月別アーカイブ: 2023年7月

猛暑の中、「世界の名画とエマーユ」の世界へ

7月のAEAOサロン倶楽部は、2018年に開館した日本初のエナメル専門の美術館「エマーユ七宝美術館」で開催されている「世界の名画とエマーユ」展を見学する会でした。

まずは見学前にランチ・レクチャー。

今回のランチ会場はなんと3回チェンジをしたのですが(第1候補のお店は駅から若干歩く、お店のキャパが小さい、というので猛暑予報により駅直結のレストランに変更したのですが、7月の週末とあってファミリー感があり過ぎるかなと思い、予約を取り直したのが今回のお店)、ここが大当たりの素敵なレストランでした!カジュアルなフレンチ・ビストロで、エスニックも混じっていて、夏のランチにぴったり。渋谷川のほとりにある一軒家レストランCociさんにて。

アミューズで「穴子とフォアグラとイチジクのミルフィーユ」をいただいた後、「南瓜のカレー風味の冷たいスープ」、「真牡蠣のカダイフ巻き揚げ レモンバームのエキューム」の前菜、そして「大山鶏むね肉のポシェ・フランボワーズのマスタード」と、もうどれも絶品のお味。もちろんそれぞれ選んだデザートもとっても美味しく、この会って美味しいものを食べる集まりでしたっけ?というくらい、お料理についてのお話でも盛り上がりました。

さて、お腹も満足したところで、お茶を飲みながらのミニ・レクチャーです。

エナメル?エマーユ?七宝?

実はこれ、すべて同じ言葉です。英語のEnamel、フランス語のÉmail(複数形になるとÉmauxと活用します)、そして日本語では七宝・琺瑯という言い方をします。

このエナメルでの装飾技法の言い方として、シャンルヴェ(Champlevé)、クロワゾネ(Cloisonné)、プリカジュール(Plique-à-jour)、ロンドボス(Ronde-bosse)、バスタイユ(Basse-taille)などがありますが、すべてフランス語の言葉。エナメルの起源は古代エジプトとされていますが、中世のころはリモージュがエナメルの中心地であったことにも関係しているのでしょうか。リモージュといえば、アンティーク界では郊外でカオリンが発見されたことによるフランス硬質磁器の発祥地としての方が有名ですが、実は伝統的にエナメル作品が製作されていたのです。

さて外は炎天下ではありますが、レストランで十分身体も冷やし、これからいよいよ「七宝エマーユ美術館」へ徒歩にて。渋谷橋を登って渡らなくてはいけないのが玉に瑕ですが、みなさんでおしゃべりしながら歩いていたらあっという間に到着。

この美術館はかつて歌手として一世を風靡し、その後ジュエリー・アーティストへ転向した梶光夫氏が長年に渡って蒐集されていたコレクションが展示されています。19世紀後半、ナポレオン3世時代~アール・ヌーヴォー期の美しい女性を描いた作品が主なコレクションですが、今回の開館5周年記念「世界の名画とエマーユ」の特別展示では、ボッチチェルリやアングルの名画をエマーユに描いたものも展示されていて、ガラス越しにじっくり眺めていたところ・・・

なんと館長・梶光夫氏が直々に展示会場に来てくださり、色々ご案内をいただきました。これらのコレクションは、40年ほど前から自らフランスやイギリスを回って蒐集されたものとのことで、美しい貴婦人が描かれた小箱、装身具などが所狭しと展示されています。

アール・ヌーヴォーと言えば誰もがガレやドームなどのガラス製品を思い、コレクションされる方も多いでしょうが、館長はアール・ヌーヴォー期の彫刻にも惹かれたというお話で、館内には小ぶりな美しい彫刻作品も並んでいます。

今日は毎日オークションさんでメインセールが開催されていたのですが、その一環でウクライナの人々への平和と復興の願いを込めたチャリティ・オークションが同時開催され、梶光夫氏の作品(絵画、ジュエリー)がオークションで販売、その売上はすべて在日ウクライナ大使館を通してウクライナへ全額寄付という、ノブレス・オブリージュな偉業を成し遂げた後に、わざわざ会場にいらしてご説明してくださいました。さらにご参加者さんが身につけていたアンティーク・ジュエリーを一目みて「これはアゲートかな」「これは19世紀後半のイギリスのものでしょう」「このカメオはドイツのものじゃないかな」と鑑定!G.I.A.G.G.の資格をお持ちの鑑定士でもあるジュエリー・アーティストの目は誤魔化せないですね、ドキドキ。

会場内の写真はNGでしたが、Webサイトで様子を伺うことができます。またミュージアム・ショップでは「エマーユー美しい貴婦人たちー」という素晴らしい図録も販売されています。

美味しいものをいただき、たっぷりと素晴らしい作品を鑑賞し、猛暑の中の幸せなひとときでした。ご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした。

8月のAEAOサロン倶楽部は、夏の終わりの銀ブラ、「大人の銀座のアート遠足&夏パフェまたは夏アフタヌーン・ティ」です!!


新シリーズの読書会・マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編、いよいよスタート!

コロナ禍で思うように集まれない中、こんな機会を利用してオンラインで西洋美術史を通史で学ぼう!という試みの読書会「ぜんぶわかる西洋美術史と、さらにわかる絵画で読み解く装飾品」が2020年~2021年にかけて全15回で行われました。このときは多くの方が、時には海外からも参加していただき、オンラインでこその高画質デジタルで作品を観ながらの有意義な1年半に渡る読書会でした。

その後も引き続き絵画や装飾品についてのオンライン講座を細分化したシリーズで行っていますが、この7月より新シリーズの読書会がスタートしました。日本人にとってはどうしても敷居の高そうなキリスト教主題の絵画、何度解説を聞いてもしっくりこない…そんなみなさんの悩みをわかりやすく解決すべく、取り上げる書籍も『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』、マンガやイラストがふんだんに盛り込まれていて、とても楽しい教材です。

(池上英洋監修 誠文堂新光社)

ナビゲーターは前回同様、当協会スペシャリストで西洋美術史研究者でもある中山久美子先生。ご自身もカトリックの洗礼を受けられている信者でもあり、聖書の主題やストーリーがどのように絵画に描かれているのかについて、やさしくわかりやすく導いてくださいます。

さてその第1回は、イントロダクション。きほんのき、で「聖書」って何?から始まり(これ、あらためて「聖書とは何か、完結に200字で説明せよ、と問われてスラスラ答えられる日本人がどれだけいるのか…みなさんも自分の頭の中でまとめてみてください、ね、意外とまごつくでしょ!)、次にヨーロッパ文化とキリスト教の関係性の流れ、そしてキリスト教が絵画にどのように描かれていくのかの変遷を、時代を追って初期キリスト教美術から20世紀まで一気に駆け巡りました。

紹介される絵画はどれも一度は見たことがある、画集に載っている、という有名どころばかり。でもこうしてあらためて聖母マリアやキリスト、聖人たちの描かれ方に注目しながら見ていこうとすると、聖書のストーリーを分かっていないと100%楽しめない、「聖ナントカは何をした人なの?」「なぜこの人が出てくるときは一緒にこのオブジェが描かれるの?」という疑問にブチ当たります。

この読書会では、そんな日本人のアレルギーとも言うべきキリスト教絵画を主題や聖人の役割などを、1つ1つ紐解きながら読み解いていく読書会です。

今回はイントロダクション、そして次回は「画家とキリスト教」の関係について。まずは大きな枠組みをざっくり理解した上で、第3回より旧約聖書の世界に入っていきます。

コロナの行動制限もなくなり自由に外に出られるようになった今、一部に「オンライン疲れ」もあるようですが、ご都合のつかない方はオンデマンドでもご視聴いただけます。引き続きお申し込みをお待ちしています。

読書会・マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編