月別アーカイブ: 2024年6月

アンティーク検定試験1級・対策講座

今日は7月7日に行われる第14回アンティーク検定試験のための対策講座をオンラインにて開催しました。ちょうど2週間前ですね。今年のアンティーク・スペシャリストである関根靖子さん、白木真知子さんがアドバイザーとして参加、後輩のために勉強法や経験談などをお話いただきました。

1級は他の分野における検定試験でも同じかと思いますが、簡単ではありません。時々「何も勉強しなくても受かりますか?」と聞かれますが、何も勉強しなくても誰でも受かる試験に受かっても嬉しくない…ですよね?

日本の学校教育の弊害の一つに、インプットは得意だけれどアウトプット慣れしていない、ということがあります。暗記はできる、選ぶことはできる、聞かれたら答えられる、でも自ら言語化して表現するのは苦手、意見なんて特にない…こんな人が多いのではないでしょうか。

1級の試験はまさに「すべて自ら言語化して表現する」力を求められます。知識としては2級の段階ですでに全て網羅されていますので、それらを嚙み砕いて消化する、という作業を広範囲にわたって復習する必要があります。

1級の受験者はみなさん2級の講習を修了(2021年以前は試験で合格)されており、西洋美術史の通史、オークションカタログのdescriptionの読み方、陶磁器、銀器、ガラス、モード、ジュエリーにおける知識、アートマーケットの現状などについて学んでいます。それらの知識を誰かに正確に説明できるようになる、これが1級のレベルに求められています。

試験というのは一種の慣れでもありますので、習うより慣れよ、でしょうか。みなさんどうか受かりますように!!


アカデメイア・読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』新約聖書第3回

今日のアカデメイアは2か月ぶりのZoomの講座でした。先月は実地研修ということで神田教会に出かけたのですが、そこで目にしたステンドグラスに描かれている世界は、まさにこの聖書の中のストーリー。聖書を制すると絵画が読める、というわけですね。

まずは前回のおさらい。受胎告知からイエスが誕生し、エジプトに逃れ、予言を受けるところまでをざっと復習。

そして今日のテーマ、博士たちとの議論、キリストの洗礼、キリストの誘惑、奇跡の漁り、キリストの変容、キリストの奇跡へと辿りました。

聖書を題材とした絵画はオールドマスターズだけかと思いきや、実は19世紀でも20世紀でも描かれているのですね。

ゴッホ『ラザロの復活』ー さてキリストはどこに描かれている!?

そしてルネサンスの画家もバロックの画家も、同時代の人々をそのまま登場させていたりして、現実と聖書が混じり合ったような絵画が描かれている、そんな絵を見ていくと敷居が高いように感じられた宗教画も実は身近なところにあったんだ、と感じられますね。


「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展と奏楽堂」 – 6月のAEAOサロン倶楽部

AEAOサロン倶楽部・6月の会は久しぶりの上野にて、東京国立博物館・表慶館で開催されている展覧会鑑賞と奏楽堂の見学を行いました。今日は朝から大雨、しかも一日中降り続くという6月ならではのお天気、こんな日は人出も少ないのではないか、とポジティブ・シンキングで臨みました。

まずはランチ懇親会&ミニレクチャーをビストロ洋食屋さん「遠山」にて。気取らない日本の洋食をモダンスタイルでというので評判のお店なのですが、確かにフレンチテイストがしっかり。茶碗蒸し風のスープなど絶品でした。名物の「特選デミグラスハンバーグ」も美味しそうでした。

フルコースでお料理をいただいた後、雨の中をまずは旧東京音楽学校奏楽堂へ。日本最古の音楽ホールで、現在では重要文化財として上野公園内へ移築されています。明治の建築で桟瓦葺の木造2階建て、木造の洋館建築は旧岩崎邸を彷彿させます。

ホールの見学はできるのですがリハーサル中は撮影禁止、でもスタッフさんより「今ちょうどリハーサルの休憩中のようですよ」と情報をいただき、グッドタイミングだったようでまず2階のホールへ。パイプオルガンの美しさ、ホール全体のぬくもり感、シャンデリア、カーテンやタッセル、天井装飾などすべてが魅力的です。1階は資料展示室として公開されていました。外には小学校の音楽の授業で習った滝廉太郎の銅像が設置されています(朝倉文夫作)。

そして東京国立博物館、通称トーハクの表慶館へ。この西洋建築・表慶館は特別な展覧会開催中しか内部を公開していないのですが、やはり圧倒される建物です。コンドルの弟子であり宮内省の建築家・片山東熊によって設計されたもので、迎賓館・赤坂離宮とほぼ同時期の建築物。この中で『カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展』が開催されており、カルティエのジュエリーや装飾品、そしてパリ14区にあるカルティエ現代美術財団での展覧会や日本で過去に行われたカルティエ展を追うような展示構成になっていました。

見学後は公式には終了・解散となりましたが、有志の方々で応挙館に昨年オープンしたTOHAKU茶館へ。予約はできない、午後3時以降はいつもほぼ満席、と聞いていたので入れないかもしれないけれど建物だけでも、と雨の中を向かったところお天気のせいかすんなり6名入れました!私たち以外は全員外国の方のようで、恐らく日本人よりも情報をキャッチしているのでしょうね、絵になる「和」の茶館、私たち日本人も「畳ってもう触れる機会が滅多にないのよね~」とまったり。水出し玉露、美味しかったです。