15日未明にホーチミンを発ったベトナム航空VN306便は定刻通り成田空港へ到着しました。今回は4回ベトナム航空を使用しましたが、1回は機内で1時間待機、1回は搭乗が3時間遅れとトラブルに見舞われるも、大した混乱もなく終わりよければすべてよし、です!
32℃のホーチミンから6℃の東京へ。12月ですから当たり前といえば当たり前ですが、週末に寒気が流れ込んだようでダウンコートが必然の気候の中、それぞれのベトナムの思い出と共に三々五々帰宅の途に着きました。
ロストバゲージもなく、全員元気で帰国できたのも添乗員Yさんのきめ細かい差配のおかげ、本来の仕事ではないはずなのにみんなのバゲージをピックアップしてくれたり、一人一人の健康や行動に常に気を配りながらの1週間は神経をすり減らしていたかと思いますがそんな素振りを見せずにいつも穏やかに接して下さるおかげで、みな安心してお頼りしていました。Yさん、本当にお世話になりました。


今回の研修旅行で、思ったこと。ベトナムの潜在的な国力について、そう遠くない将来、経済では確実に日本を抜くのではないでしょうか。人口増加の中にあり、平均年齢が31~32歳、エネルギッシュで上昇気流に乗っているのを肌で感じました。
とある両替屋さんにて。JPYはかろうじて下部にありますが、そのうちハードカレンシーの座を下ろされてしまうのでは!?
政治的にも社会主義国とは言っても一党独裁ではなく単なる一党、そして政府よりも民意が強い国だと勝さんに教えていただきましたが、ホアンさん、空ちゃん、キキさんからも同じようなことを伺いました。日本人は常に他人の目を気にして行動せざるを得ないという点で社会主義国的であり、ベトナム人は民意を表する「共和国」、また政府の力とは別にいわゆる公務員である警察や役人が「お目こぼし」をする実情も伺うと、これまで知らずにただただ怖がっていた社会主義国という概念も違うものに見えてきました。
日本が衰退していると認めたくはないですが、何かというと「出来ない言い訳」をして消極的な日本に対して、ベトナムでの「出来る!」と言い切ってしまうポジティブさと共に生きているのは気持ちがいいもの。お店も施設も閉館時間で「決まりですから」と閉めてしまうのに対して、お客さんが「開けて~」と言ったら開いてしまうとか、在庫のない商品を「じゃあいますぐ持ってくるから」と言って本当に家に帰って在庫商品を持って来てくれるとか、少しサイズが合わないなぁとためらっていると「今すぐ直すよ」と本当に直してくれるとか、きっとすべてがうまくはいかないかもしれないけれど「大丈夫、出来る!」というスタンスでみな生きているように思えました。
今回の旅行中、予め手配されていたハノイのガイドさんの態度に問題があり、2日目についにチェンジを言い渡したのですが(というよりガイド自らがボイコット)、なんとその3時間後には別のガイドさんが手配され、また以降の行程では急遽予定していた English Speaking Guide から Japanese Speaking Guide へ変更の希望を出し、その通りに手配されたことも驚きでした。これまでよく行っていたフランスでこんなことを言っても100%動きません。労働契約書だとか、何日前のコンファームだとか支払いとか、プロトコルや契約でガチガチに制限されてしまいます。ベトナムってこんなにスピーディに事が運ぶのに、なぜ交通インフラはまだこのままなのか…
今回のコロニアル建築の旅、「コロニアル」という言葉は植民ですから、かつての宗主国フランスに対して憎悪の念はないのだろうかとこれもキキさんやホアンさんに聞いたところ、フランスがもたらせたエレガンスをむしろベルエポック的に思っているということもわかりました。私たち日本人もアメリカに原爆を落とされた10年後にはジーンズに憧れアメリカン・カルチャーを享受していたのですから、もはや100年以上前のフランス統治も、少なくとも今の若い人たちはそのコロニアル建造物はインスタ映えする背景程度に思っているようです。


たった数日の滞在、それも5星ホテルに泊まり、ミシュラン掲載店で食事をしている観光客の目で本質を語ることはもちろんできません。ただ高級店だけでなくあらゆるサービスで感じたのは、同じアジア人同士の安らぎ、というのでしょうか、ヨーロッパでよく受ける「アジア人は空気」的な差別は一切どこでも受けませんでした。言葉が通じないことに対しても(本来はこちらがベトナム語を話すべきなのに)、一生懸命コミュニケーションを取ろうとしてくれるベトナムの人たち、そこには観光客にたかろうとか誤魔化してやろうという意図も感じず(もちろんそういう人たちはどこの国にでもいるのは重々承知)、現金を出してお釣りを数えてもちゃんと合っています。
ただ今回はハノイ、ダノン、ホイアン、ホーチミンといわゆる都会や観光地しか訪れていません。農村部などはまた違った景色と人々がいて、その中には大変な問題も抱えているのでしょう。ホアンさんも空ちゃんも言っていましたが、大卒の若者に仕事がなく、親のすねをかじって、中には一日中何もせず宝くじだけ買って無為徒食な毎日を送っている若者も少なくないのだとか。1億人を抱える国は日本もベトナムも、それなりに色々ありますね。
最後に食事について。これまでも美食の旅などヨーロッパで色々行ってきましたが、一度くらいはバターやオリーブ油に胃がダウンしてしまうことも少なくない中、今回は誰一人一度たりとも「日本食が食べたい」などと言う人はおらず、最終日以外はずっと食事付のツアーで食事をパスした人は皆無でした。みな「もう食べられない」と言いつつどの料理も美味しくて完食、恐らくベトナム料理のやさしい味付けや豊富な野菜が健康食で日本人に合っているようです。



そしてユーラシア旅行社さんでセレクトしていただいたお店がどこも美味しいのも嬉しい想定外でした。通常どの国でも団体を受け入れるレストランではお仕着せの定番コース料理で、その味や質は絶品ということはあまりなく、まあ食べられる、といった程度なのですが、今回は個人旅行でも是非再訪したいとみなさんショップカードをもらっていました。
今回は「西洋アンティーク」を勉強している私たちにして初のアジア研修旅行でしたが、「アジアでもいい」から「もうアジアがいい」と言わしめたベトナム研修、ご参加いただいたみなさま、ユーラシア旅行社のスタッフのみなさま、添乗員Yさん、そしてハノイの勝さん、西野先生、ダナン地区の空ちゃん、ホーチミンのホアンさん、キキさん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。






































































































































