アカデメイア『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』教会見学と東京美術倶楽部

今日は現在開催中のアカデメイアの教会見学の日でした。見学地は千代田区西神田にあるカトリック神田教会、聖フランシスコ・ザビエル聖堂を見学し、聖堂内のしつらえについて学ぶべく実際に訪れてみるという実施講座です。

当初の予定はカフェでレクチャー+見学でしたが、前座として参加者一同でランチ。神保町といえばカレーですが、古書店街から少し離れた界隈で美味しそうなスープカレーのお店を見つけ前日に予約、ここはカスタマイズがすべてにおいて(辛さ、スープの味、ご飯の量、トッピング…)できるシステムで、それぞれ自由に選んでみました。といっても初心者の「微辛」を選んだ人が多かったですね。野菜たっぷりのスープカレー、なんだか健康食のような気がしてきました!?

ランチ後のカフェではレクチャーと共に持ち寄った銀器の刻印鑑定会や7月に行われる国内研修の話などにも花が咲き、お腹もお喋りも満たしたところでいよいよ神田教会へ。

日本で最初に聖フランシスコ・ザビエルに捧げられたこの教会は1874年(明治7年)の創設です。歴史を感じますね。明治29年に建立された聖堂は関東大震災で失われましたが1928年(昭和3年)に再建、現在では登録有形文化財に登録されています。

当然ながら教会内部の写真撮影はできませんが、美しいステンドグラスの窓はしっかり目に焼き付けることができました。中山久美子先生の資料はステンドグラスの場面の解説付きですので、資料を見ながらさまざまな聖書のシーンを追っていきます。アダムとエヴァの楽園追放、マギの礼拝、受胎告知、イエスの埋葬、最後の晩餐…かつて聖書を「読めない」人々にもお話がわかるようにステンドグラスにおはなしを描いていたということがよくわかります。

その後、みなさんで東京美術倶楽部にて開催中の「工+藝 KO plus GEI 2024」展を見に行きました。

高級美術商がその会員であり敷居が高いとされている東京美術倶楽部ですが、一般公開されているこの展覧会は誰でも作品を鑑賞することができ、また作家さんを交えてのギャラリートークも開催されているとあって、覗いてみたところ作品もギャラリートークも期待を大きく上回る体験でした。

また国内の茶道名家家元が利用する済美庵にて御茶をいただくという機会にも恵まれ、美術館ではガラスケースの中に入るような高級なお茶碗でお点前をいただき、お庭も鑑賞できてハッピーな気分に。

東京美術倶楽部を出たら東京タワーも見られて、とても充実した1日でした。中山先生、ご準備や下見、有難うございました。来月は「博士たちとの議論」から「キリストの奇跡」まで、ですね。


AEAOサロン倶楽部・5月の会は明治生命館と丸の内仲通りのアート散策

GWの狭間の平日最終日、AEAOサロン倶楽部では丸の内界隈の建造物とアート散策を行いました。平日ではあるけれどインバウンド旅行者も徘徊しているし、なんとなくどこかお休み中な雰囲気が漂っています。

11時半に予約をしてあるレストラン「A16」の入口、丸の内ブリックススクエアで待ち合わせ。ここは普段ですと三菱一号館美術館の中庭にもなっているところですが、現在は改装中で休館、いつものレンガ姿がアートで覆われていました。

今日のサロンは定員を増やして総勢8名、お店側から「これ以上の人数ですと難しい」と言われたところで締め切ったのですが、ちょうどよい具合にピザもパスタもシェアできて評判通りに美味しいイタリアンでまずは恒例の懇親会。初めて会う人同士でも食卓を囲むとすぐに仲良くなれますね!

お腹が満足したところで、丸の内仲通りのストリートギャラリーについてのミニレクチャーと共に彫刻のインスタレーションを鑑賞します。

この辺りは1890年代、明治政府からの要請で岩崎彌之助(三菱2代目社長)が丸の内一帯を取得し、三菱ヶ原と呼ばれていたそうで、今では「三菱村」などと呼んでいますね。

さて、歩いてすぐの明治生命館へ。1997年に重要文化財に指定された建物ですが、やはり一帯の中でも風格が違いますね。「様式建築の名手」と言われた岡田信一郎による設計で、1934年に竣工された古典主義の威風堂々とした建物。5階分のコリント式オーダー、底部が頭部より太く微妙な膨らみのあるエンタシスの柱など、外観からも圧倒される建物です。

西口より中に入り、警備員の方に見学を申し出てエレベーターで2Fへ。順路に添って見学をします。会議室、応接室、食堂などが一般公開されています。

ふんだんに使われている大理石、チューダー朝やスパニッシュ様式の家具、天井や梁のレリーフなど、戦前の日本の財閥の富や力を感じますね。

見学後は再び仲通りで草間彌生やジム・ダインの彫刻を鑑賞したり、高級ブティックを冷やかしたりしながら、ここももうすぐ建て替えとなる帝国ホテルへ。帝国タワーは6月末でクローズになるのでこれが最後でしょう、写真展も開かれていました。

本館でライトの椅子やホテル全体の模型、ランデヴーラウンジの多田美波氏による壁画などを鑑賞、地下のブティックでもアンティークショップなどを覗いて愉しみました。

昨日の東京は雨で寒い日でしたが、今日は幸いお天気も回復して太陽も姿を現し、街歩きに理想的な気候でしたね。ご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした。


読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』第2期がスタート!

2023年の旧約聖書から引き続き、新約聖書のお話がどのように絵画に描かれているかを紐解くアカデメイア『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』の第2期がスタートしました。講師は引き続き中山久美子先生です。ちなみに中山先生は幼少の頃から教会へ通っていた信者さんだけあって、その解説のわかりやすさはピカ一なのです。

今日は、最初に来月見学で行く教会の基礎知識として、教会建築についてのお話をいただきました。今年1月にAEAOサロン倶楽部でニコライ堂(東京復活大聖堂)へ見学に行きましたが、こちらは東方教会の方でした。このアカデメイアで訪れる予定の教会は西方教会で、一般的にどういう作りと構成になっているのか、バシリカ式やラテン十字形とはどういう形なのか、ロマネスクやゴシック建築の教会の例を挙げながら解説いただきます。

そしていよいよ絵画に登場する、新約聖書の世界で描かれるあんな場面やこんな場面、順を追って見ていきます。前期の復習を兼ねて新約聖書と旧約聖書のあらまし、ユダヤ教とキリスト教、ところでイエス・キリストって何者、というきほんのきをおさらいしたところで新約聖書のあらすじに添ってテーマ別に絵画を見ていきます。

第1回目の今日は「受胎告知」「エリザベツ訪問」「東方三博士の礼拝」「神殿奉献」「幼児(嬰児)虐殺」「エジプトへの逃避」のそれぞれの主題で、歴代の画家たちがどのように描いているのかを読みほどいてみました。描く画家の時代や国によってそれぞれ解釈の違いがあり、また画風や様式は異なりますが、帰する主題が同じなので共通点が見えてきます。全然違う国と時代の絵画を並べて比較すると、知識がなければ全くの異なる2枚の絵から、一つの同じ物語が浮かび上がってくる…これぞ先生がよく仰っている「絵画は見るものではなく、読むもの」の醍醐味なのですね。

<この2枚の絵画、全く同じ主題が描かれています。>

ところで本当に奇跡は起こったのか、本当に一度死んだ人間が復活したのか…科学的に考えればあり得ないことなのでしょうが、科学がここまで解明されている現代でもこれらの絵画に誰もが感じる神々しさ、そして宗教を狂信するあまり現代でも起こっている戦争をみると、神と人間の在り方についてあらためて考え込んでしまいます。

1枚の絵からこんなに多くのことが発信されている、絵画の力ってすごいですね!

次回は教会建築見学です。


2024年度 アンティーク・スペシャリスト講習会

今日は2024年度のアンティーク・スペシャリスト講習会でした。アンティーク検定1級を取得された方はどなたでも参加資格があり、現在ではこの年に1度のスペシャリスト講習会に参加された方のみが本協会のスペシャリストと認定されています。

今年はまず楽しい会食&懇親会から。西池袋の立教通りにある茶寮リビエラの庭の個室JASMINEにて、和食のコース料理をいただきました。通常当協会での会食は「西洋アンティーク」の集まりだけあってほとんどが洋食料理で行ってきたのですが、今回は珍しく和食御膳。「フグの唐揚げ」とか「のどぐろ出汁の岩海苔汁」とか、希少で美味なお料理に舌鼓。デザートは自分で包むいちご大福にほうじ茶アイス、求肥のもちもちしたフレッシュ感がたまりません!

乾杯のスパークリング・ワインはDuc de Paris(パリ公爵)、これも美味しかったですね。(講習会の前に飲んじゃいました!)

会食の後は、歩いて東京芸術劇場・ミーティングルームへ。今回の講習会は協会の成果物制作に関するスペシャリストの方々との意見交換会としたところ、みなさまから実に多くのご意見が活発に出ました。目的、ターゲット、財源…プロジェクトの企画会議のようなものですから、お花畑の理想だけでは実現しないわけで、ニーズの分析、損益分岐点などの鋭いツッコミもいただきつつ、少しずつ方向性がまとまってきたというところでしょうか。

スペシャリストの方々は、みなさんそれぞれの分野で深い知識や経験をお持ちの才能集団です。この方々の力をお借りすることで、より広域にこの分野の魅力が広まっていくことを設立10周年、あらためて感じた日でした。

2024年度・アンティーク・スペシャリストのみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。


AEAOサロン倶楽部4月の会・「雑司が谷 旧宣教師館(旧マッケーレブ邸)と護国寺蚤の市」

AEAOサロン倶楽部・4月の会は護国寺近辺の散策で、まずは毎月第2土曜日に開催されている「護国寺骨董市」に行きました。2003年より開催されている骨董市ですので、もう20年以上になりますね。この骨董市、朝7時からスタートしており、私たちの集合時間10時45分ですともう業者さんやプロの目利きたちが一周した後、という様子ではあるのですが、お天気のよさと散り桜による花吹雪の風情もあり実に多くの人たちでにぎわっていました。

ここでもインバウンド需要があると見え、神社系の骨董市では品物名も値段も書いていないことが珍しくない中、英語表記で外国人客ウェルカムなスタンドも見受けられます。多くの外国語が飛び交っていました。

護国寺の本堂は重要文化財ですし、ジョサイア=コンドルのお墓など、多くの有名人もこの護国寺に眠っています。

30分ほど骨董市をブラついた後は、護国寺から近くの、奥まった民家の中にポツンとある隠れ家ビストロへ。ここでしっかりフルコースをいただきつつ、お喋りに花を咲かせました。

日本のフランス料理のフルコースは現地に比べるとポーションの違いが明らかで、最後まで美味しく(苦しくなく!)いただけますね。

美味しいお料理でお腹を満たした後は、いよいよ雑司ヶ谷旧宣教師館(旧マッケーレブ邸)へ向かいます。Google Mapを頼りにくねくねした道を緩やかに登っていくこと15分、見えてきました、住宅街にひっそりと可愛く存在する洋館が!

今日は学芸員による月1回のギャラリー・トークがあり、これに参加する形で見学をします。最初にお庭から外観の建築を説明いただき、その後内部を案内していただきました。「カーペンターズ・ゴシック様式という、19世紀後半のリヴァイヴァル様式の中でも特に北米で興ったデザイン様式でこの館は建てられています、とはいえ大工さんは日本人なので、内装部分のいくつかに和風っぽい意匠もあったりするのです」と。

豊島区に現存する最古の近代木造洋風建築で、ここは明治40年にアメリカ人宣教師ジョン・ムーディ・マッケーレブが自らの居宅として建てた館。布教、教育活動の拠点としても使用しており、太平洋戦争の勃発でアメリカへ帰国するまで34年間、この館に住んで暮らしていた住宅です。宣教師の館ということで、他の明治建築の洋館に見られる豪華さや華美さはなく、実に質素な造りながら、リビングルームの暖炉の装飾やベイウィンドーなど、洋館ならではの魅力が詰まっています。

この館の魅力は何と言っても全面ガラス窓という開放性ですが、その分やはり冬の寒さは相当だったようで、マッケーレブ宣教師の奥様はほとんどお住まいにならなかったとか。後から年表を見ると、どうやら何度も結婚されており、最後の結婚は80代!

マッケーレブ氏がこの館を手放し帰国した後、日本人の所有者が入れ替わり所持していましたが、昭和62年に豊島区の登録有形文化財となり、その後指定文化財を経て現在では東京都指定有形文化財となっています。もうこれで、ここを建て壊してマンションが建つ、ということもないわけですから、近隣の住民の方たちにとっても良い方向で残ったわけですね。