月別アーカイブ: 2022年7月

大満足の旧細川護立邸・和敬塾見学と椿山荘でのお食事、オプションにルルドの泉と肥後細川庭園

AEAOサロン倶楽部、夏休みに入る前の7月第2部の会は、申し込み開始から5分で満席となってしまった「旧細川護立邸と、椿山荘で愉しむランチ」でした。キャンセル待ちのリクエストも何人かあり人数増を試みたのですが、すでに和敬塾の見学人数も定員オーバーということで、また秋以降にリベンジ会を行おうと思っています。

まずはその庭園が美しいラグジュアリーホテル・椿山荘でのランチ。ゆったりとしたこのホテルはロビーから回廊から至る所に品格を感じさせる美術品・工芸品が展示されています。ロブマイヤーのグラスなど、見たこともないようなシリーズもあって、目の保養になります。

11時半から食事のできる唯一のレストラン「ザ・ビストロ」で、美味しいコース料理をいただきます。今回は、後で歩き回りますのでノンアルコールで!

椿山荘を出て和敬塾へ行く間にある東京カテドラル・聖マリア大聖堂(丹下健三設計)、ルルドの泉をチラッと見学して、いよいよお殿様のお屋敷へ。

現在は「和敬塾」となっていますが、ここは旧細川護立邸。肥後熊本藩主を務めた細川家の第16代当主であられた方のお屋敷です。元々は和洋館並列型住宅を建てていたのですが、関東大震災で被害を受け、昭和11年(1936年)にチューダー様式を基調とした洋館単独型の新本館を立て直しています。

その邸宅と敷地は戦後接収されオランダ人が住まわれていたそうですが、接収解除後に前川喜作が細川家より購入し、学生寮を設立、現在の「和敬塾」に至っています。ちなみにどこか特定の学校の寮ではなく、学生の大学はさまざまだそうで、近場の早稲田大学がその半分を占めているようです。コロナ前までは留学生も20%ほど寄宿されていたとか。

本館内部はガイド付きで細部までご案内いただき、明治の洋館ではない昭和の洋館、不穏な時代に邸宅のセキュリティを如何に工夫したか、空調は、冷暖房は、日差しの向きは、といった現代にも通ずる家屋の設計をも丁寧にご説明いただきました。

写真は撮り放題でしたが、blogやSNSへのupはご法度ということで、今回は見学終了後にいただいたポストカードでその雰囲気を残したいと思います。

細川侯爵は「美術の殿様」とも言われており、美術品のコレクションにも熱心でした。大抵お金持ちで地位のある方は古今東西美術品を収集しますが、この方は実は借金をしてまでも美術品を購入していたとか。そのコレクションは、この近くに美術館として永青文庫に収められています。今日は残念ながら展示替えで閉館中。

その後、現在は都立公園となっている池泉回遊式庭園の肥後細川庭園、リニューアルされた松馨閣も見学し、たっぷり歩いた1日でした。気温30度を越す蒸し蒸しした日ではありましたが、楽しかったですね。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。

AEAOサロン倶楽部、8月はお休みです。また秋以降のサロンは決まり次第公表したいと思います。


「鹿島茂コレクション2『稀書探訪』の旅」見学と、天井高15mの大空間

AEAOサロン倶楽部・7月は変則的に平日に2回行います。その第1回目は、日比谷図書文化館にて開催されています「鹿島茂コレクション2『稀書探訪』の旅」見学。鹿島茂さんといえばフランス文学者としてよりもフランスの古書蒐集家として知られ、現在では神保町にPASSAGEという共同書店をオープンしたことでも有名ですが、2019年に開催された第一弾に続きそのコレクション第二弾が今年5月から日比谷図書文化館にて開催、これをじっくり鑑賞しない手はありません!

この日比谷図書文化館の目の前に、知る人ぞ知るレストランがあります。その名は「アラスカ」。『なぜエグゼクティブは、アラスカに集まるのか?』という本があるのですが、ここに通った者は出世できるというジンクスがあるとか!?

日本プレスセンタービルの10Fに入っているこのレストラン、しかし我々は出世欲というよりは食欲、しかもこのレストランの窓際のテーブルから見える景色は絶景で、またホールは天井高15メートルもあるドーム型で、とても贅沢な空間なのです。

お腹が空いていては細かい版画や字も頭に入らない、ということでまずは「アラスカ」にてフルコースのランチ。外の鬱陶しい雨も振り切ろうと、キールやらスパークリング・ワインやらでアペリティフから。

お料理は非常に正統派クラシックな「洋食」フレンチ。

ランチをゆっくり堪能した後は、いよいよコレクション展へ。

会期の終わりが近づいていますが、平日の午後はやはり穴場ですね。雨の日のせいか、会場は混み合っておらず、おかげでガラスケースの上にへばりつくように1点1点ゆっくり鑑賞できました。これぞ贅沢な、まるで独り占めしているかのような鑑賞。すでに前期に一度訪れたという参加者さんも、後期は展示替えで作品(または見開きのページ)が入れ替わっているせいか、やはりじっくり見入っていました!静かで豊かな時空間。

鹿島茂さんのコレクションは多岐にわたりますが、やはり芸術性の面で目を引くのがアール・デコのポショワール、そしてアラスカは1928年創業のレストラン、同時代性を感じますね!


修復された新しい姿、ローアン館・スービーズ館の優美で豪奢なロココ装飾

2022年2月よりスタートした、パリと繋いで新アート・スポットをテーマにした講座「オンライン海外講習」、いよいよ最終回はローアン館、スービーズ館の室内装飾を学びます。

パリ・マレ地区。現在ではファッショナブルな街として、アートギャラリーや最先端のブティック、雑貨店が立ち並び、また夜はちょっと淫靡な雰囲気も漂うゲイの街としても有名ですが、この地区にオテル・パティキュリエと呼ばれる大邸宅が点在しているのは何故なのでしょう。

それは17世紀にまで遡ります。現在のヴォージュ広場と呼ばれている「王の広場」が誕生したのは1601年のこと。それ以来貴族に人気のエリアとなり、多くの貴族がこの地区に本邸を構えました。ところがやがて貴族の人気エリアがフォーブール・サンジェルマンの方へ移っていくと、元々「沼地」とされていたこのエリアが荒んでくるようになりました。1950年ごろには、このエリアはどちらかというと労働者の街だったのです・

シャルル・ド・ゴール政権下の文化大臣、アンドレ・マルロー氏はこのマレ地区を歴史文化保存地区として蘇らせる政策を取ります。この頃、例えばサレ館はピカソ美術館としてオープンするように、いくつかの館がリニューアルされ、美術館として再スタートを切ります。

今回取り上げた中のローアン館は、かつてパレ・ロワイヤル界隈に存在し1923年に取り壊され保管されていたシャンセルリードルレアンの内部装飾品を移築する計画が1960年代にあったのですが、諸事情により頓挫、そして2015年から6年ほどかけてようやく一部(4部屋)が完成し、その装飾を現在月に1度公開しており、見学が可能となったのです。まだすべての移築が終了しておらず作業が継続中のため、見学は月1度の予約制かつ内部職員と共にしかできませんが、2024年には一般公開されるとのこと。その頃にはもうかつてのように自由に海外を訪れる平和な日々がやってくるでしょうか…。

「ロココ」は室内装飾が特徴で、女性の文化とされていますが、この装飾を見るとそのことが頷けます。建物の外観からは想像できない優美で豪奢な装飾の数々、ぜひ現物をこの目で鑑賞したいですね。


第12回アンティーク検定試験・終了

2022年のアンティーク検定試験が終了しました。すでに2020年よりオンライン試験となり、もはやこの流れが定着していくのでしょうか、他の検定試験でもオンライン受験が主流になってきているように思います。

オンライン試験のメリットは何と言っても会場に出向く必要がないこと。当アンティーク検定試験は第1回より東京会場のみで開催されており、かねてより地方在住の受験者より地方会場での実施の要望もありましたが、全国での実施は受験者数を鑑みるとハードルが高いのが現状でした。それがオンライン実施により全国どこにいても受験が可能となりました。さらに時差はあるものの、海外からの受験も可能になっています。

オンライン検定試験のカンニングをどう対策するかは大きな課題です。例えばTOEFLなどは試験監督者によるオンライン監視の下に行われているようで、カメラをオンにして受験する必要があります。当アンティーク検定試験は今のところ「宣誓」をするだけでカメラによる監視は行なっておりませんが、作問の段階で簡単に検索できないような問題となっており、また記述式ではコピーペーストのチェックは行なっています。SNS等の発言によっては、合否通知後でも合格を取り消されることもあります。ゆくゆくはAIによる監視システムなども取り入れていくことになるかもしれません。

オンライン検定試験のデメリットとしては、臨場感の喪失でしょうか。会場に赴き、試験監督員や他の受験者の中で緊張して臨み、問題用紙が配られ、解答し、時間になったら終了。この一連の儀式めいた臨場感がないので、一体自分は本当に試験を受けたのか?解答を送信したけれど、果たしてちゃんと送信されたのか?と色々不安になってしまいますね。また万一パソコンがフリーズしたら?Wifiの接続ができなかったら?とハード面でも不安になりがちです。

世の中の流れとして、どんどん「人が解しない」ことによる不安と向き合う時代となっているのは事実、例えば某LCLの航空会社ではセルフチェックインが標準であり、もし有人カウンターでチェックインをした場合は、追加料金がかかるというしくみになっているとか。預け入れの荷物もすでにセルフ手続きが標準となっていますが、初めて利用したときは、これで果たして本当に目的地に荷物が送られるのか、不安でたまりませんでしたね。

さて、今回の検定試験はオンラインになって3級では4回目、1級でも3回目ということもあり、幸いなことに大きな混乱は見られませんでした。(昨年は2級と1級の受験時間中に大豪雨による停電が一部の地域でありました。)もう受験者もオンラインでの回答に慣れてきている成果でしょうか。受験者のみなさま、お疲れ様でした。

「検定試験を受けるのはちょっと」という方向けには、9月にアンティーク検定講習・3級が実施されます。こちらは検定試験とは異なり、集中講習を受講することで級を取得できるシステムです。全くの入門者でも2日間の講習で取得することができますので、ぜひご受講ください。