アカデメイア」カテゴリーアーカイブ

新アカデメイアがスタート!

本協会主催のアンティーク講座・アカデメイア、4月より新しいシリーズがスタートしました。テーマは『「アンティーク鑑定」のエキスパートになる!』、本協会代表が進行役を務めています。

第1回は、サザビーズ・オークション。世界最古の近代オークション・カンパニーでその名も有名ですが、元々は書籍の競売を行ったのが発端、美術オークションに力を入れ出したのは20世紀も中ごろに入ってからのことでした。現在ではインターネットによるオンライン・オークションもさかんで、オークション・カンパニーとして世界で最初にオンライン・オークションを手掛けた会社でもあります。

今回は今年3月に行われた « Design Including Art Glass by Louis Comfort Tiffany from The Doros Collection »に出品されている作品の中から数点について、そのdescriptionやcondition reportなどを読み解いていきました。

@ Sotheby’s

ティファニーのファヴリル・ガラス、ガレの陶磁器、ギマールのメトロのデザインのパーツ、そしてフィン・ユールの椅子について取り上げ、アール・ヌーヴォー期からミッド・センチュリーまでの装飾工芸の世界をおさらいも兼ね、オークション特有の用語や状態を表す際にどのような表現をするのか、そして現代のニーズとして鑑定士の評価額と落札結果からどんなことが言えるのか、そんなオークションにまつわることをみなさんで語り合いました。

@ Sotheby’s

来月はクリスティーズのオークションを行います。見逃し配信もありますので、ご興味のある方は是非今からでもお申込みください。「アンティーク検定試験」1級の対策としても有効です!


アカデメイア、今期シリーズ「マンガでわかる西洋絵画の見かた 聖書編」いよいよ最終回!

15回にわたって1冊の本を専門家に解説してもらいながら読み解いていく読書会、ようやく最終回を迎えました。西洋絵画の中でも、見る際に背景がわかっていないとなかなか理解できない宗教画でどうも日本人としては苦手な分野なのですが、おかげさまで画家の描くテーマの内容に少しだけ近づけた気がします。

最終回は、今更ですが「キリスト像」、聖書にイエスの容姿の記述はないのですが、それを歴代の画家たちはどのように描いてきたのかの作例を見せていただきます。ところで数年前に話題になった、レオナルドの作品とされる「サルヴァトール・ムンディ」、これを今後どこかで見られる日は来るのでしょうか。

そして、見ていて一番ほっこりする「聖母子」。実は聖母マリアがテーマとして描かれるようになったのは中世の後期から。授乳の聖母、花園の聖母といったテーマが有名ですね。

その他「聖家族」「聖会話」「三位一体」「ピエタ」など、いくつかの有名なテーマについての作品も見ていきます。「無原罪の御宿り」に関連して、不思議のメダイ(奇跡のメダイ)の図像に関しても、どのような言葉が刻まれているのか、その背景などについてあらためて学びました。

〆は「天国」と「地獄」。ヒエロニスム・ボスの2作品を比べてみると、地獄もワンダーランドとして楽しそうですが、やはり清々しい天国へ行きたいものですね!

受講者さんのお一人より、このようなメッセージをいただきました。

❝長い道のりを、お疲れ様でございました。漠然としていたキリスト教というものが、かなり具体的に理解できるようなってきたような気がします。これからも絵画や本や映画の中に発見して、楽しめることと思います。ありがとうございました。(A.O.様)❞

中山久美子先生、長い長い15回コースの解説、本当にありがとうございました。


読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』天使にもランキング!?

1月のアカデメイアは、「聖人たち」の続きからスタート、今日は有名どころの『マグダラのマリア』『聖ルチア』などについて学びます。

なぜわざわざ「マグダラの」って付いているんだろう、「マリア」でいいじゃない、と思う方もいらっしゃるでしょうが、何と言っても「マリア」名は多い上に、伝承の間に同一視された他人のマリアもいてややこしいのです。

グイド・カニャッチ『マグダラのマリアの改宗』

なんとなく淫らで妖艶なイメージのあるマグダラのマリアですが、イエスの受難に立ち会い、また復活したイエスに最初に出会った人として重要な聖人なのですね。

そして『最後の審判』と『ヨハネの黙示録』、もう時代を問わず有名無名を問わず多くの画家たちがみな描いているテーマ、どの作品にもやはり題材にとりかかる意気込みというか覚悟のようなものを感じますね。

ミケランジェロ・ブオナローティ『最後の審判』

最後に『天使』、『悪魔』、そして『神曲』について学びました。

天使とはそもそも何なのか…これは神の使い、なんですね。神のいる天上界と地上をつなぐメッセンジャーのような存在。この天使の世界にはランキングというものがあって、上は会長から下は平社員まで、セラフィムやケルビムは会長とか社長でしょうか、一番なじみのあるエンジェルは天使界では底辺の平社員、なのだそうです。絵によく描かれる、翼がついたり光輪がついたりして可愛いのはみな平社員です。

悪魔は実は元天使だったのが、神に反逆して地獄に堕ちた存在なのです。裏切りの行末には地獄が待っている、というわけです。

ドメニコ・ディ・ミケリーノ『《神曲》の詩人ダンテ』

『神曲』こそ常に枕詞「ダンテの」と共に使われますが、14世紀にダンテが著した長編詩で「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の三部作で成り立っています。地獄と天国はわかるのですが、煉獄ってなんだか文字からして最も怖そうと思いきや、これは地獄と天国の間で、天国には行けなかったが地獄にも墜ちなかった人の行く中間的なところということで、罪を清められると天国に行けるということになっているのだとか、生涯を通して品行方正・人格高潔・潔白無実というわけではない大多数の人はここにまずは入るのでしょう。この絵では煉獄の頂上は地上の楽園で、天国につながっているようですから望みはありますね!

さて、次回はいよいよ最終回です。やっと聖像に辿り着きます!

 


1年の終わりは東京カテドラル聖マリア大聖堂で

12月のAEAOサロン倶楽部とアカデメイアは合同企画で「聖なるクリスマス2024 /東京カテドラル聖マリア大聖堂」を行いました。前半はAEAOサロン、後半はアカデメイアという位置づけでしたが、みなさんオールでご参加、とても楽しい会となりました。

集合はホテル椿山荘ロビー。今朝は東京で初雪観測とこの冬最も冷え込んだ朝でしたが、幸いお空は雲一つなく晴天。まずはお庭にて、冬のこのホテルの名物(?)、東京雲海を体験します。毎時2回ずつ行われるのですが、ちょうど11 :40の回に居合わせることができました。三重塔まで上がれば上から庭全体が見渡せるのですが、上がっている間に終わってしまっては…と急遽池や滝の方向へ。一瞬とはいえ幻想的な空気に包まれながらの日光浴&森林浴が楽しめました。

12時より、ロビー・ジャルダンにてクリスマスアフタヌーン・ティ&懇親会。翌3月の研修旅行のお話や、11月の神戸国内研修の思い出話、当協会監修者・岡部先生が前週出演されていたNHK「クローズアップ現代」の番組のお話など、多方面にわたってみなさんで楽しく懇親いたしました。

お茶はお変わり自由で、スペシャリティのクリーム・ティとスパイスがふんだんに入った赤ワイン風味のホットティは全員で頂き、あとは個別に好みのお茶をオーダー、お腹もタプタプでフーズやペイストリーもたっぷりいただき、食べきれなかったスコーンなどはお持ち帰りさせていただきました。

そしてホテルの2つ目のロビーのあるバンケット館の目の前の建物が、これから見学する東京カテドラル聖マリア大聖堂、ここからはアカデメイアの講師・中山久美子先生のお導きで参ります。

大聖堂内ではガイディングはできないので、まずは陽の当たるジョゼフィーヌの鐘の前でレクチャー。「カテドラル」とは何か、「大司教区」とは? 関口教会って? といった基本のキから、そして丹下健三氏がこの大聖堂を建設することになった経緯、特徴、聖堂内の見どころを分かりやすく説明してくださいます。アカデメイア第2期で見学に訪れた神田教会とこの関口教会の関係もスッキリ。

すぐ傍にある「ルルドの洞窟」についてもご説明いただきました。ここのレプリカはルルドの実物と同じ大きさで作られたものだそうです。お隣には聖ヨゼフの像もありますね。

聖堂内部は撮影禁止ですが、陽の光がどのように聖堂内に入ってくるのか、想像しながら見上げていると無になれますね。クリスマスの季節ですから、クレッシュも用意されていました。今夜はこのカテドラル内でコンサートが催されるということで、中では音響や照明のスタッフさんが準備をしており、リハーサルの情景にも出くわし、たった数名での歌声がこんなに響くのね、とうっとり。

献金箱にわずかながらの寄付をし、おみくじならぬ「お告げのお言葉」を引きました!

2024年もAEAOサロン倶楽部、そしてアカデメイアにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。2025年のプロジェクトも年内には発表できると思います。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。


読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』、聖人の名前のあれこれ

11月のアカデメイア・読書会、今回は有名な「聖人」たちについて学びました。そもそも「聖人」って何?聖人になれる条件ってあるの?といった聖人の定義を根本から教えていただきました。聖人というと過去の人でイエスと一緒に苦を共にした人やその熱心な信者だけかと思いきや、実は今でも新しい聖人は生まれているのですね。新しいところでいくと、ヨハネ・パウロ2世(1920-2005)が2013年に聖人となっています。

帰天したヨハネ・パウロ2世

そんな聖人、この世に何人いるのか…これも西方教会、東方教会とそれぞれあるようですし、カトリック教会ではそもそも聖人の数が1年の日数を超してしまったので、それじゃあみんなの聖人の日ということで11月1日が万聖節となっているわけですね。日本の八百万の神とまではいかないものの、似たようなものなのでしょうか。

今日はそんな数多の聖人の中から、教科書に登場している一軍クラスの聖人について、題材として描かれている絵画を見ながら学んでいきました。

聖アガタ、聖アグネス、聖アントニウス…となんと18人もの聖人を一気に見ていきます。顔つきや表情が他の聖人と似ていても、あ、この人はアレ(アトリビュートと呼ばれるアイコン)を持っているから聖○○だ!と、聖人のプロフィールを知っていると読めるようになる、これがキリスト教絵画の面白さですね。

一軍聖人の中でも、画家にとって描きたいと思わせる人気ランキングで上位にくる聖人が何人かいて、この教科書でも2ページを割いて解説されているのが聖セバスティアヌスや(アッシジの)聖フランチェスコなど。

それぞれの聖人の特徴、キャラも大事で何かの守護聖人になっているケースも多く、例えば音楽の守護聖人とされている聖チェチリアなどはローマの音楽院の名前にもなっています。

知れば知るほど面白いキリスト教絵画、だんだんと見えなかったものが見えてくるようになります。

次回12月はいよいよ教会見学で、東京カテドラル聖マリア大聖堂を訪問予定です。