月別アーカイブ: 2023年8月

銀座のアートスポットを巡る

8月のAEAOサロン倶楽部は、銀座のアートスポット巡りを行いました。今年は6月からすでに真夏が前倒しでやってきましたが、8月末ならさすがに暑さも引っ込み、お盆期間は観光客での賑わいも一段落着いている頃かな、とこの時期に設定したものの残暑が猛暑というトンデモナイ気候。そんな中でもたくましく多くのアートスポットを回ってみました。

まずは銀座SIXのザ・グラン・ラウンジにて「銀座の清夏のアフタヌーン・ティ」を兼ねたミニ・レクチャー。なぜ銀座にアートギャラリーが多いのか、いつから銀座がハイブランドのお店が連なる街になったのか、明治5年の銀座大火から現在の銀座の街の変遷と、銀座とアートとの関係について歴史をざっとおさらい。

通常アフタヌーン・ティは時間制限2時間というところが多い中、こちらはなんと3時間。その間ドリンクは飲み放題ですが季節柄アイスティの種類も多く、またスイーツも甘さ控えめ、上品なヴィシソワーズのアミューズ、アペタイザーにはラタトゥイユや素麺といった夏ならではの味覚に全員完食したところで「アフター・デザート」の苺のミルフィーユが出てきましたよ!!

お腹も満たされたところで、アート巡りスタートです。

まずは銀座SIXの目の前にある、銀座6丁目・交詢ビルのファサード。このビルは1880年竣工、1929年に再建され2004年のリニューアル時に「ファサード保存」されています。歴史的価値の高い建物の正面部分や一部のみを保存する手法で、1970年代より使われてきたのですが、その第1号は京都の中京郵便局。明治35年の建築のファサードを1978年の建替え時に保存しています。

この界隈にはggg(Ginza Graphic Gallery)やMMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)もありますが今日は展示は開催されていなかったので外観の位置を確認し、次なるアートスポット、銀座8丁目まで歩き資生堂ギャラリーの「初めての東京は銀座だった」展を見学。今日が展覧会初日でしたが、それなりに見学者がいらっしゃいました。

せっかく8丁目まで来たから、ということで次はクリエーション・ギャラリーG8へ。ここはリクルートの主催するアートギャラリーなのですが残念なことに今年9月2日をもって終了ということで、最後の展覧会を見学しました。38年に渡りデザイン、グラフィックの多くの展覧会を開催してきたスポットでした。

そして4丁目まで日陰の裏通りを歩き、予約をしていたセイコー・ミュージアム銀座へ。服部金太郎氏が1881年に服部時計店を創業してから今日に至るまでの日本の時計の歴史が詰まったミュージアムです。

お次は銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の「エマイユと身体」展へ。今日の参加者さんはみなさん7月の「エマーユ七宝美術館」も見学していますので、エマイユが現代アートでどのように表現されるのか、と先月とは違った視点でのエマイユを見つめていきました。

最後に、エルメス傘下のテーブルウェアであるベルナルド、サン・ルイ、ピュイフォルカの最新作を見にエルメス店へ。お買い物をせずに見学なんてちょっと図々しくて、さすがに長居はしませんでしたがこの時点で夕方5時でした。

実はまだまだ銀座にはアートスポットが点在していて、さらには歴史的建造物も多いのですが今日はこれにて終了といたしました。今度は銀座4丁目から京橋側のアートスポット巡りをしましょうね。

ご参加のみなさま、お疲れ様でした。今日はよく歩きましたので、三段のアフタヌーン・ティもすべて消化できたと思います!


読書会:マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編・第2回「画家とキリスト教」

猛暑がもう1ヶ月以上も続き台風までボコボコ発生する日本列島ですが、今日は8月の最初の協会の活動(!)、オンライン読書会でした。

前回に引き続き、まだ聖書の中には入らず「画家とキリスト教」という章を一緒に読み解いていきます。受講者のみなさんはもともと美術史をある程度学ばれている方なので、「知っている絵」「見慣れた絵」をあらためて取り上げ、どのような場面がどういうテクニックで描かれているのか、をあらためて中山久美子先生に解説していただきます。

本書の第2章にあるマザッチョからホルマン・ハントまでの8人に、フラ・アンジェリコとモーリス・ドニを追加した10名の画家たち、それぞれの聖書との向き合い方が絵画にどのように描かれているのかを見ていくのですが、如何にもキリスト教絵画でございます、という聖母やイエスがわかりやすく描かれているものから、え、これのどこがキリスト教絵画?という作品まで、数百年のキリスト教絵画を俯瞰しました。それぞれの画家にとってキリスト教との温度はというと、修道院に滞在してどっぷりキリスト教に浸かった画家から殺人を犯した犯罪者まで、実にさまざまです。

マザッチョ「貢の銭」

この1枚の絵画に聖ペトロがなんと3人も描かれています。どこで何をしているか、わかりますでしょうか?異なる時間帯を1枚の絵に描くテクニックは「異時同図法」と呼ばれます。

初期ルネサンスの頃から如何に平面であるキャンバス(または板、壁)に三次元の世界を描くかのテクニックを追求していった西洋絵画ですが、19世紀の後半にきて、ゴーギャンやドニのように平面的へと回帰していく作品が現れます。写真が登場した19世紀、画家たちは如何に本物そっくりに描くかという使命から、何を表現するのか、という内面的な絵画の本質へと自問していく時代になったのでしょう。

ポール・ゴーギャン「神の子の誕生(テ・タマリ・ノ・アトゥア)」

次回より、いよいよ旧約聖書の世界へ入ります。聖書は用意しなくても大丈夫、旧約聖書に登場するシーンはどのように絵画に描かれているのか、一緒に見ていきましょう。

本読書会は途中回からの受講も可能です。また過去の回もオンデマンドでの視聴が可能ですので、この機会にキリスト教絵画の見かたを学んでみませんか?