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大満足の旧細川護立邸・和敬塾見学と椿山荘でのお食事、オプションにルルドの泉と肥後細川庭園

AEAOサロン倶楽部、夏休みに入る前の7月第2部の会は、申し込み開始から5分で満席となってしまった「旧細川護立邸と、椿山荘で愉しむランチ」でした。キャンセル待ちのリクエストも何人かあり人数増を試みたのですが、すでに和敬塾の見学人数も定員オーバーということで、また秋以降にリベンジ会を行おうと思っています。

まずはその庭園が美しいラグジュアリーホテル・椿山荘でのランチ。ゆったりとしたこのホテルはロビーから回廊から至る所に品格を感じさせる美術品・工芸品が展示されています。ロブマイヤーのグラスなど、見たこともないようなシリーズもあって、目の保養になります。

11時半から食事のできる唯一のレストラン「ザ・ビストロ」で、美味しいコース料理をいただきます。今回は、後で歩き回りますのでノンアルコールで!

椿山荘を出て和敬塾へ行く間にある東京カテドラル・聖マリア大聖堂(丹下健三設計)、ルルドの泉をチラッと見学して、いよいよお殿様のお屋敷へ。

現在は「和敬塾」となっていますが、ここは旧細川護立邸。肥後熊本藩主を務めた細川家の第16代当主であられた方のお屋敷です。元々は和洋館並列型住宅を建てていたのですが、関東大震災で被害を受け、昭和11年(1936年)にチューダー様式を基調とした洋館単独型の新本館を立て直しています。

その邸宅と敷地は戦後接収されオランダ人が住まわれていたそうですが、接収解除後に前川喜作が細川家より購入し、学生寮を設立、現在の「和敬塾」に至っています。ちなみにどこか特定の学校の寮ではなく、学生の大学はさまざまだそうで、近場の早稲田大学がその半分を占めているようです。コロナ前までは留学生も20%ほど寄宿されていたとか。

本館内部はガイド付きで細部までご案内いただき、明治の洋館ではない昭和の洋館、不穏な時代に邸宅のセキュリティを如何に工夫したか、空調は、冷暖房は、日差しの向きは、といった現代にも通ずる家屋の設計をも丁寧にご説明いただきました。

写真は撮り放題でしたが、blogやSNSへのupはご法度ということで、今回は見学終了後にいただいたポストカードでその雰囲気を残したいと思います。

細川侯爵は「美術の殿様」とも言われており、美術品のコレクションにも熱心でした。大抵お金持ちで地位のある方は古今東西美術品を収集しますが、この方は実は借金をしてまでも美術品を購入していたとか。そのコレクションは、この近くに美術館として永青文庫に収められています。今日は残念ながら展示替えで閉館中。

その後、現在は都立公園となっている池泉回遊式庭園の肥後細川庭園、リニューアルされた松馨閣も見学し、たっぷり歩いた1日でした。気温30度を越す蒸し蒸しした日ではありましたが、楽しかったですね。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。

AEAOサロン倶楽部、8月はお休みです。また秋以降のサロンは決まり次第公表したいと思います。


「鹿島茂コレクション2『稀書探訪』の旅」見学と、天井高15mの大空間

AEAOサロン倶楽部・7月は変則的に平日に2回行います。その第1回目は、日比谷図書文化館にて開催されています「鹿島茂コレクション2『稀書探訪』の旅」見学。鹿島茂さんといえばフランス文学者としてよりもフランスの古書蒐集家として知られ、現在では神保町にPASSAGEという共同書店をオープンしたことでも有名ですが、2019年に開催された第一弾に続きそのコレクション第二弾が今年5月から日比谷図書文化館にて開催、これをじっくり鑑賞しない手はありません!

この日比谷図書文化館の目の前に、知る人ぞ知るレストランがあります。その名は「アラスカ」。『なぜエグゼクティブは、アラスカに集まるのか?』という本があるのですが、ここに通った者は出世できるというジンクスがあるとか!?

日本プレスセンタービルの10Fに入っているこのレストラン、しかし我々は出世欲というよりは食欲、しかもこのレストランの窓際のテーブルから見える景色は絶景で、またホールは天井高15メートルもあるドーム型で、とても贅沢な空間なのです。

お腹が空いていては細かい版画や字も頭に入らない、ということでまずは「アラスカ」にてフルコースのランチ。外の鬱陶しい雨も振り切ろうと、キールやらスパークリング・ワインやらでアペリティフから。

お料理は非常に正統派クラシックな「洋食」フレンチ。

ランチをゆっくり堪能した後は、いよいよコレクション展へ。

会期の終わりが近づいていますが、平日の午後はやはり穴場ですね。雨の日のせいか、会場は混み合っておらず、おかげでガラスケースの上にへばりつくように1点1点ゆっくり鑑賞できました。これぞ贅沢な、まるで独り占めしているかのような鑑賞。すでに前期に一度訪れたという参加者さんも、後期は展示替えで作品(または見開きのページ)が入れ替わっているせいか、やはりじっくり見入っていました!静かで豊かな時空間。

鹿島茂さんのコレクションは多岐にわたりますが、やはり芸術性の面で目を引くのがアール・デコのポショワール、そしてアラスカは1928年創業のレストラン、同時代性を感じますね!


ピカソの陶芸と地中海に想いを馳せる会

AEAOサロン倶楽部・6月の会は2020年にオープンしたばかりのヨックモックミュージアムにて開催中の「地中海人ピカソ」展を見学し、ピカソと地中海との関係に迫る、という企画でした。というと大袈裟ですが、地中海料理を食べて、ヴァロリスに移り住んだピカソとその陶芸を知ろう、という集まりです。

ヨックモックと言えば、日本中の家庭にあのシガールの缶ケースを何かの容れ物に使っているのではないかと思うほどポピュラーな、それでいてとても美味しいお菓子が有名。実は海外の方にもヨックモックは大好評です。ヨーロッパやアメリカの人へのお土産というと、ついつい抹茶や小豆系のお菓子で日本らしさを感じてもらいたい、と思いがちですが、本気で誰にでも喜ばれるのが実はヨックモック。今回のご参加者の中にも海外駐在をされていた方が、激しく同意されていました!

まずは、夏らしいランチでスタートです。ミュージアム近辺で地中海料理のお店を色々探したのですが、数名で落ち着いて簡単なミニレクチャーもできて、お料理も美味しく雰囲気のよいところ、となればヨックモックそのものがあるではありませんか!表参道のヨックモックショップに併設されているブルー・ブリック・ラウンジにて夏のコースランチをいただきました。

当初は「お天気がよければテラスで」とお願いしていましたが、お天気はよいというより、湿度が高く一降り来るかも!?という微妙な感じ、お店の方の機転で店内のよいお席をご用意いただくことができました。

メニューは、最初にハーブのアイスティ、海ぶどうが添えてあるフルーツトマトのファルシ、とうもろこしや枝豆の乗ったパイを添えたコーンスープ、鱧と彩り野菜の冷製フレッシュパスタ、デザートはグレープフルーツとライチジュレのパフェと、本当に夏らしい、まるで地中海のリゾートホテルのラウンジで優雅にランチをいただいているかのよう。美味しいものをいただくと幸せになるのは誰しも同じで、初めて顔を合わすメンバーでも楽しくお話しが盛り上がりました。

このお店は予約時からアレルギーの有無やメニューの説明などとても丁寧にご対応いただき、こういうサービスは集客につながりますね。11時の予約の時点でかなり埋まっており、13時の退店時には席待ちの列ができていました。

ランチ後はヨックモック本店から歩いて10分ほどのミュージアムへ。南青山という都内でも屈指の高級住宅&商業地、散歩をしているだけでも楽しいエリアです。

そして辿り着きました、ヨックモックミュージアム。設計は隈研吾建築都市設計事務所出身の栗田祥弘。青色の屋根瓦は、ヴァロリスの赤茶色の屋根瓦をイメージしてつくられたものということですが、お隣に立つ秀和レジデンスの建物とピッタリ調和していますね。そういえば秀和レジデンスのコンセプトが南欧リゾート風だと聞いたことがありますが、まさに地中海での共通点が。

現在ミュージアムは予約制で30分枠に6名とあって、小さなミュージアムでも混雑することなく、ほぼ貸切状態のように見学することができました。

ところでなぜヨックモックミュージアムにピカソのセラミック作品が展示されているのかというと、ヨックモック社が30年以上かけて500点ほど蒐集してきたようです。今回はその中で「神話世界にあそぶ」というテーマのもとに集められた30点余りと、常設展示の54点が展示されていました。

写真撮影はNGですが、この椅子スペースでは記念撮影が可能です。

カフェやミュージアムショップ、ライブラリースペースなども、コンパクトながら地中海風な明るい雰囲気でした。

終了後、近くにある登録有形文化財の指定を受けているメゾンデュミュゼの外観を見学したり、青山地区の建築やブティック、お店を散策しながら帰途につきました。

ご参加のみなさま、楽しかったですね。お付き合い有難うございました。

7月のサロンは、2回とも例外的に平日開催です。8月はお休みです。


AEAOサロン倶楽部・5月の会は、旧前田侯爵邸を訪ねて 

月1回のAEAOサロン倶楽部、今月は旧前田侯爵邸を訪ねる会でした。この企画は過去に2回、緊急事態宣言やまん延防止措置で建物閉館に伴って延期されており、3度目の正直。日程を再調整したものの、GW後にまた感染拡大が起こって中止にならないかヒヤヒヤドキドキでしたが、無事に開催されました。申し込み開始と同時に5名の定員が埋まってしまいました。

本AEAOサロン倶楽部、以前はもっと多くの人数で行っていましたが、会食・飲食を伴うことから現在ではかなり人数を制限しています。そのためタイミングが悪くお申し込みいただけなかった方、申し訳ありません。

まずは東京大学駒場キャンパス前での待ち合わせで、キャンパス内にあるフレンチ・レストラン、ルヴェソンヴェールにてランチをいただきます。東京大学に足を踏み入れる!というのでちょっとテンション高い方々(といってもこの日は外部の検定試験が実施されていましたし、そもそも大学校内の入校はかつては自由でしたよね…コロナ禍で「本学関係者に限る」などと掲示がありますが、どの大学も近所の人たちが抜け道に使っていたりして)、えっ、キャンパス内にフレンチ・レストランがあるの?と昨今の大学事情に驚きの方、みなさんでおしゃべりしながら、そして新緑の中に佇む歴史的建造物の建物をデジカメに収めながら、レストランへ。

我々は11時開始と同時に予約していましたが、オープン前から人が並んでいて、12時にはほぼ満席状態に。以前は知る人ぞ知る、の隠れ家的フレンチだったのですが今やメディアにも登場していますし、人気のレストランです。ちなみに本郷や南大沢にもお店があります。

お料理をいただきながら、「ああ(行けない)フランスの味だわ!」なんて歓心しつつコースをぺろっと平らげてしまいました。これから歩くのですから、体力付けは完了です。

東大のグラウンド付近にある西門を抜け、駒場通りを北上して(お屋敷街ですね!)、駒場公園の入り口・東門へ。ここから入って和館を通り抜けると、チューダー様式の洋館が出現します。

約1万坪の敷地に、地上3階地下1階建ての洋館と、渡り廊下で結んだ2階建ての純日本風の和館を竣工したのが昭和4~5年。当時「東洋一の大邸宅」と呼ばれ、使用人が100人いたとされていますが、個人の邸宅で鉄筋コンクリート構造の屋敷ということからも、その財力は窺い知れますね。

建物内部は、2016年~18年にかけて行われた保存修復工事により当時の暮らしの内装を復元されています。明治末期~昭和初期にかけて建てられたこのような和洋館並列型住宅では、洋館は接待用に使用し家族は和館で暮らすというスタイルが多い中、前田家では洋館暮らしをしていました。侯爵夫妻の寝室、書斎、テーブルウェア、各種調度品からヨーロッパの一流の暮らしを昭和初期に実現していたのですね。

当初の計画にはなく、途中で必要性を指摘されて建設したとされる和館も見事なものです。また違った景色が縁側から臨めます。

この日は前日の雨が上がり、そして気温はそれほど高くもなく蒸し暑くもなく、これから梅雨の季節に入る前に芝生を楽しもうとピクニックをしている人たちが芝庭にいて、子供たちの声が響き合うゆったりした午後でした。

AEAOサロン倶楽部、6月はヨックモックミュージアムにて、ピカソの陶芸を鑑賞します。


AEAOサロン倶楽部・4月「宝石 地球がうみだすキセキ展」&ブラスリーレカン

ようやく緊急事態宣言も蔓延防止もなくなり、久しぶりに何も規制のない期間になりました。AEAOサロン倶楽部も再開し、東京・上野の国立科学博物館で開催中の話題の展覧会「宝石 地球がうみだすキセキ展」の見学へ行ってきました。

まずはその前に、恒例の楽しい会食ということで、この日のお食事はブラスリー・レカン。お店のHPにこのような紹介がされています。

昭和7年に創られた上野駅貴賓室が21世紀の今、80年以上の時を経て銀座レカンの姉妹店ブラッスリーレカンとして生まれ変わりました。

アールデコ様式に創られた懐古の空間に、現代的デザインのコラボレイト。

どうぞ、お気軽に楽しいフランス料理と老舗銀座レカンのエスプリをお楽しみ下さい。

銀座レカンといえばフレンチの老舗中の老舗、ディナーに訪れようと思ったら2万円では足りません。その銀座レカンと同じ味が、カジュアルに楽しめるのが上野のブラスリーレカンなのです。しかも場所は元上野駅貴賓室ですから、これはテンションが上がります。

満足の3コースを頂いた後は、新しくなった上野を少し散策したかったのですが、生憎の雨。それでもリニューアルされた西洋美術館の庭などで、ちょっと角度によっては太って見える「考える人」について考えながら、予約の時間に国立科学博物館へ。

予約制とはいえ、混んでいます。展覧会名「宝石 地球がうみだすキセキ展」のキセキがカタカナなのは、貴石と奇跡を兼ねているのでしょうか、宝石の原石がどのようにしてできるのか、まず第1章は原石の誕生から入ります。

宝石展が科学博物館で開催されるだけあって、普段の美術展とは異なり科学的視点からの解説というのが、普段美術系展覧会にしか行かない我々にとっては新鮮です。巨大なアメシストドームは圧巻です。

この原石が宝石になるにはどんな工程が必要なのか、採掘から加工技術までを紹介しているのが第2章、紀元前2000年からの加工技術が解説されています。宝石はカットをしてこそ命が芽生えると言われていますが、そのカットの種類も紹介されています。

第3章では、宝石の価値の基準とされる。輝き、煌めき、彩り、強さについて、それぞれの宝石の特性と多様性が紹介されています。SNSでも話題になっていました「まるで長ネギ?」のトルマリンもありました!

圧巻な巨大宝石たち、ここまで大きいと宝石というよりは氷の彫刻か何かのようです。

ブラックライトを当てると輝き出す宝石も、手品のよう。

そして宝石がジュエリーとして製品化されるのに不可欠なセッティングの技術について、ヴァン・クリーフ&アーペルやギメルの所蔵品をたっぷり眺めながら、貴金属との相性なども感じることのできるコーナーが第4章です。

ここまでは写真撮影可能なゾーンでしたが、ここから先の第5章は写真撮影禁止ゾーン、それもそのはず、古代から現代までの貴重なコレクションがまとめて展示されています。このホールの警備はさぞかし・・・と余計なことを考えてしまうほど、もう巨大な金庫の中に入ったかのような珠玉の名品の輝きをたっぷり浴びることができました。

入館者数もそれなりに多かったので人混みの疲れもありましたが、何よりも宝石の魅力に圧倒され続け、身を粉にして働いても一生手に入れられそうもない宝石の数々に生気を吸い取られたのか、みなさん終了後は「おつかれさまでした」と本当にヘトヘトになり、楽しいサロンが終了しました。