三鷹でアンティークと名建築に触れた、AEAOサロン倶楽部

大型連休に入った29日(祝)、今日は三鷹の地で月1回のお出かけ講座・AEAOサロン倶楽部を開催しました。「ミタカ・オルゴール館」を見学し、評判のフレンチのお店でランチ、そして山本有三記念館の見学です。

まずは三鷹駅から歩いて5分にあるミタカ・オルゴール館に集合。今回のご参加者の中にご近所にお住まいの方がお二人いらっしゃったのですが「行ったことない」「知らなかった」というわけで、まだまだ知られざる、そして穴場のアンティーク・ミュージアムです。この時間帯は私たちの貸し切りで、1時間たっぷり解説付きでアンティークオルゴール、自動演奏楽器、オートマタなどを実際にその音色を楽しみながら過ごしました。

世界最古のオルゴールはスイスの時計職人によるもので、シリンダー・オルゴール、そして産業革命によりディスク・オルゴールへと発展していきます。繊細な筒や仕組みを見ると、時計職人の手作業でスタートしたというのもうなずけます。当時の上流階級のニーズに応えるべく色々と細部を改良していくのですが、やがて19世紀になると多くの人が楽しめるように、コインを投入してディスク・オルゴールの演奏を聴けるような、ジュークボックスの前身のようなシステムも作り出されます。ポリフォニーである音楽を如何に低音から高音まで響かせられるか、本当に様々な工夫がされているのですね。

「ミタカ・オルゴール館」を後にし、玉川上水脇の「風の散歩道」をゆっくり歩いて、シックなレンガ調の洋館の建物にあるレストラン「エサンス」へと向かいます。ロブションやデュカスで研鑽を積んだというシェフの作るお料理、メニューはその日に入った新鮮な材料でということでお楽しみだったのですが、「酒粕のムース」も「新玉ねぎのスープ」も「レモンローズマリー風味のオオニベ」も「大山鶏の胸肉スパイス焼き」も「クレーム・ブリュレ」も「赤フルーツのシャンパンムース」も、どれもこれも唸る美味しさ!しかも広い個室をご用意いただき、ここでも私たちの貸し切りでゆっくり懇親会ができました。

美味しいお料理で胃も心も満足した後は、すぐ近くの山本有三記念館へ。私たちは文学に興味が、というよりもこの建物に惹かれて見学地に入れたのですが、ここでも私たちのためにガイドさんが解説をしてくださいました。代表作「路傍の石」も入口にどーん、と展示されています。

屋敷は山本有三が建てたわけではなく、この誰が建てたのか不明な洋館を買い取って昭和11年から10年ほど家族と共に暮らした家だそうです。昭和初期に流行したスクラッチ・タイルや大谷石、木の線材装飾などを見るとフランク・ロイド・ライトの影響を感じずにはいられません。またファサードはむしろ表側ではなく裏側だったのでは?というくらい、表側の外観は左右非対称で玄関もすぐにそれとは分からない扉、反対に裏側の外観は左右対称で端正な仕上げになっています。通常このような屋敷は接待用と家族用に分けられ、接待用は表にあつらえるのが普通なのですが、この館はそれが逆なのも面白さの一つなのです。内部はゴシック様式で、ゴシック・リヴァイヴァル期に流行ったという「イングルヌック」と呼ばれる暖炉を中心とした小空間も作られていました。

三鷹のアンティークを楽しんだ後は、お天気も良いし、このまま井の頭公園に入って吉祥寺経由で帰りましょうということで、みなさんで緑の中をお散歩…GW中の祝日とあって、こちらはものすごい人でにぎわっていました。ボートに乗る人の列、有名なお店の前の行列、そして吉祥寺駅に向かう七井橋通りの人混みにちょっと酔いそうになりながら吉祥寺駅までたどり着き、解散となりました。今日は9千歩くらい歩いていたようです。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。


新アカデメイアがスタート!

本協会主催のアンティーク講座・アカデメイア、4月より新しいシリーズがスタートしました。テーマは『「アンティーク鑑定」のエキスパートになる!』、本協会代表が進行役を務めています。

第1回は、サザビーズ・オークション。世界最古の近代オークション・カンパニーでその名も有名ですが、元々は書籍の競売を行ったのが発端、美術オークションに力を入れ出したのは20世紀も中ごろに入ってからのことでした。現在ではインターネットによるオンライン・オークションもさかんで、オークション・カンパニーとして世界で最初にオンライン・オークションを手掛けた会社でもあります。

今回は今年3月に行われた « Design Including Art Glass by Louis Comfort Tiffany from The Doros Collection »に出品されている作品の中から数点について、そのdescriptionやcondition reportなどを読み解いていきました。

@ Sotheby’s

ティファニーのファヴリル・ガラス、ガレの陶磁器、ギマールのメトロのデザインのパーツ、そしてフィン・ユールの椅子について取り上げ、アール・ヌーヴォー期からミッド・センチュリーまでの装飾工芸の世界をおさらいも兼ね、オークション特有の用語や状態を表す際にどのような表現をするのか、そして現代のニーズとして鑑定士の評価額と落札結果からどんなことが言えるのか、そんなオークションにまつわることをみなさんで語り合いました。

@ Sotheby’s

来月はクリスティーズのオークションを行います。見逃し配信もありますので、ご興味のある方は是非今からでもお申込みください。「アンティーク検定試験」1級の対策としても有効です!


2025年度アンティーク・スペシャリストは10名!!

今日は2025年度アンティーク・スペシャリスト講習会が開催されました。アンティーク検定1級合格者の方々のみが参加できる講習会で、受講後に「アンティーク・スペシャリスト」認定証が授与されます。コロナ禍の2021年に本講習会のシステムがスタート、今年で第5回目になります。

初回のオンライン講習会(前日に緊急事態宣言が発令されたため、予定していた会場が閉鎖)を除き、東京芸術劇場内で講習会を開催していたのですが、今年は同施設が休館中のため別の会場を探していたところ、昨年秋に荏原 畠山美術館の館長に就任された岡部昌幸館長より美術館内を使用させていただくという恩恵にあずかりました。

まずは美術館に集合、現在開催されている展覧会「花ひらく茶と庭園文化」を鑑賞させていただく前に、手入れの行き届いたお庭の鑑賞から。岡部館長自らが解説してくださいました。

館内では30分ほど展覧会を鑑賞し、再び集合して、懇親会の会場、レストラン・パフュームへと向かいます。

港区白金台という住所ブランドからはなんだか金粉の匂いがしてきますが、道を一歩隔てると住所表示が品川区東五反田になって雰囲気ががらりと変わるなど、東京は街歩きが本当に面白いですね。

こちらのレストランではなんとホンモノのふくろうがお出迎え!!そしてレトロなオーディオから流れるBGMや調度品にアンティークの雰囲気が醸し出される雰囲気の中、コース料理をいただきました。

ちらっと裏返して見てしまったお皿はベルナルドとノリタケ。どちらも昨年の海外研修、国内研修で訪れた地ですし、今月海外研修で訪れたコート・ダジュール風のお料理なども出て、親近感が沸いてしまいます。

食事の後は再び美術館に戻り、本丸の講習会。荏原 畠山美術館の展覧会に関する関連レクチャーを岡部館長からいただいた後、今回のご発表を関根靖子さんよりいただきました。

タイトルは「私の青い鳥を探して」。メーテルリンクの「青い鳥」の挿絵の解説から鳥の構造色に関する紐解きまで、多方面から「青い鳥」に光線を当てたご発表で、多くの資料もご持参いただき、鳥LOVEが伝わってきましたね。

今回関根さんが言及されていた「アウトプットの重要性」、これはまさにアンティーク検定試験1級に求められている能力なのですが、1級を合格したスペシャリストの方々もやはり取り入れた知識をアウトプットしていくことでより多くの気付きを得たり知識に対する欲求が深まったりするという訳で、この「発表」の場は内々なる場だとしてもやはり有意義なのだとあらためて感じた講習会でした。

今回ご準備が間に合わず「来年こそは是非!」と仰っていただいたスペシャリストの方もおりますので、益々頼もしい講習会になりそうです。

今年はじめてスペシャリストになられた方も含め、今年は公式に10名のアンティーク・スペシャリストの方が認定されました。

会場のご手配をいただきました、当協会の監修者であり荏原 畠山美術館・館長の岡部昌幸先生、そして10名のスペシャリストのみなさま、お忙しい中のご参加を誠にありがとうございました。


無事帰国、2025年度の海外研修、お疲れ様でした <DAY9>

前日22時に出発したエールフランス0274便は、羽田空港に無事ほぼ定刻で到着しました。欧州直行便はウクライナ戦争前より3時間ほど長くなり、この3時間が結構キツイのですよね。

夜の18時40分過ぎに着陸して外を見ると、もう日が暮れていることにちょっと驚きます。というのも現地では夏時間になってから20時くらいまで明るかったのですから…そしてなんだか肌寒い。どうやら東京は4月に入って冬のような寒さが続いていたとかで、そのおかげか最後の葉桜混じりの桜もなんとかこの週末に鑑賞できそうです。

さて、今回のツアーでは添乗員エリちゃんに大変お世話になりました。いつも笑顔で元気はつらつ、添乗のメイン業務であるスケジュール管理に関しては抜かりなく一歩も二歩も先を読んで行動して下さるおかげで、無駄なく効率よく動くことができました。参加者のみなさんも「娘みたい、というか娘よりかわいい」などと誰からも愛されるキャラのエリちゃんですが、時には時間に遅れてきたドライバーには堂々としかりつけ相手の非を認めさせ「チップあげないよ」と脅し教育をし直すという、なかなかのしっかり者なのです。普通なら摩擦を避けようとなあなあにするところを筋をきちんと通すエリちゃんの姿勢にドライバーも襟を正し、終日低姿勢で最後には「私の仕事は如何だっただろうか」とおどおどお伺いを立てる始末で「よしよし、私も今朝は怒ってごめんね」と、爺と孫娘のような関係になってしまう、コミュニケーション力ピカ一の添乗員です。

ドライバーさんとのやり取り、時間配分、各種支払いなどツアーリーダーとしての業務以外にも一人一人の行動や体調にも気を配り、時にはお客さんの荷物を持ち、ホテルの部屋の不具合の調整コーディネートから、全員の帰りのフライトの座席の希望席(通路側)確保まで、本来業務ではないところもたっぷりサービスをしてくださいました。

ルイキャーンズでは一緒に楽しそうにお食事の席に着いていましたが、内心ドライバーさんの時間延長など気にしながらだったのでしょう、こそこそメッセージを送りながらも舞台ではニコニコ、ちなみにエリちゃんが飲んでいるのはノンアルコールワインです。お仕事中ですものね。

月1回の割合でどこかの国に添乗に出ているというエリちゃん、今後の夢は南極ツアーへの添乗だとか。ペンギンと戯れるツアー、是非実現させてくださいね!この度は本当にお世話になりました。


さようなら南フランス、最後にモナコ大公宮殿 <DAY8>

楽しかった海外研修も最終日になりました。すでにツアー本体とは別フライトで帰国するSさんは早朝にホテルを出発、トランジットの空港に無事着いたとの連絡が。ツアーの出発はホテル発13時、それまでは自由時間です。ニースは今日が一番お天気のよい日のようで、朝からさんさんと太陽が照っていました。

最後のお買い物をマルシェでする方、地中海の海に足だけでも浸かろうと海岸を目指す方、旧市街の17世紀バロックのラスカリス宮殿を見学する方、みなさん様々に最後のニースの半日を過ごします。

ラスカリス宮殿訪問組は朝10時のオープン時にスタンバイ。ここもニース市立美術館の1つで、昨日のマティス美術館と共通のチケットで見学することができます。見学予定の児童たちも並んでいて、悪さやおしゃべりをする度に先生に「静かにしなさいっ!」と叱られているのもどの国も同じですね。

オープンと同時に入場すると「どの言葉の解説がほしい?」と聞かれます。かつて日本人が世界中に観光に訪れていたあの光景は今では過去のものとなり、多言語表示から日本語が消えて久しくなった今日、でも一応言ってみようと「まさか日本語なんてあったりしませんよねぇ」と尋ねると「日本語ね、はい!」と日本語で書かれた概要のコピー用紙を渡されるではないですか!句読点が行頭に置かれているなどのミスは可愛いもの、まさかこんな小さな宮殿で、と感激しながら階段を上がっていくと…監視件ガイド役のおじさん(!)の制服には話せる言語の印で日の丸の国旗が!

どうやら日本オタクのようで、日本には15回行っている、そして日本の音楽家たちと知り合いだとのこと。この宮殿には17世紀バロック期の古楽器が多く展示されており、楽器の解説がやけに素人離れしていると思ったら、作曲家でもあるのだそう。どこまでが冗談か本気かわからないところも、イタリア気質のフランス・ニースならではの公務員、自分のYouTubeの宣伝をしたり率先して一緒に肩に手を回して写真を撮りたがるなど日本の公務員からしたら懲戒免職もの!?

さて、13時にホテルを出発したバスは、一昨日のモナコへとまた向かいます。そう、あの大公宮殿内部見学が残っているのです。実際に住んでいる宮殿ですから見学できる期間が限られており、ようやく昨日オープン、今日は2日目です。入口で聴きたい言語のオーディオガイドが渡され(日本語もありました!)、ガイドを聴きながら宮殿内を進んでいきます。

見どころたっぷりの宮殿ですが、長居はできません。というのも「モナコ王室御用達のショコラティエ」へ行くというオプションが待っているからです!もう10分しかない、という限界値でもやっぱり行って買ってしまう私たち。添乗員エリちゃんに「さあ、もう行きましょ」と促されて駐車場へ戻り、そのままニース空港へ。バイバイ、モナコ、また来ますね。

パリの空港のごった返している光景とは裏腹に、こちらはがら~んとのどかな光景が。チェックインのゾーンで手持無沙汰に待っている係員にEチケットを見せると「あの機械で自分でバゲージタグ出して、ボーディングパスも出してきてね」と笑顔ながらもセルフ・チェックインを強制される今日この頃。もはやすべてがセルフが当たり前のシステムになったのはいいけれど、なかなかバーコードやQRコードを読み込めずにエラーになる機械の方ももう少し精度を上げてくれませんかねぇ。

なんやかんやでチェックイン完了、手荷物コントロールもパリほどの混み具合ではなく、手続き後は比較的時間もあり、ここで軽くおやつを食べたりコーヒーを飲んだりしながらニースからパリ行のフライトに定刻通り搭乗しました。パリに到着し延長滞在されるKさんとはお別れ。せっかくフランスに来て、パリで乗り換えるのですから2日間パリの美術館をはしごしてお帰りになるのだそう。装飾美術館のクリストフル展をはじめ、パリで見るべきものは目白押しですからね。

シャルル・ド・ゴールでのトランジットは超ラッキーゾーンで、そのままノー・コントロールでした。当日にならないと分からないゲートゾーンがたまたま到着ゾーンと同じだったので、また水を没収されたり電子機器をいちいち取り出したりということもなく、羽田行の出発ゲートで待機。お土産コーナーがラベンダー一色からインターナショナルな雰囲気に変わります。

さて、これから13時間半の夜間飛行です。みなさんぐっすり眠れそう。