絢爛豪華な明治の輸出家具

 ジャポニスム2018で、パリでは若冲展をはじめ、様々な日本関連の催し物が開催されていますが、そのきっかけとなったのは、1858年の安政五カ国の条約。これを機に日本は開国し、外貨獲得のために輸出を展開するのですが、当時日本が海外で売れるものとは、生糸と「美術工芸品」しかなかった、というのはなんとも皮肉にも誇らしいことではないですか!?
 

 10月のAEAOサロン倶楽部は、その明治輸出工芸の中でも家具に注目し、芝山象嵌、青貝細工、仙台箪笥といった明治の工芸の美が西洋でどのように受け入れられていったのか、横浜家具って?といったことをみなさんで学んでいきました。
 

 プレ・レクチャー会場は、土日は歩行者天国となって気持ちよい銀座・中央通りに面したダンヒルの中にある、リニューアルされたダンヒル・バー。以前はいかにも正統派英国バー、という古色蒼然とした重々しい雰囲気だったのですが、最近とてもモダンになりました。ここでライトランチをいただきながら(メニューはどれも絶品です!)、日本の漆がポルトガル人に見出された15ー16世紀から明治までのお話などを交えて、明治工芸の家具というものを見直してみました。
 

 そして、歩いてすぐの京橋、LIXILギャラリーで開催されている、「海を渡ったニッポンの家具〜豪華絢爛仰天手仕事〜」展の見学です。タイトルが決して大げさではなく、本当に仰天してしまうような手仕事で、見事なもの。象嵌、螺鈿、もう手の込んでいることといったら、あっぱれです。
 
 

 

 しかしながら、これだけ家具が主張していると、なんだか息詰まるなあと思うのは現代人だけではなかったようで、すでにアール・デコ、モダニズムの波が押し寄せていたヨーロッパでは、やがてこの豪華絢爛さが「派手すぎ」「下品」と捉えられるのか、はたまた日本側も同様に、伝統の詫び・寂びを見つめ直すのか、もうこのような作品は作られなくなっていきます。
 

 そのほんの短い間に海を渡った日本の家具の里帰り品を、みなさんで驚嘆しながら鑑賞しました。
 
 小さな会場ですが、他の鑑賞者も「うわぁ、これはすごい」「いやはや見事だねえ」「ひゃあ〜」と感嘆詞づくし・・・それほどまでに圧倒された作品たちでした。