月別アーカイブ: 2019年3月

竹久夢二学会大会

本検定監修者の岡部昌幸先生は、各学会でも活躍されていらっしゃいますが、今回は中でも深く関わられている竹久夢二学会の大会につき、ご紹介いたします。

どなたでもご参加可能ですので、お時間ご都合のつく方は、どうぞおいで下さい。

日  時 : 2019年3月30日(土)
会  場 : 拓殖大学文京キャンパス国際教育会館(F館)3階 301教室 ※正門右奥古い校舎
(東京都文京区大塚1-7-1 地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅下車徒歩5分)

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14:00-14:10 挨拶  竹久夢二学会顧問  小嶋光信(夢二郷土美術館館長)
14:10-15:40 学会賞受賞記念講演
        下山 進 (吉備国際大学名誉教授、デンマテリアル株式会社・色材科学研究所非破壊分析研究室取締役技術顧問)
        「夢二《西海岸の裸婦》の科学調査」
        大原 秀行(吉備国際大学副学長、絵画修復家)
        「夢二「西海岸の裸婦」の修復について」               」
15:50-16:20   研究・活動報告
        小嶋ひろみ(夢二郷土美術館館長代理)
        「夢二《西海岸の裸婦》修復による美術史的成果から生誕135年展に向けて」
16:20-17:00   研究発表
        畑江麻里(足立区立郷土博物館専門員)
        「竹久夢二の「美人画」の線 ― 現代浮世絵彫師の作品の分析から ― 」
17:10-19:00 懇親会(303教室) ※参加費無料

竹久夢二学会事務局 〒703-8256 岡山県岡山市中区浜2丁目1-32
夢二郷土美術館気付 電話(086)271-1000 fax(086)271-1730


アートフェア東京2019

アートフェア東京が閉幕しました。日本がGDP第3位の国でありながらアート市場に関しては非常にプアな状態にあるのは有名で、アンティーク検定試験でも現代時事アンティークでしばしば問題になるくらいの事象ですが、今年2019年のアートフェア東京は、入場者数は過去最高を記録(6万人超え)したそうです。入場料は年々値上がり(それでも各国のアートフェアに比べると格段に安い)、今年は5000円。入場料の不要なエリアも一部ありますが、そこだけが混んでいるわけではなく、メイン会場もとても混んでいました。

マーストリヒトのTEFAF、バーゼルだけでなく香港、マイアミでも開催されるアート・バーゼル、パリのFIAC、ロンドンのFREIZE、多くの世界的なアートフェアがありますが、アート市場の一つとして東京がもっと注目されてもよいのに、まだまだ日本がそれほど相手にされていないのは事実、出展ギャラリーを見てもほとんどが日本勢で、海外ギャラリーも日本人が海外で展開しているギャラリーだったりして、ピュアな海外ギャラリーで出展しているケースは数えるほどです。

最近ではアート・バーゼルが新たなアートフェアARRT SGをシンガポールで開催することが発表となり、また日本のオークション会社も香港でセールを開催するなど、アジアの中でも日本よりは他国が優勢となっている背景には、やはり日本人の中にはアートを所有する人が少ない、からでしょうか。

アンティーク・装飾美術を愛好する私たちにとっては、現代美術が中心なアートフェアにはあまり興味を示さない人も多いでしょうが、中には伝統的な工芸品やアンティークを扱っている出展者も存在します。

その中で、とてもレアなセーヴルの軟質磁器の美しい品が展示されていました。

西洋骨董陶磁のロムドシンさんのスタンドにて。

次回の「アートフェア東京2020」は、2020年3月19日から22日の予定だそうです。


ラリック・エレガンス

AEAOサロン倶楽部・3月の会は、練馬区立美術館で開催中の『ラリック・エレガンス』展の見学会でした。この後、3月後半の海外研修で訪れるラリック美術館のプレ講座としてもグッド・タイミングの展覧会です。
 

ランチ・レクチャーの会場は、美術館の近くにある洋食レストラン。当初よりも人数が集まってしまったため最適なところが探せず、それでも予め「端っこのなるべく静かな席で」とお願いしておりましたが、子連れ客などに囲まれてしまったため、岡部昌幸先生のとっておきのお話がみなさんに行き通らず、ストレスがたまるレクチャーとなってしまいました。申し訳ございません。
 
敗者復活で、レストランのロビー(というより待合席)のようなところを陣取り、再度レクチャー。参加者からの質問の流れもあり、ラリックは人としては悪い人だった、でもそういう悪い人を支えよう、信じようという人がいたからこそすべての芸術家の作品は残るのだ、という哲学にまで発展し、ありきたりの作家としての系譜や作品の特徴に留まらないところが、岡部先生のレクチャーの醍醐味なのです。ちなみに悪い人、というのは大抵女性関係が絡んでいるものであり、女性を泣かせた、資産家の女性を利用した、というのもお決まりパターンですね。
 
ラリックがイギリスに滞在していたことから、当時のアーツ・アンド・クラフツの影響を受けたに違いなく、アーツ・アンド・クラフツからアール・ヌーヴォーへの流れ、そしてアール・デコへの転換期の前兆としてアール・ヌーヴォーが事実上終焉するのが1906~07年辺り、というお話が出ましたが、その時期に香水瓶ラベルを発表したのは、たまたま運が時代に味方した、という結果論ではなく、工業デザイナーとして先を見ていたマーケティングの勝利だったのでは?となったところで、いよいよ展覧会会場へ。
 
この日は折しもロビーでのコンサートが開催されていて、展示場内にも音が響き渡っていましたが、そのおかげか、輪になって解説をするとすぐに監視員に注意される、といういつものお叱りも緩和されていて、ゆっくりとガイディングを聴きながら鑑賞することができました。
 
鑑賞会後はアフターでのお茶会も行い、お天気には恵まれた練馬の美術館鑑賞会となりました。
 


フランステーブルウェアの教科書 読書会第3回

毎回早いうちに満席御礼となってしまう、フランステーブルウェアの教科書の読書会、第3回が行われました。前回の「LES ASSIETTES (陶磁器の皿)」に続き、今回は「PLATS ET SERVICES SPÉCIFIQUES (大皿と特別な用途の器)」の章を一緒に読み進めていきました。
 

耳慣れないカタカナ、ポタオイユ、エキュエル、食品を表す言葉ではない食器としてのテリーヌ、そしてちょっとは想像がつくスーピエール、ソーシエール、レギュミエ・・・それぞれどんな歴史でどんな用途で使っていて、今はどう使っているのか、そんなことを学びます。
 

フランスの蚤の市に行くと目を引く派手派手バルボティーヌ、アスパラガスや牡蠣が如何に食卓で華やかさを醸し出していたのかもわかります。
 

そして卵、チーズのための食器。今の卵とは大きさが違ってもっと小ぶりだった19世紀、卵を食べるために登場したコクティエやウフリエ、今はそんな優雅な朝食をなかなか取れない私たちですが、当時のブルジョワの朝(ほとんど昼)のベッドの中での気だるさが想像できるようです。
 

コンポティエ、プレザントワール、コルベイユ・・・他にも立体的な食器がたくさん登場する同章、写真や画像を見ているとワクワクしますが、狭い居住空間の現代、あまり使う人もいない上、フランスから持ち帰るのも大変そうなフォルムなので、お皿に比べるとコレクションしている方はあまりいないのも宜なるかな、ですね。

KELLYという東海地方で発売されている雑誌にも、当書籍が紹介されていました。嬉しいですね。
 

 

次回の読書会は、4月20日です。お申し込みはお早めに!