月別アーカイブ: 2015年10月

ホテル・オークラの家具調度品がオークションに!

 海外では、ホテルのリニューアルの際に、家具調度品をオークションで一般市民に売り、その費用を改装費用の一部に充てる、といったケースがよくあります。
 

 たとえば、2013年のパリ・ホテル・クリヨンのオークション。ホテル・クリヨンは、日本の天皇陛下もお泊まりになられた、コンコルド広場を一望できる、由緒ある老舗の高級ホテル。ベッド、カーテン、バスローブ、食器、カトラリー、ワイン、ドアマンの制服・・・ありとあらゆる備品・調度品がオークションにかけられ、コンシエルジュのキャビネットボックスやセザールのバーテーブルは、その落札額と共に、当時話題になりました。

 

セザールのバー・テーブル

セザールのバー・テーブル


 
コンシエルジュのキャビネットボックス

コンシエルジュのキャビネットボックス

  
  

 2014年には、同じくパリのホテル・ルテシアが全面リニューアルのため、同様に一切合切をオークションに。アール・ヌーヴォー、アール・デコの家具がすべてオークションにより、一般の人の手に渡っています。
 

 日本では、こういう話はあまり聞かない・・・と思っていたところ、なんと先日リニューアルのため、いったん閉鎖されたホテル・オークラ東京の「旧本館」の家具・備品がオークションにかかることになりました。
 
 hotel-okura-tokyo
  

 オークションは11/4(水)より、7週にわたって開催されるそうです。インターネットでも参加できます。こういったものが、やがてアンティーク家具として大切に保存されていくのは、嬉しいですね。
 

 詳しくは、こちら
 
 


第3回アンティーク検定・お役立ちブログ3

 第2回アンティーク検定の3級に出た問題です。
 

 「ヨーロッパの工芸界では、チャイナといえば磁器、ジャパンといえば陶器のことである」
 

 ◯X式で答える問題です。
 

 もちろん、答えは、X。
 

 チャイナといえば磁器、は正しいのですが、ジャパンといえば陶器、ではなく、漆です。
 

 第1回、第2回アンティーク検定2級の英語の問題にもありましたが、Japanningという言葉の説明、これは漆という言葉が入っていれば、正解です。受験者の中には、いわゆる19世紀後半にヨーロッパで起こった、「ジャポニスム」と間違いした説明の解答が見られました。
 

 チャイナと言えば、磁器。これは、ヨーロッパでは長い事、磁器製法が解明されずに磁器を作る事ができず、中国から輸入された磁器に頼っていた期間が長かったため、チャイナ=磁器、だったのです。
 

 ボーン・チャイナについて。
 ティーカップの裏に、BONE CHINAなどと入っているものがあります。
 

ボーン・チャイナのチョコレートカップ(19世紀前半)

ボーン・チャイナのチョコレートカップ(19世紀前半)


 

 ヨーロッパの人でも、陶磁器のことに詳しくない人などは、「なんだ、これは made in China か」なんて言う人もいますが、とんでもない。BONE CHINAというのは、イギリス独特の、骨灰磁器のこと。BORN CHINA(中国で生まれた)ではありません!
 

 骨灰磁器?一般の磁器と何が違うの?イギリスだけにしかないの?
さあ、調べてみてください。
 

*10/30(金)の、よみうりカルチャー恵比寿センターでの対策講座の授業は、このボーン・チャイナについてのお話です。更に詳しいお話に迫ります。(途中入校可)
 
 


2016年海外研修・プレお知らせ

 まだ詳細は決定していませんが、2016年の海外研修につき、このblogで先にお知らせいたします。
 

 GWが終わり、日本からの航空運賃が安くなる2016年5月下旬または6月上旬頃、「アート」「アンティーク」「テーブルアート(ガストロノミー)」のトリオを組み込んだ研修を予定しています。
 

【アンヌ・コリヴァノフ(オークショニア、ギャラリスト)と共に過す、アール・ド・ヴィーヴル 〜アート、アンティーク、テーブルアートを知る〜(仮)】
 

滞在地:フランス・パリ
 

1日目 
アンティーク・マーケット(バスティーユまたはクリニャンクール)の見学
メゾン・バカラ見学
オペラ座観劇

 
2日目 
ワイン博物館、見学とティスティング
オークションハウス「ドルーオー」と、ドルーオー界隈のアート&アンティークギャラリー見学

 
3日目 
ニシム・ド・カモンド美術館見学
ミシュラン2星レストラン「Grand Vefour」にて、テーブルアート・レクチャー及び、昼餐会
パリのパッサージュ巡り
コメディ・フランセーズ観劇

 
4日目 
BOURRIENNEの館特別見学(特別開館)
マキシム美術館にて、アール・ヌーヴォーのレクチャー、ティータイム

 
5日目 
金銀細工ギャラリー見学
パリ装飾美術館またはセーヴル陶磁器博物館見学
カクテルパーティ

 

 アンヌ・コリヴァノフは、2014年の研修でも、テーブル・アートのレクチャーをしていただき、そのチャーミングな笑顔とバイタリティで、ファンが多い講師です。
 
IMG_2891
 
 (2014年公式海外研修 修了ディプロマ授与式記念撮影に慌てて現れたアンヌ)

Emi et son groupe  

 
 研修の日時や参加費の詳細は、年内までに決まり次第、お知らせいたします。また年明けに、研修説明会を開催予定です。検討していらっしゃる方、是非説明会だけでもご参加ください。
 
 


第3回アンティーク検定・お役立ちブログ2

(前回の続きです。)
 

・これは、何でしょう?
 

 この1本だけですと、はて何だろう?ワインのカラフ?水のボトル?それともふた付の花器?
 
 いろいろな想像が浮かび上がりますね。
 もちろん、今これを手に入れて、どう使おうと、それは自由です。ただ飾っておいても、素敵な置物です。
 

 でも、当時は何の目的で作られたのでしょうか?そろそろ謎解きをしましょう。
 

 19世紀後半のヨーロッパでは、産業革命のおかげで、鉄道網が発達し、人はレジャーで旅行ができるようになりました。それまでは、人は生まれた地から半径何キロまでの間でのみ生活をし、その場所を動く事なく、一生を終えたのです。
 

 旅行するようになると、必要なものは・・・旅行セットです。
 今の日本では、手ぶらでも、ホテルのアメニティが至れり尽くせりですが、今でもヨーロッパでは、高級ホテルでも歯ブラシはないところがほとんど。
 その旅行セットも、ブルジョアのセットですし、まだプラスチックは大量生産されていなかったのですから、こんなに豪華だったりしていました。
 
 
necessaire_drouot
 

 さて、このふた付きボトルですが、これは化粧瓶です。
 香水瓶と表記されていることもありますが、香水、化粧水、そういったものを入れていたのでしょう。
 

・これは、どこのメーカーのものでしょう?

 baccarat_necessaire
 

 比較的よく見るものですので、知っている方もいるかもしれません。
 

 知らない場合、こういったものは、どこかにサインが入っていないのかな?と、よく裏返したりしてサインを探しますが・・・これは、入っていません。
 

 答えは、バカラ社の化粧瓶です。
 

 ちょうど昨年(2014年)、バカラ社は創業250周年を迎え、日本でも全国で展覧会が開催されていましたので、記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
 

 サインが入っていないのに、バカラって分かるの?
 

 はい、分かります。
 バカラ社に、このように文献が残っており、1890年代からこのシリーズの生産が始まっていたということが分かっています。
 

baccarat_bambou
 
 
 ちなみに、バカラ社でエッチングのサインが入るのは1936年から。それ以前は、紙のシールによるサインは入っていたのですが、当時の紙のシールが残っていることはほとんどなく、従ってサインなしのものを「オールドバカラ」と呼んでいます。
 

 100年を経たガラスですから、揃っているものはあまりなく、1つ割れ、1つ壊れ・・・今ではバラけて単体で、ヨーロッパの蚤の市やアンティークマーケットでよく見かけます。もちろん揃っていれば、それだけ価値もありますので、お値段も、します。
 

 バラバラになったこういうのを1つ1つ集めていって、また揃えてみる、というのも、現代の醍醐味かもしれませんね。
 
 


第3回アンティーク検定・お役立ちブログ1

 いよいよ昨日から登録がスタートしました、第3回アンティーク検定。
受験日は12/6(日)、今回より、3級・2級・1級とすべての級の受験が可能になりました(1級受験者は2級を合格していることが前提です)。

 
 各協力機関にて対策講座を実施していますが、なかなかご都合がつかない、という方もいらっしゃるでしょう。
 

 今回より、2ヶ月余りに渡って、検定試験の対策に少しでも役立てられるよう、「お役立ちブログ」をスタートいたします。
 

 検定試験は、あくまで中立な立場で実施をしますので、さすがにネタバレをすることはありませんが、でもこのブログを読んでいれば、少なくとも「傾向と対策」にはつながると思います。
 

〜〜

 
 今回の検定要項パンフレットに出ている画像について。
 

3rd_antique
 

 赤のふたが何やら美味しそうな飴玉のような形状をしていますね。さて、
 

・これは、何でしょう?何に使うものでしょう?
・これは、どこのメーカーのものでしょう?
・これは、いつごろの時代のものでしょう?
・これは、材質はなんでしょう?
・これは、どういうシリーズの名前がついているのでしょう?

 更には、
 

・買う時の注意点で大切なことは、何でしょう?
・市場価格はいくらくらいでしょう?
 

 さあ、そんなことを考えてみてください。
 

 答えは、次回のブログにて!