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2026年度アンティーク・スペシャリスト講習会

今日は「アンティーク・スペシャリスト講習会」でした。この講習会に参加できるのは、アンティーク検定1級を取得した方のみ、そして年に1回の講習会に参加することで、その年度の公認スペシャリストとなります。

スペシャリストの中には、よく本協会の検定以外の周辺活動(AEAOサロン倶楽部、アカデメイア、遠足、研修旅行)にご参加いただいている方もいらっしゃいますが、遠方にお住まいでなかなか参加が難しい方、ご家族やご自身の事情、健康状態等であまり外出できない方などもいらっしゃるかと思います。そんな中、1級取得者の中でもとりわけモチベーションのあるスペシャリストの方々に今年もお集まりいただき、感謝申し上げます。

まずは恒例の懇親会から。今回は東京日仏学院内にあるロワゾ―・ド・フランスにて。グルメなら誰もが知るミシュラン3星を長年に渡って取り続けた幻のシェフ、ベルナール・ロワゾー(2003年に逝去)の伝統「キュイジーヌ・ア・ロー」を受け継ぐ日本国内のお店です。

日本でもフレンチは数多ありますが、敢えて日本人の舌に合わせず、フランスのテロワールというものを味わわせてくれる、数少ないお店です。今日のお料理もテロワールに胃をガツンとやられた感があり、好評でした。

お腹も満たされたところで、いよいよ講習会がスタート。会場は同じ東京日仏学院内の新館です。

今回は、スペシャリスト・白木さんのご提案で、みなさんでそれぞれの想いのアンティーク品を持ち寄って、それについて何かストーリーを語ろう!という会になりました。ものを見せ合いっこしてワイワイ楽しむ、という趣旨です。従来の「発表」となるとどうしても構えてしまって大層な研究発表をしなくてはいけないのか、とプレッシャーがかかるためなかなか手が挙がらなかったのですが、「1人5分、長くても10分まで」という時間制限内ですので、全員何かを持ち寄り、みなさんその制限時間の中で凝縮して想いを語ってくださいました。

他の人のコレクションの現物品を見ながらの講習会はあっという間に時間が過ぎ去り、興奮が冷めやらぬ熱気にあふれた会場でした。

ご参加いただきましたスペシャリストのみなさま、貴重な日曜日に有難うございました。今年1年間、スペシャリストの方々へはお仕事の依頼などもさせていただくこともあるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2025年度アンティーク・スペシャリストは10名!!

今日は2025年度アンティーク・スペシャリスト講習会が開催されました。アンティーク検定1級合格者の方々のみが参加できる講習会で、受講後に「アンティーク・スペシャリスト」認定証が授与されます。コロナ禍の2021年に本講習会のシステムがスタート、今年で第5回目になります。

初回のオンライン講習会(前日に緊急事態宣言が発令されたため、予定していた会場が閉鎖)を除き、東京芸術劇場内で講習会を開催していたのですが、今年は同施設が休館中のため別の会場を探していたところ、昨年秋に荏原 畠山美術館の館長に就任された岡部昌幸館長より美術館内を使用させていただくという恩恵にあずかりました。

まずは美術館に集合、現在開催されている展覧会「花ひらく茶と庭園文化」を鑑賞させていただく前に、手入れの行き届いたお庭の鑑賞から。岡部館長自らが解説してくださいました。

館内では30分ほど展覧会を鑑賞し、再び集合して、懇親会の会場、レストラン・パフュームへと向かいます。

港区白金台という住所ブランドからはなんだか金粉の匂いがしてきますが、道を一歩隔てると住所表示が品川区東五反田になって雰囲気ががらりと変わるなど、東京は街歩きが本当に面白いですね。

こちらのレストランではなんとホンモノのふくろうがお出迎え!!そしてレトロなオーディオから流れるBGMや調度品にアンティークの雰囲気が醸し出される雰囲気の中、コース料理をいただきました。

ちらっと裏返して見てしまったお皿はベルナルドとノリタケ。どちらも昨年の海外研修、国内研修で訪れた地ですし、今月海外研修で訪れたコート・ダジュール風のお料理なども出て、親近感が沸いてしまいます。

食事の後は再び美術館に戻り、本丸の講習会。荏原 畠山美術館の展覧会に関する関連レクチャーを岡部館長からいただいた後、今回のご発表を関根靖子さんよりいただきました。

タイトルは「私の青い鳥を探して」。メーテルリンクの「青い鳥」の挿絵の解説から鳥の構造色に関する紐解きまで、多方面から「青い鳥」に光線を当てたご発表で、多くの資料もご持参いただき、鳥LOVEが伝わってきましたね。

今回関根さんが言及されていた「アウトプットの重要性」、これはまさにアンティーク検定試験1級に求められている能力なのですが、1級を合格したスペシャリストの方々もやはり取り入れた知識をアウトプットしていくことでより多くの気付きを得たり知識に対する欲求が深まったりするという訳で、この「発表」の場は内々なる場だとしてもやはり有意義なのだとあらためて感じた講習会でした。

今回ご準備が間に合わず「来年こそは是非!」と仰っていただいたスペシャリストの方もおりますので、益々頼もしい講習会になりそうです。

今年はじめてスペシャリストになられた方も含め、今年は公式に10名のアンティーク・スペシャリストの方が認定されました。

会場のご手配をいただきました、当協会の監修者であり荏原 畠山美術館・館長の岡部昌幸先生、そして10名のスペシャリストのみなさま、お忙しい中のご参加を誠にありがとうございました。

2024年度 アンティーク・スペシャリスト講習会

今日は2024年度のアンティーク・スペシャリスト講習会でした。アンティーク検定1級を取得された方はどなたでも参加資格があり、現在ではこの年に1度のスペシャリスト講習会に参加された方のみが本協会のスペシャリストと認定されています。

今年はまず楽しい会食&懇親会から。西池袋の立教通りにある茶寮リビエラの庭の個室JASMINEにて、和食のコース料理をいただきました。通常当協会での会食は「西洋アンティーク」の集まりだけあってほとんどが洋食料理で行ってきたのですが、今回は珍しく和食御膳。「フグの唐揚げ」とか「のどぐろ出汁の岩海苔汁」とか、希少で美味なお料理に舌鼓。デザートは自分で包むいちご大福にほうじ茶アイス、求肥のもちもちしたフレッシュ感がたまりません!

乾杯のスパークリング・ワインはDuc de Paris(パリ公爵)、これも美味しかったですね。(講習会の前に飲んじゃいました!)

会食の後は、歩いて東京芸術劇場・ミーティングルームへ。今回の講習会は協会の成果物制作に関するスペシャリストの方々との意見交換会としたところ、みなさまから実に多くのご意見が活発に出ました。目的、ターゲット、財源…プロジェクトの企画会議のようなものですから、お花畑の理想だけでは実現しないわけで、ニーズの分析、損益分岐点などの鋭いツッコミもいただきつつ、少しずつ方向性がまとまってきたというところでしょうか。

スペシャリストの方々は、みなさんそれぞれの分野で深い知識や経験をお持ちの才能集団です。この方々の力をお借りすることで、より広域にこの分野の魅力が広まっていくことを設立10周年、あらためて感じた日でした。

2024年度・アンティーク・スペシャリストのみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

2023年度、8名のアンティーク・スペシャリストが公式認定!

アンティーク検定試験の1級取得者のうち、公式にアンティーク・スペシャリストに認定されるには年1回開催される講習会に参加することになっています。アンティーク検定の各級の資格は永久に有効ですが、最上位であるアンティーク・スペシャリストは「アクティブな」資格であり、現在でもアンティークの研究を続けている方々をスペシャリストと公式に認定しています。

昨年、一昨年はまだコロナ禍でもあり、本講習会の時期はタイミング的に講習会会場も緊急事態宣言で前日に休館になったり、県外への移動を控えるような圧力がかかっていたりで会食を行えるような状況ではなかったのですが、そもそもアンティーク・スペシャリスト講習会は、和やかにみなさんで会食&懇親をしつつ、発表を通してそれぞれのスペシャリストが思っていること、感じていること、新しく発見したことなどを意見交換しつつ、更なる好奇心を高めていきましょう、という会です。

装飾美術工芸の世界は範囲も広く、誰もがすべての分野に精通しているわけではありません。家具に興味がある人、銀器に興味がある人、版画が好きで集めている人…様々です。お互いの興味のある分野のことを紹介し合いながら、未だ知らない世界についても知識を分け合っていければ、という趣旨で行っています。

今年はようやく会食も可能な雰囲気になりましたので、まずは会食&懇親会から。ホテル・メトロポリタンの25階にあるダイニング・バー Ovest の個室にて、今月のテーマである「メキシコ」風ランチコースをいただきました。メキシコ料理のフレンチコース風でしょうか、アペタイザーまたはスープ、タコスまたはパスタ、お肉かお魚、デザートの4コースで美味しく頂きました。フランス料理ではあまり使わない香辛料がアクセントとして、料理の味をエキゾティックながらも上品に引き出しています。

ランチ後は場所を東京芸術劇場へ移動し、講習会です。まずは監修者の岡部昌幸先生のお話。最近リニューアルされたご実家を、アンティークを取り入れたインテリアにする決心をされたということで、アメリカのご友人から頂いたティファニーのランプや1940年代のアンティークのキャビネットをご披露いただき、それらにまつわるお話、また先生自ら手掛けていらっしゃる展覧会やプロジェクトのお話もいただきました。

続いて小山ひろ子先生による、「絵画の中の手芸・アンティーク・レース」のお話。永年手芸出版社の編集のお仕事をされていた先生は、お仕事の傍ら個人でアンティーク・レースの研究や蒐集を行っていたのですが、その資料的コレクションをお持ちいただき、ヨーロピアン・レースの歴史をフェルメールの「レースを編む女」の絵画から紐解いてご説明いただきました。10時間ほどの濃く深いレクチャーを20分に縮めた内容で、消化不良を起こした参加者続出・・・これは是非、アカデメイアでシリーズものとしてお送りしたいと思います。

そしてラストは中山久美子先生の最新コレクション「ちりめん本」について。中山先生はかつて版画やポスターのコレクションを多く持つ川崎市市民ミュージアムで学芸員をされていた方ですが、このちりめん本も木版印刷です。和紙に印刷し、ちりめん状に加工して和綴じした絵本のことを「ちりめん本」と呼び、明治中ごろから昭和10年ごろまで作られていたもののようです。外国人の日本土産として人気が出たことで、外国人向けを意識した内容になっているとのことで、今回は中山先生が手に入れられた4冊をお持ちいただいたのですが、どれもこれも「可愛い」「愛らしい」という声が上がるものばかり。果たしてこれは西洋アンティークの仲間入りをしても良いものなのだろうか?という疑問と共にご発表をいただきました。

本講習会は何かの答え合わせをするような研究発表会ではなく、答えのない問題について、色々考えを述べたり、疑問や思いを提起したりする場なのですが、発表者&参加者のみなさん全員で実りのある意見交換会となりました。

予定時間を若干オーバーしましたが、監修者よりスペシャリストの方々へ認定証が交付され、2023年度のアンティーク・スペシャリスト講習会は終了しました。

アンティーク・スペシャリスト発表会 ~続き~

<後半の部>

永瀬 明

テーマ:ジャン・コクトーゆかりのサン・ブレーズ礼拝堂

概要:以前訪れたサン・ブレーズ礼拝堂についての感想

パリから50kmほど離れたフォンテーヌブローの近くにあるミリー=ラ=フォレという小さな町を紹介、ジャン・コクトーは1947年、パリの喧騒から逃れて恋人のジャン・マレーと共にこの地に住み始めます。その後のコクトーの新しい恋人デルミもこの地を頻繁に訪れ、コクトー没後は彼の作品群を保存し現在ではジャン・コクトーの家となっていますが、その町にある、元ハンセン病院の付属であったサン・ブレーズ・デ・サンプル礼拝堂を訪問されたときのレポートを、多くの写真やご自身のコレクションとしてご購入されたオリジナル・ポスターなどを持参して、臨場感あふれるご説明をしていただきました。コクトーがデザインしたステンドグラスの光の効果に関する考察なども注目に値し、またコレクションのポスターについて、監修者よりその保存状態の良さが評価されました。

目黒 佐枝

テーマ:ナポレオンのダイヤモンド ~マリ-・ルイーズに贈ったネックレス~

概要:カットからアンティークと分かるポイントと科学的検査で知るダイヤのタイプ別選別

本場アメリカで宝石学協会G.I.A G.Gの資格をもち、ハイ・ジュエリーブランドであるヴァン・クリーフ・アーペルやシャネルなどの宝石部門での勤務経験のある目黒氏による、ダイヤモンドの選別についてプロの世界のお話をいただきました。ダイヤモンドから読めるアンティークの希少性、科学的エビデンスに基づいたダイヤモンドの産地や時代の推定の方法について、アメリカ・スミソニアン美術館に展示されているマリー・ルイーズのネックレスを例に、ダイヤのカットと原石の関係、また現代の技術である紫外線・赤外線を使用して鑑別したタイプ別のお話、さらには産地についての歴史まで遡り、インド産のタイプIIAであると推定されるに至る、その導き方を分析されました。

現在は精密にカットをされて綺麗に輝く宝石を望む人が多いということで、その点アンティーク・ジュエリーのカットは少々の野暮ったさが否めないものの、アンティーク好きは原石の形が感じられるカットを好む傾向にあるといい、目黒氏のアンティーク・ジュエリーを見る時に原石の形を感じながらその素朴な「たまらなくいい」と思えるアンティーク・ジュエリーへの愛が感じられるご発表でした。

小山 ひろ子

テーマ:手仕事から紐解く人間の文化史

概要:過去の手仕事、針仕事を見ると、その時代の様式や政治などが見えてくる。

長年手芸関係の出版に関わってきた小山氏による数多のコレクションの中から、この1年で手に入れた稀覯本(ウィリアム・モリス関連書籍『News from nowhere or an eoch of rest』、『The story of the glittering plain or the Land of Living men』、『Decorative NEEDLEWORK』、ウォルター・クレインの挿絵、シャルダンなどの手芸書、『エリザベス女王の祈祷書』、『メアリ・スチュワートの時祷書』のファクシミリ版など)、アンティークレース、シルバー・フィリギリの針道具などを紹介いただきました。主催されたアンティーク・レース関連セミナーや企画を手がけた雑誌や書籍を通して、手芸道具から見える人間の文化史について「装飾」に焦点を当て、今後の研究への豊富を語られ、監修者より、刺繍の部分は未開拓分野だけに是非研究を進めてほしいとの助言がありました。

石田 亮子

テーマ:お茶時間を彩るシルバーカトラリーの魅力

概要:ティーパーティーには欠かせない魅力的なシルバーカトラリーとの出会いを通して、古き時代のお茶時間の考察

中国茶マイスターの資格を持つ石田氏による、「古くて美しいものを現代の暮らしにどう活かすか」について、1)英国式ティーパーティでのシルバーカトラリー、2)装飾の魅力、3)現代のテーブルコーディネート、の3点より考察されました。中国茶ではあまり使われない銀器に関して、陶磁器の紅茶セットと銀食器がなぜ合うのか、アフタヌーン・ティーが生まれた理由、「マダムの生活発表会」の場としての銀器の扱い方、コレクションしたくなる理由は何か、生活様式の変化とともに日常の生活へどう古いものを活かして取り入れていくか・・・実際に氏のコレクションを披露されながら、これらを1つ1つ、現代の「おもてなし」の意味を踏まえながらのお話をいただきました。