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ロンドン&パリ、アンティークとコレクターの世界を巡る8日間~DAY 4~

今日の午前はフリータイム。チェックアウトを済ませ、全員でヴィクトリア&アルバート美術館へ行きました。ツアー構築にあたりロンドンとパリのどちらで半日の自由時間を確保するか悩みましたが、参加者さんの中から「どうしてもV&Aに行きたい」というリクエストが多く、それならロンドンで半日フリータイムを設け、各自自由に好きなところを訪れるというスタイルにしていました。

この日の午前は当初ツアーで訪問を予定していたクイーンズ・ギャラリーも一応開いていることになっていますし(但しバッキンガム宮殿敷地内なので、戴冠式の関係で交通に問題が出る可能性も)、木曜日にはヴィンテージとアンティークのマーケットが出るオールド・スピタルフィールズ・マーケットもあるのですが、ホテルのあるケンジントン地区のV&Aが一番時間も有効に使えそうということで、希望が全員一致。今回はロンドンの地下鉄でサウス・ケンジントンへ。

オープン前から人がちらほら集まっていますが、ここは大型美術館とは言ってもいわゆる「装飾工芸美術館」。アートの世界でいえばファイン・アートではなくデコラティブ・アートのジャンルですので、大英博物館やナショナル・ギャラリーほどの知名度はないかもしれません。でも装飾工芸の分野ではおそらく世界一を誇る規模でしょうし、研究者用にも多くのサービスが開かれています。

アンティーク好きの我々には1日いても飽きない、見切れないボリュームなので2時間でどう回るか、最初からある程度計画をしておく必要があります。この建物、同じ階でもいったん別の階に行かないと渡れない通路などもあり、複雑な上に、なにしろ広大な敷地ですから、ドネーション(寄付金)1£を払ってマップを手に入れ、どこにどう行くかをチェック。

日本と異なり、例外を除いて基本どこでもなんでも写真を撮れますので、どうしても時間がかかりがち、まだまだ見切れないけどここだけは眺めておかなくては、というウィリアム・モリスのデザインした「モリス・ルーム」を最後に係員に案内してもらい(イギリスの美術館の係員さんは本当に親切で、言葉で場所を示すだけでなく実際に来てくれるのです!)、「お茶する時間がなくても写真だけ撮ってもいいんだよ」との優しい言葉にほっこり。

イギリスを離れたら使用不可となるポンド現金をミュージアムショップで使い切り、ホテルへ戻る地下鉄サークル・ラインでは行き先を間違えてしまい、乗り換えようとしたところ、ナビゲーターが乗ったタイミングでドアがクローズ!でもすぐLINEで連絡を取り合い、ナビゲーターがみんなのランチを買ってホテルで落ち合うことにし、無事再会。すでに初日にお会いしたアシスタントさんも待機して下さっていました。

ユーロスター駅のセント・パンクラス国際駅へバスにて移動、今回の参加者の中にはかつてユーロスターでパリ=ロンドン間を移動したこともある人も何人かいましたが、イギリスのBrexit以降大きく変わってしまいました。飛行機に乗るのとほぼ同じ、パスポートコントロールに荷物チェックがあり、特に荷物は飛行機なら預け入れ荷物も自分で持ってレーンに上げるという筋肉トレーニング作業が待っており、そのため遅くても1時間半前には到着している必要があります。

無事全員通過したものの、待合室は満員で座れる椅子もなし、前のブリュッセル行きのタリスがまだ出ていなかったのです。もっともスタッフがあちこちにいて「Everything is OK?」と愛想をふりまきながら構内を巡回してくれています。私たちのチケットは一等のプレミアム・スタンダードで、ラウンジはプレミアム・ビジネスしか使えなかったのですが、しばらくして我々のパリ行き列車もホームに到着、乗車できました。

今回は6名で、一等車でしたのでちょうど6名で囲う向かい合わせの席を取っていただいていて、快適そのもの。走り出す前にランチを食べきり、走り出すとしばらくして食事が配られてきました。イギリスではブリティッシュ・エアウェイズ航空でも同じでしたが、必ずベジタリアンメニューとお肉の入ったメニューがあって選べるようになっています。ベジタリアンといってもマイルドなもので、今回はファラフェルと、キノアのサラダ。美味しいのです!そして「今週だけの特別デザートだよ」と戴冠式スイーツが付いていました!

ユーロトンネルを通過してフランス領内に入ると一気に速度が速くなり、あっという間にパリ・北駅に到着。時差が1時間あるので実質2時間20分ですが、到着したらすでに19時ごろに。ここでもアシスタントさんが迎えてくださり、専用バスでホテルへ。

今回のホテル・カスティリオーネは立地が最高で、パリのど真ん中、コンコルド広場やマドレーヌ広場から歩いて5分のところですが、一通の狭い道路に面しているため残念ながら大型バスがホテルの目の前に停まれません。えっちらおっちらキャリーを引きホテルへ到着、チェックイン時に若干手違いか時間がかかりましたが、室内はリニューアルされたばかりで清潔感あふれる内装、ミネラルウオーターやコーヒーマシーンのサービス付きでした。アール・デコ・スタイルの建築は内装でも復元されているのを感じます。

ランチとユーロスター食で結構お腹いっぱいになっていましたので、ほとんどの方が明日からのパリ研修に備え、ゆっくり休まれたかと思います。さて、明日に続きます。


ロンドン&パリ、アンティークとコレクターの世界を巡る8日間〜DAY 3〜

ロンドン2日目、今日は朝からまずコートールド美術館へ。コロナ禍にリニューアルをしていて、リニューアル中には作品を貸し出していたので、東京都美術館で開催されていた「コートールド展」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

ホテルからロンドン・バスに乗って出かけたところ、途中で「この先、戴冠式の準備で道路封鎖、はい全員降りて」と降ろされてしまい…さてどうしようと思っていましたがYOKOガイドが急遽新しい観光ルートを開拓してくださり、コヴェント・ガーデンやロイヤル・オペラなどを眺めながらコートールドへ。

予約はしてありヴァウチャーも持っているのですが、受付係が「ヴァウチャー」という言葉や存在を知らない…YOKOガイドによると、コロナ禍で多くの人が辞めてしまった後に急遽雇われたスタッフは社員教育ゼロのまま現場についているので、こんなことはしょっちゅうだ、と言っていましたが、旅を進めていくにつれどこでもこの現場のマネジメントの混乱にぶつかることになります。幸いガイドの巧みな交渉と説明で問題なく鑑賞できることに。コートールドの規模もコレクターの館としてふさわしく、絵画、工芸品、装飾美術がほどよいバランスで展示されており、疲れることなく満足して、ランチを兼ねたアフタヌーン・ティのホテルへ移動します。

日本では「ヌン活」と言われて若い女性たちに大人気のアフタヌーン・ティですが、本場イギリスではシンプルで、それでもボリューミー。午前中さんざん歩き回った身体でも最後のスイーツまで完食することは叶わず、一部はお持ち帰りにすることに。

午後はいよいよサザビーズへ。オークションでは、下見会(プレビュー、エクシビッションなどと呼びます)が必ず開かれ、下見会は誰でも見にいくことができます。今回はチャールズ3世の戴冠式に合わせた「戴冠式オークション」「SAMURAI」「日本の近代版画」のオークションの下見会が開催されていました。昨今は会場オークション以外にオンライン・オークションもあり、今回のオークションはすべてオンライン・オークションです。期間中入札することができ、下見会も開催されています。

サザビーズでゴージャスなトイレを借りた後(!)、次なるアンティーク・マーケットのカムデン・パッセージへ。ロンドンはお祝いムードが溢れていますので、街の散策も楽しい。

カムデン・パッセージはロンドンの北の地区、リージェンツ運河沿いにあり水曜と土曜日にオープンしているマーケットで、ストールと呼ばれるテントのマーケットが出るのですが、黄金のショッピングタイムは午前中。私たちが着いた16時くらいからはだんだん仕舞い始めるストールが目立ちましたが、それでもしぶとく何やら見つけて買ってしまいました。

毎日1万歩くらいは歩いているのでしょうか、この日の夜はフリーで、もうお腹空かないからとホテルでパッキングをする人や、近場に出かけようという人に分かれ、それぞれのロンドンの夜を過ごしました。


ロンドン&パリ、アンティークとコレクターの世界を巡る8日間〜DAY 2〜

ロンドン研修がこの日からスタートです。今回は在ロンドンのベテランガイド・YOKOさんがロビーに迎えにきてくださいました。ユーラシア旅行社さんと何度も事前打ち合わせを交わしてくださったおかげで私たちの研修目的や意図が200%正確に伝わっており、これ以上の人はいない、という方でした。

まずはウォーレス・コレクションへ。今回の研修では「コレクターの館」というのも一つのテーマで、大規模美術館(大英博物館やナショナル・ギャラリー、テート・ギャラリー)は訪れずに、かつてのコレクターたちの蒐集品のテーマや過程を館とともに楽しむのにここを避けては通れない、洗練された屋敷とコレクションです。ウォーレス・コレクションの成り立ちについてはオンライン説明会にてお話ししていますので、YouTubeをご覧くださいね。

ランチは最近新設されたというウォーレス・コレクションの中庭のカフェにて。「イギリスですから、美術館内カフェとはいっても、まあ味の保証は…」なんて旅行社さんと話していましたが、これがなんと美味しい!スープも、チキンのシュプレームもデザートもどれも美味しい。YOKOさんも美味しいと仰っていましたので、イギリスはどうやら美味しい国へ昇格していますよ!

ランチ後はアンティーク・マーケットを2つ回りました。ロンドンは曜日ごとに開かれているマーケットというのがあって、有名なところでいえば月曜日のコヴェント・ガーデン、土曜日のポートベロー、のように毎日どこかで何かがあるのですが、唯一ないのがこの火曜日。グリニッジまで行けば火曜日に開いているのですが、若干遠い上にホテルとは逆方向。

というわけで、午後は常設のマーケット、グレイズ・アンティーク・センターとアルフィーズを巡りました。アンティークを買う決定的なサインは「モノが自分のところに来たがっている」かどうか、よく「モノに呼ばれた」という表現を使いますが、マーケットを回っても何もピンとこないこともありますし、値段に関係なく「これだ!」と感じることもあります。

グレイズは高級なアンティークショップが入っていますが、ご参加者さんのお一人が「呼ばれた」ようで、素敵なプレートをお買い上げ。店主とお話しをしたところ、知識豊富でまともな店であることも判明しましたが、それもそのはず、鑑定士として書籍にもそのお名前が登場している人のお店でした。イギリスにおけるアングロ・ジャパニーズ・スタイルの陶器を主に扱っているお店で、クリストファー・ドレッサーの作品などもたくさん置いていました。

アルフィーズは正統派アンティークというよりは、ヴィンテージを扱っているマーケット、ロンドンは前日がメーデーのお休み、そして6日が戴冠式ということでこの週はクローズしているお店も多かったのですが、これもYOKOガイドの事前調査でオープンしているお店がそれなりにあることがわかっていたので訪れました。今回は少人数でもありましたのでロンドンバスで動いたのですが、エリアによって建築や雰囲気、人が変わるというのを実感できる旅で、このアルフィーズの辺りは中心部とはまた違ったエリアを垣間見られました。

みなさんで屋上のカフェで一息つき、そして迷路のようなアルフィーズをぐるぐる回り、買いやすいお値段のものも多かったのでそれぞれお買い物に精を出し、さて帰りましょうの直前で見つけたアンティーク食器店で立ち止まってまたお買い物、と一期一会の機会を十分に堪能してホテルへ。

夜は自由なのですが、前日のアシスタントさんが紹介してくださった、すぐ近くにあるちょっと高級なフード・マーケット内にフード・コートがあって食べられるようになっているということで、全員でホテル周りの散策も兼ねてそちらへ。お昼がコース料理だったためもうあまりお腹は空いていないのですが、温かいものを少し胃に入れて、ぐっすり眠りにつきました。


ロンドン&パリ、アンティークとコレクターの世界を巡る8日間〜DAY 1〜

3年間保留していた海外研修、いよいよ行える日がやってきました!今回はコロナ禍で色々現地状況も変わっていることに不安を感じている方々の声を反映し、通常の現地集散型ではなくツアー形式で出発から帰国までみなさんで動くという形を取ることにし、数ある旅行会社の中でも懇親丁寧な手配をしてくださることで有名なユーラシア旅行社さんにお願いしました。

燃料費高騰、ヨーロッパのインフレ、円安…と決して海外旅行をするのによい時期ではないのですが、そんな中ご参加いただいたみなさまに感謝です。

羽田空港には集合時間にユーラシア旅行社さんのスタッフが迎えてくださり、時間通りに出国。

今回のご参加者は5名、奇しくも全員女性で全員一人参加、年齢層もプロフィールも似通っているのか、みなさんでLINEグループを作り、あっという間に仲良くなりました。

ロンドンまではBAで直行便、ウクライナ戦争で飛行時間が伸びたものの直行は助かりますね。当初はパリ→ロンドン、にしようとしていましたが、チャーズル3世の戴冠式に重なって交通規制がされることや、食事が美味しい場所が最後の方が旅の思い出として印象がよい、ということでこの順序を入れ替えたのですが、BAの機内食が意外や意外、美味しくて拍子抜け。

14時間半近くのフライトでロンドン・ヒースロー空港に到着。時差でちょうど現地は夜ですので、このままホテルで眠れば明日朝から動けます。

ロンドン在住のアシスタントさんが空港に出迎えてくださり、ケンジントン地区のホテルへ。空港から近いので30~40分でホテルへ到着。かつて日本人観光客がたくさん泊まっていたであろうことを示すこんなプレートも!

ロンドンの夜は若干寒いのか、部屋にはセントラルヒーティングが入っていました。今夜はバタンキューでみなさまお休みに。そうそう、お水を羽田空港で買っておいてよかったです。羽田空港では100円、ホテル内で買うと3.99£=700円以上!!物価高をひしひしと感じながら眠りにつきました。