日本銀行本店内部見学ツアーへ!

AEAOサロン倶楽部・2月の会は日銀内部見学に参加しました。1896年、辰野金吾の設計で竣工した本館は外観だけでも圧巻ですが、その内部に入ったこともある人は限られているでしょう。今日はAEAOサロン倶楽部でこの内部ツアーを企画したところ、申込初日に満席となり、増席した数もあっという間に埋まってしまいました。

受付時間は10分間と限られており、1ヶ月前にすでに日銀側へ伝えてある氏名を身分証でチェックされます。まずは中庭に入り、ここは写真撮影可能エリア。ただ狭いのでパースが取れず全体像が収まりません、(後から説明があったのですが、ここはかつて紙幣を運んでいた場所でもあり、敢えて狭いスペースで四方を囲んで、逃げられないように(!)していたそうです。)

建物内に入ってすぐのエリアでX線検査を受け、まるで航空機に搭乗する並のチェックです。

内部に入ると、まずは10分ほどのビデオで日銀の誕生や日銀のしくみについてのレクチャーを受けます。その後2階(といっても通常の建物とは天井高が違うため、実感としては4階分くらい?)に階段で上がり、歴代の日銀総裁の肖像画のエリアへ。絵画館のような会場で何人かの歴史に残る総裁の説明をしていただきましたが、もうすぐ新1万円札になる渋沢栄一の孫である渋沢敬三の肖像画もありました。この人だけ、他の総裁の肖像画と背景が異なり外の風景なのです。東京大空襲で焼け野原になってしまった東京を敢えて背景に用いて、忘れないようにということだったようです。

本館の模型を見ながら、今どこにいるかを確かめると、ドームの真下に!このドームはかつては窓があり彩光が下まで届くようになっていたようなのですが、関東大震災で焼失し、復旧工事の際に窓が塞がれて飾り窓となったようです。かつてはこのドームの部屋で総裁がお仕事をしていたようですが、舞踏会が開催されていた、と聞いても信じてしまうほどの部屋。残念ながら写真撮影は禁止エリアです。

その後はエレベーターで案内され、創建当初の地下金庫へ。建物の地下の構造がなんとガラス床から覗けるのですが(高所恐怖症の人にはかなり厳しい!)、関東大震災でも倒れなかったこの建物、上部は石とレンガ作りですが基礎工事部分にはすでに当時コンクリートが入っており、さらに近年免震工事を行なって補強しているということで、今この場で地震が起こったとしたら、この場が一番安全なのでは、と思いました。

地下金庫の扉について、イングランド銀行で使用されていたホッブスハート社の扉を輸入、拡張後に使用したのはアメリカ製の金庫扉、やがてそれを元に国産の金庫扉が作られたとのこと。またかつては現金をトロッコに載せて搬送していたため、トロッコレールの跡も残っており、このレールはフランス製。欧米を真似ることから始めてやがて日本独自のスタイルを作り上げていく明治の政策がこんなところにも表れているのですね。

ところで1億円は何キロになるのか、実際にどのくらいのボリュームになるのか、なんてのも体験できるコーナーがありました。1億円は10kgなのですが、10kgの米俵は持てなくても1万円札なら持てそう!?

最後に1階の客溜の空間で写真撮影タイム、コリント様式の柱頭やらステンドクラスやら、アール・デコ調の照明やらかつてのデスクやらを鑑賞したところで正午の拍子木が鳴り、終了。

最後にスタッフさんから裁断されたお札の屑の一部をもらいます。かなり高尚なジグゾーパズルですが、破損したお札は面積が3分の2以上の場合は全額として引換えてもらえますが、5分の2以上、3分の2未満の場合は半額、5分の2未満の場合は残念ながらゴミとなってしまうそうです。

見学後は歩いて10分ほどのカフェ・ル・フォションにてデギュスタシオン・コースのランチをいただき、楽しく懇親しました。今日始めてサロンにご参加された方々も楽しんでいただけたでしょうか。

3月は「皇居三の丸尚蔵館でみる明治のラグジュアリー」です。