月別アーカイブ: 2025年2月

アカデメイア、今期シリーズ「マンガでわかる西洋絵画の見かた 聖書編」いよいよ最終回!

15回にわたって1冊の本を専門家に解説してもらいながら読み解いていく読書会、ようやく最終回を迎えました。西洋絵画の中でも、見る際に背景がわかっていないとなかなか理解できない宗教画でどうも日本人としては苦手な分野なのですが、おかげさまで画家の描くテーマの内容に少しだけ近づけた気がします。

最終回は、今更ですが「キリスト像」、聖書にイエスの容姿の記述はないのですが、それを歴代の画家たちはどのように描いてきたのかの作例を見せていただきます。ところで数年前に話題になった、レオナルドの作品とされる「サルヴァトール・ムンディ」、これを今後どこかで見られる日は来るのでしょうか。

そして、見ていて一番ほっこりする「聖母子」。実は聖母マリアがテーマとして描かれるようになったのは中世の後期から。授乳の聖母、花園の聖母といったテーマが有名ですね。

その他「聖家族」「聖会話」「三位一体」「ピエタ」など、いくつかの有名なテーマについての作品も見ていきます。「無原罪の御宿り」に関連して、不思議のメダイ(奇跡のメダイ)の図像に関しても、どのような言葉が刻まれているのか、その背景などについてあらためて学びました。

〆は「天国」と「地獄」。ヒエロニスム・ボスの2作品を比べてみると、地獄もワンダーランドとして楽しそうですが、やはり清々しい天国へ行きたいものですね!

受講者さんのお一人より、このようなメッセージをいただきました。

❝長い道のりを、お疲れ様でございました。漠然としていたキリスト教というものが、かなり具体的に理解できるようなってきたような気がします。これからも絵画や本や映画の中に発見して、楽しめることと思います。ありがとうございました。(A.O.様)❞

中山久美子先生、長い長い15回コースの解説、本当にありがとうございました。


「六本木でガレとパリ」AEAOサロン倶楽部2月の会

今日は六本木・東京ミッドタウンにてAEAOサロン倶楽部を開催しました。2月15日からサントリー美術館で開催している「エミール・ガレ 憧憬のパリ」展の鑑賞会です。話題の展覧会は、混まないうちに会期の早めに訪れておくというのが鉄則ですね!

まずはランチを兼ねたプレ・レクチャーです。今回は運よく個室の取れたシャンパンビストロ『orangé』にて12時から2時間、コース料理を頂きながら行いました。パリ万博の意義、ガレとパリの関係、パリの社交界と関わることと引き換えの精神的重圧、それがどのように作品に表れていくのかといったお話と共に、前菜からデザートまでしっかりと腹ごしらえ、結構お腹いっぱいになってしまいましたね。

このビストロは路面店なのですが、地下鉄の駅から直結で東京ミッドタウンに来ようとすると意外とスルーしてしまうロケーションで、「よく来ているのに、このお店は知らなかった!」という方も。

強風ながらも晴れている青空の下、東京ミッドタウンのガレリア館に移動し、3Fのサントリー美術館へ。事前予約をしていたQRコードでスムーズに入場、会場は2フロアに跨っています。本展覧会は、午前の静寂タイム(10 :00-11 :00)以外は写真撮影も可能です。

展示はほぼガレの制作年ごとに進んでいき、ガレの作風と社会情勢の変化や新技術の習得、新しい時代に向けての大胆な発想と心境の変化、と、単に万博での受賞によるものだけではないガレの制作人生が感じ取れるように構成されています。そのため、陶器とガラスの展示も同列になっており、素材は異なれど表現したかった心が見えてくる気がします。

サントリー美術館は、諏訪の北澤美術館と並んでガレの「ひとよ茸」ランプを所蔵していうことで有名ですが(もちろんエピローグの出口の前にありました!)、今回は所蔵品だけでなく、パリ装飾美術館(MAD)からの作品もかなりの数が出品されていました。

みなさんで一緒に回ったわけではないのですが、それぞれのペースでそれぞれお気に入りの配分で作品を鑑賞すると大体同じ時間に出口で落ち合うという結果に。そして「ちょうどよい作品数だった」とこれまた同一の感想になりました。超絶技巧の工芸品の鑑賞というのは、意外とエネルギーを費やすのです。三次元をあらゆる方向から見て、感じて、記憶に残す、という作業をしていると脳細胞も消費するというので、さきほどのフルコースランチの消化にもほどよい脳と身体の運動になったような気がします。

いつもの「ナンシーとガレ」とはちょっと異なった視点での「パリとガレ」の会でした。


アンティーク談話とアランデュカスのレストランにて食事会

今日は3月の海外研修「プロヴァンスとリヴィエラのアンティークを巡る旅」の関連イベントをユーラシア旅行社さんに開催していただきました。

食事会の前に、アンティーク談話。集合はレストランの近くのワイン専門店のお店が経営するセミナー会場、普段はワインセミナーなどに使われているのでしょう、とても素敵な空間です。

今日の談話は、研修旅行で訪れるムスティエ陶器、そしてヴァロリス陶器についての歴史や特徴、テーブルウェアの変遷とベル・エポック期の装飾様式、そしてその時代に創設されたモンテカルロのオテル・ド・パリ、レーニエ3世が若いアランデュカスに「4年以内に3星を取るよう」依頼し、33ヶ月で見事3星を勝ち取ったルイ・キャーンズに関するお話を1時間ちょっとで駆け巡りました。

研修にご参加予定の方々以外にも、アンティークの世界が初めてでイベントに興味を持ったという方、かつて色々な国に住んでいて80カ国は訪れたという旅のベテランの方、食器のコレクションをされていて半世紀近く前にフランスに住んでいたという方等々、はじめましての方も交えて楽しく懇親しながらの座学講座を経て、すぐ近くのアランデュカスのレストラン「ブノワ」へ移動します。

「ブノワ」は、2005年にオープンしたアランデュカスのビストロで、南仏の邸宅を彷彿させてくれます。ちょうど私たちの訪問地ムスティエ=サント=マリーにもデュカスのオーベルジュがあるのですが(今回の日程ではまだ冬季休業中、4月の中旬にオープン)、その雰囲気を東京・青山で味わえるというわけです。

名物「エッフェル塔」の模型は、実際に1889年のパリ万博に向けてのコンペで出されたマケットの1つでオリジナルなのだそう。ところどころに演出されている装飾小物品はすべてフランスから蚤の市などでデュカス自身がセレクションしたアンティークとあって、もうすでに南仏に上陸した気分です。

今回は素敵な半個室を取っていただき、和やかな雰囲気でお料理を堪能することができました。食レポは文章にするとその魅力が返って損なわれそうですので、是非ご自身の舌でお確かめいただきたいと思います。ちなみに過去にブノワで食べたことがある方も含め、みなさん大満足のご様子でした。

ワインとお料理のマリアージュも、さすがのブノワさんのセレクション、しかもワインの入手方法のような舞台裏のお話までサービスでしていただき、今回はスパークリング、白ワイン、赤ワイン、とドリンクもフルコースにて(スパークリングワイン:ブルゴーニュ地方、シャルドネ100% / 白ワイン:アルザス地方、フルーティな味わい、桃や青リンゴのような香り / 赤ワイン:ボルドー地方、メルロー7割・カベルネ3割、果実味しっかり、渋み少なめ)

ショコラのデザートに焼菓子まで美味しくいただき、10階からの景色も十分に堪能できた楽しい会でした。ご参加者の中でプロ級のスケッチをされる方がいて、なんとお食事をしながらこんな素敵な作品を仕上げていただいたのです!

旅の満足度は天候とお料理で決まると言いますが、このようなイベントでも同じ、美味しいお料理で満たされた2月のひとときでした。ご参加いただいたみなさま、今日はどうもありがとうございました。