投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

国内研修旅行 「明治村と、ノリタケの森」DAY2

2日目はホテルの朝食でスタート。和洋食のビュッフェと老舗日本料理「なだ万」が選べるのですが、みなさんビュッフェの方に行かれたようです。名古屋飯と言われる手羽先、小倉バタートーストもありますし4星ホテルならではの何でもありのビュッフェはやはり目移りしてしまいます。

出発は朝9時30分とゆっくりなのですが、TV朝ドラの舞台に出てきたという名古屋市市政博物館を見学したいという朝活グループは事前にタクシーを予約して一足先に建物見学を済ませ、今日の午前の見学地・ヤマザキマザック美術館にてオープン5分前に合流です。実はこの美術館、第2土曜日の10時半から学芸員による解説ツアーがあり先着10名のみ、その枠を我々ですべてゲットするにはオープン前から並んでいる必要があるのですが幸い1番で受付をしていただき、全員分の枠が取れました。

ロココからピカソまで300年の西洋美術が一望できるコレクションを持ち、またアール・ヌーヴォーの家具とガラスのコレクションもまるでナンシー派美術館並みのクオリティで、パリに行かなくとも名古屋でルーヴル・オルセー・装飾美術館の3館を網羅できる、知る人ぞ知る稀有な美術館なのです。

1時間にわたって濃厚な解説をしていただき大満足で図録などミュージアムグッズも買い求めた後は地下鉄にのってノリタケの森へ。

AEAOの研修旅行は海外でも国内でも「美味しいものをいただいて幸せになる」という要素も大切にしているのですが、今回はこちらでフランス料理のフルコースを頂きました。最近ではメイン料理もお魚かお肉のどちらかで済ませることが多いのですが、お魚もお肉も、という贅沢なコース。ドリンクもノン・アルコールが実に充実していて、赤紫蘇カクテルなどソルティ・ドッグのようなイメージで、どれも美味しくいただきました。

日本が世界に誇るノリタケ・ブランドですが、実はこの場所の住所は名古屋市西区則武新町―そう、地名なのです。「ノリタケさんが創業したんじゃないの?」とよく勘違いされがちですが、モリムラ・ブラザーズからノリタケの誕生、ディナーサービスに思いを込めた発展の歴史をウェルカムセンターで学び、クラフトセンターで生地製造工程と絵付け工程を見学、そしてノリタケミュージアムでオールドノリタケの数々の銘品をしっかり堪能し、ノリタケスクエアショップにてそれぞれお気に入りのノリタケ製品やアウトレット、紅茶などのお買い物をし終えた頃にはもう足が棒に。

今日は数日雨続きだったお天気も回復し、そこまでの猛暑でもないという天候と3連休の初日ということで多くの人たちがこのノリタケの森に集いに来ていました。

こちらで解散となりましたが、荷物もすっかり増えてしまい、ノリタケの森から分散してタクシーで名古屋駅へ。そのまま東京方面へ戻った方、名古屋を堪能し尽くそうと名古屋名物を引き続き追い求めた方、3連休で別の目的地へ行かれた方、とさまざまでしたがLINEグループで写真をupし合い、旅行が終わってからも余韻に浸っています。

今回は2日間と短いながらも実に充実した研修となりました。ご参加いただきましたみなさま、有難うございました。また国内研修も少しずつ増やしていきたいと思っていますので、今回日程が合わなかった方も是非またご参加・ご検討くださいね。


国内研修旅行 「明治村と、ノリタケの森」DAY1

今年は梅雨がまだ明けない中、AEAOでは1泊2日の国内研修旅行を行いました。行先は観光地として人気の…イマイチな(!)名古屋。ところが我々アンティーク好きの民にとってはこの地は学びの宝庫なのです。今回は2日間で明治村、ヤマザキマザック美術館、ノリタケの森を見て回りました。

今回の旅行は現地集散。かつては海外研修でも当協会では現地集散型でしたがコロナ禍以降は旅行会社さんを通してのツアー形式で行っています。でも今回は国内、それも5~10分に1本は走っている東海道新幹線の名古屋駅集合ですからみなさんそれぞれの起点からいらっしゃるということで、朝9時10分に集合。豪雨に弱い東海道新幹線ですが、この日は雨にも関わらず定刻運行で助かりました。雨足が強いのが気がかりですが、犬山市では小雨になることを祈って…

名古屋駅からは高速バス1本で明治村まで直行の名鉄バスセンターへ。名古屋人ならみな知っている「ナナちゃん人形」のある場所から出発です。

雨のせいか名古屋市内を出るまではかなりの渋滞、ようやく高速に乗れた頃には電車+路線バスの追いかけ組からすでに犬山駅に着いたとの連絡、最終的に明治村へは追いかけ組が先に着いていました!

明治村に着いたら傘も要らないほどの小雨になってほどよい風も吹き、数日前の猛暑からすれば快適です。まずは村内5丁目の、明治の洋食屋で有名なオムライス料理の『浪漫亭』で腹ごしらえから。予約ができないレストランなので待つことを覚悟していたら、まさかの個室に即案内され大満足、平日で雨天だったことが功を奏したようです。みなさん朝5時起きで、という人も多く腹ペコのお腹になかなかの量ながらペロリ完食。

食後の見学第一弾は、明治村に来てここを見ない人はいないというハイライト的な建物、旧帝国ホテルをガイドさんに案内していただきます。全員首都圏・関東からの参加者なので日比谷の帝国ホテルは知っているのですが、ここに移築された旧帝国ホテルをあらためて目の当たりにし、水平と垂直に展開していく空間演出の面白さに感動、また大谷石やスクラッチレンガのお話など数多のエピソードを交えながら解説していただきました。吹き抜けの「光の籠柱」もピトレスクな魅力を醸し出していますね。

帝国ホテルの見学後は村内見学の自由タイムです。時間的にもすべてを見ることは不可能なので村内ボランティアガイドさんと回る方、予めチェックしておいた建物めがけてまっしぐらな方、重要文化財に焦点を充てて見学する方、なんとなく目についた面白そうな建物に入りながら歩き回る方、みなさん自由なテンポでそれぞれの明治村を楽しみ、バス出発30分前に正門へ集合。回りながらお互いバッタリ会うことも何度もあり、都度情報交換をしつつの見学散策でした。

正門で村内バスの運転手さんに「ハイ明治!」と集合写真を撮っていただいた時には雨もすっかり上がり日差しが顔を出してきました。名古屋へ戻る高速バスは行きほどの渋滞もなくほぼ定時に中心街の栄駅へ到着、名古屋も雨上がりで歩きやすい中、この辺りではラグジュアリーな4星・東急名古屋ホテルへチェックイン。

1時間ほど部屋で休んだ後は夕食に出かけます。

少し早く着いたのでオアシス21の屋上階「水の宇宙船」と呼ばれるエリアへ、ガラスの上を歩く怖さも含めて幻想的な空間です。外国人観光客もかなり見かけました。かつては「名古屋飛ばし」なんて言われていましたが、今や名古屋も侮れませんね!

夕食は名古屋の名物の1つ、八丁味噌だれの田楽のお店「鈴の屋」さんへ。テーブルに置けないほどのお料理で向かいの人との境界線が分からないほどぎっしりの品数でしたが、健康食なのかしっかり歩いたからなのか、意外とこちらもみなさんペロリといただきました。

ホテルへ戻る間にある中日ビル、今年の4月にリニューアルオープンしたのですが屋上テラスが開放されているということで、ここで暫く涼んでホテルへ帰着。スマホをチェックしたらこの日はみなさん2万歩ほど歩いていました!今夜はぐっすり眠れそうですね。


アンティーク検定試験1級・対策講座

今日は7月7日に行われる第14回アンティーク検定試験のための対策講座をオンラインにて開催しました。ちょうど2週間前ですね。今年のアンティーク・スペシャリストである関根靖子さん、白木真知子さんがアドバイザーとして参加、後輩のために勉強法や経験談などをお話いただきました。

1級は他の分野における検定試験でも同じかと思いますが、簡単ではありません。時々「何も勉強しなくても受かりますか?」と聞かれますが、何も勉強しなくても誰でも受かる試験に受かっても嬉しくない…ですよね?

日本の学校教育の弊害の一つに、インプットは得意だけれどアウトプット慣れしていない、ということがあります。暗記はできる、選ぶことはできる、聞かれたら答えられる、でも自ら言語化して表現するのは苦手、意見なんて特にない…こんな人が多いのではないでしょうか。

1級の試験はまさに「すべて自ら言語化して表現する」力を求められます。知識としては2級の段階ですでに全て網羅されていますので、それらを嚙み砕いて消化する、という作業を広範囲にわたって復習する必要があります。

1級の受験者はみなさん2級の講習を修了(2021年以前は試験で合格)されており、西洋美術史の通史、オークションカタログのdescriptionの読み方、陶磁器、銀器、ガラス、モード、ジュエリーにおける知識、アートマーケットの現状などについて学んでいます。それらの知識を誰かに正確に説明できるようになる、これが1級のレベルに求められています。

試験というのは一種の慣れでもありますので、習うより慣れよ、でしょうか。みなさんどうか受かりますように!!


アカデメイア・読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』新約聖書第3回

今日のアカデメイアは2か月ぶりのZoomの講座でした。先月は実地研修ということで神田教会に出かけたのですが、そこで目にしたステンドグラスに描かれている世界は、まさにこの聖書の中のストーリー。聖書を制すると絵画が読める、というわけですね。

まずは前回のおさらい。受胎告知からイエスが誕生し、エジプトに逃れ、予言を受けるところまでをざっと復習。

そして今日のテーマ、博士たちとの議論、キリストの洗礼、キリストの誘惑、奇跡の漁り、キリストの変容、キリストの奇跡へと辿りました。

聖書を題材とした絵画はオールドマスターズだけかと思いきや、実は19世紀でも20世紀でも描かれているのですね。

ゴッホ『ラザロの復活』ー さてキリストはどこに描かれている!?

そしてルネサンスの画家もバロックの画家も、同時代の人々をそのまま登場させていたりして、現実と聖書が混じり合ったような絵画が描かれている、そんな絵を見ていくと敷居が高いように感じられた宗教画も実は身近なところにあったんだ、と感じられますね。


「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展と奏楽堂」 – 6月のAEAOサロン倶楽部

AEAOサロン倶楽部・6月の会は久しぶりの上野にて、東京国立博物館・表慶館で開催されている展覧会鑑賞と奏楽堂の見学を行いました。今日は朝から大雨、しかも一日中降り続くという6月ならではのお天気、こんな日は人出も少ないのではないか、とポジティブ・シンキングで臨みました。

まずはランチ懇親会&ミニレクチャーをビストロ洋食屋さん「遠山」にて。気取らない日本の洋食をモダンスタイルでというので評判のお店なのですが、確かにフレンチテイストがしっかり。茶碗蒸し風のスープなど絶品でした。名物の「特選デミグラスハンバーグ」も美味しそうでした。

フルコースでお料理をいただいた後、雨の中をまずは旧東京音楽学校奏楽堂へ。日本最古の音楽ホールで、現在では重要文化財として上野公園内へ移築されています。明治の建築で桟瓦葺の木造2階建て、木造の洋館建築は旧岩崎邸を彷彿させます。

ホールの見学はできるのですがリハーサル中は撮影禁止、でもスタッフさんより「今ちょうどリハーサルの休憩中のようですよ」と情報をいただき、グッドタイミングだったようでまず2階のホールへ。パイプオルガンの美しさ、ホール全体のぬくもり感、シャンデリア、カーテンやタッセル、天井装飾などすべてが魅力的です。1階は資料展示室として公開されていました。外には小学校の音楽の授業で習った滝廉太郎の銅像が設置されています(朝倉文夫作)。

そして東京国立博物館、通称トーハクの表慶館へ。この西洋建築・表慶館は特別な展覧会開催中しか内部を公開していないのですが、やはり圧倒される建物です。コンドルの弟子であり宮内省の建築家・片山東熊によって設計されたもので、迎賓館・赤坂離宮とほぼ同時期の建築物。この中で『カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展』が開催されており、カルティエのジュエリーや装飾品、そしてパリ14区にあるカルティエ現代美術財団での展覧会や日本で過去に行われたカルティエ展を追うような展示構成になっていました。

見学後は公式には終了・解散となりましたが、有志の方々で応挙館に昨年オープンしたTOHAKU茶館へ。予約はできない、午後3時以降はいつもほぼ満席、と聞いていたので入れないかもしれないけれど建物だけでも、と雨の中を向かったところお天気のせいかすんなり6名入れました!私たち以外は全員外国の方のようで、恐らく日本人よりも情報をキャッチしているのでしょうね、絵になる「和」の茶館、私たち日本人も「畳ってもう触れる機会が滅多にないのよね~」とまったり。水出し玉露、美味しかったです。