投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

フランステーブルウェアの教科書・第2回読書会

まだまだ春には遠そうな2月中旬、第2回読書会が開催されました。
今日の章は、LES ASSIETTES(お皿)。本書の訳では「陶磁器の皿」と訳しています。
本章を主に訳していただいた中山久美子先生のファシリテーターで、読書会が進められました。
 
舌を噛みそうなカタカナがたくさん出てきますが、いったいそれらが何なのか、まだ日本ではそれほど知られていない形状だったりモチーフだったり、地名ですら馴染みがないものも多いです。調べてみようにも、カタカナではなかなか出てこない…従って、検索するための原語リストからスタートです。
 
ルーアンの「ランブルカン文様」って? ムスティエの「ベラン様式」って? 「サマデのバラ」って何? 
ただただ本を読んでいても作例が出ていないものについて、画像とともに、みなさんで紐解きます。
 
お皿は最もコレクションしやすいアイテムだからでしょうか、今回参加者のみなさんもそれぞれ集めているものがあるようで、色々なフランスのお皿をお持ちいただきました。それらを見て触って撫でて叩いて(!)、モノを理解していきます。


 

18世紀以前のファイアンスにあるペルネット痕なども、実物を見てみないとなかなかわからないものですね。
 
 

第3回アンティーク検定講習・2級=後半の部=

2月の3連休、雪予報で脅されていましたが、幸い東京はそれほどの大ごとにはなりませんでした。この連休の土日は、アンティーク検定講習・2級の後半の部が行われました。
 
通算3日目となる土曜日は、「英語」の授業でスタート。日本で普段暮らしている大人にとって、英語で物事を考えたり表現したりすることは滅多にないものですが、アンティーク検定試験2級以上には外国語(英語またはフランス語)の科目があります。対象が西洋アンティークですから、論文とまではいかなくても、対象となる工芸品をどう表現するか、色、サイズ、時代、状態、それらを英語で表現する方法を学びます。
 

絵画のサイズは縦と横のどちらから言うのか、ある立体のもののサイズを表す場合、高さ、長さ、奥行きはどういう順番で言うのか、知っていますか?
 

2限目は、写真、写真製版、版画、フォトコラージュなど紙モノの世界について学びます。アンティークではよくリトグラフなどのポスター、ポショワールの絵などもありますが、それぞれどんな技法で作られているのか、木版画と銅版画は主にどんな時代に誰によって製作されていたのか…学ぶことは尽きません。

実際にアンティークの写真を見て、写真なのか写真製版なのか、区別の仕方を教わり、目が疲れたところで、ランチへ。雪が舞うことはなかったですが、キリッとした寒さの中、少し歩いてリヴィエラ・カフェへ。
 

午後の講座は、2級受験者泣かせの科目「現代時事アンティーク」について、美術館に勤める現役の主任学芸員の講師より、アートフェアや美術館に関する現代事情を学びます。なぜアートフェアにはビエンナーレとかトリエンナーレといったイタリア語が使われるのか、現代のアート市場における日本の立ち位置は?日本の建築家は海外でどう評価されている?そんなお話をたっぷり学びました。

 

最終日は、午前中にアール・ヌーヴォーに関する講座を受けた後、午後はいよいよフィナーレ、アール・デコの館と言われる東京都庭園美術館へ。案内は本検定試験監修者の岡部昌幸先生です。普通ならすぐ建物の中に入るのですが、この庭園美術館の歴史や裏話、誰も知らない誰も書かない逸話など、美術館運営に関わった人しか語れない生の証言を聞くのも楽しいものです。

現在展示中のフォトコラージュはちょうど前日の授業でも話題に出ましたので、展示もじっくり鑑賞し、そしてCAFE TEIENにてディプロマ授与、全員が全単位を取得、晴れてアンティーク鑑定2級の認定を受けることができました。


 
受講生のみなさま、寒い中、全4日間に渡る集中講習、本当にお疲れ様でした。次は1級の検定試験を目指して、アンテナを張り続けてくださいね!
 
 

第3回アンティーク検定講習・2級

1月最終週末は、アンティーク検定講習2級の前半の部が開講されました。
 
2級の講習を受講するには、3級を試験で合格しているか講習で修了している必要があります。すなわち2級の講習を受講する参加者は、全員すでにアンティーク鑑定の基礎知識を有しており、入門者はいません。中にはすでに2級を修了し、1級も一部合格している方からも「復習を兼ねて」「もう一通り学びたい」とご参加いただいています。
 
前半の2日間、初日午前は装飾・文様に関する講座(「カルトゥーシュ」とは?「グロテスク」とは?「ヴォリュートとは?」etc…)、そしてランチをはさんで午後は西洋美術史の通史と装飾美術史、終日濃厚な講義で行われました。
 
  
 

2日目は、鑑定アトリエ。実際に陶磁器・ガラス・銀器を触って、ルーペなどで細部を確認しながら、それらがどういうものなのか、descriptionと呼ばれる記述を行います。オークションカタログに鑑定士が記載する内容を記述する練習です。

 
 
  

最後にバロックからディオールまでの服飾・宝飾史をざっと通した小1時間の講座でもって、前半は修了しました。全員全講習を参加、おやつも完食して(!)、2週間後の後半の部に続きます。
 
 
 

タータンとチェックは違いますゾ!

1月のAEAOサロン倶楽部は、「多彩なる魅惑の装飾・タータンの世界」と題し、タータンについてみなさんで学びました。今日の集まりのドレスコードは、何かしらタータン(と思しきもの)を身につけてくる&持ってくること。みなさんさりげなくタータンのマフラーやショール、ハンカチなどをチラチラさせています。
 
第一部はカフェの個室にて。タータンのレクチャーをしていただくのは、タータン最大手、スコットランド・ロキャロン社・日本代表の綱島実先生。スコットランド国際開発庁や日本スコットランド協会とも長年にわたって親交のある、タータンのスペシャリストです。
 

プレ・レクチャーでは多くの生地見本を実際に見せていただきながら、タータンの歴史、イギリスの歴史と共に、タータンとはなんぞや、というアウトラインを教えていただきました。
 
そして綱島先生から参加者全員へプレゼント、日本とスコットランドのフラッグをあしらったピンズです!このサロンの参加者のために、わざわざスコットランド国際開発庁から都合していただいたのです。
 
お茶とチーズケーキ付きのプレ・レクチャーの後、第二部は、駅をはさんで反対側にある三鷹市美術ギャラリーへ。迎えてくださるのは、主任学芸員の富田智子さん、本展覧会に並並ならぬ情熱をもって準備に臨み、自らスコットランドまで乗り込んでいったという方です。私たちのために、本展覧会の解説を入場前にしてくださいました。
 
会場内は、あっちもタータン、こっちもタータン、でもタータンの意味や、由来、背景を知った後では、真剣に見入ってしまいます。さきほどのプレ・レクチャーで聞いた「ディストリクト・タータン」「ジャコバイト・タータン」といった言葉の解説もおさらいしながら、展示品をゆっくりと鑑賞することができました。
 
格式高いタータン柄からカジュアルなグッズまで、展示品も多岐にわたっていて、とても楽しい展覧会です。
 
最後に、学芸員の富田さん、綱島先生とみなさんでの記念撮影!


 
 

フランステーブルウェアの教科書・第1回読書会

3連休の最終日は、AEAOサロン倶楽部での読書会第1回でした。
「フランステーブルウェアの教科書」(2018年12月 パイインターナショナル社より発売)を章ごとに読み解いていきながら、あれやこれや集まって話をする会の第一弾です。

読書会、初回はご祝儀会なのか、1ヶ月も前から申し込み予約が相次ぎ、満席でキャンセル待ちの方が多く出てしまいました。会場の定員人数が限られていてどうしても増やせないことから、キャンセル待ちの参加希望者の方、この度は申し訳ございませんでした。


 

定員ぎっしりで集まった会、まずは「フランステーブルウェアの〜」ということで、フランスの歴史の復習を。ルイ14世以降はなんとなくわかるのですが、「ではルイ14世の前は?」「ルイ13世」「ルイ13世の前は?」「ルイ12世」「ブーッ!!」ということで、ブルボン朝は誰からスタートしたのか、その前の王朝はなんだったっけ?と、ルネサンス以降のフランスの王様の顔ぶれから入ります。

そして初回の章、「テーブルの装い方」。いわゆるテーブルコーディネート、テーブルデコレーションと言われるものですが、いつからどのような形で発展してきたのか、昔からフランス料理は今のように一品一品気取って食べていたのか、テーブルの上に置かれているオーナメントはどんな意味があったのか、食器はかつてどんなものを使っていたのか、テーブルクロスとかナプキンはどうなっていたのか、カトラリーの並べ方は?グラスは?そんな謎解きをしつつ、カタカナの、聞き慣れない言葉、「アナップ」、「トランショワール」、「エキュエル」、「ネフ」、「ドルマン」・・・などについて想像していきます。

あまりに時代が遡りすぎると想像力も映画の世界になってしまいますが、19世紀、20世紀くらいになると、「ああ、あれか」と想像がつきやすくなる、テーブルウェアの世界。来月より、陶磁器、銀器、ガラス、といよいよアイテム別に突っ込んでいきたいと思います。