海外研修」カテゴリーアーカイブ

2019年春の海外研修・2日目

研修2日目、今日から2泊3日のアルザス&ロレーヌへの旅がスタートしました。
 
パリからTGVでストラスブールヘ行き、乗り換えてローカル電車でウィンゲン=シュール=モデールへ。滞在するシャトーホテルから迎えの車でシャトー・オッホベルグに半日かけて辿り着きました。


 

 

 
1室1室違うシックなシャトーホテルは2015年にオープンしたばかりで、ラリックの匂いぷんぷんの内装に、ガストロノミックなレストランが売りの4星シャトー。ここでランチを頂きながらホテルの方に伺ったところ、シャトーは長い間子供達のコロニーバカンスに使われるくらいで放置されていたのを、ラリック美術館の開館(2011年)以降、活性化しようとシャトーホテルに様変わりしたようです。そしてさらに近くにVilla Laliqueというスイートルームが数室あるだけの超高級5星ホテルがあり、ここは近くにあった3星レストランのシェフが、レストランを閉めてあらたにガストロノミーの食事を提供するスイートルーム専用ヴィラとしてオープンしたということでした。
 
コーディネーターの車で見学に行こうとしたら、門が閉まっており「火水休業」。値段表を見ると、1泊1000ユーロなんて部屋まで!
 
軽くランチを取った後は、目の前のラリック美術館を見学、オープンしたばかりのこの場所は、ラリックがガラス工房をパリ郊外から移したまさにその場所なのです。テーマ別に展示されている数々の作品、ラリックのジュエリー時代からラリック死後のラリック・フランス社に至るまでの100年の歴史が一堂に会しています。


 
ガラス製造の過程がモールドと共に展示され、またその製造工程のビデオも興味深く、最後のブティックにたどり着いたのが閉館10分前、そろそろレジを閉めるそぶりを見せられたのを無視して、リングを購入してしまうアンヌ。
 
夜はまたシャトーホテルでフルコースをたっぷり食べて飲んで、夜が更けていきます。
 
 

2019年春の海外研修・1日目

2019年春の海外研修がスタートしました!
 
今回のテーマは「フランスの華麗なるクリタルの世界」
参加者のみなさんは、アンティークスペシャリストから海外研修のリピーターまで、みなさんそれなりに装飾美術の世界を日頃研究されていらっしゃる方ばかりで、参加の熱意がプンプン漂ってきます。
 

  

 
午前は17世紀から20世紀までのガラスの歴史についての講義、完璧な通訳をされる小栁由紀子先生のおけがで、ヴェネチアのガラス、ボヘミアのガラス、そしてイギリスのクリスタルガラスの発明を経てフランスのガラスが隆盛を誇る19世紀、とガラスの理解が深まりました。
 
集中講義の後はメゾン・バカラへ移動し、お昼はレストラン『クリスタル・ルーム』内のプライベートルームにてランチ・レクチャー。すでに午前の講義で出てきた『アルクール』シリーズのグラスがセッティングされています。プライベートルームに飾られている石膏の型は、まさにバカラの歴代のグラスをはじめとするガラスウェアのフォルムでした。
 

 
たっぷり食事をいただいた後は、そのままバカラ美術館を見学。バカラの歴代の有名人注文主(ジョゼフィン・ベーカー、ダリ、コクトーetc)のそれぞれのグラスウェアから始まり、万博出品作品から現代アーティストとのコラボレーション、ジュエリーにいたるまでそれほど広くはない空間ですが雰囲気と共にゆったり見学をします。
 

 
バカラ美術館もブティックも、来るたびに展示品が入れ替わっており、毎回新しい発見がありますね。
 

ミュシャ展、フラゴナール美術館、そしてドーム・デュ・マレ

 5日目、いよいよ研修も最終日になりました。
 今日はリュクサンブール美術館のミュシャ展見学からスタートです。
 ベル・エポックを代表するポスター画家、ミュシャの展覧会は本研修のテーマにぴったりなのですが、フランス人にも大人気なため、連日長蛇の列、予約をしてある我々のグループが入館したときには、もう人息ムンムンの状態でした。
 
 


 
 その後、ちょうど近くのサン・シュルピス広場で開催されているアンティークマーケットを散策、お昼ご飯返上で、マーケットに繰り出す研修生。このマーケットは場所柄(サン・シュルピス広場は、カトリーヌ・ドヌーヴも住んでいる高級エリアなのです)やはり質の良いもの、すなわちお値段もそれなりの一級品揃いですが、研修生たちもそれなりに場数を踏んできており、交渉もお手の物。みなさん良いものを買われたり、あるいは目の保養をたっぷり楽しんだりしていました。
 

 午後はフラゴナール香水美術館にて香水や香水瓶の歴史を解説していただきました。フランスに来ると香水の匂いがあちこちでする、のは本当で、それはなぜなのか、どんな香水がどんな時代に発達したのか、香水の三要素とは?香水はどこにどうつけるのが正解?といったことを、ベテランのガイドさんにお話いただきました。
 
 


 
 夜のカクテルディナーは、ドーム・デュ・マレへ。ちょっと分かりにくい場所ゆえ迷った方もいらっしゃいましたが、「隠れ家」度のかなり高い場所です。そもそも開いている時間より開いていない時間の方が多いという、知る人ぞ知る、なレストラン。ここは元オークション会場だった場所で、18世紀末の建物、クーポールが美しい素敵な空間です。その昔、今の厨房の場所にオークショニアが控えていて…なんて解説を聞きながら、美味しいお料理をいただきました。お料理は現代風で洗練されていて、とても優雅な最後のひと時を、研修生のみなさんと一緒に。
 
 
 

 全員がディプロマを取得、楽しい5日間の研修が終了しました。
 
 

サザビーズにてプレヴュー、マルモッタン美術館、ギマール散策

 4日目。今日はパリのサザビーズにて、昨年亡くなったピエール・ベルジェ・コレクションのプレヴューに。イヴ・サン・ローランのコレクションの大々的なオークションは2009年にグラン・パレにて開催されましたが、今回ベルジェのコレクションもプレヴューは5日間、オークションは3日間に渡って開催、注目を集めているのは間違いなし。
 

 プレヴューは誰でも入れるとはいえ、美術館ではないので予約をすることは不可能、入場に長蛇の列も予想されたので、初日の朝10時、オープンと同時に入ることにしました。この時間の研修は一応「自由時間」、希望者のみ参加ということにしていましたが、向学心あふれる全員が参加。私たちが集まっていると、すでに扉の一番前にいたマダムから「私は朝3時に起きて、南仏から来たのよ」と!
 
 


 

 今回ベルジェのコレクションの見ものはジェリコのコレクション、そしてヴァニタス。プレヴュー会場は、そこんじょらの(お金のない)美術館の展示とは比べ物にならないセノグラフィーの素晴らしさに圧倒です!
 
 


 

 午後はマルモッタン美術館にて、アンピール様式の家具や室内装飾、そして印象派の作品がなぜこの美術館に集まったのか、などを学び、近くのギマール建築散策へ。
 
 
 

 今回もカステル・ベランジェの扉の前で説明を展開していたら、住民の一人と思われるマダムが「わざと」扉を開けて、閉めるのを忘れたフリをしてくれました。「入ってよろしいのですか?」「出るときに閉めてね(ウィンク)」!運が良いです!
 
 


 
 明日はいよいよ最終日です。
 
 

もう1つのアール・ヌーヴォー、ブリュッセルへ

 今回のテーマの1つ、アール・ヌーヴォーはフランスではパリとナンシーで花開きましたが、フランス国外でも同様の運動は各国で同時多発的に発生しており、とりわけ建築分野ではブリュッセルで顕著に現れていました。
 

 というわけで、Maison Hortaオルタ邸を外すわけにはいかず、建築といえばMaison Van Buurenヴァン・ビューレン邸も見たい、でもサブロン界隈のアンティークギャラリーも周りたいしジュ・ド・バルの蚤の市も…と欲張ると、とても1日では足りないのですが、研修生のみなさんは小便小僧もグランプラスも王宮も、そんな一般の観光地には興味がなく、この研修にふさわしいところにたとえ駆け足でも行きたい、という要望が強く、欲張ってすべて希望通り制覇しました。
 

 ブリュッセル在住のガイド協会に所属している日本人ガイドさんが手際よくアレンジしてくださったおかげで、美味しいムール&フリットのレストランも堪能し、楽しい1日でした。
 
 
 


 


 
 今回はタリス1等車、もれなく食事が付いてくるのですが、これがなかなか美味しいし、サービスも手際よく笑顔付き、乗車前には特別のラウンジも使えて、とても「パリ北駅発」「ブリュッセル南駅発」(どちらも治安に問題のある地区!!)とは思えない快適なエクスカーションでした!
 
 4日目に続きます。