何やら変なタイトルを付けてしまった今回のblogですが、株とアンティーク品というのは、意外と共通点があります。株価と、アンティークのお値段、という点において。
金融商品の中でも、例えば為替は、これは相対的なものです。ある通貨がある通貨に対して上がれば、一方は下がっている、といった具合に、最近の言葉遣いで言えば、必ずどちらかが「勝ち」でどちらかが「負け」の期間があります。
でも株は、すべての株が上がっていたり、すべての株が下がっていたり、ある株だけやたら上がっていたり、と、株式市場全体で底上げや冷え込みがあり、そして抜け駆け的に強いものも現れます。現在はアベノミクスのおかげで日本株は好調です。わずか3年前に500円だった株価が1000円の値を付けている、といったものもあるでしょう。
アンティーク品は、実はこの株と値段が似ています。
みんなが欲しがっていると、そのものの値段が高くなります。
そして、欲しがる人がいなくなると、途端に値崩れを起こします。
ある地域だけで売買されているものが存在します。
まさに需要と供給、それだけで大半が成り立っている世界です。
株価を分析すれば、そこには理由があるように、アンティーク品の値段にも理由があります。
「人気がある」「みんながほしがる」の要素の中には、そのものが好きだ、ほしい、という純粋な気持ちとは別に、投資目的もあります。アンティーク・ジュエリーや、美術品のマーケットはもうそういった要素抜きにしては語れない時代でもあります。
書を一冊ご紹介。
これは、なかなか面白い本です。『現代アート経済学』、「現代アート」の経済学ではなく、現代の「アート経済学」、です。アートは経済や政治と密接に関係している、というおはなしで、アートをアンティーク、に入れ替えても当てはまります。
ところで日本の西洋アンティーク業界はそれでは今はどうなのか、というと、業者さんにとっては厳しいことに、つまりコレクターにとっては幸いなことに、全体的にお値段がお安くなっている時代です。
ちょっと前までは、海外に行くともっと安く売られているようなものなのに、日本のアンティークマーケットでは、やはり送料や関税もかかって、このくらいの値段になってしまうのだなあ、と溜息をついていたようなものが、下手をすると本家本元よりも安かったりします。たとえばパリの蚤の市で有名なヴァンヴ、ここにはカフェオレボールだけを扱う業者さんが出ていますが、今や状態のひどい(欠けやシミがある)ものでも最低35ユーロ。でも日本で状態のよいジアンやサルグミンヌのアンティーク・カフェオレボール、探せば4000円くらいで見つかることもあります!
日本では少子高齢化に伴い、これまでコレクションをしていた人たちがそろそろ身辺整理を始めるにあたり、「もう家族の誰もこんなの欲しがらないから、売ってしまいたい」とコレクションを手放す人も出て来ました。ものが市場にだぶついている、とも言えます。実際値段が上がっているときは「もっと上がるだろうから」とコレクターは手放さないので、ものが市場に流通しません。今は比較的ほしいものは「出てくる」時代だと言えます。
10年20年前の、骨董やアンティーク関連の雑誌を見ていますと、そこに記載されている値段は、今の値段よりもはるかに高いものが多く、本当に一部の余裕のある人しか買えなかったようなものが、今では少し無理をすれば手の届く時代になってきているようです。
とはいえ、株も水もの、骨董・アンティーク品も水もの、この先また人気が出て需要が出て、うんと上がることも十分ありえます。今ほしいものがあって、買えそうであれば、それは手に入れるチャンスかもしれません!