月別アーカイブ: 2023年9月

読書会:マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編・第3回「旧約聖書の世界」

今月のアカデメイアにて、ようやく旧約聖書の世界に入りました。「ようやく」と書いたのは、既に第1回、第2回とウォーミングアップでキリスト教絵画に関する概説を終えているのですが、まだ聖書のお話には入っていなかったのです。いよいよ旧約聖書をテーマにした絵画を学びます。

聖書というと堅苦しく考えがちですが、まあ民話なんですね、基本的にはユダヤ民族の歴史の記録であり、口承されてきたものなので、作者はなし(不詳)。そういえば聖書って最も発行部数の多い=売れている本ですが、誰にも印税が払われないのですね!?

そのユダヤ民族の歴史の記録=旧約聖書ですが、唯一神であり、ありとあらゆる出来事は神との関係で語られる形をとっています。中山先生によると「現代の目からは荒唐無稽と見做される出来事も記されている」とのことですが、世の中の伝承ってすべてそうですよね。現代科学を知る身で読んでいくと、寿命が1000年くらいの人が出てきたり、女性が100歳くらいで子供を産んでいたりと、なかなかシュールです。また選民意識や男尊女卑も思いっきり表れているのでツッコミたくなるポイント満載だったりしますが、そこはまあ時代の価値観ということで傍に置いておきましょうか。

今日は旧約聖書のあらすじと系図を説明していただき、天地創造からヨセフまでを、登場人物と行い、職業とそのキャラ、よく出てくる「原罪」「ノアの方舟」「バベルの塔」などの聖書における元々の意味、などを絵画と共に見ていきました。

これまで当たり前のように見ていた有名絵画も、こうして聖書のストーリーを理解した上であらためて鑑賞すると、面白さが倍増します。

次回も引き続き旧約聖書の続きです。まだまだあの有名な「ダヴィデ」とか「ユディト」とかが残っていますからね!中山先生、来月もよろしくお願いいたします。


AEAOサロン倶楽部・9月の会にて、香りの器を愛でる

9月末というのに30度超えの残暑の中、AEAOサロン倶楽部・9月の会が開催されました。今日訪れたのは、高砂コレクション® ギャラリー。蒲田にある高砂香料工業株式会社さんのコレクションや資料が一般見学者にも開放されています。AEAOメンバーの方より、是非ここをサロンで一緒に訪れたいというご要望をいただき、今回の運びとなりました。

実はこの高砂コレクション、2021年にパナソニック汐留美術館にて展覧会が開催されており、その際にもAEAOサロン倶楽部でオンラインによるレクチャーを行いました。当時はまだコロナ禍でリアルに集まれず、各人で個別に美術館に見学に行くという形での開催でしたが、今回は会食と共に集まれる喜びが戻ってきました。

顔合わせランチ会&ミニレクチャーの会場は Ritaさんにて。高砂香料工業株式会社さんのビルに程近く、JR蒲田駅からも歩いて3分という立地にあるピザ専門のイタリアン・レストラン。あまりの美味しさに写真を撮り忘れた前菜のサラダに、ナポリ風の薄いパリパリ生地のピザ、デザート、お茶とフルコースでお腹いっぱいいただきました。特に美味しかったのがゴルゴンゾーラと蜂蜜のピザ、この組み合わせを考えた人は天才ですよね。

そしてコレクション会場へ。社内の会議室にて展示されていることもあり、なかなか気軽に訪問できない感じはありますが、受付の方々にいろいろご説明をいただき、充実したコレクションをゆっくりと堪能することができました。

香水瓶のコレクションが素晴らしいのは言うまでもないのですが、カメラマンの十文字美信氏の作品も一緒に展示されています。写真展としても見応えが十分にありました。

香水瓶はおなじみラリックの作品がやはり多かったのですが、今月22日よりスキャパレリの香水瓶があらたに展示品に加わっています。有名な「ショッキング」シリーズや「Zut!」を初め、何点か展示されていました。

なんと言っても今日訪れてラッキーだったのは、2日前の26日より特別展示されている、巨大な龍涎香。4.95kgあります。こんな大きなものはさすがに他でも見たことはなく、みなさんで「一体いくらくらいの価値なのか…」と下世話なことを考えてしまいましたが、受付の方曰く「この会場の中で最も価値の高いものですね、はい、軽く家が一軒立ちます」とのこと!ショーケースに収められていますので匂いを嗅ぐことはできませんが、これを見られただけでも大感激です。

今回は遠くからご参加いただいた方もいらして、とても楽しいサロンでした。次回10月は「旧安田楠雄邸庭園見学と谷根千さんぽ」を行います。


第12回アンティーク検定講習・3級

この週末はアンティーク検定講習・3級を実施いたしました。2018年よりアンティーク検定は試験と並行して講習形式でも行われ、年2回実施されていますので今回で6年目・第12回となりました。大人の習い事は楽しく学びたいもの、年1回の試験で一発勝負で臨む人ももちろんいらっしゃいますが、講習に参加して一からゆっくり学ぶ、というこの講習コースも人気です。なんといっても出席して受講すれば資格が取得できるのです!

2日間で3級のレベルをすべて網羅するのですが、興味があれば知識ゼロで受講していただいても全く大丈夫。アンティークとは?西洋とは?美術と装飾美術の違いは?といったきほんのき、から講習がスタートします。

初日は「アンティーク入門」「陶磁器入門」「ガラス入門」「銀器入門」。どの分野もまずは広く浅く、要となることを覚えていきます。

ー陶磁器の分類は?

ーボーン・チャイナってなあに?

ーヴェネツィアのガラスとボヘミアのガラスの違いは?

ークリスタルって普通のガラスとどう違うの?

ー純銀ってどうやって見分けるの?

こんなアンティークの基本を学んだ後に今年7月に行われたアンティーク検定試験・3級の問題を解いていくと、あら全部解けるじゃないですか、ということに。一人で「西洋骨董鑑定の教科書」を読んでいてもなかなか頭に入らなかったことが、一気にクリアになったようです。

陶磁器・ガラス・銀器の基本的な鑑定も実際のアンティーク品を触りながら行っていきます。この講習は鑑定品のお土産付き、今回はクリストフル社が某ホテル用に制作したアイスクリーム・スプーンが鑑定品でしたよ。

2日目の講習は「様式」「家具・建築」をオンラインで受けたのち、外出・見学を行います。今回は旧前田侯爵邸へ。東洋一の大邸宅と言われ、使用人だけで100人いたと言われる戦前の上流階級の館、チューダー様式とは、和洋館並列住宅とは、金唐革紙とは、と見どころ満載な見学地です。

2日間の集中講習は修了、カフェにて修了証授与&懇親で無事終了いたしました。

次回3級の講習は2024年1~2月を予定しています。どなたでもご受講いただけます。