。長崎名物ミルクセーキ付きのランチセットを頼んだら、ミニではなく単品と同じサイズのミルクセーキがどどーんと来ましたよ!

ランチが終わったのは14時過ぎ、1時間後にはJR九州シーサイドライナーにてハウステンボスへ出発です。それでも予定通り『聖フィリポ教会』を見に行く、というチームは駅前からタクシーで(歩けるのですが、上り坂にビビる私たち)、駅でゆっくりコーヒーを飲んだりショップやお土産を見たりする、というチームとはコインロッカースペースに14時45分に集合とし、予定通り長崎駅を出発しました。たった2両の、予約もできない在来線なので絶対空いているだろうと思いきや、意外と学生なども乗りこんできて立っている人もいました。1時間半の列車の旅、始発駅から早めに並んでいてよかったです。

定時に到着したハウステンボス、もうここは九州のディズニーランド!?

私たちはオフィシャルホテル宿泊者の特権で、入口からカナルクルーズにてホテルまで送っていただけるサービスを利用します。10分ちょっとのクルーズで、ホテル・ヨーロッパに到着しました。

大型ホテルですので、館内も広くレストランだけでもいくつかあります。ちょうどチェックイン時にはロビーコンサートが開かれていました。ラブリーな部屋へチェックインをして、しばし休憩。ホテル館内のあちこちにヨーロッパの家具調度が配置され、日本とは思えない疑似空間です。

東京から西方面へやってくるといつも陽が長いなあ、と感じるのですが、初夏の季節でもある6時でもまだ夕方という感覚はないのが不思議。夕食前に少し散歩をして、予約より早めに『レッド・ロブスター』へ到着、快く早めのディナーを受け入れていただけました。

みなさんでシーフードのアペタイザー、パエリヤ、シュリンプパイピザ、スペアリブなどのファミリーセットをシェア、お腹いっぱいに食べ終わった後は毎晩繰り広げられているというイルミネーションショーを見に行きました。若干小雨がぱらついていたので演目を変更してのショーという案内がありましたが、なかなかの圧巻でした。

ホテル・ヨーロッパへ戻り、バーでナイトキャップを愉しんだり、ゆっくりお風呂タイムを過ごしたりして2日目の夜が更けていきました。

Day1ハウステンボスと長崎で知るヨーロッパ建築 ~ 2026年春の国内研修旅行

第4回目となる国内研修旅行、今回の地は長崎です。思えば横浜や神戸よりもうんと早く西洋との交流のあった街、日本における洋風建築の源はここ長崎にあるのですね。長崎は和・華・蘭(わからん)文化、日本と中国とオランダの文化が古くから混じり合って独特な街並みを形成しています。

先週のアカデメイアで「長崎とオランダの建築と歴史」を学び、いよいよその検証への旅がスタートしました。まずは気になるお天気ですが、前川清の代表曲「長崎は今日も雨だった」のごとく予報では雨…でも幸い長崎空港へ到着した時点では傘は必要ありませんでした。

空港から市内へのバスに乗って、新地中華街にて下車、前乗り組の一人がバス停に迎えに、もう一人が中華街の中の1927年創業の老舗『会楽園』にて順番待ちをしてくれているという完璧なチームワークの元、地元民のみならず修学旅行生や観光客で11時オープン時から列の絶えないこの名店でそう待たずにランチにありつけました。名物長崎ちゃんぽんの御三家の1つです。

予報通り雨が降ってきましたが、小雨でそう強くはありません。予定ではこの後はホテルへ荷物を置いてグラバー園でしたが、天候を鑑みて急遽翌日とプログラムを入れ替え、新地中華街からそう遠くない出島の見学行うことにしました。出島はフラットで足元も整備されているので、雨の中でもグラバー園よりは比較的影響が少ないというMさんの素晴らしいアイデアで、路面電車で一駅の出島へ。

鎖国時代唯一のヨーロッパの窓口、出島。復元建造物を通して建築のみならず、西欧人の生活を垣間見ることができる、コンパクトなエリアです。まだ復興整備の途中段階でもあり、最終的には19世紀初めの扇型へと作られていくそうです。

見学後は、タクシーに分譲してホテルへ。なかなか流しのタクシーは走っていないのですが、運よく2台つかまりました。

ホテルインディゴ長崎グラバーストリート、今回の研修の目的の1つはこのホテルに宿泊することでした。というのもこのホテルは1898年に修道院として建てられた洋館で歴史的建造物、リブ・ヴォールト天井やステンドグラスはホテル内レストランへ改造され、ホテル内のデザインは長崎の石畳の路地、レンガをイメージしたデザインで溢れかえっているのです。

素敵なプチ・ラグジュアリーホテル、何度かやり取りをしていた担当者の方がご挨拶に来られ、到着と同時にウェルカムドリンクをいただき、部屋へチェックイン。海側に面した広々としたお部屋で、2時間のホテルくつろぎタイムとしました。寝るだけのホテルではなく、ホテルライフを愉しむのにふさわしい優雅なハイクラスホテルでしばし休憩です。海側をボーっと見ていたらいつの間にか停泊していたクルーズ船が出航していきました。

少し疲れが取れたところで、散歩を兼ねての夕食は、明日見学する予定のグラバー園や大浦天主堂をちょっと超したところにあるANAクラウンプラザ内にあるレストラン『パヴェ』にて、長崎名物トルコライスをいただきます。長崎のソウルフードなのですが、言ってみれば大人のお子様ランチ!?

あっという間に食べ終わってしまったので、予定していたバスの時間を早めて第1便無料循環バスに変更し、世界新三大夜景の1つ、稲佐山山頂展望台からの眺めを求めて長崎ロープウェイの淵神社駅へ行きました。しかし…うぅ、残念、どうやら展望台に上っても霧で何も見えません、とチケット売り場の窓口で言われ、山頂での景色もLIVEでスクリーンに映っていましたが、真っ白!!何も見えないのに往復1900円払って行くこともないよね、と諦めの早い私たち、じゃあラグジュアリーなホテルライフを愉しもうよ、とさっさと路線バスで市民になったかのように長崎の夜の街を車窓から眺めつつホテルの近くまで戻り、翌日入りたいお店チェックなどをしながらホテルへ戻りました。

寝る前にちょっとバーで飲んじゃおうかな、というグループも。1日目、無事終了しました。

アンティーク検定講習・2級が終了

GWの真っ只中の5月2日・3日は第17回アンティーク検定講習・2級の後半の部が開催されました。3週間前に前半を終えている受講者のみなさんの中には、遠方から再び新幹線でキャリーケースを持っての登場された方も。

後半の会場は東京芸術劇場にて、終日の座学講習です。複製芸術(版画、写真、ポスターなど)について、そしてジュエリー史を途中までやったところでお昼に。会場近くの、またもや美味しいインド料理のお店でランチをいただきます。『ワインとスパイスのお店』と謳っているのですがなぜかランチ時にはカレー、でもとても美味しいのです。

午後はジュエリー史の続きを終えて知識をインプットしたところで、講師・青山先生がご自身のショップから持って来てくださったアンティーク・ジュエリー十数点を年代ごとに並べるという課題をみなさんで行いました。ジュエリー史の講座として聞いているときは、ふむふむ、と理解できた気でいても、いざ自分でその知識から年代鑑定をする、となると「あれ、なんだっけ」と戸惑うもの。それでもかなり正解率が高かったので、みなさんちゃんと理解できていたようですよ。

最後に西洋美術史を、国際ゴシックから20世紀初頭のドイツ表現主義まで一気に俯瞰、美術史としてのアカデミックなウンチクは思いっきり飛ばして、各美術様式の代表的な絵画から描かれている装飾工芸をも一緒に読み解くというアクロバット的な美術史です。

この講習では西洋美術史の十分な時間が取れないので、現在Eテレで放映中の30分番組『3か月でマスターする西洋美術』の紹介をしたところ、なんとみなさん既に視聴していました!

2日目、午前中は建築と家具について、代表的な装飾モチーフをオンラインで学び、いよいよ最終見学は迎賓館・赤坂離宮です。総監修者・岡部昌幸先生に登場いただき、正門の装飾の解説も「どこが創建当時のオリジナルで、どこが第二次大戦後に修復した際に加えられた装飾か分かりますか?」から謎解きがスタート。主庭、建物内、前庭と岡部先生オリジナルの解説付きで回りました。今年に入って訪問されたマクロン大統領やトランプ大統領との会食時の食器なども展示されていました。

GWの真っ最中とあって、はとバスやJTBのツアーなど人混みが凄く、また夜間開館ということで前庭ではコンサートなどもあり、普段以上にキッチンカーも出ていました。鑑賞後は休憩所のカフェにて甘いもので疲労を回復しつつのディプロマ授与となりました。

受講者のみなさま、4日間の講習おつかれさまでした。あらたな鑑定士の卵の誕生です。