アカデメイア」カテゴリーアーカイブ

読書会「名画のインテリア」で18世紀の宮廷生活を想像する楽しさ

先月より開始しました読書会「名画のインテリア」、今日はその第2回です。

まずは前回の絵画のおさらいで、「花婿を探せ!」。結婚式の様子なのに花婿はどこに?という質問があり、小栁先生が当時のフランドル絵画の描かれ方から解明してくださいました。AIの答えはどうやら見当違いだったということで、まだまだ人類の叡智にはほど遠いですね。

今回のテーマは鏡、化粧室、マルシャン・メルシエ、ヴェルニ・マルタン、コモッド…と17世紀から18世紀にかけての名画に描かれる調度品を見ながら、当時の宮廷の流行り、風俗、生活様式、工芸の技術、時の治世者の好みや性格などさまざまな視点を通して学びます。

今年ルーヴルが購入してコレクションに入ったばかりという家具の紹介などもしていただきました。(購入価格を調べましたが、オフィシャルには公表していませんでした!)

ところでフランスは犬に優しい国で犬好きが多いことで知られていますが、この文化も元々はフランス王家が猟犬を愛玩動物としていたことから、上方文化が下方へ降りてきた例ですね。アール・ドゥ・ラ・ターブル然り、モード然り、すべては芸術の頂点であった18世紀の文化が礎となっていることを、犬小屋が描かれている絵画を見ながらあらためて思ったのでした。

本読書会、8月はお休みで次回は9月ですが、毎回あまりに楽しすぎて、どうやら当初予定の3回では終わりそうもありません。第二弾あるいはスペシャル回の開催を検討しています。お申込みは随時受付中です。

読書会「名画のインテリア」スタート!

新しい読書会「名画のインテリア」がスタートしました。昨年12月に創元社より発行された『名画のインテリア』の著書、小栁由紀子先生より本書を紐解いてわかりやすく解説いただくシリーズです。

本書は室内装飾の項目が五十音順の章立てになっています。つまり時代や場所はバラバラなのですが、それを時代順にみていきましょうということで、本日の第1回は、中世から18世紀の途中まで。

項目でいくと、中世の部屋、長持、タペストリー、オリエントの絨毯、17世紀ブルジョワの室内、金唐革、漆の家具、ゴブラン製作所、オテル…と読み進めていったところで時間になりました。

今回タペストリーの項目の中で取り上げられた、ヘラルト・ダヴィトの『カナの婚礼』に描かれている某人物は男性なのか女性なのか、新婦は一目瞭然で分かるが新郎ってどこにいるのだ?という疑問が出て、みなさんであれこれ意見を出し合ったのですがどうもよく分かりません。次回までの宿題にしましょう、ということでお開きになりました。

その後AIに聞いてみたところ、これまた最初は噓をつき、そして訂正後も眉唾ものの回答が…AIの種類を変えるとまた違う答えが出るということは、ルーヴル美術館所蔵の作品であっても解釈が定まっていないということなのですね。でもこうして解き明かされていない秘密を探る楽しみ、これもアンティークの世界の醍醐味なのです。

次回は18世紀の続きから行います。初回を逃した方もオンデマンドでご受講が可能です。お申込みは随時受け付けています。

アカデメイア「イギリスのマナーハウスと過ごし方」の総仕上げは、旧前田侯爵邸への実地見学

1月からシリーズで行われていたアカデメイア・オンライン講座「イギリスのマナーハウスと過ごし方」、総仕上げの最終回は旧前田侯爵邸にて実地見学を行いました。

まずは懇親会を兼ねてのランチでスタート。閑静な住宅街に佇むシックなフレンチ・レストラン『ル・ボークープ』にてコース料理を頂きます。地場のお野菜をふんだんに使っていて、どのお料理も美味しい上にテーブルウェアも素敵で、とても優雅なランチタイムでした。

レストランから歩いて7~8分、いよいよ旧前田侯爵邸が見えてきました。前田利為候は駐英大使館附武官としての経験もあり、イギリスのカントリー・ハウスもよく訪れていたと言いますから、やはりイギリスの建物の様式や装飾の影響がこの私邸にも見られます。

建物の外観を見ながら、青山櫻先生のレクチャーで建物の様式や特徴を復習し、青山先生ならではの視点「前田侯爵邸とダウントン・アビーのハイクレア城の対比」などを画像と共に頭に入れ、いよいよ内部へ。ちょうどタイミングよく館内ガイドさんが案内してくださるということになり、ガイドさんと共に内部を回ることができました。

戦前の華族の生活は使用人なしには成り立たない、上流の人々と庶民の暮らしの格差、そして加賀藩前田家の並外れた財力をあらためて見せつけられる館でした。

最後に、前田家が迎賓館として外国からの賓客を迎えていたという和館も見学、ここから見える庭の素晴らしさに当時のお客様も満足されたことでしょう。

お天気も良く、良い散歩日和の一日でした。ご参加のみなさま、青山先生、お疲れ様でした。

イギリス貴族とタウンハウスのおはなし

アカデメイア「イギリスのマナーハウスと過ごし方」第3回は、青山櫻先生より「タウンハウスと社交 〜その役割と都会での生活〜」のテーマについて解説いただきました。

少しイギリス文化を齧ったことがある人ならだれでも知っている、「カントリーハウスは貴族の領地の本邸、タウンハウスはロンドンの別邸」ですが、ロンドンがなぜセカンドハウスなのか…それは、議会政治と関係があるというお話から始まります。

イギリスの爵位がいつどこから始まったのか、現在公・候・伯・子・男はそれぞれ何家くらいあるのか、そして王家との関わりや役割は何か、一代貴族と呼ばれる騎士の称号とは、と王室や貴族のヒエラルヒーについて学びます。紅茶のアール・グレイとはグレイ伯爵という意味ですが、伯爵の好んだ茶葉がそのまま品名になりましたね。

イギリスの貴族は貴族院の議員ですので、議会が開催されている間、各領地の貴族たちはロンドンに住む必要があります。その際単身赴任ではなく、奥様やお子様、使用人なども一緒に連れて来て、社交を愉しむ、というより義務として社交をします。舞踏会、観劇、お茶会、競馬…そんな社交の場で、それぞれドレスコード、マナーコードが作り上げられていくのですね。

こちらはかつてのスペンサー家のタウンハウスですが、現在はロスチャイルド家が管理をしており、週末だけ一般公開されているようです。インテリアを見るとロスチャイルド色が表れていますね。

セカンドハウスとはいえ、ロンドンのタウンハウスを庭も含めて維持していくのは大変なもので、やがてタウンハウスを共有で持ちましょうというアイデアからクラブハウスというシステムが生まれます。会員制社交クラブであり、ほとんどが男性専用のジェントルメンズ・クラブですが、中には女性も可のところや女性専用のクラブハウスもあるようです。そして、基本は泊まれる宿泊施設となっているのだとか。ホテルではなくこんなところに泊まってみるのもイギリスの貴族になった気分が味わえますね。

3回の座学講座を通して学んだイギリスの建築、その集大成として来月は実地見学会です。残念ながらイギリスに行くには遠すぎますので、旧前田侯爵邸本邸洋館を訪れたいと思います。オンライン講座・オンデマンド講座でご受講いただいたみなさまと、リアル懇親会を楽しみにしています!

「ジョージアンのマナーハウス」のヴァーチャルツアー!

アカデメイア「イギリスのマナーハウスと過ごし方」(青山櫻先生)第2回目は、ジョージアンのマナーハウスについて学びました。「マナー」とはお作法のマナーではなく、manor = 荘園という意味で、元々は領主の屋敷だったところです。

マナーハウス、アビー、プライオリ、キャッスル、ホール、パレス等々さまざまな名前が付いている建物の違いやカントリーハウスとタウンハウスのなどのイギリス独特の表現や、建物だけでなく庭や噴水なども含めた構成を、有名な建築デザイナーの紹介とともに解説いただきました。規模を知るにはやはり東京ドームを基準にして「何個分」という比喩を使うのですが、「ここは東京ドーム〇〇個分です」と、維持管理が如何に大変かが想像できる屋敷がイギリスには散らばっています。

イギリスは領土的には小さな島国で日本の3分の2くらいの国土面積しかないのですがこのようなかつてのマナーハウスが多く残っており、青山先生によると「貴族であろうと相続税は普通に課税されるため、映画撮影に貸し出したり博物館にしたりと、その費用を捻出するのも大変」なんだそうです。

そんな説明を一通りいただいた後、映画「ダウントンアビー」に登場するハイクレア城の内部について、詳しいご紹介をいただきました。実際に訪れ城内でディナーをされたという体験を、建築や家具、テーブルウェアに至るまでつぶさに観察いただき、マナー(作法)の視点やアンティークの視点を解説してくださいました。

イーストナー城の内部もビデオと共に見せていただき、「イギリスのお城」と一口に言っても本当に様式から成り立ち、現在の活用方法もさまざまだということを知った講座でした。

次回はタウンハウスについて学びます。カントリーが本宅、タウンが別荘扱いというイギリスならではの愉しい視点ですね。