月別アーカイブ: 2025年1月

草間さんから元気をもらった日

2025年最初のAEAOサロン倶楽部は、「草間さんから元気をもらおう!」と題して2017年に新宿区弁天町にオープンした草間彌生美術館を訪れる会でした。

まずはいつものように美味しいものを頂くことで元気になるお食事処に集合、今回は当協会としては珍しいのですが、神楽坂のメインストリートである早稲田通り(この辺りは神楽坂通りとも呼ばれているようです)から1本中に入った隠れ家的レトロモダンな日本邸宅の『和らく』さんにて。

公式ページには《牛込神楽坂の路地裏に佇む昭和の会員制クラブを改装した一軒家にて、フレンチ出身のシェフと和食の料理人が手仕込む旬の和洋コラボ料理と日本酒を気軽に楽しめる和食店》とあります。私たちの会にピッタリなイメージを感じて予約をしたのですが、今回も嬉しい「大当たり」でした。店内はすべて畳で靴を脱ぐのですが、階段も廊下も畳、やさしい雰囲気です。「おばあちゃんの家に来たみたいで懐かしいわね」としんみり昭和を愉しむ私たち。

お料理は贅沢にも個室にて、白木箱に盛り込んだ旬の彩味を楽しむお弁当を頂きました。どのお料理も目にも舌にも美味しく、普段はなかなか一人前を食べきれない年齢となってしまった方も全員が完食、デザートのプリンまでトロトロの美味しさでした。

このお店のある白銀町から美術館のある弁天町まで少し距離を歩くのですが、散策が楽しいお店があちこちに点在している界隈です。まずはヴィンテージの可愛らしい雑貨のお店に入り、そして赤城神社に寄ってお参りをし、人気のパン屋さん、お菓子屋さん、隈研吾建築の元ラカグの建物で現在はAKOMEYA TOKYOが営業をしているスペースなどを冷やかしながら、弁天町へ。

草間彌生美術館は日時指定の完全予約・定員制です。窓口でチケットは購入できず、また入場時間の30分前までしか予約できないシステムのため、当日混み合うこともなくスムーズに入場できます。

今回の展覧会は「私は死を乗り越えて生きてゆきたい」、戦争の影響を受けた1940~50年代の絵画から現代までの多様な作品の展示を通して草間さんの死生観に触れていきます。

この館では1階から順に上がって鑑賞していくのですが、3階までは写真撮影不可のため写真は撮れませんでしたが、入口すぐのインスタレーション『生命』にまずは圧倒されてしまいます。

4階にはビデオプロジェクション、草間さんが「自殺未遂常習犯の歌」を歌っている様子が映されています。十八番のミラールームで、永遠に続くかと思われる空間、誰もが異次元の世界に迷い込んだような気分になりますね。

そして屋上には大きな南瓜が!2024年の制作、新作でした。今日は天井から青空が、ガラス窓からは太陽の光が入り込んでいて心地よい空間。天候によっては閉鎖されるスペースということですので、これもみなさんの日頃の行いがよいのか(!)、今日は雲一つない青空の下に南瓜がどーん、と居座っていて、新宿の街が見下ろせて、何とも言えない空間です。

最後に1階に降りてお手洗いに行ったところ…お手洗いまでミラールームになっていて、なんだか落ち着かない空間でどこまでも草間彌生の世界が散りばめられていたのでした。

鑑賞者の多くは外国人で、みなさんミュージアムショップで草間ドット缶のゴーフルやシガールを沢山買い込んでいました。草間彌生は世界に誇る日本のアーティストですから、よいお土産ですよね、そういえば私たちもロンドンのV&Aでウィリアム・モリスのクッキー缶を沢山買い込んだことを思い出しました。

「死を乗り越えて生きてゆきたい」展で草間さんから元気をもらった1月の最終日でした。今年も色々乗り越えて生きていきましょう!!


フランス大使館にて「プロヴァンスとリヴィエラのアンティークを巡る旅」研修説明会

今日は、今年3月に予定されている公式海外研修「プロヴァンスとリヴィエラのアンティークを巡る旅」の説明会をフランス大使館にて行いました。フランス観光開発機構(Atout France)様と、旅行部分をお願いしている株式会社ユーラシア旅行社様が共催でこの説明会を開催してくださり、30名ほどの方にお越しいただきました。

場所は大使館の中で最も広い会場を使わせていただき、始まるまでの間、会場から直接テラスに出てお庭を眺められる恩恵にもあずかりました。

フランス観光開発機構の在日代表 ジャン=クリストフ・アラン氏よりいただいたご挨拶の言葉の中に、「現在の駐日フランス大使夫人は修復家としてルーヴル美術館の作品などを扱ったこともあるという芸術分野に造形の深い方で、我々の活動とのご縁を感じる」と仰っていただき、よい雰囲気の中でスタート、当協会代表より協会の活動、過去の海外研修の紹介をさせていただき、今回のプロヴァンスとリヴィエラの研修につき訪問予定地のお話などを致しました。

続いて株式会社ユーラシア旅行社の担当者様より、旅行のロジスティックに関するご説明、最後にフランス観光開発機構の金田様よりプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏の歴史や魅力について、様々なエピソードと共にお話頂きました。

ブルゴーニュやボルドーではなく、なんとニースにもワイナリーがあるというお話。Château de Crématというお城があり、シャネルがこのお城に施されたCCというロゴを気に入って、自分の香水のデザインのロゴに使う許可をもらったというワイナリー、エピソードも含め実に魅力的ですね。

ニースで食事をするなら、是非伝統的な料理法を守っているレストランを試してみて下さい、とそのラベルについてのご紹介もいただき、ニースに3泊し、自由時間もたっぷりある滞在中の過ごし方について色々とアドバイスを頂きました。

この度はフランス観光開発機構様、株式会社ユーラシア旅行社様、そして寒い季節にも関わらずわざわざお越しいただいた皆様、有難うござました。


読書会『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編』天使にもランキング!?

1月のアカデメイアは、「聖人たち」の続きからスタート、今日は有名どころの『マグダラのマリア』『聖ルチア』などについて学びます。

なぜわざわざ「マグダラの」って付いているんだろう、「マリア」でいいじゃない、と思う方もいらっしゃるでしょうが、何と言っても「マリア」名は多い上に、伝承の間に同一視された他人のマリアもいてややこしいのです。

グイド・カニャッチ『マグダラのマリアの改宗』

なんとなく淫らで妖艶なイメージのあるマグダラのマリアですが、イエスの受難に立ち会い、また復活したイエスに最初に出会った人として重要な聖人なのですね。

そして『最後の審判』と『ヨハネの黙示録』、もう時代を問わず有名無名を問わず多くの画家たちがみな描いているテーマ、どの作品にもやはり題材にとりかかる意気込みというか覚悟のようなものを感じますね。

ミケランジェロ・ブオナローティ『最後の審判』

最後に『天使』、『悪魔』、そして『神曲』について学びました。

天使とはそもそも何なのか…これは神の使い、なんですね。神のいる天上界と地上をつなぐメッセンジャーのような存在。この天使の世界にはランキングというものがあって、上は会長から下は平社員まで、セラフィムやケルビムは会長とか社長でしょうか、一番なじみのあるエンジェルは天使界では底辺の平社員、なのだそうです。絵によく描かれる、翼がついたり光輪がついたりして可愛いのはみな平社員です。

悪魔は実は元天使だったのが、神に反逆して地獄に堕ちた存在なのです。裏切りの行末には地獄が待っている、というわけです。

ドメニコ・ディ・ミケリーノ『《神曲》の詩人ダンテ』

『神曲』こそ常に枕詞「ダンテの」と共に使われますが、14世紀にダンテが著した長編詩で「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の三部作で成り立っています。地獄と天国はわかるのですが、煉獄ってなんだか文字からして最も怖そうと思いきや、これは地獄と天国の間で、天国には行けなかったが地獄にも墜ちなかった人の行く中間的なところということで、罪を清められると天国に行けるということになっているのだとか、生涯を通して品行方正・人格高潔・潔白無実というわけではない大多数の人はここにまずは入るのでしょう。この絵では煉獄の頂上は地上の楽園で、天国につながっているようですから望みはありますね!

さて、次回はいよいよ最終回です。やっと聖像に辿り着きます!

 


遠足:佐倉のアート&アンティーク

今日は、昨年10月に企画をして延期をしていたAEAOサロン倶楽部「さようならDIC川村、佐倉のアート&アンティーク」を遂に決行いたしました!

募集と同時に満席になった会でしたが、DIC川村記念美術館が休館になるというショッキングなニュースで来館者が爆増し、当初予定をしていた頃は「東京駅からの高速バスに乗れない可能性大」、「館内のレストランは10時に到着して名前を書いて、15時に案内された」等と混乱の様子がSNSでも報じられ、またもう一つの訪問先である佐倉マナーハウスのティールームも英国展の出店と重なっていてアフタヌーンティを人数分提供できない、とマイナス要因が重なり延期をしていました。

その後、DIC川村記念美術館の休館の日程が延長されたこともあって若干緩和してきた様子、また今後の方針も決まり4月1日より休館、所蔵品は1/4程度に縮小、「ダウンサイズ&リロケーション」で東京都内に移転することなどが発表され、いよいよ今行かなくてはもう行けない、となってきたところ、当協会アンティーク・スペシャリストの青山櫻さん(ヴィオレッタ・アンティークス代表)が車を出してくれるということになり、リベンジで催行することに致しました。

朝09:55発の東京駅からの高速バスは、30分前にバス停に着いても噂通りすごい列、幸い今回のご参加者は全員乗車できました。道路状況で予定より15分ほど遅れて美術館へ到着、1時間余りで一通りすべての展示ルームを鑑賞できました。この美術館の目玉でもあるロスコルーム、やはりこの場所でこそこれらの作品が輝いています。20世紀美術の代表格であるシュル・レアリスムの作品の数々、ジャクソン・ポロック、サム・フランシス、フランク・ステラ…珠玉の名作揃いです。

幸いお天気もよく太陽が顔を出しており、美しい庭園も堪能できました。ここからは櫻号で佐倉マナーハウスへ向かう途中のレストランでランチです。

AEAOサロン倶楽部では、みなさんで楽しく美味しいものをいただくというのにもエネルギーを注いでいるのですが、今回見つけた佐倉市内のレストラン「レ・ガーレ」、勘でここはイケそうだ、と決めたのですが、これが大当たりでした!なんと野菜市場に併設されていて、朝採れたての野菜を販売し、その野菜を使ってのイタリア料理。ごぼうのポタージュ、バーニャ・カウダ、パスタ、デザート、ドリンクというコースで頂きました。みなさん満足していただけたようで、よかったです!

そして待望の佐倉マナーハウスへ。高台にあるのですが、石畳を上がっていくと「ここは本当に日本?イギリスの田舎の森に迷い込んだのでは?」と思わせる建物に、広いお庭。それもそのはず、建築資材はすべてイギリスからの輸入材で建てられたのだそうです。アンティーク・ショップの中にサンルームがあり、ここがティールームとなっています。ここでお紅茶、スコーン、エリザベスケーキ、コーヒークリームケーキなどイギリス色たっぷりのお茶とお菓子をいただきながら、ゆっくりと店内のアンティーク雑貨も物色、幸い1月の平日だけあってティールームも空いていて、ゆっくりとお茶を愉しむことができました。今回のご参加者さんは奇しくもイギリスに住んでいた経験がある方々で、懐かしい思い出も蘇ってきたようです。

夕日が眩しくも美しい中を後にし、下界(!)へ降り、櫻号で最寄り駅・勝田台まで。帰りは始発の東葉勝田台駅からゆっくり座って都内へ戻りました。

元々のご参加予定者で今回予定が合わなかった方、申し訳ありません。DIC川村記念美術館は3月末日で休館になってしまいますので、ぜひ休館前に訪れてみて下さいね。青山さん、今回はお世話になりました。有難うございました。