春の遠足は、笠間で散りゆく桜とともに

4月初旬の暖かい晴れた日、AEAOサロン倶楽部で笠間へ遠足に行ってきました。笠間日動美術館にアンティーク・ドールのコレクションが展示されていると聞き、このプランを最初に計画したのが2021年4月。しかし残念ながら緊急事態宣言となり、「県外への移動は避けてください」「県外の方は来ないでください」とそれぞれの知事が訴えており、敢えなく断念。今回はそのリベンジです。

みなさん笠間は「遠い」「交通が不便」という印象を持っているのか、他のサロンに比べると集まりが少なかったのですが、上野から特急ときわに乗れば1時間で着くのです。おそらく通勤圏でしょう。私たちは通勤の人たちとは逆方向ですので、当日の出発15分前に指定券を購入し、それでもみなさん隣同士で希望の席が取れました。友部駅に着いて、かさま周遊バス(これも特急の到着時間帯に合わせてあるようなタイムテーブルが組まれています)で、まずは笠間日動美術館へ。

当館学芸員の塚野氏が迎えてくださり、アンティーク・ドール部屋まで案内してくださいました。フランスのドールとドイツのドールがそれぞれのショーケースにまとめて展示されており、圧巻です。なぜこれだけのコレクションがこの美術館に収蔵されているのか、についてもお話を伺いました。オリジナルの衣装など、なかなか本国フランスでも見ることができないものも多いのです。

笠間日動美術館の常設コレクションもどれも素晴らしいものばかりですが、今回は特別展で岸田劉生展も開催されていました。誰もが美術の教科書で見たことのある、あの「麗子」を描いた画家です。またお隣の展示室「鴨居玲の部屋」もとても興味深い展示でした。

緑あふれる贅沢な敷地の笠間日動美術館から歩いてすぐのところが笠間稲荷神社と門前通りのある中心地。ここで蔵を改造したような庭カフェKULAでランチをいただき、次なる目的地は春風萬里荘です。もともと鎌倉にあった北大路魯山人の住居がこの笠間に移築され、日動美術館の分館となっています。

地図上にあるはずのかさま周遊バスの停留所が見つからず、あたふたしているところへやってきたバスを無理やり止め(!)、春風萬里荘へ。時空間が全く異なる世界にワープしたような静けさ。魯山人のお風呂やトイレまでもが展示品です。

1時間ほどゆっくり館内や庭などを散策、茶屋であんみつもいただいて、またかさま周遊バスへ。帰りの特急の本数があまりなく、今回はこれにて駅から上野へ戻ったのですが、焼き物に興味がある方は茨城県陶芸美術館を始め、やきもの通りやギャラリーロードなどを回ってショッピングをしたり、焼き物を体験することもできるようです。

帰りの特急もギリギリでしたが指定席を予約、無事みなさんで一緒に座れてあっという間に上野へ到着。

このところインバウンドが復活して、どこもかしこも混雑しているという話を聞きますし、メジャーな観光地(京都など)はトンデモナイことになっているようですが、笠間では本当にのんびりゆったり自然を味わうことができました。空が広く、二階建ての建物が「高い!」と思えるほど、贅沢な空間が広がっています。車の街ではありますが観光客にも優しいインフラが整っていることがわかり、今度は紅葉の季節にも訪れてみたくなりました。