日別アーカイブ: 2024年3月21日

2024年公式海外研修:フランスの工芸を巡って~リモージュ&オービュッソンとパリ~Day 4

今日はオービュッソンへの1日エクスカーションです。リモージュからオービュッソンまで約1時間半のバスの旅が8時半よりスタート。リモージュは地方都市ですが、いよいよフランスの奥深い田舎へと入ります。

10時過ぎにオービュッソン国際タピスリーセンターへ到着。モダンなこの建物、2009年にユネスコの無形文化遺産登録を受け、2016年にオープンした新しいセンターです。このセンターではタピスリーの展示、タピスリー職人の育成、そしてセンター自らがタピスリーの新作を制作するという3つの活動を行っています。

ルイ14世時代、コルベールの政策の元に王立製作所となったオービュッソンのタピスリー、15世紀の「お城の壁紙代わりに、断熱材として」使用した時代のタピスリーから社会的地位を象徴する調度品として、近代のタピスリー職人であるジャン・リュルサの世界、そして現代アーティストとのコラボレーションまで、そのモチーフの変化と共に一気に500年の歴史を回ります。

「千花模様の一角獣」はオービュッソン最古のタピスリー。

伝統的な形式として、神話や聖書などのストーリーをシリーズで描いていく「tenture」がありますが、その伝統を踏襲して現在シリーズ制作をしているのが、我らが宮崎駿の作品群で、現在4作品が完成しセンターに展示、残りは制作中です。

センター見学後は、この宮崎プロジェクトにも関わっている日本人のタピスリー職人、許斐愛子さんのアトリエを訪ねます。

大型バスの通行制限でなかなかアトリエまでたどり着けず、自ら近くまで出てきていただいて私たちをお迎えしてくださった許斐さん、現在では個人でアトリエをもって制作をしていらっしゃいます。

このアトリエで実際の織り方や織機の構造、台紙に描かれた下絵をどのようにして織機で織っていくのか、道具の種類やその使い方、ゴブランのタピスリーとオービュッソンのそれの違いをbasse-lisse / haute-lisseといった専門用語をわかりやすく教えていただき、実践していただきました。

私たちがタピスリーを織ることはないでしょうが、完成したタピスリーを見て、どこの工房で織った誰の作品なのか、付いているナンバーは何を意味するのか、そんな見方も教わったところでお腹も空き、許斐さんも交えてのランチへ。

このレストランもほぼ廃墟だった建物が、タピスリーセンターが出来たことで観光客も増え、リノベーションを経て現在のホテル&レストランになったのだとか。予め聞いておいた通りとても美味しいお味で雰囲気もあるレストランでした。

人口3000人のこのオービュッソンに日本人が、それもタピスリー職人が住んでいるというだけでも驚きですが、なんと他にも日本人が2人いて、ガラス職人さんと尺八のミュージシャンだと聞きこれもびっくり!同胞が世界のさまざまな地で芸術活動をしているというのは、本当に誇らしいですね。

ランチ後は、メゾン・デュ・タピシエの見学予約が入っていますが、レストランのすぐ隣がなんとタピスリーのアンティーク・カルトン(下絵)のお店、ちょっと入り口を覗いてみたら店主のマダムが「入りなさい、入りなさい」と1回3人までと書かれている小さなお店に全員入れて、タピスリーのカルトンに関する説明を始めてくださいます!

お話をずっと聞いていたいところですが、次の予約が迫っており、残念ながら短時間で切り上げてメゾン・デュ・タピシエへ。午前のセンターと許斐さんのアトリエで基礎知識が頭に入っていたので、ここでの説明はそれらを補完するものとして、すぅ~っと頭に入ってきました。

メゾン・デュ・タピシエの後は、しばし散策。地元のお菓子屋さん、雑貨屋さんなどでお買い物をしてさあバスに戻りましょうというところで、なんとアンティーク・ショップを発見!全員の眼が一気にハンターに転じ、ここを通り過ぎるのはこの人たちには無理、と判断した添乗員がドライバーさんへ若干の時間延長交渉をしてくださり、無事10分確保、その間にみなさんこれまでに培った目利きの力を最大限発揮し、お買い物。アンティークは場数を踏んでいないと即決できない、いい実習です!プロさながらのみなさん、「あ、これSarregueminesだわ、4€、安い!状態良し、買っちゃお」と秒で決断。

もっともっとこの地に留まりたいところですが、バスに乗ってリモージュへ戻り、ホテルで少し休んだのち、最後のリモージュのディナーへ。リモージュの中では恐らく一押しの伝統レストラン、『Bouillon Limousin』へ。

アール・ヌーヴォーの装飾ムンムンのこのレストラン、地元の人でも大人気なのでしょう、既に満席状態です。それもそのはず、なんとディナーは木金土の3日しか営業しておらず、しかも19時~20時半という、フランスとは思えない営業形態です。7日前までにメニューを決めておいてねと言われていた理由もこんなところにあるのでしょうか。

名物の伝統料理リム―ザン牛を選んだ人も多かったです。

そして今日は参加者のお一人のバースデー。予めお店の方へデザート時にキャンドルサービスとシャンパンを頼んでおき、みなさんで無事お祝いすることができました。Akikoさん、お誕生日おめでとう!!

ほろ酔い加減でホテルへと戻り、リモージュの最後の夜を楽しみました。