AEAOサロン倶楽部・6月の会は、戸栗美術館で開催中の「西洋帰りのIMARI展」の見学会でした。17世紀から日本の磁器は海を渡りヨーロッパへ、そしてそれらが里帰りを始めた20世紀後半、と2度海を渡った伊万里焼、中には更なるトランジット(!)でアメリカに滞在して日本へ里帰りした品もありました。そんな里帰りを果たした伊万里焼が渋谷区松濤・戸栗美術館に所蔵・展示されています。
戸栗美術館のある松濤は渋谷駅から若干離れています。鑑賞会に先立って行われる懇親会ランチはちょうど駅と美術館の中間地点にある、渋谷の街を見下ろせる高層ビルにあるオシャレなカフェレストランLegatoへ。11時半オープンのお店ですが、15分ほど前から予約されたお客さんが次々とエレベータで15階へ到着、全面ガラス張りのビル内にある天井高のゴージャスな空間です。






乾杯のスパークリング・ドリンクにコース料理はたっぷりのサラダ、黒トリュフのクリームニョッキ、メインはチョイスでグリルチキン、ビーフ・サガリステーキ、メカジキのグリルなど。デザートのショコラ・テリーヌは羊羹並みの濃厚なテイストで満腹です。ブラックのほろ苦いコーヒーとよく合います。
食後にざっとミニ・レクチャーを終えた後、ランブリングストリート経由で松濤へ。ライブ会場やホテル、映画館などが立ち並び昼間でも若者たちが(何かのイベントに)並んでいる活気に満ちた道を歩き、松濤に足を踏み入れると今通ってきた喧騒が嘘のような静かで品の良い街に。渋谷は本当に色々な顔を持つ街だとあらためて感じます。


美術館内部は写真撮影禁止
今日は学芸員さんによる展示解説目当てで、多くの方が待機。14時より作品を見ながらの展覧会の解説を懇親丁寧にいただきました。熱心な研究の成果で、里帰り品も今では色々なことが判明してきたようです。これは伊万里(有田)焼きの壺だけれど、恐らく蓋はマイセンかどこかのヨーロッパ窯で模して造られたものを後から付けられたのだろうとか、この瓶はヨーロッパで金属の台座が付けられ、上部には燭台が付けられていた可能性がある、など工芸ミステリーの世界へと誘われます。
アウグスト強王の東洋陶磁のコレクションは、所蔵目録によると24000点ほどあったと言いますが、当時は宝石並みの希少さと高価さの東洋磁器をこれだけ蒐集していたこの執念が、ヨーロッパ初の硬質磁器の焼成を成功させ、マイセン窯を設立させたのでしょう。
展示解説終了後は前館長夫人が顔を出して下さり、近況などを語り合い、「松濤の花園」なるマル秘情報を教えてくださいました。この高級住宅地・松濤にスペイン風のお屋敷があるのですが、そこで土日だけお花やお野菜、果物、ガチョウの卵などを販売していてお庭も見せて下さるのだとか。折角なので教えていただいた場所に行ってみると、心優しいマダムが「どうぞどうぞ、中へ入って」と花園ガーデンに入れて下さいました。松濤でこんな自然にあふれた場所があるとは!おそるべし松濤、ミステリアス度が益々高まってきました!


さて、7月は3年連続で催している「大人の銀座のアート遠足」第3弾です。暑さに負けずに街歩きを愉しみましょう。