日別アーカイブ: 2024年3月19日

2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 2

2日目、さっそく午前から研修がスタート。チェックアウトをして荷物をホテルに預けた後、徒歩で近くのタピスリー専門ギャラリーに向かいます。当協会の海外研修の講師を務めるアンヌ・コリヴァノフがウェルカム・コーヒーと共に私たちをお迎えしてくださいました。

会場となるギャラリーのオーナーはセバスチャン・ムニエ―氏、オークショニア国家資格を持ちながら、フランスの20世紀タピスリーのディーラーとしてドル―オー界隈で長年に渡ってギャラリーを経営、現代タピスリーのディーラーとしてはおそらくフランスで唯一の人物です。このギャラリーでセバスチャンよりタピスリーの役割、中世から現代にいたるまでの経緯、栄光と没落、そして再び脚光を浴びるまでのストーリーをレクチャーしていただき、実際に織物を触り、織り方の基本を知り、そして市場価格なども教えていただきました。

1時間ほどのギャラリー滞在の後、すぐお隣のオテル・ドルーオーへ。ちょうど11時のオープンですが既に午後のオークションの出品物の最終確認にやってくる人、翌日以降のオークションの下見会を念入りにチェックする人などで普段通りにぎわっています。170年に渡ってこの地で美術工芸品の売買が行われている館です。

オークションハウスの下見会は入札するかもしれない品をチェックする目的で開かれているので、基本的には触ってもひっくり返しても良いわけですが、稀に別格のオークションが開催されることがあり、その下見会での展示物には触らないよう注意書きがあったりします。今回最初に見たルームでの作品はまさにこのカテゴリーの下見会で、ミュージアム・ピースと呼ばれるにふさわしい出品物ばかりでした。次に入った地下のルームは、見て触ってひっくり返して、が可能な下見会でしたので大勢の業者や一般のコレクターたちがそれぞれ目当ての作品を吟味していました。

もっとゆっくり見たいところですが、リモージュ行きの電車の時間があるため、12時で切り上げて近くのレストランでライト・ランチ。ライト、といってもフランス料理のメイン一品でもしっかり量がありますね。このレストランのお客さんもほとんどがアート市場業界にかかわる人たちで、知り合い同士だらけの様子です。

メイン+コーヒーでランチを済ませた後はホテルに戻り荷物をピックアップして、専用バスでオーステルリッツ駅へ。このオーステルリッツ界隈は今パリでは駅舎を含め一帯が工事中で、バスを停めるのもホームに辿り着くのも大変なことに。余裕をもって出てきたのでよかったです。

リモージュ行きの列車はフランスが誇る新幹線TGV…ではなく、在来線。そのため距離としてはリヨンとほぼ変わらないのに3時間半と2倍近くを要します。また列車も旧型でなんと私たちの席は1等車でしたがコンパートメント。6人乗りのコンパートメントは全員が知り合いなら遠足気分ですが、そうでないと他の乗客と同じコンパートメントで一緒ということにもなります。幸い乗り合わせた方々が親切で、日本からの重いスーツケースを網棚に上げるのを手伝ってくださって、専用荷物置き場のない不便な在来線でしたが何とかリモージュまで到着しました。

リモージュ・ベネディクタン駅はフランスで最も美しい駅の一つとされていますが、内装のステンドグラスがやはり美しく、またパリの混雑した駅の喧騒とは違ってゆったりと田舎の美しさを感じることができました。

専用バスで近くの旧市街のホテルへ行きチェックイン後、みなさんで歩いてディナーのレストラン『Le Versailles』へ。初めての場所でGoogle Mapを頼りに10分ちょっとで辿り着いたレストラン(実は後から全然近かったことが判明!)で夕食を。この地方は高級な牛肉リム―ザン牛をはじめ、フランスの伝統料理を食する街ですが、みなさんワインからデザートまでしっかり頂いて、元気そのものです。

ホテルも旧市街の一等地にあり、周りにはギャラリー・ラファイエット、モノプリなどお店が何でもある広場に面していて、とても便利。

明日はいよいよリモージュ磁器の研修に入ります。