AEAOサロン倶楽部」カテゴリーアーカイブ

9月のAEAOサロン倶楽部「大人の銀座のアート遠足 Vol.2」

今日は2023年8月に実施しました「大人の銀座のアート遠足」の第二弾、昨年はさすがに暑かったので今年は暑さの和らぐ9月に設定したのですが、まさかの真夏のまま!来年は10月以降にしましょうね。

スタートは銀座にてプレ・レクチャー&懇親会ランチを1925年創業・洋食の原点とも言うべきレストラン「三笠会館」にて。中二階を意味するメッツアニーノがお店の名前なのですが、その名の通り中二階にあり、並木通りに面した席をリザーブしてくださいました。

前菜3種に、淡路島産玉ねぎの冷製スープ、お好みのパスタまたはリゾットを選び、そしてドルチェも2種類選べます。銀座の老舗ならではのとても上品なトラットリアでした。今回は初めて参加された方もいらして、アート&アンティーク全般に興味があるとのこと、きっと新しい将来の鑑定士さんが誕生しそうです。

ランチの後は、エルメス・フォーラムで内藤礼の「生まれておいで 生きておいで」展を見学、近くの泰明小学校の建築(大正建築の復興)外観なども見て、今話題のプラネタリアTOKYOへ。

事前に会員登録を済ませ、予約開始と同時に押さえたので全員プレミアム・シートで『イタリア星空散歩』を鑑賞、プレミアム・シートは靴を脱いで寝転びながら空を眺められるソファーシートなのです。

ギリシア神話に連なるローマ神話から星々を読み解く擬似イタリア旅行の後は、ポーラ・ミュージアム・アネックスにてRYU ITADANI「Everyday Life « THERE »」展を鑑賞、ポップな色彩と顔料の質感が印象的でした。

お天気が怪しくなりそうでしたが、慌てて1930年建築のYONEIビルのファサードと、1932年建築の銀座奥野ビルを探し当てたところでポツリポツリと雨が!

銀座は歴史的建造物にアート、そしてまだまだ面白い発見があって飽きないですね。またVol.3も企画してみたいと思います。

8月のサロン「朝活!さようなら学士会館、こんにちは如水会館」

8月のAEAOサロン倶楽部は、今年12月をもって再開発事業計画により営業終了となる学士会館の建物見学に参加させていただきました。この建物見学ツアー、前々月に抽選による完全予約制の申し込みが開始されるのですが、予約開始時間と同時に申し込んでも秒で受付が終了してしまいます。今回は奇跡的に当協会で6名の枠が取れ、学士会館をはじめ神保町界隈を知り尽くす会にしてみました。

朝10時にフロント集合ということで我々は10分前に招集をかけたのですが、総勢10名のツアーのはずなのにどうも人が多い…どうやらあまりに多くの申し込みがあり、今日は特別に4本のツアーが作られたということでした。

私たち6名と、他の方々で1グループとなり、学士会館のベテランスタッフの方に案内いただきます。

すでに営業終了となってしまった、フランス料理レストラン「ラタン」の内部。チューダーゴシック装飾です。何度か当協会でも奥の個室を借りてサロンを開催しましたが、クラシカルな内装にゆったりした配置、お料理も尖ったものはなく安定した伝統的フレンチ、是非また復活してほしいです。

ここにポール・シニャックの絵があったのですが、今は取り外されて保管されているとのこと。

かつて正面だった旧館側の階段広間は人造石張りの十二角形の柱に、KAWAIのオルガン。

201号室のロビーとエレベーターホールを分けるアーチの装飾も素敵。

建設当初の姿をほぼ残しているという201号室、ドラマ「半沢直樹」に使われた土下座部屋で有名になりましたね。

色々な部屋を見せていただきましたが、神殿もありました!そして今日はお天気も良いということで、なんと屋上にも上がらせていただきました。

96年前のこの魅力ある建物、その後どうなってしまうのか尋ねたところ、白山通りの拡張計画(都市計画)に伴いまず新館を解体、そして旧館を曳家保存するとのこと、7メートルくらいセットバックするのだそうです。少しずつ慎重に曳家工法で動かす、その過程を時々神保町に出かけた際に見ていくことにしましょう。

記念碑も再開発でどうなってしまうのか、今の段階では不明なようでした。

旧帝大とされる7大学のOBクラブの学士会館の斜め横に、今度は一橋大学の「如水会」の建物、如水会館があります。如水という言葉は渋沢栄一が命名したそうです。こちらの建物の竣工は学士会館より早い1919年でしたが、関東大震災で被災し、大正末に全館修復、その建物も1979年に解体し新会館が竣工したのは1982年、比較的新しい建物なのですが、外観もロビーもクラシカルな雰囲気で、アンティーク好きの我々には落ち着きます。

ランチは1Fにあるカフェ&パブ マーキュリーでコースランチを。現在運営は東京會舘が受託しているのですが、デザートはオプションで東京會舘の名物「マロン・シャンテリー」にしてもらいました。初代製菓長がモンブランを日本人向けにアレンジして発案したと言われるこのスイーツ、全員ペロッと完食。そしてお店の方から私たち全員にマドレーヌをお土産に頂いてしまいました。

食後、強い日差しの中、日陰を求めながら少しだけすずらん通り界隈をみなさんで散策。

明治20年創業の「文房堂」の外観、そして小学館運営の映画館「神保町シアター」、2Fに「神保町よしもと漫才劇場」が入っています。有名な喫茶店「さぼうる」も。

新旧の建物が入り混じる神保町、古き佳きものを上手に残していってほしいものですね。

国内研修旅行 「明治村と、ノリタケの森」DAY2

2日目はホテルの朝食でスタート。和洋食のビュッフェと老舗日本料理「なだ万」が選べるのですが、みなさんビュッフェの方に行かれたようです。名古屋飯と言われる手羽先、小倉バタートーストもありますし4星ホテルならではの何でもありのビュッフェはやはり目移りしてしまいます。

出発は朝9時30分とゆっくりなのですが、TV朝ドラの舞台に出てきたという名古屋市市政博物館を見学したいという朝活グループは事前にタクシーを予約して一足先に建物見学を済ませ、今日の午前の見学地・ヤマザキマザック美術館にてオープン5分前に合流です。実はこの美術館、第2土曜日の10時半から学芸員による解説ツアーがあり先着10名のみ、その枠を我々ですべてゲットするにはオープン前から並んでいる必要があるのですが幸い1番で受付をしていただき、全員分の枠が取れました。

ロココからピカソまで300年の西洋美術が一望できるコレクションを持ち、またアール・ヌーヴォーの家具とガラスのコレクションもまるでナンシー派美術館並みのクオリティで、パリに行かなくとも名古屋でルーヴル・オルセー・装飾美術館の3館を網羅できる、知る人ぞ知る稀有な美術館なのです。

1時間にわたって濃厚な解説をしていただき大満足で図録などミュージアムグッズも買い求めた後は地下鉄にのってノリタケの森へ。

AEAOの研修旅行は海外でも国内でも「美味しいものをいただいて幸せになる」という要素も大切にしているのですが、今回はこちらでフランス料理のフルコースを頂きました。最近ではメイン料理もお魚かお肉のどちらかで済ませることが多いのですが、お魚もお肉も、という贅沢なコース。ドリンクもノン・アルコールが実に充実していて、赤紫蘇カクテルなどソルティ・ドッグのようなイメージで、どれも美味しくいただきました。

日本が世界に誇るノリタケ・ブランドですが、実はこの場所の住所は名古屋市西区則武新町―そう、地名なのです。「ノリタケさんが創業したんじゃないの?」とよく勘違いされがちですが、モリムラ・ブラザーズからノリタケの誕生、ディナーサービスに思いを込めた発展の歴史をウェルカムセンターで学び、クラフトセンターで生地製造工程と絵付け工程を見学、そしてノリタケミュージアムでオールドノリタケの数々の銘品をしっかり堪能し、ノリタケスクエアショップにてそれぞれお気に入りのノリタケ製品やアウトレット、紅茶などのお買い物をし終えた頃にはもう足が棒に。

今日は数日雨続きだったお天気も回復し、そこまでの猛暑でもないという天候と3連休の初日ということで多くの人たちがこのノリタケの森に集いに来ていました。

こちらで解散となりましたが、荷物もすっかり増えてしまい、ノリタケの森から分散してタクシーで名古屋駅へ。そのまま東京方面へ戻った方、名古屋を堪能し尽くそうと名古屋名物を引き続き追い求めた方、3連休で別の目的地へ行かれた方、とさまざまでしたがLINEグループで写真をupし合い、旅行が終わってからも余韻に浸っています。

今回は2日間と短いながらも実に充実した研修となりました。ご参加いただきましたみなさま、有難うございました。また国内研修も少しずつ増やしていきたいと思っていますので、今回日程が合わなかった方も是非またご参加・ご検討くださいね。

国内研修旅行 「明治村と、ノリタケの森」DAY1

今年は梅雨がまだ明けない中、AEAOでは1泊2日の国内研修旅行を行いました。行先は観光地として人気の…イマイチな(!)名古屋。ところが我々アンティーク好きの民にとってはこの地は学びの宝庫なのです。今回は2日間で明治村、ヤマザキマザック美術館、ノリタケの森を見て回りました。

今回の旅行は現地集散。かつては海外研修でも当協会では現地集散型でしたがコロナ禍以降は旅行会社さんを通してのツアー形式で行っています。でも今回は国内、それも5~10分に1本は走っている東海道新幹線の名古屋駅集合ですからみなさんそれぞれの起点からいらっしゃるということで、朝9時10分に集合。豪雨に弱い東海道新幹線ですが、この日は雨にも関わらず定刻運行で助かりました。雨足が強いのが気がかりですが、犬山市では小雨になることを祈って…

名古屋駅からは高速バス1本で明治村まで直行の名鉄バスセンターへ。名古屋人ならみな知っている「ナナちゃん人形」のある場所から出発です。

雨のせいか名古屋市内を出るまではかなりの渋滞、ようやく高速に乗れた頃には電車+路線バスの追いかけ組からすでに犬山駅に着いたとの連絡、最終的に明治村へは追いかけ組が先に着いていました!

明治村に着いたら傘も要らないほどの小雨になってほどよい風も吹き、数日前の猛暑からすれば快適です。まずは村内5丁目の、明治の洋食屋で有名なオムライス料理の『浪漫亭』で腹ごしらえから。予約ができないレストランなので待つことを覚悟していたら、まさかの個室に即案内され大満足、平日で雨天だったことが功を奏したようです。みなさん朝5時起きで、という人も多く腹ペコのお腹になかなかの量ながらペロリ完食。

食後の見学第一弾は、明治村に来てここを見ない人はいないというハイライト的な建物、旧帝国ホテルをガイドさんに案内していただきます。全員首都圏・関東からの参加者なので日比谷の帝国ホテルは知っているのですが、ここに移築された旧帝国ホテルをあらためて目の当たりにし、水平と垂直に展開していく空間演出の面白さに感動、また大谷石やスクラッチレンガのお話など数多のエピソードを交えながら解説していただきました。吹き抜けの「光の籠柱」もピトレスクな魅力を醸し出していますね。

帝国ホテルの見学後は村内見学の自由タイムです。時間的にもすべてを見ることは不可能なので村内ボランティアガイドさんと回る方、予めチェックしておいた建物めがけてまっしぐらな方、重要文化財に焦点を充てて見学する方、なんとなく目についた面白そうな建物に入りながら歩き回る方、みなさん自由なテンポでそれぞれの明治村を楽しみ、バス出発30分前に正門へ集合。回りながらお互いバッタリ会うことも何度もあり、都度情報交換をしつつの見学散策でした。

正門で村内バスの運転手さんに「ハイ明治!」と集合写真を撮っていただいた時には雨もすっかり上がり日差しが顔を出してきました。名古屋へ戻る高速バスは行きほどの渋滞もなくほぼ定時に中心街の栄駅へ到着、名古屋も雨上がりで歩きやすい中、この辺りではラグジュアリーな4星・東急名古屋ホテルへチェックイン。

1時間ほど部屋で休んだ後は夕食に出かけます。

少し早く着いたのでオアシス21の屋上階「水の宇宙船」と呼ばれるエリアへ、ガラスの上を歩く怖さも含めて幻想的な空間です。外国人観光客もかなり見かけました。かつては「名古屋飛ばし」なんて言われていましたが、今や名古屋も侮れませんね!

夕食は名古屋の名物の1つ、八丁味噌だれの田楽のお店「鈴の屋」さんへ。テーブルに置けないほどのお料理で向かいの人との境界線が分からないほどぎっしりの品数でしたが、健康食なのかしっかり歩いたからなのか、意外とこちらもみなさんペロリといただきました。

ホテルへ戻る間にある中日ビル、今年の4月にリニューアルオープンしたのですが屋上テラスが開放されているということで、ここで暫く涼んでホテルへ帰着。スマホをチェックしたらこの日はみなさん2万歩ほど歩いていました!今夜はぐっすり眠れそうですね。

「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展と奏楽堂」 – 6月のAEAOサロン倶楽部

AEAOサロン倶楽部・6月の会は久しぶりの上野にて、東京国立博物館・表慶館で開催されている展覧会鑑賞と奏楽堂の見学を行いました。今日は朝から大雨、しかも一日中降り続くという6月ならではのお天気、こんな日は人出も少ないのではないか、とポジティブ・シンキングで臨みました。

まずはランチ懇親会&ミニレクチャーをビストロ洋食屋さん「遠山」にて。気取らない日本の洋食をモダンスタイルでというので評判のお店なのですが、確かにフレンチテイストがしっかり。茶碗蒸し風のスープなど絶品でした。名物の「特選デミグラスハンバーグ」も美味しそうでした。

フルコースでお料理をいただいた後、雨の中をまずは旧東京音楽学校奏楽堂へ。日本最古の音楽ホールで、現在では重要文化財として上野公園内へ移築されています。明治の建築で桟瓦葺の木造2階建て、木造の洋館建築は旧岩崎邸を彷彿させます。

ホールの見学はできるのですがリハーサル中は撮影禁止、でもスタッフさんより「今ちょうどリハーサルの休憩中のようですよ」と情報をいただき、グッドタイミングだったようでまず2階のホールへ。パイプオルガンの美しさ、ホール全体のぬくもり感、シャンデリア、カーテンやタッセル、天井装飾などすべてが魅力的です。1階は資料展示室として公開されていました。外には小学校の音楽の授業で習った滝廉太郎の銅像が設置されています(朝倉文夫作)。

そして東京国立博物館、通称トーハクの表慶館へ。この西洋建築・表慶館は特別な展覧会開催中しか内部を公開していないのですが、やはり圧倒される建物です。コンドルの弟子であり宮内省の建築家・片山東熊によって設計されたもので、迎賓館・赤坂離宮とほぼ同時期の建築物。この中で『カルティエと日本 半世紀のあゆみ 結MUSUBI展』が開催されており、カルティエのジュエリーや装飾品、そしてパリ14区にあるカルティエ現代美術財団での展覧会や日本で過去に行われたカルティエ展を追うような展示構成になっていました。

見学後は公式には終了・解散となりましたが、有志の方々で応挙館に昨年オープンしたTOHAKU茶館へ。予約はできない、午後3時以降はいつもほぼ満席、と聞いていたので入れないかもしれないけれど建物だけでも、と雨の中を向かったところお天気のせいかすんなり6名入れました!私たち以外は全員外国の方のようで、恐らく日本人よりも情報をキャッチしているのでしょうね、絵になる「和」の茶館、私たち日本人も「畳ってもう触れる機会が滅多にないのよね~」とまったり。水出し玉露、美味しかったです。