前回の続きです。
アンティーク検定の試験に受かるための勉強は、何をしたらよいのか?
まず、3級の目標は、「西洋アンティークに関する入門的な知識を持ち、コレクションを楽しめる」ところにあります。受験科目は、「西洋アンティーク入門史(ごく基本的な西洋美術史を含む)」です。
美術史なんて忘れちゃったよ、あるいは、勉強したことないよ、という方も多いかもしれませんが、西洋アンティークを学ぶのに、西洋美術史を理解するのは、とても有意義なことです。おや、このティーカップ、これはロココスタイルですね、と言われたとき、ロココとはいつの時代の何なの?という理解を避けて、ロココスタイルを論じることはできませんから。
とはいえ、3級の西洋美術史は、まあクイズみたいなものです。
年号や細かい詰め込み知識は必要ありません。重箱の隅をつつくような問題も出題されません。
美術史を勉強したことがない、という人は、何でもよいです、1冊で完結する、簡単な西洋美術史の本を1冊手に入れましょう。「はじめての」とか「入門」とか名のつくもので十分です。マンガ西洋美術史、なんてのもあります。基礎知識がある程度ある方は多少掘り下げた内容の本でもよいかもしれません(これは2級にも役立ちます)。本の選び方は、自分の知識と文体に合ったものを選ぶことが大切です。楽しく読めない本は、やめましょう。図版の少ない本は、ちょっとしんどいかもしれませんね。
アンティーク検定に出題される範囲は、中でもルネサンスから、20世紀中頃まで、です。
基本は17〜19世紀、と思っていただいて大丈夫です。
大切なのは、名前や年号を詰め込むことではなく、内容を理解すること。「モネ、イコール、印象派」、という覚え方ではなく、印象派ってどういう作風なのか、どうしてこう呼ばれるのか、そんな風に考えながら、読み進めてみましょう。1冊読み終わると、なんとなく西洋美術史の流れが、おぼろげながら頭に入っているはずです。
次に、アンティークの入門的な勉強をしてみましょう。
陶磁器、ガラス、銀器、家具、ジュエリー、その他いろいろなアイテムがありますが、アンティークショップやアンティークマーケットなどに足を運べば、よく出てくる「表現」に出会います。たとえば、「スターリング・シルバー925」と書いてあれば、それは何を意味するのか、「クリスタル」とあれば、クリスタルはガラスとどう違うのか・・・。
アンティーク検定を目指すくらいですから、家にアンティークの何かをお持ちではないですか?
カップボードに仕舞ってある、アンティークのカップ。裏返してみたら、なにやらマークが入っています。このマークはどこの窯のものなのだろう、いつぐらいのものなのかしら、と知りたくなってきます。
アンティーク全般に関して、1冊読めば全部網羅されています、という教科書は、残念ながら存在しません。陶磁器一つをとってみても、一つの窯につき本が出ているくらい、ある意味ニッチな世界です。本屋さんで、美術、あるいは工芸、といったジャンルの売り場にいけば、「エミール・ガレの作品と生涯」とか「ウィリアム・モリス」とか「ヨーロッパの陶磁」といった本は見つかります。自分の興味のある分野の書物は、1冊くらい手に入れてもよいと思います。
西洋美術史のようにお手軽な1冊こっきりの参考書はないのですが、全く何も持っていないし、何を読んだらよいかわからない、という方は、当協会の3級公式ハンドブックをお求めください。薄いハンドブックで、押さえるべきポイントが完結に記されています。このハンドブックは、3級用ではありますが、さらなる上位級にも対応できるように作成されています。ダウンロード版公式ハンドブックもありますが、紙で所有していた方が後々便利でしょう。出願時に、同時に申し込むことができます。
繰り返しますが、3級は入門級です。
勉強しなくても誰でも名前さえ書けば受かる、とは言いませんが、興味を持って、ハンドブックを手に入れて1ヶ月ほど、空いた時間を費やして理解していけば、大抵は合格します。
独学だとサボっちゃうし頭に入らなくて・・・と思ったら、検定のための対策講座を是非受講してみてください。10月より、各スクールで新しいシリーズがスタートします。また月1回のAEAOサロン倶楽部でも、楽しくアンティークを紐解くサロンを開催しています。検定試験の前日は、直前対策勉強会がありますので、一夜漬けの得意な方は、有利ですよ!?
(つづく)