9月の最終週末は、アンティーク検定講習・2級の前半の部が行われました。講習参加者はみなさん3級を講習または試験で取得していますので、既に基礎的な知識は持っている方々ばかりです。2級でより深い知識と鑑定の術を培うべく、今回の講習を受講されています。
初日は終日座学講習で、まずは顔合わせと自己紹介。なぜアンティークに関心を持っているのか、どこに惹かれてハマったのか、そんな思いを語り合ったところでテーブルウェアの歴史をざっと学びます。
「美しいフランステーブルウェアの教科書」も、「西洋骨董鑑定の教科書」もどちらも写真や画像が豊富で良い本なのですが、情報量が多すぎて事典的なものとなってしまい、どこをどう噛み砕いて読んでいけばよいのか、独学ではなかなか難しいかもしれません。
そこで実際にモノを見て、これは何のための道具?何用のカトラリー?といった知識も身につけると同時に、実際にモノを鑑定するという実技に入ります。
普段は、例えばアンティークショップにある品物、またはオークションに出品されている品物の解説を読む=受動な立場なのですが、この2級では自らそれらを鑑定する=能動、の作業を行います。
言われればそうだけど、自分で言語化する、というのは慣れていないとなかなかできないもの、最初は「え~っと…」と戸惑うのですが、何を言えばよいのか、リストに沿って言語化していくうちに出来るようになります。
みなさんそれぞれ配られた鑑定品のdescriptionを仕上げていきます。サインが摩耗していて読めない、これは手彩?プリント?この刻印はいったい何?と、アンティーク品ですから状態も様々。様式は?装飾文様は?とさまざまな角度で紐解いていきます。ちなみにこの鑑定品はそのままお持ち帰りいただけるのですよ。
どっと疲れたところでお昼は近くのお店でランチ。講習会場近辺のレストランは色々利用しましたがコロナ以降なくなってしまったり経営が変わってしまったりで、そんな中このところ利用していて評判のよいのが「スパイス料理とワインZero」という名の、カレー屋さん。全くカレーの雰囲気がない店名と店内なのですが、お昼のカレーが美味しくて、みなさん満足してくださいます。
午後の3限目は銀器の鑑定を、刻印を入念に読み込みながら実践です。休憩時にルイボス・ティと生クリーム大福で目の疲れを取ったところで、4限目は複製芸術について。写真、版画の世界を紐解いていきます。よく蚤の市などで見つかる古い写真やファッションプレートの見かたを、ルーペを使いながらの鑑定ごっこで初日の講習が終わりました。
いつも講習で利用している東京芸術劇場が来年7月中旬まで一時休館とのことで、次回の講習はこの便利な会場が利用できずに残念。
1日目は終日会場にこもっての講習でしたが、翌2日目は午前にオンライン講習が2コマ。1コマ目はアール・ヌーヴォー&アール・デコ。ちょうど午後の見学地にも沿ったテーマですね。そして2コマ目は西洋美術史I。なぜアンティークを勉強するのに西洋美術史をやらなくてはいけないのか、というご意見(ご批判)はよくあるのですが、アンティーク=装飾美術は西洋美術史と深くかかわっているのです。西洋美術史の流れを知らずして装飾工芸品を語ることはできないのです。
オンライン講座が正午で終わり、午後は東京都庭園美術館にて集合、当協会の検定監修者である岡部昌幸先生による解説で館内を見て回ります。とはいえ「館内」に入れたのは実に集合から1時間後、まず庭園にてこの館が建てられた歴史、国の重要文化財に指定されるまでの経緯、野外彫刻の存在から茶室見学、建物の外観での建築としての見かたなど教わり、そしてようやく「建物公開2024 あかり、ともるとき」展を鑑賞。
外は時折小雨が降ったり止んだりのどんよりなお天気な上、展覧会も会期の初めにも関わらずかなりの入館者でにぎわっていました。そのためか館内カフェも混み合っており、予約時で7組待ちでしたが、ちょうど一通り旧館を鑑賞できたタイミングで席に案内され、お茶とケーキでの懇親会を兼ねたひと時も。
最後に新館の方の展示品も鑑賞し、足も脳みそもフル回転でしたがこれにて前半の講習が終了いたしました。後半はまた3週間後ですね。ご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした!