AEAOサロン倶楽部」カテゴリーアーカイブ

大安、天皇誕生日のおめでたい日に、明治記念館にてAEAOサロン倶楽部

2月のAEAOサロン倶楽部「明治時代の洋館、インテリアと明治の洋食器」は、明治記念館のラウンジにて、アフタヌーン・ティーを楽しみながら開催いたしました。

当初は会場でのミニレクチャーを予定しておりましたが、せっかくのアフタヌーン・ティーが美しく飾られたテーブル上でプリントを配ったりノートを出したり、というのも無粋ですし、お茶やセイボリー、スイーツの味を楽しみながら懇親したいということもありまして、レクチャーはプレ・レクチャーとして予め録画しておいた映像を事前にお好きなときに視聴していただく、という方式にて行いました。

みなさんお忙しい日常の中、事前に視聴していただいたようで、なぜ入口に「憲法記念館」の札が出ているのかも理解された上でお集まりいただき、すっかり明治記念館の歴史が語れるようになっていましたので、残すは現場チェック!のみです。

この建物は、2回移築されています。明治14年に仮御会食所(迎賓館)として建設され、明治宮殿が竣工後の明治44年に伊藤博文へ下賜され恩賜館として移築されます。伊藤博文は翌年ハルビンにて暗殺されてしまいますが、しばらくして遺族より明治神宮に奉納され、再移築されます。この時に大日本帝国憲法に尽力を尽くした伊藤博文にちなんで「憲法記念館」となったのですが、第二次大戦後は明治神宮の迎賓施設・結婚式場として「明治記念館」となり、令和2年に東京都指定有形文化財に指定されます。

明治末期、大正時代に一体どうやって移築したのでしょう、今と違って3Dプリンタもデジタルでの設計図も描けませんし、重機の性能やパワーも現在のものほど進化していなかった時代です。でも、2度の移築に耐え、関東大震災も東京空襲にも耐え抜いたのですから、明治魂はすごいですね!

今日は大安とあって結婚式が何組もあり、格天井が見事なKINKEIの間は貸切になっていましたが、ラウンジ側でアフタヌーン・ティーを2時間半かけていただき、その後は気温も上昇したお天気のよい午後、お庭を散歩しながら幸せな人々に混じって敷地内をゆっくり散策しました。

通常アフタヌーン・ティーのお茶はポットサービスで出てくることが多いのですが、ここは一杯ずつサービスされます。もちろんフリードリンク。おかげさまで色々なフレーバーを試すことが出来、またお茶が冷めることもないので、とても優雅な2時間半でした。カップは明治時代に宮家でよく使用されていた金彩装飾。やはり格が違いますね。

授業や課題に追われて忙しい身の大学院生の方も久しぶりにご参加、またお仕事を休んで群馬県から電車を乗り継いでいらして下さった方、みなさま本当に貴重な祝日にお集まりいただき、有難うございました。


みんな大好き、宝石の世界と鑑別の方法

AEAOサロン倶楽部、2023年はきらびやかな宝石の世界でスタートしました。当協会のアンティーク・スペシャリストにしてG.I.A.G.G.の資格をお持ちの目黒佐枝先生より、鑑別の方法を実際に道具と共に学ぶという贅沢アトリエです。

目黒佐枝先生

まずは会場内にあるイタリアン・レストラン「アル・テアトロ」でのランチ。劇場内のレストランだけに天井高は5メートルもあり、ゆったりしたスペースにて楽しく懇親しながらフルコースをいただきました。

そしていよいよ鑑別アトリエです。まずは「鑑別」という言葉について、一体何をするのか、「鑑定」とはどう違うのか、そんなお話をいただいた後、基礎鑑別のための道具をご紹介いただきました。プロの行う鑑別にはさまざまな道具を使いますが、拡大鏡、偏光器、そして屈折計という3つの道具が基本、まずは拡大鏡を使って宝石の特徴を観察してみます。拡大鏡を使ってみると、インクルージョンはどのように見えるのか、例えば合成と天然のオパールはどのように違って見えるのか等、誕生石を一通り理論で学んだ後は、いよいよ道具を使って、覗き込みます。

ダイヤモンドの原石なんてまず普段手にすることはないと思いますが、この原石で必ず見られるトライゴンと呼ばれる三角形、とてもはっきりくっきり見えるので、テンションが上がります。

目黒先生がこの日のためにわざわざ業者さんから借りてきてくださった数々の宝石に加えて、目黒先生自身のコレクションも併せて本当に色々な種類の宝石を見せていただきました。

よくこれは宝石かガラスか、というのが真贋の話題になる宝石の世界ですが、ガラスの内包物に必ずある気泡というものがどう見えるのかを知っておけば少なくともガラスは見分けられる、ということでガラスの気泡も体験します。

偏光器や屈折計になってくると、慣れていない素人ではなかなか言われたようには目に入りません。プリズムなど違うものが見えたりしてしまいます。「これは何百時間も鑑別の勉強をして初めて分かってくるものなので、今日はこういう道具を使うんですよ、ということを知っていただければ」という優しい手ほどきでしたが、みなさん何で見えないんだろう、と悶々・・・

宝石の中でもやはり王者のダイヤモンドについてはみなさんも興味津々、ダイヤモンドのかつての歴史や研磨のはなし、現在の世界情勢、いろいろな話題で盛り上がりました。

肖像画に描かれている黒いダイヤモンド、あれは本当にダイヤモンドなのか、それとも絵画の表現方法としてあのような顔料を使ったに過ぎないのか・・・そんな謎解きを含め、いよいよ2月より、アカデメイアにて「宝飾品 肖像の中に見るジュエリー」5回コースがスタートします。


「いけないのファッション展」見学と、モード&アクセサリーでお洒落を愉しむ会

12月のAEAOサロン倶楽部は、アクセサリー・ミュージアムで開催中の「いけないのファッション展」に合わせ、みなさんでちょっと「いけないオシャレ」を楽しみつつ、美味しいものをいただき、19世紀ヴィクトリアンから現代に至るまでのアクセサリーを鑑賞する会を実施しました。

リアルファー(動物の毛皮)は、人類が手にした最も古い防寒着であり裏地や襟に使用される機能衣料として必需品でした。しかし現在は技術の発展から豪華な装飾としての役割が大きくなり、動物愛護やエシカルな観点から世界中のブランドに使用廃止宣言を出す動きが広まっています。

一方、代用として使用されるフェイクファーも賛否両論です。近年エコファーとも呼ばれるようになりましたが、材料がアクリルやポリエステルなどの生分解されにくい化学繊維である事から環境への影響が懸念されています。

<以上、アクセサリー・ミュージアムのHPより>

価値観というのは本当に場所や時代で変わるもの。同時に美の価値もその時代や場所で大きく変わっていきます。つい半世紀前までは美しい毛皮をまとった女優さんは普通に存在していましたし、極寒地区では毛皮の帽子で耳まですっぽり覆わないと人は外を歩けないほどの気温です。

さて、私たちかつて妙齢の(!)女性陣は、ファーがもたらす暖かさや華やかさを多少なりとも経験した世代です。今ではさすがにそんなものを堂々と身につけて闊歩するのは気が引けるものの、すでにもう衣類にされて取り返しのつかなくなってしまったものに対して廃棄すべきか最後まで使用すべきか、考えるところです。

この展覧会ではこのような「いけないアイテム」を何かしら身につけてくると割引になるということで、みなさん(フェイク)ファーのマフラーやバッグ、動物柄のアクセサリーといった小物をさりげなく身につけて集合しました。

ランチは中目黒で評判のお店、ビストロ・ボレロにて。ランチは土日しか営業していないので前から予約していましたが、当日はもう満席でした。どのお料理も美味しく、かなりボリューミー。そしてシャンパンと同じ値段のノンアルコール・スパークリングワインをいただいたのですが、まるでワインをいただいているかのごとく、ちょっと脳がほどよく酔ってくるという不思議なドリンク。美術館までは若干距離がありますので、腹ごなし&酔い覚まし(?)にちょうどよい運動です。

閑静な住宅地にあるアクセサリー・ミュージアム。趣味の良いコスチューム・ジュエリーがヴィクトリアン、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、オートクチュール、プレタポルテ、アヴァンギャルドと時代別に展示されている常設展と、今回の「いけないのファッション」企画展、両方とも鑑賞できます。

失礼ながらそれほど知名度があるわけでもなく、また決して便利とは言えないアクセスにも関わらずとても多くの鑑賞者がいらしていました。中でも比較的若いカップルがいたのは微笑ましい限り。「昔の人ってオシャレだったんだね~」という声を嬉しく聴かせていただきましたよ!

2022年のAEAOサロン倶楽部、なんとか無事終了いたしました。2023年1月は29日(日)に、エメラルドの原石を見る!というゴージャスな会でスタートする予定です。どうぞお楽しみに。