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第10回アンティーク検定講習・2級

10月の土日計4日間で、第10回アンティーク検定2級の講習が開催されました。昨年2021年を最後に、現在2級は講習でのみ取得可能となっています(3級は試験・講習共に取得可能、1級は試験のみにて取得)。今回の参加者は、9月に3級の講習を修了した方、そして7月に検定試験で3級を見事合格された方で、みなさん3級での学びがまだ直近で残っているのでしょう、基礎が出来上がっている方ばかりです。

4日間で2級を試験での合格レベルと同等へ詰め込んでいくのですから、インプット量は半端ではありません。とはいえ本講習は受験予備校ではないので猛烈なガリ勉をして暗記するのが目的では決してなく、これからずっと装飾美術に興味を持って学び続けていくための、いわば「方法」を学ぶというのが目的です。口座あり、鑑定アトリエあり、見学あり、そしてランチ会、見学時のお茶会なども入り、楽しみながらの構成を心がけています。

第1日目・午前は、「鑑定」とは何か、定義は?真贋は?何をどう表現する?といった鑑定の基礎方法論を学び、実際に鑑定物を手にしてそれぞれが鑑定の実践を行います。鑑定品はそのままお土産でお持ち帰りできるという特典つき!ランチを一緒にし、午後は西洋美術史500年を一気にインプット。もちろんすべての作品や作家に触れることは不可能ですが、西洋美術史が古典を基軸としながら、時代と共にどのように変化していくのか、全体を俯瞰しながら学びました。

第2日目・午前はアートマーケット、そしてアートフェアや展覧会、最新のアート情報など現代時事に触れ、午後は旧岩崎邸の見学に行きました。内部は写真不可でしたが、この和館内にある茶房でお抹茶と生菓子をいただき、まったり。

第3日目・午前は、米国宝石学会G.I.A.G.G.の資格をもつ講師より、ジュエリー2000年の歴史、宝石の鑑別に関する授業を、ランチを挟んで午後はモードの歴史、そして複製芸術の見方という授業を行いました。

宝石鑑別は一般の人がそう滅多に行えるものではありませんが、プロはどういう道具を使ってどのような着眼点で見ていくのか、というノウハウに触れ、複製芸術では講師の所蔵品であるポショワール、グラヴュールに彩色、カラーリトグラフなどを手に取って、どれがどの技法で刷られているのか、実際にルーペで見ながら鑑定をしていきます。理論で理解してもモノを手に取っていざ鑑定!となると、その理論をどう当てはめるのか、戸惑いつつの体験です。

第4日目・午前は20世紀の二大様式アール・ヌーヴォー&アール・デコの概論とテーブルウェアの歴史を駆け足で学び、午後はアール・デコ様式の建物見学ということで、東京都庭園美術館に。本検定の監修者でもあり、かつて当美術館運営にも関わっていた岡部先生によるディープな見学は、この美術館に設置されていながら誰も語らない作品にまで触れていただき、充実度・疲労度ともに最高潮に。今回は茶室も見られました。

新館カフェにて、カフェ&ケーキでディプロマ授与となり、受講者全員が2級の修了証を手にしました。

ご受講者のみなさま、4日間大変お疲れ様でした。来年は1級の試験を目指して、どうぞ頑張ってくださいね!

第10回アンティーク検定講習・3級が終了

前週に続き、またもや台風でヤキモキした三連休でしたが、週末に第10回アンティーク検定講習・3級が開催されました。今回より受講形態もコロナ前に戻し、講師と受講者みなさんで顔を合わせての会場講習を基本としています。

3級はご存知の通り検定試験も実施されており、試験を受けて合格すれば認定証を得ることもできます。しかしながら講習を受ける多くの方が「一人で本を読んで勉強してもつまらない」「納得して学んで、きちんと理解したい」という理由でしょうか、お忙しい中、貴重な週末を割いてご参加される方の需要が高まっています。そして終了後「やっぱり(試験ではなく)講習にしてよかった」とみなさん仰るのですが、それはやはり資格の取得が中身を伴った、という実感から来るものだからでしょう。

3級の講習、たった2日間ではありますが、単なる講義オンリーではなく、講習・アトリエ(鑑定)・見学を通して「アンティークとは何か」「装飾美術って?」「様式って?」という西洋アンティークの基礎を学んでいきます。

初日は顔合わせのウェルカム・コーヒーに続き、「アンティークとは何でしょう?」と定義をみなさんで考えることからスタート。100年の関税法、古物を表す異なる言い方、西洋とは、ファイン・アーツとの違い、概念を整理します。

そして「陶磁器」入門。普段何気なく使っている「陶磁器」という言葉、陶器と磁器は何が違うのか、陶磁器のルーツはどこから来たのか、よく聞く「ボーン・チャイナ」って何?と陶磁器のいろはを学びます。

みなさんでのランチを挟んで、次は銀器入門。なぜ銀器にだけは昔から刻印が入っているのか、「純銀」ってどういう定義なのか、実際に売っている銀器をどうやって見分けたらよいのか、各種ルーペの使い方と共に実際にルーペと銀食器を手にしながら自分の目で確かめていきます。

目をかなり酷使しますので、刻印の判読に成功した方からGODIVAのガトーでお茶タイム。

陶磁器、銀器と経た後、初日の仕上げはガラス。ヨーロッパにおけるガラスの名産地は?それぞれのガラスの特徴は?クリスタルとガラスの違いは?ガラスの製法、加飾法について学びます。

最後に7月に行われたアンティーク検定試験・3級の問題で陶磁器・銀器・ガラスの箇所を一緒に解きながらのまとめを行いますが、さすがに学んだ直後とあって、みなさんすでに知識が身についています!

2日目、午前はZoomによる「様式」についてのお勉強。建築や家具という大きなものから様式は広まり、やがて小さなものにまで波及していくので、有名な建造物を見ながら様式を理解し、椅子やコンソールなどの家具でその様式がどのように表れているかを見ていきます。

そして午後は見学。今日は鳩山会館を訪れました。バラの剪定を終えたばかりで満開の時期には早いのですが、雨上がりの秋晴れとあって、多くの方が訪れていました。私たちも日本の洋館の歴史、様式建築とは?和洋館並列型にした社会的背景、鳩山会館の「アダム様式」とは何か・・・建築と家具を実際に触れ、ほどよい運動とお喋りのまま、場所を移しお茶とスイーツタイムを兼ねたディプロマ授与。ここでも多くの質問が飛び交い、やり残した試験問題も一緒に行い、若干時間をオーバーしつつもみなさんで楽しい2日間の講習を終えました。

引き続き10月の2級を受講される方、2級は来年早々に受講される方など、みなさん学びの講習を続けてくださるとのこと、頼もしい限りです。

次回のアンティーク検定講習・3級は2023年1月に予定しています。

第12回アンティーク検定試験・終了

2022年のアンティーク検定試験が終了しました。すでに2020年よりオンライン試験となり、もはやこの流れが定着していくのでしょうか、他の検定試験でもオンライン受験が主流になってきているように思います。

オンライン試験のメリットは何と言っても会場に出向く必要がないこと。当アンティーク検定試験は第1回より東京会場のみで開催されており、かねてより地方在住の受験者より地方会場での実施の要望もありましたが、全国での実施は受験者数を鑑みるとハードルが高いのが現状でした。それがオンライン実施により全国どこにいても受験が可能となりました。さらに時差はあるものの、海外からの受験も可能になっています。

オンライン検定試験のカンニングをどう対策するかは大きな課題です。例えばTOEFLなどは試験監督者によるオンライン監視の下に行われているようで、カメラをオンにして受験する必要があります。当アンティーク検定試験は今のところ「宣誓」をするだけでカメラによる監視は行なっておりませんが、作問の段階で簡単に検索できないような問題となっており、また記述式ではコピーペーストのチェックは行なっています。SNS等の発言によっては、合否通知後でも合格を取り消されることもあります。ゆくゆくはAIによる監視システムなども取り入れていくことになるかもしれません。

オンライン検定試験のデメリットとしては、臨場感の喪失でしょうか。会場に赴き、試験監督員や他の受験者の中で緊張して臨み、問題用紙が配られ、解答し、時間になったら終了。この一連の儀式めいた臨場感がないので、一体自分は本当に試験を受けたのか?解答を送信したけれど、果たしてちゃんと送信されたのか?と色々不安になってしまいますね。また万一パソコンがフリーズしたら?Wifiの接続ができなかったら?とハード面でも不安になりがちです。

世の中の流れとして、どんどん「人が解しない」ことによる不安と向き合う時代となっているのは事実、例えば某LCLの航空会社ではセルフチェックインが標準であり、もし有人カウンターでチェックインをした場合は、追加料金がかかるというしくみになっているとか。預け入れの荷物もすでにセルフ手続きが標準となっていますが、初めて利用したときは、これで果たして本当に目的地に荷物が送られるのか、不安でたまりませんでしたね。

さて、今回の検定試験はオンラインになって3級では4回目、1級でも3回目ということもあり、幸いなことに大きな混乱は見られませんでした。(昨年は2級と1級の受験時間中に大豪雨による停電が一部の地域でありました。)もう受験者もオンラインでの回答に慣れてきている成果でしょうか。受験者のみなさま、お疲れ様でした。

「検定試験を受けるのはちょっと」という方向けには、9月にアンティーク検定講習・3級が実施されます。こちらは検定試験とは異なり、集中講習を受講することで級を取得できるシステムです。全くの入門者でも2日間の講習で取得することができますので、ぜひご受講ください。

第9回アンティーク検定講習・2級 =後半の部=

GWの連休中ではありましたが、アンティーク検定講習・2級の後半の部が開催されました。第3日目の講習、まずは複製芸術について。写真や版画についての講座を現役の修復家より学びます。写真の歴史は有名なニエプス、ダゲール、タルボットなどの話から、そして写真と写真製版の違いや見分け方、版画の種類、プレートマークやウォーターマークの見方…普段紙ものを見ていないと、判断も難しそうです。

やはりものを見ながら学ぶのが一番ですね。

2限目は、英語。英語で装飾美術の言い方、表現の仕方、状態の説明の仕方などを学びます。文献やカタログが読めるようになれば、この世界の知識は大きく広がります。

お昼は近くのワインバーへ。と言ってももちろん午後の授業に備えてアルコールはなしです。脳みそにエネルギーを補給するため、たっぷりのサラダとパスタをいただきました。

午後は、ジュエリーとモードの世界について。それぞれの時代でどのようなファッション、どのような宝飾品を身につけていたのか、描かれている服装からその絵画の時代がわかるようになると、また楽しいですね。

2日目・午前の1限はテーブルウェアの歴史について。中世から現代までのテーブルセッティングの変遷をざっと学びます。2限目はアール・ヌーヴォーとアール・デコについて。午後見学に行く東京都庭園美術館の建物や内装を正しく理解するためにも絶対に外せない様式です。

残念ながら雨模様となってしまいましたが、午後は監修者によるガイディング・ツアー。裏話満載で、プライベート・ガイドならではのお話もたくさん伺えました。

最後のディプロマ授与は、レストラン・デュ・パルクにて。受講者は全過程を出席し、晴れて2級のディプロマを取得されました。4日間の集中講習、お疲れ様でした。

第9回アンティーク検定講習・2級

年に2回行われていますアンティーク検定講習、2級の前半の部が3/26-27に行われました。今回の参加者は第8回で3級を講習で修了した方々で、今回の2級を無事終えれば7月の検定試験1級に挑戦できます。1級まで最短で臨める理想的なコースですね。

第1日目は、まずいきなり「鑑定アトリエ」からスタート。クリスティーズのオークションカタログに記載されているdescriptionと呼ばれる記述、これを1つ1つ紐解いていきます。オークションカタログには出品物をどのように言語化して表現しているのか…現在はIT化が進み、デジタルカタログも3Dになっていたりで、現物を見にプレビューに行けなくても出品物を自宅からネットで確かめることができます。少し前まではカラー写真入りのカタログが制作されていましたが、更に時代を遡ると文章での記述のみ。ところがその時代から現在に至るまで、鑑定士が行う記述の方法は変わっていません。つまり必要な情報を言語化して表現する、それが鑑定なのです。

鑑定というと本物か偽物かの真贋を判断する、または評価額をつける、と思われがちですが、鑑定士の仕事はそれだけではありません。

今回は、目の前に置かれたプレートとカップ&ソーサーの鑑定を行い、発表する過程でなぜそう鑑定したのかの根拠までも含めた、濃い鑑定アトリエとなりました。そして今回のお土産は20世紀中頃のスージー・クーパーのボーン・チャイナのデミタスカップ。講習会はこのように鑑定物をお土産でもらえる特典もついています。

午後は西洋美術史500年分を2時間で、という集中ゲリラのような美術史講義。西洋美術史はみなさんもちろん興味があり勉強された方も多いのですが、あらためて通史を学ぶと繋がっていなかった点と点が繋がる、そんな講義の直後に試験問題をやってみるとちゃんと解けるようになります。

2日目の午前はオンラインにて現代時事アンティーク。現代時事というと現代アートと思われがちですが、決してそうではありません。現代すなわち同時代のアートのホットな話題、そしてアートマーケットの世界を理解すること、この2つが現代時事アンティークです。アートをお金と結びつけることに嫌悪感を抱く方もいらっしゃいますが、アートといえど産業、昔からアーティストはお金を稼ぐためにパトロンである王侯貴族に仕えて居住地を変えたりしていたのですから。

そして午後の見学は、1月から東京都のまん延防止期間中にクローズしていた多くの洋館がようやくオープンしましたので、旧古河邸と庭園見学にまいりました。かのジョサイア・コンドルの設計した館、残念ながらガイドツアーはまだ行われていなかったため2階の和室は見られませんでしたが、自由見学で洋室部分をゆっくりと見ることができました。薔薇の館と言われているだけあって、薔薇の季節でないこの時期は見学者もそれほど多くなく、高低差を活かしたヨーロッパ庭園と日本庭園との見事な調和、そして満開となった桜を鑑賞することができました。

受講者のみなさま、お疲れ様でした。消化不良を起こさないように、ゆっくり復習してくださいね。