大正ロマン X 百段階段 ー 昭和の竜宮城でアフタヌーン・ティ

6月のAEAOサロン倶楽部その1は、ホテル雅叙園東京で開催されている「大正ロマン X 百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~」展を訪れ、アフタヌーン・ティをいただくというちょっとレトロ&ハイソな会でした。梅雨入りした関東ですが、前夜から降り続いていた雨は幸いお昼で上がってきましたので、幸先よいです!

ホテル雅叙園は、かつて目黒雅叙園の名で、壁画や天井画、彫刻や工芸品などで館内の装飾が施されており、「東洋一の美術の殿堂」、「昭和の竜宮城」と呼ばれていました。何度かリニューアルされた現在の建物内も依然として竜宮城の名にふさわしく、あちこちにふんだんに装飾がされています。お手洗いですら、「え、ここ?」と戸惑うような豪華絢爛な空間につい撮影をしたくなりますが、お手洗いはさすがに遠慮すべきですね。デモチョットダケ。

今ではよく中華料理店で目にする回転式の円形テーブルの発祥地も、この目黒雅叙園と言われています。

さて、「百段階段」へ。1935年に建設され、現存する唯一の木造建築で、国の登録有形文化財、また東京都の有形文化財に指定されています。百段とありますが実際には九十九段で、階段の途中に7つの部屋があり、その部屋が桃山風だったり日光東照宮の系列の装飾だったりで、どの部屋も息を呑むような空間。

今回は展覧会のテーマに沿って、各部屋に明治から大正・昭和初期の文豪とその作品の世界を三次元で鑑賞する、というエンターテイメント性の高いものでした。さらに現代の人気イラストレーターや漫画家たちがイラストも添えるというコラボレーションで、スタート地点からもう若い女性やかつて若かった(!)女性たちで大賑わい。またかなりの来館者がその時代の雰囲気に思い切り浸ろうと、着物や浴衣をお召しになっていました。これも後でわかったことですが、ホテルの企画で「大正ロマン&着物ランチ」というセットがあり、レトロな着物をレンタルして楽しむ姿だったようです。

百段も一気に登るわけではないので、息が切れるというほどではありません。7つの部屋を、まるでテーマパークに入り込んでいくかのように楽しみながら、登りきりました。

スポーティな展覧会鑑賞をした後は、アフタヌーン・ティ。ホテル内のCafe&Bar「結庵」では、「大正ロマン喫茶室」を期間限定でオープンしており、そちらでメロンのアフタヌーン・ティをいただきました。

5月の研修旅行では本場ロンドンのホテルでもアフタヌーン・ティをいただきましたが、日本は「ヌン活」ブームとあって、色々なホテルがそれこそ毎月テーマの異なるアフタヌーン・ティを提供しており、その種類や発想は独特の文化を遂げていますね。今回のセイボリーには「豆腐とトマトの酸辣湯風スープ」とか「ジェノベーゼ カッペリーニ」などもあり、お茶も「メロン和紅茶」水出しメロンティ」など、今回ならではのアフタヌーン・ティを楽しみました。

セイボリーとスイーツで満腹だったので、腹ごなしを兼ねて近場にオプション(!)展覧会見学・戸栗美術館「柿右衛門の五色」展へ。古伊万里からマイセン、そして現代の十五代酒井田柿右衛門の作品まで「柿右衛門様式」とされる作品を一気に鑑賞、素晴らしい作品だらけです。じっくり五色の色を比較しながら見て回る中、館長が見えてご説明いただいたことにより、大雑把に「柿右衛門」と呼ばれるものの中にも、地域や時代によって筆の使い方、色の乗せ方、顔料染料の配合などの違いがわかってきました。作品と向き合う、本物と向き合う、この大切さをあらためて感じたひと時でした。オススメの展覧会です!